音の木坂1-1浦の星
千歌穂乃果「行くぞ!!」
みんな「おお!!」
ピーーーーーーーーー!
ルビィ「理亜ちゃん!」ドッ!
角間「鹿角へとボールが渡ります!」
梨子(正直さっきの一点はまずかった…あれで勢いに乗られる前に理亜ちゃんとルビィちゃんでこっちのペースにしていきたい…)
理亜「……ふっ…!」ダッ!
ザザッ…クルッ!
真姫「うぐっ…!」ガクッ
角間「鹿角まずは1人抜いたぁ!!」
梨子(ただ…)
理亜「……!」トッ
ことり「いらっしゃぁ〜い♪」
梨子(ことりさんの実力が未知数すぎる…!)
理亜「……あんたの相手してる暇なんてないのよ」ダッ!
角間「おぉっと鹿角先手必勝!!ディフェンスをさせる隙を与えません!!」
理亜(ほら、思った通り大した相手じゃ…)
ルビィ「理亜ちゃん!!油断ダメ!!」
理亜「!?」
「♪」
ガシャン!!!!
理亜「はっ……!?」キキッ…!
角間「鹿角足を止めた!?一体……」
理亜(南ことりは抜いたはず…なにが起こって…)
気づけば理亜は冷たい何かに閉じ込められていた
檻?
いや……
「かーーごーめーかーごーめー」ザッ
理亜「…!」
「かーごのなーかのとーりーはー」
ザッ……!
ことり「いーつーいーつーでーやーる♪」
理亜「南ことり……!」
角間「南が鹿角を足止め!!巨大な鳥籠の中に鹿角を完全に捉えています!!」
海未「毎回思うんですがことりはいつ必殺技を習得しているのでしょうか…」
ことり「ふふ」テクテク
理亜「こんなので私を足止めできると…」ガシャッ…
タラッ…!
理亜「…!」ゴシゴシ
理亜は自分が冷や汗をかいていることに気がついた
理亜(…緊張してる…?私がこの人に?)
そこまで考えた理亜は軽く首を横に振った
いやいや、そんなはず…
ことり「かわいいね、かわいいね」
理亜「っっ…!」ゾァアッ!!
切りそろえられた前髪の隙間から覗くことりと目があった
瞬間、感じた
冷たい手で
心臓に触れられているような
体温が失われていく感覚
ことり「貴方のこともっと知りたいなぁ……」ニコッ
理亜「ーーー…!!!」ビシッ…!!
理亜(体が動かな……!!)
【小夜啼鳥恋詩】
ガッ!!
角間「鹿角ボールを奪われたぁ!?」
梨子「理亜ちゃんがあんなに簡単に…!!」
ルビィ「!?」
聖良「理亜…!」
凛「怖い怖い怖い!!!」
ツバサ「鳥籠に閉じ込めてプレッシャーで相手を縛る必殺技…」
にこ「捕食者の目……というかなんかことりの必殺技毎回エグくない?」
角間「同点に追いついた音の木坂!いきなり追加点のチャンスかぁ!?」
ポタッ…ポタッ…!
理亜「かはっ…!!っぜぇ…!!はぁ…!!」ガクッ
善子「ちょっ…!どうしたのよ理亜!」バッ!
額から汗が滴り落ちる
ボールを取られた直後
肺が久しぶりに酸素を取り込むのを感じ、呼吸すらできていなかったことに気づく
理亜「……く…そっ…!」カタカタ…!
ことり「よーし!」トッ
先ほどとは打って変わっていつもの明るいことりに戻っていた
角間「絢瀬、星空のシュートからチャンスが続いていきます!!音の木坂優勢!!」
梨子(もっと警戒するべきだった…!ここを乗せたら持っていかれる!!)
海未「くださいことり!!」
ことり「うん!」
ドッ!
曜「ふぐぅっ……!!!」トッ!
ことり海未「…!?」
梨子「曜ちゃん!!」
角間「渡辺のパスカットォ!!浦の星踏みとどまる!!」
花陽(警戒してなかったわけじゃないけど…追いつくの!?)
