The Armed Detective & Three Strikes   作:zwart

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別作品で詰まった時に書いたやつです。更新未定
8/1/19ちょい加筆しました。内容に大きな変化はありません。


Operation at Haneda Airport

羽田空港/第一ターミナル屋上:AM10:00

『天羽さん、聞こえますか?』

「通信状態はとてもクリアだ、中空知」

『では最新の情報をふまえて状況を再確認します――』

携帯電話とBluetoothで繋げたイヤホンマイクから下手なアナウンサーより聞き取りやすい声が流れてくる。彼女は中空知。空港より北上した位置にある東京武偵高校から管制をしている。現場にはいないが、代わりに現場で流れるありとあらゆる無線を傍受、精査して情報をリアルタイムで届けてくれている。

『今から1時間前にテロリストグループがハイジャックした旅客機が羽田空港A滑走路に着陸、そのまま滑走路上で占拠しています。ネゴシエーターが聞き出した要求は米ドルで現金1000万の引き渡しと日本政府が現在まで中東紛争国に行っている人道支援の即時中止です。グループは重火器で武装しており空港警察の手には負えないでしょう』

「SATは?」

『警察の突入はまだ開始されていません。ネゴシエーターが継続して接触を試みていますがテロリスト側の対応に大きな変化はないようです』

「どっちにしろ俺達武偵の仕事じゃあないが・・・」

『依頼があれば話は別です』

「・・・」

さもありなん。報奨金が支払われるのであれば基本的に何でもやるのが武偵だ。

ハイジャックされた機が羽田に着陸した15分後にターミナル側に向いた窓から小型ライトを用いたモールス信号が一度だけ送られた。その情報が民間人経由でもたらされ、俺は朝早くに東京武偵校の寮を抜け出してバイクを転がしてきたのだ。

「送信されたモールス信号は天羽蒼武偵を指定した護衛依頼でした。座席表から割り出された依頼者はサミュエル・ドレットノートという外国人“旅行客”です」

「確認する。テロリストの戦力詳細は不明ということか?」

『SATネゴシエイターとの通話音声を分析した結果グループは最低も5名は確認されています。またコクピットの一名はショットガンを所持しているのが確認されています』

「OK。警察とこちらの交渉は・・・成立してるわけないよな」

『はい。警察はこちらの存在を認知してはいますが捜査協力の許可は出ていません』

「了解した。・・・SATと空港警察に動きがないようなら今から強襲する」

『状況に変化なし。――お気をつけて』

引金はそれだった。

助走をつけてターミナルの屋上から飛び出す。事前に空席だった席を確認し、そこに射撃をする。アンカーガン、態々借りてきたものだ。旅客機のスキンを抜いて内部構造を爪で掴んだのを勘で感じ取るとワイヤーを高速で巻き上げさせ飛距離の延長と着地点の調節を図る。アンカーガンを握らない方の手で引き抜いた長大なリボルバーには454カスールが5発装填されていた。この全弾発射で確実に窓を割り、そこに突撃する。同時、口に咥えたフラッシュバンのピンを抜き、機内に投擲する。

「ワン、ツー、スリー」

キャビンの中でXM84閃光手榴弾がきっかり3秒で起爆。100万カンデラの光と、何より180デシベルの音が狭い室内で炸裂する。

「フォー、ファイブ」

体をできるだけ小さくして窓の向こうから座席を踏み抜いて突入。乗客に混じって目や頭を押さえている馬鹿どもが二人。防弾チョッキ等の防御装備はナシ。装備は拳銃とUZIサブマシンガン。

(先に突入したのが武偵だったことを感謝しておくんだな。SATだったら多分眉間撃ってる)

ワイヤーガンの銃把を投げ捨て、代わりに9ミリ自動拳銃(ジガナ)を手に射撃する。掌をドーナッツにされて銃を撃てるやつはほとんどいない。命中、そのとおりになった。銃どころか一生フォークも握れなくなった哀れなやつの頭を踏み越えるついでに鼻っ柱を床で折り砕きながらクライアントの席の方に向かう。最優先は件の“旅行客”だ。別に他の誰が死んでもいいということはないが、クライアントが死ぬと俺がここに来た意味が無くなってしまう。

「あ、見つけた」

と、ほぼ同時にまたテロリストが出てきたのでとりあえず膝を撃ちぬいて、次に肩をぶち抜く。悪いが相手の持つ短機関銃(UZI)を撃たせる気はない。

「ぐ・・・審判あれ!」

何か喚きながらナイフを引き抜き倒れ込むような突撃がくる。刃を潜り込ませる心算か・・・予想外のガッツだが、見えている。

(そのタフさをもっと他のことに使えばいいのに…)

突き出されたナイフを躱して手首を脇で挟んで肘を逆に折り曲げる。かわいそうにクスリのせいだろうが、痛覚が無くなってさえいなければ最初の一発で無力化されていたのに。

「がぁっ!?」

「銃でダメだったのに刃物でどうにかなるかよ・・・て言葉わかんないか」

悶絶する彼にもう一撃咥えてノックアウト、意識を失わせるまでがワンセットだ。クスリ漬けのやつは手間がかる。

「君が天羽か」

「はい」

「私がサミュエルだ。ここからの脱出を依頼した」

他の乗客と同じく席に座って目と口をガムテープで塞がれていたらしい初老の男性が声を

掛けてきた。恐らく銃声やらで状況を察知し自分でテープを剥がしたのだろう。

「ああ、なるほど。とりあえず犯人グループを制圧してから脱出します。」

「出来れば急ぎたい」

「わかってます。行先は決まっているのでしょう?」

「ああ、助かる」

「一応、テープをつけ直してここで待機を。一通り掃討したら戻ります」

「了解だ」

さて、後は他にキャビンにいる連中を掃討して、ショットガンを持ってるらしい奴をまだ見てないからそいつを潰さないと。

「残、最低でも1」

9ミリ自動拳銃(ジガナ)の残弾を確認、.454カスールも補充してコクピットの方へ通路を歩く。SAT連中はこのタイミングになっても突入してくる気配がない所を見ると、二の足を踏んだか警察の上が状況を見て失敗した時の責任を全部俺に擦り付けようとしてるか。

