ゲンガーちゃん   作:shoon K

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後書きでは登場人物の設定(軽く)を書きます。一通り物語が進んだら一度大きく書きます


転生初日、私を知る

突然の事ですまない。君は今、【ポケモン】と言う生命体と人間が共存する世界に生まれ変わった。

おそらくこの手紙を読んでいる頃には自分の姿が人間ではない事を十分理解しているはずだ。

さて、早速だがこの世界の君について詳しい事を記しておく事にするよ。

 

固体名『ゲンガー』 性別♀ 特性【ふゆう】

技 のろい シャドーボール 10万ボルト シャドーパンチ

君達の世界で言う6V、性格はこれから決まっていく筈だ。

そして更に()()()

 

...本来は人間に転生させてあげるつもりだったんだが、手違いが起きてね...せめてもの罪滅ぼしで最強のスペックにさせてもらったよ。技は適当だが。

...前世の記憶を持つ君は【ポケモン】として行き辛いだろう。

そこで、だ。他のポケモンにはない()()特殊能力を君に授けた。

【擬人化】だ。これで君も簡単に人間社会に溶け込めるだろう...使うかどうかは君しだいだが。

...最後に、私はアルセウス。この世界を創造したポケモンだ。

 

 

 

 

...と、言う訳でアルセウスさんから手紙を頂きました。誰か知らんけど

確かに私はポケモンになってる。心なしかいつもより視線が低いし、手もちっちゃいし。

ポケモン...前世では赤緑を友達にやらせて貰った程度。つまり無知。

 

(...自分の姿を見てみたい。鏡が欲しい...)

 

今いるのは草むら。背が低いせいで草むらの先の景色が見えない。ちょっと歩いて行ってみよう。

始めの一歩を踏み出す。足音はせず、草をもすり抜ける。

本当、人間じゃないんだなと思わされる。

 

自分の体に違和感を感じつつ歩いて行き、出た先はお墓だった。

お墓の周りの草は綺麗に刈り取られていて、お墓参りの目的で来たのであろう人がお花を添えようとしていた

私は物陰に身を潜め、その様子をジッと見る。

 

(この世界にも死者を弔う習慣があるんだ...)

 

涙を流しているその人を見ていたら何故か傍にいてあげたくなった。何でだろう。私がお人よしなのかな。

ちょっと近づいてみよう。もちろん、擬人化してね。

 

(...でも擬人化ってどうやるんだろう...)

 

あの手紙には私が擬人化できると書いていた。けどやり方までは書いてない。

...どうするの?コレ......とりあえず念じてみよう。

 

(んむむむむ...!!!人になれ...人になれ...)

 

ちっちゃい手を合わせて祈ってみる、が。なる気配は一向に感じれない。

 

「...ゲンガー?」

 

(ゲンガー......っえ!!?私!!?)

 

誰かに声を掛けられる訳がないと思っていた私は思わず飛び上がった。

声を掛けてきた人は先程の人ではなく、キャップを被っている青年だった。おそらくポケモントレーナー...!!

 

「...ハハハ、声掛けられて驚くゲンガーなんて始めてみたよ。」

 

相手は人間、前世で深く関わった生き物、だと言うのに心が、ポケモンとしての心が警戒警報を発令している

危険だ、と。

 

「...この子には悪いけど、倒してしまう事にしよう。行け!!フクスロー!!!」

 

青年は懐からモンスターボールを取り出し、フクスローと呼ばれたポケモンを出した。

見た感じナルシストっぽい鳥。前髪っぽい所を翼で棚引かせている。

 

「フクスロー!!つばさでうつだ!!」

 

そう指示されたフクスローは前髪を棚引かせてから私に向かって直進して来た。

ビビッた私は思わずしゃがんだ。すると何故かフクスローの影の中に入り込んだのだ。

 

「消えた!?...どこに行ったんだ...」

 

とりあえず攻撃を避ける事が出来た。こんな事が出来るなんて...すごい便利!!

このまま身を潜めて逃げよう。これ以上目立ちたくないし、何か影から影への移動が出来そうな気もする

 

「...ス、スロ...」

「おい、どうしたフクスロー!!」

 

...?何だ何だ?

 

「...体温が下がってる...!!待ってろ!すぐにポケモンセンターに連れて行って直してやるからな!!」

 

...ポケモンセンター...ってマズイな。このままだったら私が隠れている事がばれそうだ。

とりあえず影移動をやるしかないな。

 

「戻ってくれ、フクスロー!」

 

トレーナーがボールを構えた

本格的にマズイ。早くしないと...!!

 

(影!影!!...あった!!)