曜「……」チラッ
理亜「はっ…はっ…!!」ブルブル
聖良「理亜…!!」
なんで
震えが止まらない、呼吸も浅い
緊張状態がずっと続いている
ことりの必殺技により受けたプレッシャーが引き金となり
理亜の中に眠るある出来事が掘り起こされる
ゾゾゾゾ……
嫌だ、知ってる、この感じ、嫌だ
体に不安がまとわりつくような
二度と味わいたくないあの感覚が
理亜「克服、したのに…!!」カタカタ…!
蘇る
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『高海千歌のオーラと綺羅ツバサのシュートを加えた、鹿角理亞の【Awaken the beast】が、ついに炸裂しました!!!』
ガァァアァァアアン!!!!
理亜「………は?」
理亞「わ、私のせいで…負け…嫌だ…嫌……」ガクガク…!
聖良「理亞…!?落ち着いて…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
理亜「ーー……!!」ゾァッ……!
理亜(違う…私はもう強くなった……心も、体も!!)ドンドン!!
自らを鼓舞するよう胸を叩く
理亜(強い、私は強い、動ける!!)カタカタカタ……!
そう思いつつも体は言うことを聞かない
まだ後半早々、体力も余裕があるはずなのに汗が吹き出して止まらない
心拍数が駆け上がり体が重い
ドッドッドッドッドッドッ
うるさい
ドッドッドッドッドッドッ
うるさい
理亜(止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止ま
トンッ…!
理亜「…!」バッ
曜「……」
理亜「……曜?」
顔を上げると曜が目の前にいた
私の胸に拳を当てて
曜「見てて」
と、短く言い放った
ザッ!
曜「…フー…」
曜「……準備はいい?」
「…初めてだね」
ルビィ「こんな風に曜ちゃんと合わせるのは」ニッ
曜「……理亜ちゃんと攻めるって話だったと思うけど」
曜「私が理亜ちゃんの代わりになるよ」
角間「渡辺と黒澤が並び立つ!!これは一体……」
穂乃果「まさか…」
曜「力足らずなのには目を瞑ってよ…!」ダンッ…!!
グググッ……!
凛「あれはルビィちゃんの…!」
ルビィ「そう思うなら全力でついてきて!」ダンッ!
グググッ…!
2人は足を踏ん張り今にも倒れるほど体を前に倒す
試合の最初にルビィが見せた準備動作
ロケットスタート
花陽エレナ「…!」
2人はすぐに直感した
[これはまずい]
思うが先か
[それ]が先か
ーーーーーー……!!
始まる
曜ルビィ
【スプリントワープ【G2】【GX】!!】
ダッ!!
海未「止めまーーー
ドッ! ドッ!トッ…シュダッ!!
海未「はっ…!?」ガクッ
角間「園田一歩も動けず!!高速ワンツーに追いつけない!!」
鞠莉「あはは!いいわ!派手に行きましょう!」
梨子「予定してなかったけど悪くないわ…!曜ちゃんルビィちゃん!」
理亜「…」
エレナ「読み切れるか花陽!」
花陽「目で追うのがやっとなのに2人相手なんて…!」
ルビィ「曜ちゃん遅れてるよ!!」ヒュッ…!!
曜「くぅっ…!!」ダッ!!
ドッ!トッ……シュバッ!!
曜「…っ……どうだっ…!!」トッ!
ルビィ「まだまだ!!」ニッ
絵里「追いつけなーー……!
エレナ「くっーー……!
角間「抜いていく抜いていく!!さらにシュート圏内へと切り込みます!!」
海未(せっかく絵里、凛、ことりが作ってくれた勢いが…!)
パタパタパタパタ…!
リバーシ、自分の色が次々と相手の色に変わるイメージ
角間「おぉっとしかし…!?」
曜「…!」タッタッタッ!
花陽「これ以上好き勝手はさせない…!」ザッ!
角間「小泉標的を絞ったかぁ!?渡辺に集中マークだぁ!!」
渡辺「その勝負、受けて立つよ…!!」グッ…!!
曜はさらに足に力を込める
ググッ…!
花陽「ーー…」ブツブツブツ
ーーー考えろ、ひと時も思考を止めるな
今のプレイだけでも曜さんの色々な動きが見られた
速さ、利き足、得意な攻撃パターン、重心の位置
花陽(見極めろ…!)キッ…!
