alacrân~アラクラン~   作:兵頭アキラ

16 / 18
新作の主人公の性格の二択で悩んでいる今日この頃。



解析結果

 ケータイで零課の人たちに少し仕事を休むと連絡しておく、友人に会いに行かねばならんのだ。そうだ、せっかくだしはるちゃんと唄乃ちゃんにも来るかどうか聞いておこう。友人に自慢したいってのもある。退院祝いで使ったお皿を洗っているはるちゃんと、テーブルを拭いている唄乃ちゃんに声をかける。手、止めさせてゴメンね。

 

「明日、友人のところに出かけるんだけどさ。二人とも学校あるけど、ついてくる?」

「・・・ついていってもいいんですか?!」

「はるかちゃん。朱音さんも言ってるけど、明日学校なのよ?」

「大丈夫だよ?無理しなくても」

 

 私たちは働いてるとはいえ、はるちゃんと唄乃ちゃんは学生なのだ。学生の本分は勉強、自分勝手に私の用事に付き合わせるわけにはいかない。

 

「・・・私は大丈夫です!・・・唄乃先輩も、朱音さんの御友人に会いたくはないんですか?」

「うっ?!それは・・・朱音さんの友人さんは・・・気になるけど・・・」

「・・・でしょう?!・・・なら行きましょう!」

「でも、学校は・・・」

「・・・退院後の大事を見てってことにしましょうよ!」

「わっ、分かりました!行けばいいんでしょ!行けば!」

 

 はるちゃんがとんでもない勢いで唄乃ちゃんにグイグイ行ってる。・・・あんなに押しの強い娘だったか?勢いだけで唄乃ちゃんを説得しちゃったよ。結局はるちゃんは風邪、唄乃ちゃんは大事を見て休む、ということになった。両方の保護者として学校に連絡を入れる。因みに、唄乃ちゃんの親権は私ということになっていて、父親が殺人犯となっては心のダメージが大きいということで『そういう案件に慣れている』私が引き取ることになったのだ。

 

 ・・・はるちゃんどれだけ一緒に行きたいんだ。普段緊急事態にしか使わないクロックアップ状態で片づけを終わらせて、出掛ける準備をしている。滅茶苦茶早い。唄乃ちゃんが唖然としてるじゃないか。お、唄乃ちゃんはワークとか参考書を持て行くのか。流石優等生。・・・はるちゃんも見習ったらどうだ?なんか怪しげなタイトルのノートをカバンに入れてる。

 

「なぁ、はるちゃん。今大急ぎでカバンに入れたものは何だ?」

「・・・ばれました?」

「ばれてるばれてる。で、何入れたの?」

「・・・私の、朱音さん観察日記です!」

 

 この子は何を書いてるんだ。開き直ったのか堂々と私に見せつけるようにそれを掲げる。可愛い子にそんなことされるのはうれしいけどさ、何でわざわざ私の友人に見せに行こうとするかねぇ?

 

「なんで持って行こうとしてるの」

「・・・私のほうが朱音さんを知っていると証明するためです!」

「そんなことせんでよろしい」

「・・・えぇ~」

 

○○○

 

 友人の研究所に着いた。といっても研究員は私の友人たった一人であり、実質自宅である。・・・なんであの女は玄関の前で仁王立ちをしとるんだ。

 

「ふっふっふ。よく来たな、勇者よ」

「仕事的には魔王役だがな」

「・・・朱音さんの御友人の娘さんですか?」

「ぶっほぁ!!」

「バカ者!あたしは神谷真琴(カミヤマコト)!こいつの友人だ!朱音!笑うなぁ!」

 

 こんなの笑うしかないじゃないか。真琴は、身長ははるちゃんより低いくせにデカい白衣を着てるから末端は地面に擦り付けられてるし、袖は余ってダボダボだ。眼鏡もズレていて締まらない。そんなナリをしてるから娘と勘違いされている。同い年なのにねぇ。

 

「ゴメンゴメン。お前の名前と外見の特徴伝えてなかったからな。・・・というかコレがしたくて隠してた」

「なんで何回聞いても教えてくれないのかと思ったらこれがしたかったんですか・・・」

「・・・え?!年上なんですか?!この人?!」

「むっかー!朱音と同い年なのにー!!」

 

 真琴をからかいながら研究所にお邪魔する。・・・さて、本題に入ろう。薔薇の検査結果が出たからここにやって来たのだ。そうでなかったらこんな所には来ない。はるちゃんと唄乃ちゃんの2人を客間に預けて、私たちは奥に進む。薔薇をシルクハットに入れたら何になるのかな?