 

一際大きな影を見つけたので、そこに影移動で移動。失敗するかもしれないとは思ったが普通に成功した。

 

「...よし、いくぞ!」

 

私がモンスターボールに入り込む事は無く、トレーナーはそのまま去っていった

 

(今後使えるな...これ)

 

逃げる事に最適だ。

...そんな事より、お墓参りに来た人はまだいるのかな、と思ったのでさっきのお墓の所まで戻ってみることにした。

 

「うぅ......」

 

戻ってみるとその人は未だに泣いていた。若い男の人がココまで泣くという事そのお墓に眠っているのはおそらく彼女または妻。

...辛いだろうな。相手が誰であれ、愛する者を失うと言う事は。

 

そう思っているうちに私はいつの間にかその男の隣に立っていた。考えると同時に行動していた。

 

そうして私はその男の背中をさすってやった。触ろうと意識したものには触れる事が出来るらしい。

 

「......ゲン、ガー...?」

 

私の方を見た彼は少し驚いていた。

 

「...ハハ、よりによってゴーストタイプのポケモンに同情されるなんて...しかもゲンガーに...」

 

...どうやらこのゲンガーというポケモン、大分ヤバイ部類らしい。

ある程度さすってやると泣き止んでいた男は立ち上がった

 

「...君は、珍しいね。相手を驚かすんじゃなく、相手を労わるなんて。」

 

これ位当然だと思う。

 

「...うちに来ないか?別にモンスターボールに入れるなんて手荒なまねはしない。」

 

...まあ、いいでしょう。彼、家に帰ればまた泣きそうだし。誰かがいればそれだけで人は安心するもの。

 

私が彼に合意のそぶりを見せる。すると彼は少し笑って、

 

 

「ああ、ついて来てくれ...」

 

そう言って彼は町の方へ歩いていった。

 

 

 

________________________

 

 

もう深夜に近い時間帯

 

大きな洞窟を通り、着いたのはカンタイシティにある『ホテルしおさい』。お墓参りに行った彼はどうやらこの地方の人間ではないという事。だから今回はしおさいの一室を借りているらしい。

 

「...ボクには、妻がいた。彼女の名前はミクロ。ボクが住んでいる地方『ジョウト地方』の元ジムリーダーだった。今は彼女の後継であるマツバがジムリーダーをやっているが。」

 

そう言って彼は私に一枚の写真を渡す。そこには彼ととても綺麗な女性が笑顔で抱き合っている姿が映っていた。

 

「誰かに見せるのは初めてだけど...君にならいいかなって思ったんだ。ああ、そこに移っている女性がミクロね。」

 

.........何だ?

 

「しかも彼女はゴーストタイプの使い手でね...相棒が君と同じゲンガーだった。」

 

......何か体に違和感が生まれ始めた。

 

「彼女はここ出身でね。最後に眠る場所は故郷の土がいいと思ったん...え...!!」

 

ここで彼は思考停止する。私もそうだった。ミクロさんを写真で見た瞬間に体に異変が起きたからだ。...と言うより()に戻った感じだった。

私は手を伸ばしてみる。するとポケモンの時のちっちゃな手ではなかった。真珠のように白く、細い腕だった。

 

「...あ...喋れる...!!」

 

声帯まで完全に人間のそれ。前世とは違う、透き通ってよく通る声だ。

 

「...嘘だ...」

 

ほぼ同じ目線になった彼から感情が零れ落ちるような声が聞こえた

 

「...鏡...これだ...!!」

 

彼は私に鏡を見せた。そこに移っていたのは先程の写真に写るミクロさんそのものだった。

 

「ミクロさんになってる...って、喋れる!」

「ミクロォ!!!」

 

「きゃッ!!」

 

彼が豪快に抱きしめてきた。思わず乙女な反応をしてしまう

 

「会いたかった...今までどこに行ってたんだよ...!!」

「え、えーっと..私は...」

 

―言い辛いが、言う

 

「あ、あなたの知る私じゃないので...」

 

そう告げた瞬間、彼はふと我に戻ったように私から離れた

 

「ッッッ!!...すまない!!君は、()()()()()

 

まあ違うといえばそうなるけれども、

 

「......このままの姿でいて欲しいですか。」

「..いや、無理をさせているならば結構だよ。」

 

さっきまで泣いていたのが嘘の様に冷静に答えた彼。可愛らしくない

 

「...じゃあ戻らせてもらいます、あなたもあまりこの姿は見たくありませんでしょうし。」

「あ...」

 

戻ろうというと何故か寂しそうな目をした彼。ハッキリして貰いたいものです。

 

「...もう一度聞きますよ?このままでいて欲しいですか?」

「.........いて、欲しい」

 

その答えを聞いた私は軽く欠伸をし、席を立つ。

 

「今日はもう寝ましょう、私眠くなっちゃいました。」

 

そう言って彼のベッドに向かって歩き出す

 

「え!?、ぼ、ボクのベッドで眠るのかい!?」

「...まあ、そうなりますね」

 

見る見る紅潮していく彼。私はそんな彼を一瞥すると、彼のベッドの()()()()()()()

 

「え...?」

 

ベッドの陰からスポッと顔だけ出して彼に言う。

 

「私はゲンガーですよ?影の中で寝る事なんて簡単です。」

「嘘ぉ...」

 

明らかに落ち込む彼を見て思わずクスッと笑ってしまった。

 

「面白いですね...私のことはミクロでいいですよ。これからよろしくお願いします」

「ぼ、ボクはソウ。ミクロ..さん、これからよろしくお願いします」

 

転生初日、私にトレーナー的存在が出来た




ミクロ:元ジムリーダー
何らかの出来事で死亡。シンオウ、カロス、ジョウトでリーグを制覇した後、ジムリーダーの役職についた。

ソウ:観光客
ミクロの夫、年齢は26と若く、ポケモントレーナーとしてもかなり優秀だがミクロには一度も勝った事がない。

フクスロー使い:ポケモントレーナー
主人公にポケモンをやられ逃げ出したトレーナー。一応名前もある。

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