花陽【ディフェンス方程式!】バッ!
曜「………」
たしかに花陽ちゃんの分析はすごいよ
今の動き出しだって的確で素早い
試合開始に比べて精度がどんどん上がってきてて
蜘蛛の巣みたいにじわじわと領域を広げられてる感じ
花陽(いける…!!)
でも
曜「少し足りなかったね」
ダンッ…!!
花陽「空へ跳んでっ…!?」ガクッ…!
ダッ!ダッ!ダッ!!!
曜【エクストリームワープ!!】
角間「渡辺が空へと駆けだした!!ここにきて隠していた新必殺技で小泉を抜きさりました!!」
穂乃果「空で……【スプリントワープ】!?」
【エクストリームワープ】は今の自分の限界点、故に体力の消耗が激しい
それでも使った理由……
花陽「【スプリントワープ】が平面の世界なら【エクストリームワープ】は立体…!」
花陽(掴んだと思ったのに…っ…!!)ジャリッ…!
【スプリントワープ】が破られる気配がしたから
曜は花陽を決して侮らなかった
曜「っは…!怖いなぁ……!!」タッタッタッ!!
海未「花陽まで抜かれては…!」
パタパタ…!
ああまずい、また色の変わる音がする
曜「……っぷはぁ…!お願い!」ドッ!
ダイヤ「準備はいいですか2人とも!!」バッ!
千歌ルビィ「はい「うん」!!」バッ!
角間「黒澤と高海が上がってきていたぁ!!小泉綺麗につられてしまいました!!」
花陽「…っ…!!」ギリッ…!
千歌「ここは絶対……決めてみせる!!」
パタパタパタパタ……!
せっかく掴みかけた流れ
逆転への道筋が見えていながら浦の星の素早い機転により
パタパタ……!
パタンッ…!
今、盤面は敵の色一色に染まりきった
海未「ーーーー……」
角間「ゴール前は完全にフリーだ!!」
穂乃果「来ぉぉぉおおい!!!」パンッ!
グッ……ダンッ!!!
グルグルグル!! グルグルグル!!
ギュォォォォォオオオオ!!!!
バッ!
ドキュッ!!
ルビィダイヤ千歌【サンシャイントルネードTC!!!】
ゴォォォォオォォオオオオ!!!!!
ボフォォオォォアァァアアアア!!!!!
穂乃果【マジン・ザ・ハンド"焔"!!】
ギュルルルルルルルル!!!!!!
角間「FF決勝!!優勝を決めたシュートと決勝ゴールを守りきった必殺技がぶつかり合う!!」
海未「踏ん張りどころですよ穂乃果!!」
海未(【焔】を使うということは穂乃果に余裕がないということ…)
穂乃果『少し集中したかったんだ』
海未(すみません穂乃果、今の私達では……!)グッ
穂乃果「うぐぐぐっ……!!!」ズズッ…!
花陽「頑張って穂乃果ちゃん!」
花陽(ここで失点するのはまずい……!)
凛「穂乃果ちゃん!!」
絵里「穂乃果!!」
ギュルルルルルルル!!!!!
千歌「押し切れぇぇ!!!」
ルビィダイヤ「いける……!!」
果南「決まれ!!」
穂乃果「……っぐぅう…!!」グググッ…!!!
決勝でツバサさんたちと戦って、たくさん悩んで、苦しんで
みんなで乗り越えてやっと日本一になった
でもまだまだこんなに強い子たちがいて
穂乃果「……っはは…!」グググッ!
世界って広いなぁなんて呑気なことを考えながら
気づけば笑っていた
ツバサ「…!」
バチィッ!!!
あんじゅ「あ…」
ドサッ!
ドシュルルルルル!!!!!
角間「き、決まったぁぁぁ!!!相手の攻めを見事カウンターにつなげた浦の星が貴重な追加点をもぎ取りました!!」
千歌「ぃやったぁ!!」バッ!
