このお話のように、視点が変わることもあると思います。
それでは、本編をどうぞ。
”君をロックオン”
最近彼のことを目で追いかけるようになった。
その彼の名前は
心当たりはある。
ドラマの撮影の時だ。
ドラマの撮影のとき、ちょっとした事故があってセットがアタシに向かって倒れてきた。その時に彼がアタシをかばって助けてくれたことがきっかけだった。
ありきたりなのかも知れないが、こういったことに不慣れなアタシには初めてのことで、とても意識せざるを得ない事態だった。
△▼△
「はぁ……」
「どうしたの、ローラ。そんなにため息ばかりついて。」
「あぁ、真昼。ちょっとね」
「悩み事?私でよければ相談にのるよ」
悩んではいるものの、これは話してしまっていいのだろうか。
そんなことを思っている時、ゆめと話しながら歩いている彼を見つけた。
「それでさー、小春ちゃんったら……」
彼はゆめの話にきちんと相槌をうっている。
聞き上手なのだろう。ゆめが楽しそうに彼に話しかけている。
「ふーん。なるほどなるほど……」
真昼が一人でなにか納得している。
「ねえ、ローラ」
「何?」
「まさか悩みって、ゆめが彼に取られちゃうってこと?」
「え?!どうしてそうなるのよ?!」
「だって、あの二人の方をじーっと見つめてたじゃん」
「いや、確かにそうだけどさ……。そういうことじゃなくて……」
「じゃあいったいどうしたのよ」
「それはー……」
また言い淀んでしまう。
だって、言えるはずがないじゃない。
『彼のことが気になる』なんて。
アタシたちはまだ中学生。みんな恋バナには興味がある。
ただし、ここは四ツ星学園。みんなアイドルを目指しているのだ。
だからそんな中での恋愛なんて考えられない。アイドルにスキャンダルは厳禁だもの。
ごくまれに交際をしている人たちがいるが、ちょっとした奇異の目で見られやすい。
この学校は古くからアイドルを輩出していて、昔からの「アイドルは恋愛をしてはいけない」という風潮がいまだに少し残っているからだろう。
………………
…………
……
というのは建前で、本音を言えば恥ずかしいのだ。
いままで恋をしたこともなかったアタシは、初めての感情に手が付けられないでいる。
でも、そんな情けない姿を見せるのが恥ずかしいのだ。
これが恋なのだろうか。
「あ、ローラ!真昼ちゃん」
ゆめが手を振りながらこっちに近づいてくる。彼も一緒だ。
「ゆめ。おかえり。今日のお仕事はどうだったの?」
「実はちょっとミスしちゃって。そのせいで撮影長引かせて○○さんに迷惑かけちゃった。あははは……」
「大丈夫、気にしてないから」
「……」
「どうしたの、ローラ?」
「うぇっ?!べ、別になにもないわよ……」
真昼とゆめと司の話が耳に入らない。
どうしてだろう。それに顔が熱い。心臓の鼓動も速い。
誰かの手が私の額に触れた。
「うーん。ちょっと熱いな。もし体調が悪かったら――」
“彼”だった。
「――ッ?!」
突然のことに、初心なアタシの頭の中はパニックになる。
「だ、大丈夫!ちょ、ちょっと用事を思い出したからアタシ席外すね!」
思わずアタシは逃げるようにその場を立ち去ってしまった。
そういえば、助けてもらった時のお礼、してなかったな……。
△▼△
寮の自分の部屋に戻り、少し冷静になった頭で何をしでかしたのか考えていた。
(はあ……。アタシ、どうしちゃったんだろ)
(彼のことを考えると顔が熱くなって心臓がバクバクいっちゃうし)
(あぁ……、絶対変な子だって思われてるよ……)
そんなことを考えていると、真昼が部屋に入ってきていた。
「これは相当重症みたいね」
「真昼……。アタシ、どうしちゃったのかな。あんなの、いつものアタシじゃないみたい」
「……ローラ、真面目に聞いてね」
「う、うん。」
「おそらく、ローラは恋してるの」
「こ、恋って、ええぇぇぇ!?うそ、アタシが?」
「そ。さっきの行動を一通り見てたらそう思っちゃうよ」
「そ、そうなんだ……」
「ま、とりあえずわたしはローラを応援してるよ」
「あ、ありがと」
この時、アタシは恋を自覚した。
(恋、かぁ……。考えたこともなかったなぁ)
(だってアタシはアイドルだし……)
「真昼。アイドルだけど、恋愛って許されるのかな?」
「人によるとは思うけど、ちゃんと節度を守っていたら大丈夫よ。だから、ローラたちが歌ってた“キミをロックオン”じゃないけどさ。ちゃんと捕まえないとね」
「そう、だね。うん、アタシがんばってみる」
△▼△
それから、吹っ切れたアタシは彼にアタックをし続けた。
彼と一緒にでかけたり(これってデート……よね)、彼にお弁当を作ってきて一緒に食べたり、レッスンに付き合ってもらったり、いろんなことをした。
そして……
「司さん、アタシ、あなたのことが好きです。アタシとお付き合いしてください!」
「はい!こちらこそ。よろしくお願いします、ローラさん」
彼とお付き合いすることができた。
いかがでしたでしょうか。
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