アイカツで恋愛モノ   作:亜戸 健一@沼太郎

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以前からだいぶ期間が開いてしまいましたね。
ようやくゆめちゃんとのデート回です。
いろいろ言いたいことはありますが、とりあえずあとがきに回します。
お待ちかねの本編をどうぞ。


”デートの戦略”

「へ……?」

 

まさかの望みに、つい変な声が漏れた。

……なぜにホワイ?

 

「えっと、デートっていうと男女が二人でお出かけすることでいいんだよね?」

「はい」

 

ゆめちゃんはいたって真面目な表情だ。

一方僕はこうなった理由がわからず困惑気味な表情だ。

 

「その、悪いけどその理由を聞かせてもらえる?」

「私が、司先輩へのお礼もしたいからなんです。デートって言いましたけど、実は司先輩にも楽しんでもらいたいからなんです」

 

ゆめちゃんはほほえみながらそう言った。

気遣いのできるいい子だ、なんて思いながらさっきの変な疑いを晴らした。

 

「わかった。それなら受けよう」

「やった!」

 

ゆめちゃんの喜び方が少し大げさに感じなくもないが、気にするほどのことでもないだろう。

それから日程を話し合い、今日は解散となったのだった。

 

△▼△

 

~ゆめ side~

 

先輩をデートに誘っちゃった~!

いや、そもそも今日もおうちデートじゃん!

 

先輩はなんだか狼狽えているようだったけど、こうなっちゃったのも全部先輩のせいだ。

先輩は私があの力を制御しようと頑張っていた時に、一緒になって力を尽くしてくれた。

誰かのためにステージをするっていうことを教えてくれたのもそう。

学園長とも相談してくれていたって聞いた。

先輩は本当に私のことを思ってくれていたんですね。

……それに、小春ちゃんを見送った後胸を貸してくれて。

その時に、私は司先輩のことが好きなんだって思った。

小春ちゃんが別れ際に『司先輩とのこと、応援してるよ』なんて言われて意識したのもあるけど、それはそれ。

その前から意識はしていたんだし。

 

だから、私は今度のデートで司先輩を惚れさせてやるんだ!

私をこうした責任取らせなきゃね!

 

~side out~

 

△▼△

 

今回のデートは水族館。

水族館が比較的近場なのもあり、校門で待ち合わせして行くことになった。

もちろん予定の時間よりも30分ほど早く着いている。

……水族館に行く機会があまりなかったんだけど、エスコートできるかな。

そう僕が少し思慮にふけっていると、ゆめちゃんがやってきた。

 

「待ちましたか?」

「いや、今来たとこだよ」

 

ありきたりだけど、もちろんこう返す。

 

「本当ですか~?」

「……実は少し待ってた」

「やっぱりそうですよねー。司先輩のことですし」

 

バレたか。

でも、ゆめちゃんは喜んでくれているみたいだし、問題なし。

 

「先輩、今日のお昼ご飯は楽しみにしてくださいね」

「何を作ってきてくれたのかな?」

「それはお昼までのお楽しみです」

 

いつもより荷物が多いから、作ってきてくれているのはわかったけど、何を作ってきてくれたんだろうか。

まあ、ゆめちゃんの言う通りお楽しみにしておこう。

 

△▼△

 

他愛もない話をしていると、目的地の水族館に着いたみたいだ。

水族館特有の潮のにおいが微かに漂ってくる。

 

「着いたね」

「そうですね」

「チケットは僕が買ってくるよ」

 

こういう時は男が出すもんだと聞いていたけど、違うかな?

 

「いえ、私も出しますよ」

 

そう言ってゆめちゃんもついてくる。

止めても聞かないだろうし、一緒にチケットを買いに行くことにした。

 

料金表を見ると、意外とチケットが高いことに驚いた。

まあ、考えると納得はできるんだけどね。

諦めて素直にチケットを買おうとしたところ、ゆめちゃんから待ったがかかった。

 

「どうしたの、ゆめちゃん?」

「あの、ここってカップル割があるみたいなんですよ」

 

カップル割、だと?

