アイカツで恋愛モノ   作:亜戸 健一@沼太郎

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もっと楽に書けるかと思ったら少し悩みました。
終わり方が少し変かもしれません。




......時間が欲しい。


夜空さんと僕

関係者の人とのお話をする日の午前中、夜空さんと街でショッピングをしていた。

もちろん僕は女装している。

服装は前回買ってもらったロングスカートとTシャツ。

今度はいったい何を着せられるんだろう。

 

「じゃあこれを着てみて?」

「はい、わかりました……」

 

渡されたのは、あまり体の線が出ないゆったりとしたニットのトップスと、同じくゆったりとしたハイウエストのジーンズ。

体の線が比較的細いとはいえ、ある程度筋肉がついていることを気にしてくれているのだろうか。

実際に試着室で着てみると、体の線が丸くなり女性らしさが表れてくる。

さすが美組のトップだ。

 

「着替えました。どう、ですか……?」

「……!!」

 

アレ?

夜空さんがフリーズした……?

と混乱しかけたところ、夜空さんに抱き着かれた。

 

「!!???!?!?!」

「やっぱり私の見込んだとおりね!すっごく似合ってる!」

 

目を輝かせながら夜空さんが言った。

でも、僕はそれどころではない。

今鏡を見たら顔が赤くなってそうだ。

だって、夜空さん、すごくいい香りがするんだもん。

そんでもって女性らしい柔らかさを感じる……。

ちょっと理性がヤバいですね!

 

「その、夜空さん……。急に抱き着かれると……」

「あら、ごめんなさい。あまりにもかわいかったからつい、ね」

 

その時の夜空さんは、なぜだかすごく魅力的に見えた。

……胸の高まりが止まらない。

これって、もしかして……。

いや、今このことを考えるのは止そう。

今は面倒ごとの処理が先だ。

そうやって僕は心を落ち着けた。

その間に夜空さんが会計を終えていた。

僕は新たな服を得て街へと繰り出した。

 

△▼△

 

「ところで、今日お会いする方ってどこかの芸能事務所の方なんですよね?」

「そうよ。私たちはセルフプロデュースでアイカツしてたからあまり関わりはないけれど、芸能事務所にスカウトされてアイドルになる人もいるからね。今回はたまたま顔見知りの人だったからやむなくこの場を設けることになったの」

「そうだったんですね。でも、どうして芸能事務所とつながりが?」

 

単純に考えて四ツ星学園の生徒である以上、関わることはほぼないはずだろうが……。

 

「ほら、私の両親って芸能関係者でしょう?だからその関係でたくさんの人と会う機会があってね」

「なるほど。それなら納得できます」

 

夜空さんの両親ってすごいんだなぁ。

僕の両親はそれに比べたら全然平凡だし。

 

「さあ。着いたわ。相手方は連絡ではもうすでに到着しているそうなの」

「ここ、ですか」

 

着いたのは、街の有名な喫茶店だった。

店の前も人通りが多いし、店内もほとんどの席がうまっている。

それだけ周りも当然騒がしくなり、話をするにはうってつけだろう。

 

「あ、夜空さん。一つ聞きたいことがあるんですけど」

「何かしら?」

「……一人称はどうしましょう」

「そうね……。話しやすい方で構わないわよ、って言ってもあなたは演技が上手だったわね」

「はい。どちらでも演じられますが」

「だったら、せっかくだから『わたし』でいいんじゃないかしら。その方が私も説明しやすいし」

「わかりました。頑張ります」

 

そうして、僕は気持ちを固めて夜空さんについていった。

 

△▼△

 

店の中に入ると、スーツを着た男性が比較的離れたスペースに座っているのが確認できた。

恐らくあの人がそうなのだろう。

 

「お待たせしました武内さん」

「どうも、この度は無茶に応えてくれてありがとうございます。お連れの方が、あの」

「そうです。ほら、自己紹介して」

「え、えと。門谷(かどたに)司っていいます……。よろしくお願いします」

「どうも、こちらこそよろしくお願いします」

 

そして、僕たち二人は武内さんに促され席に着いた。

 

「長い話は必要ないと思いますので単刀直入に言います。司さん、私の事務所に所属してアイドルになりませんか?」

「申し訳ありませんが辞退させていただきます」

「……どうしてなのか聞かせていただけますか?」

「わたしにとってアイドルとは応援するものであって、なるものではないからです。それに、わたしはアイドルに向いていないので」

 

実は男だからだなんて言えない……。

でももっともらしい理由を言わなければ。

 

「私からも一つ言わせてもらえるかしら」

「ええ、どうぞ」

「私にとって、彼女は仕事のスイッチを切ってくれる存在なの。だから彼女がアイドルになるなんてことがあれば、私の心が休まらなくなっちゃうの。だから、私からもこの件はなかったことにしていただけないかしら」

 

困っていると夜空さんが助け舟を出してくれた。

でも、これって本当に思ってくれているのだろうか。

本当だったらうれしいけども。

 

「そうですか。そこまで言われたら仕方ありませんね。香澄夜空というアイドルの心の支えとなっているともあれば、何かあった際に責任が取れませんからね」

 

武内さんは苦笑しながら言った。

そして、この話はなかったことになった。

 

△▼△

 

「本当に今日はごめんね」

「いえいえ。気にしてませんよ」

 

こうは言ったものの、これから夜空さんに会う機会も減るんだろうなと少し寂しさが募る。

 

「それでね。今日のお詫びと言ったらなんだけど、司くんの言うことをなんでも一つ聞こうかなって思ってるの。なにかある?」

 

へ?

今なんでもって、ゲフンゲフン。

 

「夜空さん。男に対してなんでも言うことを聞くなんて言っちゃだめですよ。何しでかすかわからないんですから」

「でも、司くんはそんなことしないでしょう?」

「それはそうですが!」

「じゃあ何も問題はないじゃない。で、何がしたいの?」

 

信頼されていると取るべきなのか、揶揄われているだけなのか。

……なんか調子狂うなぁ。

でもまあ、やりたいことはとっくに決まってるんだ。

それを言うだけだ。

 

「夜空さん」

「はい」

「こんな格好の僕とではなく、男としての僕と今度一緒にお出かけしてくれませんか」

 

僕の言葉に対して、夜空さんは少し驚いたような顔をしたかと思えば、すぐ納得のいったような表情へと変わった。

 

「思えば司くんがかわいい姿しか見たことがなかったわね。いいわ。その願い、叶えて進ぜよう~」

「ははっ、ありがたき幸せー。って何ですかコレ?」

「特に深い意味はないわ」

 

 

それから、冗談を言い合ったりして学園が近くなるまで二人で話を続けた。

お互いに笑い合い、自然と距離が縮まったような気がした。

 




実はユニパレ福岡に参戦しておりました。
やっぱりライブって最高ですね。
りささんが2曲とも歌ってくれたのはもう感謝しかないですね。
その影響か、エルザ様のお話が読みたい衝動に駆られる始末。
だが、供給はない模様。
誰か。誰かアイカツのノンケ二次小説をお恵みください(血涙)

書く人もっと増えないかなー。
需要はここにありますので。
そう思いません?

アイカツシリーズで1番好きなのはどれ?

  • アイカツ!(いちご世代)
  • アイカツ!(あかジェネ)
  • アイカツスターズ!
  • アイカツフレンズ!
  • アイカツオンパレード!
  • アイカツプラネット!

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