去年の12月に、メッセージでたかとさんからいただいていたアイデアをついに形にすることができました!
そらちゃんと新たなオリ主の作品です。
性懲りもなく新しく連載に手を出したのは反省しております。
許してとは言いません。
読んでいただけるだけでうれしいです。
主人公は司くんじゃありませんのでご注意を。
スランプ
スランプ。
誰しも聞いたことがあるだろう。
不振や不調が続いたりする状態だ。
人によってその状態がどれだけ続くか違ったり、その抜け出し方も様々だ。
なぜこの話をしているか。
それは単純に俺が絶賛スランプ真っ只中だからだ。
「これも違う、これも違う……。何かが、何かが足りない」
ドレスのデザインを前に、俺は頭を抱える。
このスランプの始まりは、あの瀬名翼のデザインしたドレスを見てからだ。
ひとたびステージに出れば周りの目を集めるあのドレス。
恐らく軽い嫉妬も含まれているのかもしれない。
だが、あのドレスを見てからは自分のドレスに何かが足りないように思えて仕方がなかった。
それからは、デザインを書いては没にしている日々を繰り返していた。
そんな中、ドリームアカデミーから一日講師として来てくれないかという依頼を受けた。
なぜ俺が呼ばれたのかさっぱりわからずじまいではあったが、良い気分転換になると考え、僕はそれを受けることにした。
学生の若い考えは非常に刺激を受けるんだ。
逆に俺が得られるものもあるはずだ。
気持ちを切り替え、授業の準備へと移った。
△▼△
ドリームアカデミーの教壇に立って授業を行った。
思っていたよりも俺は有名人だったようで、歓待されていた。
講座に参加してくれた生徒の数も多かった。
ただ、俺のドレスのファンだという生徒が多かったこともあって、俺のドレスの模倣で始まったような作品が多く、刺激を得るには物足りないものになった。
もちろん、講師としての仕事を全うして生徒へのアドバイスと教育をすることはできた。
でもやっぱり物足りず、ドリームアカデミーの学園長へ学内の見学を依頼した。
「いいわよ。むしろウチの学校をしっかり見て驚いていらっしゃい!」
「は、はい」
なぜか目を輝かせて言われたが、許可を取ることができたので特に不満に思うことなく学内の見学へと移った。
△▼△
ドリアカにはデザインコース以外にも、アイドルコースとプロデューサーコースがある。
せっかくだから他のコースを見学しようと思っていたが、自分がデザインを生業としていることもあって自然と足がデザインコースの校舎へと向かっていた。
「いっけねぇ、つい足が向いてしまった。ただ来てしまったものは仕方ない。じっくりと見学させてもらおう」
教室内では、デザインの組み合わせについての授業からデザインの歴史まで様々な授業が行われていた。
独学で勉強していた俺はつい見入ってしまったが、さすがに廊下で見続けるわけにはいかない。
他の教室の見学に移ると、実際にドレスデザインからドレスを作っている教室もあった。
その教室の中で一際異彩を放っている生徒を見つけた。
「クルクルキャワワ」
「わあ、すごくかわいくなった」
「でしょう?」
その生徒はほかの生徒たちからアドバイスを求められると、的確に修正点を挙げ、ドレスのレベルを一段階上げていた。
「今度はわたしのもいいかな?」
「ええ、いいわよ。クルクルキャワワ」
その様子につい魅入られてしまった。
彼女がドレスに魔法をかけているような姿に。
「わあっ、綺麗!」
彼女はドレスに必要なものを的確に足している。
俺には彼女のような人のアドバイスが必要なのだろうか。
「あの、ひとついいかな」
「はい?」
その思いが強まって、つい話しかけてしまった。
「俺のドレスに必要なものって何かな」
常に持ち歩いていたデザイン張を彼女に見せ、尋ねる。
すると彼女は俺のデザイン張を取り、迷うことなく描き足しだす。
「クルクルキャワワ」
「これは……!」
自分の考えの中にないアイデアが描かれる様に、思わず俺は声を漏らす。
「どうやってこんな考えが思い付くんだ!教えてくれ!」
「……では、その前にこのドレスたちをどうやって描いたのか教えてくれませんか?」
言われたことがいまいち理解できていない。
「それは必要なのか?」
「ええ、ドレスを理解するうえでとても重要なことです」
さすがにそう言われて答えないなんてことはなく、ドレスのデザインを考えたときのことを話した。
この生地とフリルは似合う、とかリボンの位置はここがいいとか、ドレス自体に関わることを熱心に。
「なるほど。では、このドレスを着てくれるアイドルについては考えましたか?」
「いや、そんなことを考えたことはない」
俺の答えが気に食わなかったのか、彼女は呆れたように肩をすくめた。
「それでよく講師が務まったものですね、影山勉さん」
「なっ!?」
あって間もない学生から罵倒されるとは思ってもいなかった。
「まずあなたに足りないものは『ドレスを着てくれるアイドルについて知ること』です。アイドルについて学んでから出直してきてください」
否定できない俺は、半ば逃げ出すように教室をあとにする。
△▼△
~side そら~
「……でも、あなたのドレスへの熱い情熱には感服しました」
教室を出ていく影山の背中を見つめながら、小さく口に出す。
認められないと思っていた彼を少し認められたような気がした。
※注 彼らは初対面です。
そらちゃんが一方的に、デザイナーである勉くんを知っているだけです。
来月の更新でどのお話を書くかわかりませんが、どちらであっても気長に、でも楽しみに待って頂けると幸いです。
最近、ハーメルン内のアイカツ作品が全く更新されないのが悲しくてなりません。
もっとアイカツの作品増えてくれー!
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