曜「わわわ…!!急に飛びついたら危ないって…!」
ダイヤ「ふふ、元はと言えば2人が巻き返してくれたからですわ」ニッ
曜「いやー全力だったね」あはは…
ルビィ「次はもっとスピード上げてみよっと♪」
曜「昔の優しいルビィちゃんはどこに行ったんだよう……」クスン
千歌 ヨシヨシ
果南「ここ取れたのは大きいよ!」
花丸「たたみかけるずらぁ!!」
鞠莉「あの頃のふわふわしたマルは一体どこに…!」
曜「果南ちゃんに完全に感化されてるね」
スゥーーー……!
ハァーーー……!
理亜「……」
フルッ…!
理亜(まだ抜け切らない……)
理亜(南ことり、多分狙ったわけじゃないだろうけどここまで乱されるなんて…)
聖良「……理亜、大丈夫ですか?」
理亜「……ちょっと動揺しただけ、もう動ける」
聖良「だといいですがね」
理亜「…?どういう…」
ルビィ「理亜ちゃん!」
理亜「ルビィ…!」
さっきは自分が止まってしまったせいで作戦が狂った
一体何を言ってくるのかと理亜は身構えたが…
ルビィ「もう終わり?」ニッ
理亜「……言うじゃない」ニッ
聖良(理亜に効く一番の特効薬はルビィさんなのかもしれませんね)クスッ
僅かに寂しさを覚えながらも聖良は安心したように頬を緩ませた
梨子(…今の理亜ちゃんに中途半端な声かけは逆効果ね)
梨子(理亜ちゃんは不安定、でもここで抑えるとそれこそ終わっちゃう)
梨子「……賭けるしかないかしら」フゥ…
バシッ!!
理亜「痛っ…!!」ビクッ!
梨子「頼んだわよ」ニッ
理亜「……わかってる」
梨子(…『わかった』とは言ってくれないのね)
理亜「……」グッ
ザァァァ……!
風の動きに合わせて擦れ合う木の葉の音が心地いい
穂乃果「………ぅっ…!」ピクッ
意識がハッキリしてくるにつれて自分が吹き飛ばされたことを思い出した
海未「穂乃果!大丈夫ですか!?」ザッ
なかなか起き上がらない穂乃果を心配して海未が駆け寄ってくる
それほど海未はさっきのシュートに圧倒されていた
穂乃果「い…てて…!」ムクッ
海未「一体何度目でしょうかね、この光景も」フフ
倒れている穂乃果に手を貸しながらどこか楽しそうに微笑む
穂乃果「あんまりお馴染みになりなくないけどね」アハハ!
たくさんの強敵と戦ってきた、その度に見た光景
不思議と安心している自分たちがいた
穂乃果「……ねえ海未ちゃん」
海未「……なんですか?」
穂乃果『キーパー……穂乃果じゃなきゃダメ…?』
穂乃果「サッカーって……楽しいねぇ」
海未「…!」
なぜだろう、穂乃果の口からその言葉を聞けたことが無性に嬉しかった
海未「…そんな呑気なことを言ってる場合ですか」ピンッ!
穂乃果「あてっ…!」
にこ「海未のいう通りよ!」
穂乃果「にこちゃん!」
にこ「せっかくの押せ押せがたった一手でひっくり返されたのよ、そんなに楽観的じゃ後半全部持ってかれるわ」
穂乃果「ぶぅ…!」
花陽「エレナさんは今【ディフェンス方程式】使えますか?」
エレナ「……私は花陽ほど人を読み込むのが得意じゃない、前回は花陽が相手だったからできただけだ」
花陽「そうですか…」
エレナ「その代わりと言ってはなんだが…」
エレナ「……いや、やっぱりいい」
花陽「?」
ツバサ「突破口が分からなければ試合の中で見つけるしかない」
ツバサ「誰かが見つけるんじゃない、主役は他でもない自分自身、肝に銘じなさい」
みんな「おお!!」
海未(チームを締める時はやはり綺羅さんが頼りになりますね)
花陽(綺羅さんに気合い入れてもらえるなんて感動だよ〜!)
