alacrân~アラクラン~   作:兵頭アキラ

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次作の情報集めに奔走しております。


連携

 鍵村鉄工所、ここにこの事件の犯人が潜伏していると判明してからケイサツによって完全に包囲されていた。だが、念のため可能性のあるほかの場所にもケイサツが配置されているので、例えここでなくても問題はない。あとこの犯人の追っかけている小さな少女は、年代的に今捜索中の女の子の母親だ、コウモリが手に入れようとご執心の。彼女と犯人を再開させようなんてなんとも悪趣味な。マァ、私には関係ないけど。

 

 コウモリとたてた作戦には、唄乃ちゃんと凛子ちゃんが一番手として強襲、二番手のはるちゃんとひな子ちゃんで女の子と一番手の2人を回収、私が三番手で毒を打ち込んで追い打ちをかけ、最後にコウモリがとどめを刺す・・・私、いる?コウモリ曰く、母親の視覚情報に鮮烈に焼き付けるためらしい。

 

○○○

 

 まず、私と凛子ちゃんが突入する。凛子ちゃんが犯人の大男にダメージを与え、私が女の子の回収する隙を作る。犯人の両腕を包丁で切断する。相変わらず何でできた包丁なんだろう?斬鉄剣ぐらいの切れ味があるんじゃないかな?犯人が腕を振るって暴れるけど簡単に避けてる。私も仕事しよう。ハンマーを擦りかぶって、唄を頭の奥まで響かせるように歌う。・・・ハンマーで殴るのを踏むって表現するの無理があるかなぁ、でも所詮イメージだし。いいかな。

 

「猫ふんじゃった 猫ふんじゃった 」

「うぐおぁっ!」

 

 腕を振り下ろして勢い良く下がった顔面に向けて、フルスイングでハンマーを叩きこむ。犯人がかけていた眼鏡が砕け、高く伸びた鼻がぐしゃぐしゃにひん曲がる。その隙に凛子ちゃんが背中に取り付きめった刺しにする。よく生きてるなぁ、とてつもなく絶叫がうるさい。ふりをとされたみたいだから地面に叩きつけられる前に受け止める。

 

「大丈夫?凛子ちゃん」

「はい。大丈夫です」

「そう、ならよかった」

 

 ひな子ちゃんが入ってきた、ってことは作戦第二段階かな。しっかりと女の子を回収したみたい。はるかちゃんに回収される前に犯人の足をバックから取り出した鉈を投げて切断する、これくらいなら歌わなくても大丈夫。

 

○○○

 

 私の出番です!見ていてください朱音さん!しっかりと目的を果たしますよ!わぁ、ひな子ちゃん、かっこいいローラシューズ履いてるなぁ。今の私と同じくらいの速さだとしたら、周りから見たらかなり早いよね。少しだけ開いた扉から侵入する。ひな子ちゃんが女の子の、私が2人の回収を担当するのでいったん二手に分かれる。唄乃先輩が投げたらしい血みどろの鉈を足場にして、犯人の上を飛び越える。・・・話す速度を落とさないと。

 

「・・・唄乃先輩、凛子ちゃん、迎えに来ました」

「ありがとう、はるかちゃん。鉈、大丈夫だった?」

「・・・足場に丁度良かったです」

 

 二人を小脇に抱えて、扉から漏れる光を頼りに最大速度で駆ける。途中で女の子を回収したひな子ちゃんと合流する。

 

「・・・女の子。・・・怪我してないですか?」

「うん!だいじょうぶ!」

 

 まだ、犯人は倉庫の中にいるみたい。次は朱音さんの番だ。だってもう姿が見えないもの。・・・ひな子ちゃん、いくら何でも女の子を母親に向けて投げるのはどうかと思うよ?キャッチできたからいいけど。

 

○○○

 

 私、いるのかなぁ。必要なくない?コウモリは劇場型だからいいかもしれんが私は合理主義者なのだ。ワイヤーを割れた窓の枠に引っ掛け、巻取りスイッチを押して壁を上る。トランクは邪魔だから置いていったけど必要なアイテムは既に取り出してるので問題ない。アニメとか漫画でよく見る銃型の針無し注射器に特製の猛毒カートリッジを装填する。・・・もうすぐ犯人が外に出るナァ。ワイヤーを天井の梁に引っ掛けてターザンのように接近する。マグナムを打ち込んでもいいけどケイサツの手前、下手に無関係なやつを傷つけるのはマズい。途中でワイヤーを外して私の天地が逆さになる。・・・ちょっと勢いつけすぎたかも、かっこいいけど。頸動脈に猛毒を打ち込んで着地する。

 

 3・2・1・・・0、ボン!切り口から栓の壊れた蛇口のように血がドバドバと流れ出る。

 

「あああぁ!ぞらちゃん!そらちゃんんん!」

 

 犯人が暴れまわる。普通はこの勢いで出血したら死ぬんだけどなぁ、生きてるよ。

 

「うわぁ・・・すごい執念。ロリコンの鏡・・・殺してる時点でアウトか」

 

 この猛毒はヤマカガシって蛇の毒を少しいじったやつだ。この毒は出血性の毒で、プロトロンビンの活性化により凝固因子を無駄に消費させ、出血を止まらなくさせるのだ。それに私は、血管の収縮運動の活性化と毒の周りを早くする作用を追加して体中の血を一気に消費させる毒を開発したのだ。・・・執念で耐えるのは想定外だったけど。

 

「マァいいや。サソリはここまでで許してやるけど、その血を求める吸血コウモリは許してくれるかなぁ?」

 

 女の子の名前は空ちゃんというらしい、話聞いてなかったから今初めて知った。その子を追いかけて扉から外へ出る。私もコートを整えてから後ろをついていく。うわぁ、あのお母さん、すごい顔でにらんでる。やっぱり目的の女の子は彼女だったか。犯人は逆上したけど、コウモリが鉄骨で串刺しにする。・・・どこから持ってきたんだその鉄骨。

 

「あッは♡はじめましてぇ。そして、サヨーナリ。アンタに笑いかけてくれる人なんて・・・最初からいなかったってコトサ」

「・・・行きましょう北上さん」

「・・・はい」

 

 犯人の男はコウモリに串刺しにされ、私の毒で全身の血液を失って死亡した。トランクを回収し、はるちゃんたちと合流した私に、鉄骨の上から飛び降りたコウモリが話しかけてくる。

 

「おつかれぇ、サソリちゃん♡」

「はいはい、お疲れさん」

「みんな集まってるんだしさぁ。凛子ちゃんと唄乃ちゃんの退院祝いにパーティーしない?いろいろ振舞っちゃうよぉ」

「そのお代は私たちのカラダってかぁ?ごめんだね。私たちは私たちで祝うから一人で慰めてな」

 

 後ろでぶー垂れているコウモリを無視して帰路につく。サァ、帰ったら唄乃ちゃんの退院祝いだ。はるちゃんの手料理でぱぁっとやろう。お、虹が出てる。唄乃ちゃんの退院を祝ってくれてるのかねぇ。・・・わりと私もロマンチストだな。




はるかのあいてむのーと・・・特製銃型注射器とカートリッジは朱音さんの手作りです。・・・カートリッジはトランクの中に収納されていて、VXガスもこのカートリッジから取り出していました。
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