Fate/Glass Moon   作:パンda

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今後も気が向いたら絵を載せられたらなー、と思います。





プロローグ -side A- 2 ★

夜。日付が変わる20分前。

 

ベッドに寝転がっていた体を起こし、外に出るために上着を着る。

 

 

「よし――――――行くか」

 

 

外に出て、真夜中の道を歩く。

 

顔を見られるのは面倒なので、フードを深くかぶった。

 

もう真夜中なので、通りかかる人は少なく、車も時々しか通らない。

街灯の灯りだけを頼りにして道を歩く。

 

 

【挿絵表示】

 

 

上を見る。

空には雲が無く、星がよく見えた。

 

ただ、その夜空には足りないものが一つ。

 

「そっか、今日は新月だったか」

 

少し残念だ。この月織市で見る月はとても綺麗なのに。

 

 

 

―――この土地は、かみさまが降りた場所―――

 

 

 

古くからの伝承に曰く、この場所に月から神が降りてきて、人々に加護を与えたと。

故に、名づけられたのが月降りの地―――月織というわけだ。

 

私もこの土地の下調べのため、1ヶ月前からここに住んでいるが、夜に見る月はなかなかのものだった。

 

辺りが暗い。

道の灯りが少なくなってきた。

 

山に進んでいるからだろう。

 

「―――――」

 

これからのことを考える。

 

聖杯戦争。

 

万能の願望機を求めて行われる、魔術師同士の殺し合い。

 

この戦いで、私は何か得るものがあるのだろうか―――。

 

 

『いい? 志保ちゃん。聖人になれとは言わない。あなたはあなたが正しいと思ったことをやりなさい』

 

 

師の言葉を思い出す。

 

 

今でも頭に残っている、あの人の声。

 

「……でも、正しいことってなんでしょう? 先生」

 

一人呟く。

 

魔術師なんて言う、人の倫理から最も外れた生き物。

そんなモノになってしまった自分。

こんな私の手で、一体何ができるというのか。

 

「…………ダメね、こんなんじゃあ」

 

ぱしんと、頬を強めに叩き、気持ちを入れかえる

 

―――情けない。

こんな調子じゃあ、昼にアイツに言われた通り、すぐに脱落してしまう。

 

頭を下げるのは、一人前になってから。

 

迷いを振り払うように、私は急ぎ足で目的の場所へと向かった。

 

林の中、人が通る場所ではない方へと進んでいく。

 

「―――あった」

 

木につけた目印。人払いの術式。

 

 

「―――接続(セット)

 

 

呪文を呟き、先日から地面に隠してある魔法陣が現れる。

消去の中に退去、退去の陣を四つ刻んで召喚の陣で囲んだ陣。

 

「それと―――」

 

懐から、召喚に使うための触媒を取り出す。

 

 

黄金に輝く短剣。

 

これは、遙か昔―――人と神が共にいた古代から存在する宝剣だ。

 

 

 

これがあれば、「繋げる」ことは可能だろう。

彼のバビロニアの時代へと。

 

 

 

お前が喚ぶサーヴァントなぞ、大したことないだろう―――とアイツは言っていたが……。

 

 

「悪いわね、仁宮くん。とんでもないモノ、喚ばせて貰うわ」

ニヤリと口元が歪んでしまう。

 

 

「おっと、いけないいけない」

気合いを入れなければならないのはここから。

 

「彼」の時代へと繋げることは出来ても、召喚できるとは限らない。

 

同じ時代の、他の英霊を喚んでしまう可能性だってある。

 

引っ張り上げるのは、他ならぬ私の力でだ。

 

 

「素に銀と鉄。

礎に石と契約の大公

 

 

祖には、我が師―――青の導き手」

 

 

集中し、呪文を唱える。

 

 

「降り立つ風には壁を。

四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

 

魔術回路、状態:良好(オールグリーン)

魔術刻印、補助準備(サポート)、完了。

 

術式(プラン)に変更はない。このままで続行する。

 

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

繰り返すつどに五度。ただ満たされる刻を破却する」

 

 

体に火をともす。

チャンスは一度。確実に繋げる。

 

 

―――私にはわからない。何が正しくて、何が間違っているのか。

 

 

「―――告げる。

汝の身は我が下に、我が運命は汝の剣に。

 

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うのならば応えよ。

 

誓いをこ此処に。

我は常世総ての善となる者、

我は常世総ての悪を敷く者―――!」

 

 

―――ただ、今は。

 

 

今はこの戦いに全力を尽くす。それだけだ―――!