 

「だから、そうしませんか?」

「そ、そうだね」

 

ここで引くのもどうかと思い、ゆめちゃんの提案をうけることにした。

ゆめちゃんのことを少し意識してしまった自分が恥ずかしい。

もちろん、ゆめちゃんはかわいいんだけどさ。

ここでカップル割を受け入れた結果、後から考え直したくなる羽目になることを、この時の僕は知らない。

 

カップル割の証として、手をつないで入場した。

まあ、これくらいは想定内だ。

ただ、心なしかゆめちゃんの気分が上がったような気がした。

 

中に入ると、広いエントランスがあった。

そろそろ手を離してもいいだろうと考え、ゆめちゃんと手を離そうとしてもゆめちゃんは手を離さなかった。

 

「ゆめちゃん、さすがにもう手は離していいんじゃないかな」

 

すると、ゆめちゃんは上目遣いで僕に聞いてきた。

 

「つないだままじゃだめ、ですか?」

 

完敗だ。

こんな顔をされたら許すしかないだろう。

 

「ああ、別に構わないけど。歩きにくくはないよね?」

「はい。問題なく歩けます」

 

そう言って、手をつないだまま館内を見学することになったのだ。

 

△▼△

 

様々な水槽を見た後、目玉でもある大水槽へとやってきた。

 

「うわぁ、すごい……」

「すごいな……」

 

目の前には大きな水槽。

そしてその中を泳ぐたくさんの魚たち。

自然と声が漏れた。

 

この壮大な光景に浸っていると、突然声を掛けられた。

 

「あのー、カップル割を利用された方ですよね」

「えぇ、そうですけど」

「でしたら、カップル割利用者サービスの写真撮影をさせていただきますね」

「へ?」

 

そんなサービス聞いていないぞ。

真偽が気になり調べてみると、きちんと書いてあった。

他にもいろいろサービスがあるらしい。

……ゆめちゃんはこれをわかっていたのか?

 

「先輩、ボーっとしてないで早くいきましょう!」

「あっ、ちょっと」

 

ゆめちゃんに手を引かれ、写真を撮られに行く。

ゆめちゃんの様子を見るに、おそらく知っていたのだろう。

 

それからも、いろいろと特典を受けた。

イルカショーに参加したり、ペンギンの行進をしたり、餌やり体験をしたりと様々だった。

もちろん、ツーショットの写真付きで。

楽しめはしたのだが、ゆめちゃんとの距離が近く、普段と違って意識してしまった。

 

そしてなんだかんだと時間は過ぎ、お昼ご飯をとることにした。

園内に設けられた庭園のベンチに座って、ゆめちゃんが鞄の中からランチボックスを取り出す。

 

「お待たせしましたー。じゃーん」

「おおっ!」

 

開けてみると、色とりどりのサンドイッチが入っていた。

ハムとレタスを挟んだものから、果物と生クリームを挟んだものまで。

 

「食べていいかな」

「もちろんです」

「それじゃあ、いただきます!」

 

あまりにもおいしそうで、つい前のめりに食べる。

味の結論としては、おいしいの一言に尽きる。

特に、フルーツサンドが抜群だった。

流石は洋菓子店の娘だ。

 

「ごちそうさまでした!あ~おいしかったぁ~」

「お粗末様です。喜んでいただけて何よりです」

 

気づけば食べ終わっていた。

 

「フルーツサンドが格別だったよ。実家で作ったの?」

「そうなんです。先輩がこの前ケーキを気に入ってくれましたから、そういったものが作れればと思って」

「わざわざありがとう」

「いいえ、どういたしまして」

 

その後、会話を楽しんでお腹を休ませてから、再び館内に繰り出した。

もちろん、例のサービスがあったのはご愛敬だ。




いかがだったでしょうか。
中途半端な感じが否めませんが、これ以上書くと収拾がつかなくなりそうだったのでここで切らせていただきました。
次回はいよいよ、といった感じになりそうです。

さて、最近投稿できておりませんでしたが、その間にアイカツスターズでNLモノを書いてくださる方が増えており、非常にうれしい限りです。
この調子でもっと増えろ……(小声)
いや、小声じゃダメじゃん。

それと、一つご報告があります。
今月末の27日をもって、この小説が投稿されて一年が経ちます。
長いような短いような、いろいろと思うことはありますが、ここまで続けられたのも読んでくださるみなさんのおかげです。
当日に何かしら投稿しようと思いますが、ひとまずこの場でお礼をさせていただきます。
本当にありがとうございます。
これからも頑張ってまいりますので、どうぞ応援よろしくお願いします。

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