にこ(分かる〜)
海未「2人とももうただのファンじゃないですか」
ことり「理亜ちゃん大丈夫かなぁ……」
あんじゅ「入ってきてすぐ人のトラウマ掘り返すなんて大したものね」
ことり「そんなつもりじゃなかったんです!!」
あんじゅ「あーあ、一年生になんて残酷な……」
ことり「だからちが…!」
あんじゅ「悪い女ね〜」
ことり「うわーー!!!」
海未「あまりことりをいじめるのはやめていただけますか?」ミシッ…!
ことり「海未ちゃん…!」
あんじゅ「あなたのセコム怖すぎない?」イタイイタイ
タイトル「野性解放」
ザッ!
角間「両者配置につきます!後半まだ始まったばかり、結果は誰にもわかりません!!」
穂乃果「…!」
千歌「…!」
負けないよ
こちらこそ
穂乃果千歌 ニッ
角間「さあ追加点をもぎ取った浦の星!!音の木坂再び追い込まれました!!
角間「互いにペースの探り合いが始まっています!」
ペースの探り合い?
梨子「……」
そんなに生易しいものじゃない
花陽「……」
相手を読み切れ、奪い取れ
勝つのは
穂乃果千歌「……」
私たちだ
音の木坂1-2浦の星
ピーーーーーーーーー!
ドッ
ルビィ「はぁぁ!!」ガッ!!
真姫「なっ…!」ガクッ…!
角間「おおっと早速黒澤がボールを奪ったぁぁ!!」
千歌「よっし!!」
にこ「ちょ…!何してんのよ真姫!」
真姫「ごめん!!」
ルビィ「理亜ちゃん!」ドッ!
理亜「…!」トッ
角間「再び鹿角からボールを回していく!」
花陽「やっぱりそうきますか…!」
海未(シンプルかつ最も面倒ですね)
ことり「行かせません!」ザッ!
理亜「……!」ビタッ…!
角間「先ほど止めた南が再び鹿角の前に立ちはだかります!」
いつもの理亜なら迷わず抜きにかかっていただろう
しかし……
理亜「……ルビィ!」ドッ!
ルビィ「!」トッ
無意識とは行動に現れる
角間「ここはパスを回して回避していきました!」
花陽(消極的なパスは見逃さない…!)
ガガガッ!!
ルビィ「っ…!?」トトッ!
凛「ポーッとしてていいのかにゃ?」ガガッ!
角間「星空が素早いマーク!!前半から動きが全く落ちません!なんという運動量だぁ!!」
海未「先ほど攻められていた間に少し休めたようですね」
にこ「それでも体力馬鹿すぎるわ…」
ルビィ「うぅ〜〜……っと!!」クルッ!
凛「のわぁ!!」ガクッ!
角間「しかしここは華麗にかわしていく!!」
穂乃果「おしい!」
にこ「次行けるわよ!」
ルビィ「危ない…」トッ
梨子(ボールは取られなくても爆発力が足りない……)チラッ
理亜「……っ」
梨子(理亜ちゃんはやっぱり動きが固い……どうする、どう攻める…!)
たとえ試合を優勢に進めていようと
一瞬の停滞が命取りになることを梨子は理解していた
梨子(ここはひとまず【神のタクト】で…!!)
ダイヤ「ルビィ!!」ダッ!
梨子「!?」
ルビィ「?……っ!……うん!」バッ!
真姫「なっ…あれは……!!」
グッ…
ダンッ…!!ダンッ…!!
理亜「……!!」
梨子「ルビィちゃん!?ダイヤさん!?」
あんじゅ「嘘でしょ!?」
角間「センターラインからシュート体勢!!攻撃のリズムを変えてきたかぁ!?」
穂乃果「そんなとこから……!!」グッ
理亜(何を考えて……打ち合わせも何もしてない、走れってこと?それとも本当に直接狙いに行った?)
不安な時は体より先に頭が働いてしまう
理亜(どうする…私はどう動けば…!)ジャリッ……!
ガシッ!
理亜「!?」グイッ…!
曜「うだうだ考えずに走りなよ!!」ダッ!
理亜「ちょ……離して!!」ダッ!
角間「渡辺が鹿角の手を引いて上がっていく!?」
花陽「……」
あんなところからシュートを打っても敵にボールをプレゼントするようなものだ
じゃあそれ以外
シュート以外の残された選択肢は……
花陽(……シュートに見せかけたFWへのパス…!)
