alacrân~アラクラン~   作:兵頭アキラ

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はるか視点
一話で片づけるつもりが収まりきらなかった。はるちゃんからの世界を描写したかったあまりに・・・
もうちっとだけはるか視点が続きますが、『親心』と同一時間軸です。



個人差

 とりあえず私たちは学校で仲良くしてもらってる巴ちゃんと合流してテケリリランドへと到着した。正直なところ見た目がいいとは言えないキャラクターたちが『テケリ・リ』と、鳴きながらウゾウゾしている。しかも意外と大きく、私よりも大きいので、あまり可愛いとは思えない。なんでここまで人気なのか朱音さんと話し合いたいところです。

 

 この気持ち悪いのはひな子ちゃん曰く、『しょごたん』と言う名前らしい。名前までそんなに可愛くないときたら何がここまで人々の心を引きつけるのか?今度の自由研究のテーマにしようかな。あ、ひな子ちゃんが『ゆっくり』としょごたんにボディーブローを入れてる。ゆっくりとはいえ腰が入ってたからものすごく威力はあると思う。あんな速度で打ち込んだら中の人ショック死するんじゃないかなぁ。・・・うわぁ、負傷したしょごたんが元気なしょごたんたちに運ばれてる。可愛そうだけど気持ち悪い。・・・もっと急いであげてもいいんじゃないかな?あ、怒られたひな子ちゃんが帰ってきた。

 

「おこられた」

「ひな子ちゃん。あんなにゆっくり殴っても痛いものは痛いんだからかわいそうだよ」

「そうだよ、今のはマズかったよひな子・・・」

 

 さっきから唄乃先輩が周りをキョロキョロしてるけど何かあったのかな?

 

「・・・唄乃先輩。・・・どうしたんですか?・・・何か気になる事でもあったんですか?」

「いえ、大したことじゃないの。・・・ただ、あまり人の多いところには来たことが無くて・・・」

「大丈夫です!唄乃先輩!私たちがついています!全力で楽しみましょう!」

 

 巴ちゃんがゆっくりとこぶしを突き上げる。こういう明るいところが巴ちゃんの武器だ。会話の『タイミングにあった』表情をとることが苦手な私にとって本当にありがたい。

 

「ええ。楽しみましょう。凛子ちゃんも、ね?」

 

 そっと唄乃先輩は手をつないでいる凛子ちゃんに笑いかける。どうも凛子ちゃんもあまりこういうところには来たことが無いみたいで、『近くを通る家族連れ』を観察してる。どうやって楽しめばいいのかを考えてるのかもしれない。

 

 今回朱音さんが教えてくれた私への任務は、遊園地を楽しむこと。そして、先輩が何かをしたら容赦なく行動不能に追い込むこと、しかも可能であればこれの阻止をしろとのこと。先輩がそんなことをする人には見えないけど、朱音さんからの任務なので念のため警戒しておく。

 

「そーだ、最初は何乗ろっか」

「かんらんしゃ・・・」

 

 如何やら最初は観覧車に決まったようだ。曰く、高いところから全体をじっくり見てこれから乗る順番を決めるんだそうだ。ジェットコースターでも十分な気がするけど、観覧車らしい。朱音さんにも「みんなと時間を合わせることも大切だよ」って学校に行く前に教わってたから、しっかりと守る。

 

 あれ、警察のおじさんから電話だ。たしか、御剣さん、だったかな?緊急の用事だったら大変です!

 

「・・・もしもし、屠桜はるかです」

『屠桜?!そこに雨宮と浅葱はいるか?!』

「・・・はい、いますけど。・・・それがなにか?」

『すぐにそこから離れろ!そいつらが殺しの犯人だ!』

「・・・大丈夫ですよ、御剣さん。・・・朱音さんからすでに何かあるのは聞いてるので、到着までは監視しておきます」

『そうか、わかった。くれぐれも気をつけろよ!すぐに駆け付けるからな!』

 

 ポチリと通話終了ボタンを押す。可能な限り声を小さくしてたから周りにはばれていないはず。

 

「どうしたの?『すごい速さ』で着信音なってたけど、緊急の用事?」

「・・・そうですか?・・・私にとっては『普通の速さ』ですよ?」

 

 八葉さんが神妙そうな顔つきで聞いてきた。そうだった、巴ちゃんは私の着信音を聞いたことが何度もあるけど、八葉さんは初めてだった。巴ちゃんが言うには初見でこの速さはびっくりするらしい、普通の速さなのに。

 

 チラリと隣を見ると、先輩が外の景色を眺めていた。いつの間にか結構な高さに来ていたみたい。この高さにもなると人がありんこみたいなサイズになってる、先輩こういうところ来たことないって言ってたから初めての体験なのかな?

 

○○○

 

 ・・・『くるくるくとぅるぶ』に乗っている間、先輩がずっと白いワンピースの女性ばっかりを見てる気がする。朱音さんの言う通り何かあるかもしれない。

 

「次はふかきものどもライドだよ!!」

「・・・あの、私飲み物買ってきます」

 

 流石にのどが渇いてきたので何か飲み物を買ってくる。出来る限り早くして、目を離さないようにしないと。巴ちゃんに八葉さん、ウッキーナさんもいるので流石に何もないと思うけど・・・。

 

 私は出来る限りの速さで自販機に向かった。

 

○○○

 

 綺麗な真っ白のワンピースを着た女性が私の目を吸い付ける。今日はこの歌にしよう。私は周りの視線が遊具に集中している間に人ごみに紛れ込む。ワンピースの女性がトイレに入っていったから、私も後をつけてトイレに入る。持ってきていたショルダーバッグから、黄色のレインコートを取り出して身にまとい、鉈を取り出しながら私の頭の奥まで響くように歌を口ずさむ。

 

「てるてる坊主~ てる坊主~ あ~した天気に しておくれ~」

「?」

 

 彼女が振り向いた。ただ私の深くかぶったレインコートのフードのおかげで顔は見えてないし、鉈は背中に隠したままだ、分かるはずがない。いまからどうなるのかすら予想できないんだろうなぁ。

 

「それでもくもって 泣ぁ~いてたら~ そなたの首を~ チョンと切るぞ~」

「へ?」

 

 口からこぼれる唄に従うように、私の意思で彼女の首を切断する。それと同時にバッグから白い布を取り出して、切り口から血が噴き出る前に頭と体を布でくるんで縄で頭を絞る。完成した赤い『てるてる坊主』をトイレのドアの突っ張りに吊り上げる。それを眺めて一息つくと、バタバタと足音がした。

 

「・・・見つけました!・・・唄乃先輩!」

「・・・」

 

 やっぱり、見つかっちゃった。




ケイサツからの評価  五段階評価

凶暴性5→3
忠実さ1→4
協調性1→5
誠実さ1→3

なお、すべて演技の模様
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