アイカツで恋愛モノ   作:亜戸 健一@沼太郎

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お待たせしました。
ローラ√の一応の終話です。


女心は秋の天気

逃げたアタシは、休暇を取って実家に帰ることにした。

幸い、家に両親がいなかったから心配されることもなかった。

家に帰ってからは無気力な生活が続いた。

歌ったり踊ったりする気分にならなかったけど、基礎トレーニングだけは欠かさなかった。

何もしていないより何かしている方が気が紛れるから。

それに、アイドルをやめようなんて思ってもいないし。

 

△▼△

 

家に戻ってきて1週間がたったころ、真昼から連絡が届いた。

 

『大丈夫?できればちょっと会ってお茶でもしない?』

 

ある程度気持ちも落ち着いていたから、今の気持ちを吐き出すにはちょうどいいかもしれない。

なんだかんだで真昼には手伝ってもらったんだし、これくらいは許してくれるだろう。

気持ちが落ち着けば、学校へ戻る気持ちになれるはずだ。

そうと決まればさっそく街のカフェで真昼と落ち合おう。

 

△▼△

 

「ローラ、体調はどう?」

「快調とは言えないけど、悪くはないよ」

「そっか。それならよかった。でも、気分はあまり良くはないのかな?」

「そう、ね。アイツのことが頭に浮かんでくると少しイライラしちゃって」

「せっかくだから私にそのイライラを吐き出してよ。そうすれば気分もだいぶ良くなると思うから」

「ありがとう、そうさせてもらうね」

 

それから真昼は、アイツに対する不満だったりアタシの不安だったり、なんでも話を聞いてくれた。

話していくうちに次第に気分も落ち着いてきて、しばらくするとすでにとりとめもない話をしていた。

思っていた通り、学校に戻ろうと思えてきた。

 

「そういえば、学校に戻るとしたらいつになりそう?」

「えーっと、11月4日かな?」

「4日ね。わかったわ」

 

そういえば、4日ってアタシの誕生日だったけど、何か用意してくれてるのかしら。

でも、もし用意されてるとしても聞くのは無粋よね。

気になるけど黙っておいた方が良さそう。

 

「それと、せっかく休暇を取ったんだったらしっかりと休んでね。この前のステージの疲れと、オーバーワークもあるだろうし」

「ステージでのこと、知ってたんだ……」

「うん。ただ、私が気づいたわけじゃないんだけどね」

「どういうこと?」

「私は、それに気づいた人から聞いただけ。もしお礼を言うんだったら、学校に戻ってきてからその人に言ってあげて」

「わかった。でも、その人っていったい誰のこと?」

「それは今は教えられないけど、決して悪い人じゃないから安心して」

「真昼がそう言うなら信用するけど、なんだか気になるわね」

「あはは……」

 

でも、真昼の言う通り今のうちに羽を思いっきり伸ばそうかな。

 

「よし。ローラの気分も落ち着いたみたいだし、私はそろそろ戻るわね」

「うん。話を聞いてくれてありがとう。それじゃあ、また学校でね」

 

△▼△

 

11月4日。アタシは学校に戻ってきた。

 

(学校よ、私は帰ってきた!!)

 

……何か渋い声が聞こえたけど気のせいね。

 

正門をくぐると真昼の姿が見えた。

 

「真昼!ただいま!」

「おかえり、ローラ。さっそくだけどローラを連れていきたいところがあるの」

 

と、真昼に手をひかれるがまま学内のホールへ向かった。

 

「ここ?」

「そう。さあ、入って入って」

 

おそらくここが会場なのだろう。

意を決して扉を開けると、アタシはクラッカーの音に包まれた。

 

「「「誕生日おめでとう!」」」

 

そしてたくさんの人がアタシを祝ってくれた。

いつも顔を合わせるあこや、ツバサ先輩のような先輩方、クラスメイトの人たちなど、本当にたくさんの人が来てくれた。

こんなにたくさんの人に祝われるのは初めてだ。

 

「みんな、ありがとう!」

 

本当にうれしかった。

でも、何だろう。

どこか心から喜べていない自分がいる。

どうしてなんだろう。

こんなにもうれしいのに。

……そうか。やっぱりアタシは司先輩のことが気になるみたい。

もう一度だけ先輩と話がしたい。

 

「ローラ、司先輩のことを探してるんでしょ」

「真昼……」

 

真昼にはお見通しだったみたいだ。

 

△▼△

 

真昼に連れられ、アタシは展望台へ向かった。

そして夕陽に照らされた展望台には彼がいた。

気づけば真昼はいなくなっていた。

気遣ってくれたのだろうか。

 

「あの、ローラさん」

 

アタシの考えに割り込むように彼は話しかけてきた。

 

「何?」

 

アタシはついぶっきらぼうに返事をしてしまった。

 

「実は、この前のことを弁解しようと思って」

 

彼はそういうとおもむろに箱を取り出した。

きれいに装飾されていた。

おそらくプレゼントだろう。

 

「まさか、ゆめにそれを渡せっていうの?この前の時に渡しそびれたから…「そんなわけないだろう!」…っ!?」

 

突然の大声に驚いてしまった。

そして彼がこんな大声を出すということに驚いてしまった。

 

「これは他でもないローラさん、いやローラのためのプレゼントだ!」

「あ、アタシの?」

 

え?ってことは……。

 

「ローラ、誕生日おめでとう」

 

彼はアタシにプレゼントを渡してくれた。

……でも、今のアタシには受け取る権利はないかな。

 

「な、何か気に食わなかった?」

「ううん。そんなことない」

「じゃあ、どうして?」

「誤解をしていたのが、申し訳なくて……」

「なんだ、そんなことか」

「そんなことって……」

「だって、それを言ったら僕も隠していたんだし。おあいこだよ」

「司先輩……」

「だから、これを受け取ってくれないかな」

「はいっ!」

 

受け取った箱を開けてみると、ブレスレットが入っていた。

きれいで、SPICE CHORDのブランドのようなロックさを感じる。

 

「どう、かな。気に入ってくれた?」

「もちろんです!」

「そっか、それはよかった」

 

これで心から喜ぶことができた。

本当に最高の誕生日だ!

 

「あれ、そういえばさっきアタシのことローラって」

「つい呼び捨てで言っちゃったけど、嫌?」

「いえ、むしろ前より距離が近づいたと思うのでむしろうれしいです」

 

そして、しばらく静かな時間が続いた。

それはとても心地が良かった。

 

「ローラ」

 

名前を呼ばれて振り向くと、彼の顔が目の前にあった。

そして唇に触れるだけのキスをした。

 

「っ!!!」

 

突然のキスに驚いたけど、同時に心が満たされる感覚があった。

それからしばらく、お互い恥ずかしくなって顔を合わせられなかった。

 

「えーっと、お二人さん。いい雰囲気のところ悪いのだけど、そろそろ会場に戻らないと」

「「!!!」」

 

そうだ、パーティーの途中だった。

 

「司先輩、急いで戻りましょう」

 

そしてアタシは彼の手を引いて会場へと戻っていく。

 

この先もこういった誤解や間違いがあるかもしれない。

けれど、彼や仲間たちがまた助けてくれるはずだ。

そしてまた一段と仲が深まっていくのだろう。

 




実はプロットは一番最初に書き終わっていたのですが、修正を続けた結果当初の予定よりもだいぶ遅くなりました。
今後、またローラのお話を書く機会はあると思います。
しかし、他のルートを進めることも大事だと考えていますので恐らく単発モノになるかと思います。

......そろそろゆめちゃんのお話の続きを書かなきゃ。

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