 

「で、検査結果は?それを見せるために呼んだんだろう?」

「そうでもなきゃお前なんか呼ばねえよ」

 

 私たちは向かい合ってニヒルに笑い合う。昔から私と真琴はこんな関係だ、周りからは友人に見えないだろうな。奥にある真琴のテーブルの上に置いてあったタブレットを手に取って、少し操作してから私に差し出してくる。

「ほらよ、あの薔薇の解析データだ」

「へぇ」

「お前の言う通り、夢中遊行の材料の一つだったよ。当然、これだけじゃ作れんがな」

「・・・ほかには?それだけなら連絡だけで十分だ。他にも何かあるんじゃない?」

「はぁ、お前に隠し事は出来ねぇなぁ」

 

 私の手からタブレットを取り上げるとまた少し操作して突き出してくる。ズレ落ちた眼鏡を直して話し出す。

 

「『Francis(フランシス)』。この薔薇を解析した時に出てきた夢中遊行の類似品さ。例えるなら、夢中遊行が麻薬、このFrancisが毒ガス・・・かな。こいつは気体にに混ざりやすくてな、しかも夢中遊行よりも即効性のあるときた。この薔薇を扱ってるやつは両方とも知ってるはずだ」

「だから夢中遊行を廻してるやつはこいつの存在も知ってるわけか」

「しかも、ナニカの副産物だ。両方の成分・・・Francisのほうは想像だが二つとも何かを狙って開発されてる」

「そのナニカはわからないのか?」

「さすがにピースが少なすぎる」

「そうか・・・、使えん」

「はぁ?!返せ!もう見せんぞ!」

「嘘嘘、ありがと。薔薇一本でここまで解析できるのは流石だよ」

 

 この検査結果を他人に渡す許可を取ってからケーサツに回す。君原ちゃんとか怒ってるかもしれないけど、これを見せたら問題ないだろう。

 

「ところでだ!あたしを子供だと言いやがったあのクソガキはなんだ!今日は平日だろ?!学校はどうした!」

「あぁ、はるちゃんのこと?屠桜はるか、私の相棒。可愛いだろう?お前とどっちが私のことを知っているのか競いたいんだって」

「ふうん、屠桜ねぇ。そんな理由でここにきたのかよ・・・。まぁ、負ける気はしないがな」

 

 キラリと真琴のメガネが光を反射する。どこからその自信がわいてくるんだ。この後、交互に知っていることを出し合うという形式で2.3時間ほど競っていた。なんで私の事そんなに知ってんだよ、唄乃ちゃんが困惑してるじゃないか。『ピロリン』・・・ケイサツから返事のメールが来た。どうもとある死刑囚が脱獄した上に、国会議員が3人殺害されたらしい。その名は緋垣刀吉郎。元過激派組織「千仭の獅子」の元幹部、そして現在の「桜剪会」のトップで議員を殺したのも奴の組織、らしい。さっき入ってきたばかりの情報だそうだ。要は次のターゲットは緋垣だから戻ってこい、だ。

 

 忘れ去られた桜がもう一度、花を咲かせた。




なまえ 神谷真琴(カミヤマコト)
さつがいにんずう 0人
もくてき なし
すきなもの 研究
きらいなもの 迷信
しょぐう 鎖曽利の友人
びこう 天才科学者。薔薇の一本と夢中遊行からFrancisの存在と、それらがナニカの副産物であることを解析した。鎖曽利の友人だが、はたから見れば仲は険悪である。
はるかのかんそう ・・・朱音さんととても仲がいい人。・・・あと少しで勝てたのに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。