(どっちでもいいけど・・・)

二人ほど拳銃やらで武装したのをノしながらコックピットの前に来たあたりでようやく出てきたショットガン男に手元から足までに計6発ほど撃ちこんで黙らせ、一息ついた。気が付くともうコクピット前まで来てしまっていた。防犯のため強固に作られているはずの扉は開けられており、中からは鉄臭い臭いがする。

「おい、パイロットは死んでるのか?」

「・・・誰だ君は、警察か?」

右の席の男が反応した。左側でも呻き声がする。機長、コパイともに無事と。殴られた跡はあるが、それだけみたいだ。死んではいない。

「武偵だよ。6人は斃したけどあと何人いると思う?」

「え、ああ・・・。6人で全てのはz」

「動くな!」

「!」

ズドン

7人目・・・今しがた俺の入ってきた扉の向こうに現れたそいつの持つ銃は他の連中の安物水平二連ショットガンやらトカレフやらUZIやらとは違い、よく手入れの行き届いたUSPを手にしていた。トリガーには確実に指が掛けられ、その照準はこちらに、逆の手では乗客の女性を盾にするように体の前に立たせていた・・・と頭が理解したのは引金を引いた後だった。

「ひっ・・・!?」

「悪いけど、マーダーライセンスは持ってるんだ」

被害者の前で自分より体の小さい人間を盾にする馬鹿が悪い、とは流石に口にはできなかったが。とにかくその妙に身なりの整った男の眉間に9mmとちょっとの直径の噴水が出来上がっていた。

派手に噴き出た男の血が人質にされていた女性の全身を濡らしており、本人は頭が追い付かずにその場で腰を抜かしている。

「機長、コイツは添乗武装警備員(スカイマーシャル)だな?」

「え、ああ。だがまさか――」

「見た通りだ、残念ながら」

とはいえ一番替えが利かないコマが出張ってきたのだからこれでテロリストはカンバンだろう。

「仕事の第二ラウンドを初めるか・・・中空知?」

クライアントの席まで戻りながら封止していた無線を再開させる。サミュエル氏のテープを剥がし諸々の安全も確認。

『聞こえています』

「3分後にSATの突入を要請する。何とかして促すことはできないか?」

『既に天羽さんの強襲と銃声で現場判断による突入の準備がされています。混乱に乗じて脱出するなら急いでください』

「了解・・・。ミスター・サミュエル、脱出します。移動手段の関係で手荷物は一つだけに限定させていただきますがご容赦願えますか?」

あんまり長居するとSATが機内を確保しだして脱出しづらくなるし、他の乗客がごねるかもしれない。

「うむ、了解した」

『SAT突入の秒読み開始されました。9、8、7・・・』

「では間もなく、機を見て脱出します」

サミュエルを抱えて事前に確認したSATが突入に使用しない気密扉を開放する準備をして待つ。重要なのはタイミングだ。

「・・・3、2、1」

「ゼロ。脱出します」

SATが機内に突入する瞬間に緊急モードで扉を開けて飛び降りた。何人かまだ外にいたSAT隊員がこちらに気が付くが、急速に膨らむ脱出シュートがすぐに視界を阻む。5点着地は余計な荷物(・・)を抱えているために出来ないが、まあ強化されている自分の肉体ならどうにかなるだろう。SAT連中は突入のために正面と機内の敵に集中して機外へ脱出する奴への対応は警察や警備員等他の連中に任せきりだ。そしてSATでさえなければ大抵の連中は撒くのに苦労しない。

「―――ふっ!」

着地成功。SATは突入を始めたところで、滑走路上で待機していた空港警察は文字通りに降ってわいたイレギュラーにまだ対応できていない。空港警察の指揮官を見つけてそいつに詰め寄りつつ、

「武偵だ。特別任務で救出作戦に参加している。VIPを護衛しているので通してほしい」

言いつつ武偵手帳を見せ、しかしその男が胡乱な目で何か言いたげに口を開いた時点で穏便な突破を諦めることにした。

「現在他の人質事件が同時進行中で解決にこの男性の協力が必要なのでこれにて失礼する」

「まt」

彼や外野が何かする前に氏を抱えたまま走り出す。残念ながら普通の人間がちょっと鍛えた程度の連中に遅れを取るわけがない。加え、滑走路を超えた時点で俺はパルクールの要領で他ターミナルを縦横無尽に駆け、敷地外までたどり着く。この頃になるともう空港警察は俺を見失っている。きっと命令系統を遡った誰かが封鎖線を敷こうとしているだろう。遅いことに変わりはないが。

「中空知」

『作戦前に取り付けた街頭センサーに反応はありません』

「空港からの撤退完了。移送地へ移動を開始する」

『了解しました』

 




天羽蒼:東京武偵高2年 強襲科
中空知美咲:東京武偵高2年 通信科
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