ツバサ「マーク!!」
同様の思考を巡らせていたツバサは一足先にチームへ指示を出す
花陽「私も…!!」ダッ!
グルグルグル!!グルグルグル!!
バッ…!
ドキュッ!!!!
ルビィダイヤ【ファイアトルネードDD!!】
ゴォォォォオォォオオオオ!!!!
ゴォォォォオォォオオオオ!!!!
角間「黒澤姉妹がシュートを放ったぁ!!」
ギュゥゥゥゥン!!
角間「しかしこれはゴールを外して……」
海未(やはりシュートではなくパス……!)
それは信頼か非情か
角間「鹿角へのパスだぁぁ!!!」
理亜「…っ…!!」
自分を見失っている理亜に対し同情のかけらもないキラーパス
FWとしての役目を果たせといわんばかりの勢いで理亜へと襲いかかる
梨子「今の理亜ちゃんにあんなボール……!」
聖良「あの2人だから出せるんですよ」
梨子「それってどういう…」ハッ…!
梨子「……確かにそうかもしれませんね」
ルビィダイヤ「………」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
理亞「私達に勝ったんでしょ?今、同点なんでしょ?今決められたらまずいってことぐらい、あんたなら分かってるでしょ!!!!」
理亞「頑張りなさいよ!!!!アンタが倒れるのは試合に勝ったあとよ!!今は立つの!!」
理亞「動けえぇぇぇぇ!!!!!!」
理亞「黒澤姉えぇぇぇぇぇ!!!!」ズザザ…!
理亞「繋ぐって言ったでしょ!!!!」パキキ…!!
理亞「本当の黒澤ダイヤを見せて!!!!」ドッ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
角間「黒澤姉妹のパスに合わせて鹿角が走る!!しかし読まれている!!音の木坂DFが集まっています!!」
花陽「これだけ囲めば…!!」タッタッタッ
あんじゅ「油断はダメよ、相手は変態なんだから」タッタッタッ
ことり「変態…」アハハ… タッタッタッ
にこ「わーかってるわよ!」タッタッタッ
角間「鹿角完全に囲まれたぁ!!」
梨子「……っ」ギュッ
タッタッタッ
曜「……ねぇ理亜ちゃん」
理亜「……?」
曜「また同じことで悩んでるんだね」フフ
理亜「……は?」
煽りにも聞こえるその言葉に思わず反応してしまう
曜「難しく考えすぎなんじゃない?」
理亜「………」
こんな状態になったことがないからそんな気楽なことが言えるのだろう
理亜は少なからず曜に対して失望の感情を露わにした
曜「だってもう理亜ちゃんは全部体験したことでしょ?」
理亜「…!」
曜「初めて克服した時、失敗するの怖がってた?期待を裏切るかもなんて考えてた?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
躊躇って足が動かないなら、強引に動かしてやる!!
いいから黙って私の言うことを聞け体!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ゴォォォォオォォオオオオ!!!
角間「黒澤姉妹が繋いだボールが鹿角へと向かう!!」
花陽「理亜ちゃんを抑えます!!」
にこ「にこがいく!!」バッ!
にこ「ふっ…!」ブンッ!!
ズシュゥゥゥゥ………!
ブワァァァァアアアア!!!!
にこ【スピニングカット!!】
角間「ここは素早いディフェンス!!矢澤が止めにかかります!」
花陽「タイミングは完璧…!これで…」
にこ「………!」
オーストラリア戦
絶対的な場面
超えるつもりだったライバルに鼓舞され、周りに助けられてようやく完成させた必殺技
それでも決められなかった
みんなが信じてくれたのに
期待を裏切った
その日から、ゴールに向かうとあのシーンがフラッシュバックするようになり
ついにはシュートが打てなくなってしまった
後ろを向こうとする自分を無理矢理前に向かせて乗り越えた
…はずなのに、またそれに悩まされている
ブワァッ……!!!!
にこ「…!?【スピニングカット】が……!!」
花陽「うぐっ…!」ブワッ!!
パキパキパキパキ!!!!
理亜【Awaken The Power!!!】
ブワァァァァァァ!!!!
トッ!