 

 

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 

 

◇ ◇

 

 

 

「なん―――ですって?」

 

 

 

 

召喚された英霊を見て、出てきた最初の言葉がそれだった。

 

金色の髪。

 

整った相貌に赤い瞳。

 

夜の帳をかき消さんと言わんばかりの、金の鎧をまとった絢爛たる姿。

 

 

そして――――――()()が、口を開き、問いかける。

 

 

「答えよ――――――貴女が、我が光を求めんとする魔術師か」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

◇ ◇

 

 

くあ、と大きくあくびをする。

 

 

「寝不足? シホっち」

 

滝川さんが私の前に来て聞いてきた。

 

「んー…まぁね。ちょっと夜中まで起きてたから……」

 

体中がだるい。

全身に鉛を付けられたような気分だ。

 

「……あんまり無理しないほうがいいよー?」

 

私の顔色がかなり悪かったからか、心配そうな表情で滝川さんが言ってきた。

 

「………そうする。ありがとう、滝川さん」

 

ホームルームが始まり、1時限目、2時限目と授業が進んでいくが……。

 

「あー……やっぱ無理」

 

いい加減、体の限界です。

普通に休めば良かったと、今更ながら後悔する。

 

先生に体調不良と早退の連絡を伝え、学校を去る。

 

 

 

 

近場の公園のベンチに腰掛け、一息入れる。

鞄から錠剤を取り出し、ごくんとまとめて飲み込む。

 

「……流石に、魔力をほとんど持ってかれた状態はきついわねー」

 

原因はわかっている。

 

 

 

『なんだ? (われ)のせいだと言いたいのか、シホよ?』

 

 

 

彼女を召喚したことで、魔力の大半を持ってかれたからだ。

 

 

聞こえてくるのは一人の女性の声。

私が召喚したサーヴァント、アーチャーの声だ。

 

 

―――思い出すのは、昨日の夜のこと。

 

 

 

◇ ◇

 

 

 

「―――じゃあ、つまり。貴女は英雄王ギルガメッシュじゃあない?」

 

 

 

 

「そんなもの、見ればわかるだろう? 我は女だぞ」

「い、いや、実は女性だったけど、男性のフリをしてたのかなーって……」

 

 

 

はぁ。と金髪の彼女―――アーチャーは軽くため息をつく。

 

 

「よいか? 我は英雄王などではない。私は彼とは何の関わりのない存在だ。貴様が媒体として持ち出したこの剣。これは、確かに遥か昔の時代、我が使っていたものだ。

だが、我が彼の英雄王とは何ら関りがない以上、この剣をいかに利用しようと奴を喚ぶことなぞ、不可能ということだ」

 

「えっと―――じゃあ、つまり」

 

私は、初め(準備)から間違ってたってこと?

 

 

「だ、騙された……。あの召喚科のジジィ……なにが最強の触媒だ……!」

 

 

がっくりと、その場に膝をつく。

 

「なんだ? そんなに目的の英霊を喚べなかったことがショックなのか?」

 

「当たり前でしょ……ん? ということは―――」

 

顔を上げて、目の前のサーヴァントを見る。

 

 

「じゃあ、アーチャー。あなたの真名って何なの? あなた、どこの英雄?」

 

 

「………」

 

ふむ、とアーチャーは顎に指を当てて、少し考えるそぶりを見せた後に言ってきた。

 

「魔術師よ。そのことについて、一つ我から言いたいことがある」

 

「……なに?」

 

「サーヴァントとマスターの関係は、共に聖杯を目指すために結ばれたひと時の協定。その力関係に優劣など無い。

貴様ら魔術師は、令呪なぞという首輪がある以上、サーヴァントをいつでも殺せると驕り、こちらの方が上だと思いあがる。

それは間違いだ。令呪があっても、我々サーヴァントは一息で貴様ら魔術師を殺せる。しかし、それでは目的の聖杯が手に入らん。故に不本意ではあるが貴様ら魔術師に協力するのだ」

 

「ん、別にそのことに異論はないけど―――」

あ、なんか嫌な予感がする。

 

「そうなった以上、我らの力関係は対等でなくてはならん。となると、貴様に問わねばならぬ。

 

 

 

貴様は、我のマスターに相応しい器か? と」

 

 

 

黄金の少女は、じろりと私を睨みつける。

 

その赤色(せきしょく)の双眸が、虚偽なぞ許さぬと語り掛ける。

 

「………」

 

震えそうになる手を無理矢理握りしめて、応える。

 

「……そう、つまりこう言いたいのね。

 

信用できない相手に、真名なんて教えない、と」

 

「無論だ。そもそもだな、開口一番に喚びたかったのはおまえじゃないと言ってくる奴に、信頼なぞよせられるか」

 

「む」

この上ない正論言ってきやがった。

 

「我の真名を知りたければ、令呪でも使うがよい。ただし、使った瞬間その首をはねてやるがな」

アーチャーは口元を歪めて言ってきた。本気なのだろう。

 

仕方ない、か。こちらにも非があったのは事実だし。

 

「分かったわ、貴女の真名についてはこれ以上聞かない」

 

「ほう、素直だな」

 

「まぁ、真名を誰も知らないっていうのはある意味優位ではあるしね。それに、信頼っていうのは、言葉ではなく行動で返すものだと私は思うから」

 

「―――――フ。いいだろう、その前向きな無様さを評価して、しばらくは貴様についていってやる。

名は何という?」

 

「―――不条よ。不条志保」

 

「……成る程。ではこれからはシホと呼んでやろう」

 

「え、名前呼び?」

 

「光栄だろう? 我に名を呼ばれれば、大抵の民は感極まって涙を流すのだぞ」

 

 

 

 

 




誰だよ女帝ギルガメッシュとか姫ギルとかはじめに考えたやつ





ちょっといいかもって思っちゃったじゃないか。


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