角間「鹿角【Awaken The Power】で【スピニングカット】を正面突破ぁ!!矢澤、小泉ごと吹き飛ばしボールを受け取りました!!」
にこ「なんっ……で、通じないのよ…!!」ギリッ
ツバサ「……!」
角間「勢いを取り戻したかぁ!?」
梨子(取り戻した…というより弱い自分を必死に振り払おうとしているだけのように見える…)
理亜(止まるな、考えるより先に体を動かせ…!!)
花陽「くっ…!」ブワァッ!
ゴロゴロ……ズザザザ!!
花陽「…っあんじゅさん!!ことりちゃん!!左右から挟んで!!」
あんじゅことり「ええ「うん」!」ダッ!
スピニングカットと同時に飛ばされた花陽は体勢を立て直しながら指示を飛ばす
彼女は守備の要だから
花陽(ここで畳み掛けないともう後がない…!!)
理亜「……っ…!」
ズシッ…!
理亜(落ち着け、大丈夫…大丈夫だから…)
ルビィとダイヤが繋いでくれたこのボールですら、今の理亜には重くのしかかる
曜「……」ポリポリ
肝心な時に上手く話せないなぁなんてことを思いながら頭を掻く
子供の頃、よく周りの人に言われた
曜ちゃんは天才だねって
でも高校に入って、サッカーを始めて本物の天才たちに出会った
もちろん努力をしているのは知ってる
人一倍ストイックなのも
でも
努力じゃ超えられない壁の先に彼女たちはいる
『私が理亜ちゃんの代わりになるよ』
……なれないのはわかってる、でも
天才(すごい人)たちに少しでも追いつきたかった
[凡才はどれだけ足掻こうと天才にはなれない]
曜と理亞
気丈に振る舞っているように見えてどこか脆く繊細な2人
あの時、理亜の胸に当てた手は震えていた
理亜(……本当はわかってる、曜が私に伝えたかった事)
送られたのは
『見てて』
たった三文字の短い一言
の
裏の言葉
『私は少しでも先に進むよ』
『理亜ちゃんはどうする?』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ルビィが戻ってきた時に
ルビィが継承したことを後悔するぐらい…強くなってやる
使いこなしてやる!!!!
「見てなさいルビィ…私がアンタの技…」
理亞「奪ってやるんだから…!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
パキパキパキ……ッ!
………言われなくても
花陽「……!?」
ザッザッ……ヒュッ…!!
ブワァァァァアア!!!!
あんじゅことり「きゃぁああ!!」ブワァッ!!
ドサッ…!!
「……ハァーーーーーー……」パキィッ…!
こんな壁、何度だって超えてやる
角間「鹿角がディフェンダーを吹き飛ばした!!圧倒的な突破力だぁ!!」
花陽「あの2人が抜かれた…!?」
凛「抜かれたっていうレベルじゃないにゃ!!」
あんじゅ「ことりのせいでもっとめんどくさいことになったんだけど!!」ムクッ…!
ことり「だからわざとじゃないんですってば!!」ムクッ…!
曜「……悔しいなぁもうっ……!」クシャッ…!
今の自分では到底たどり着けない場所を軽々と走る理亜に少しばかりの嫉妬をにじませるがその表情はどこか嬉しそうだった
梨子「理亜ちゃん…!」
理亜「こんなところで立ち止まってる暇なんてないのよ」トッ
ルビィ「帰ってくるまで随分かかったね」ニッ
曜「……ルビィちゃんのその余裕も怖いよ」
聖良「信頼ゆえですね」
曜「本当に可愛いルビィちゃんはどこに…」
「よーーーーー!!!」
曜「!」クルッ
理亜「タラタラしてたら見えないとこまで行っちゃうから」ニッ
曜「……舐めんな後輩」ニッ
穂乃果「来なよ理亜ちゃん!!」パンッ!!
理亜「……」コクッ
角間「鹿角と高坂の一騎打ちだぁ!!」
理亜「……っふっっ!!!」
ドゴォッ…!!
理亜はかかと落としで地面にボールを叩きつけ力を溜める
理亜「はぁぁぁあああ!!!!!」グググッ……!!!
パキパキパキパキパキ……!!!!
ブワァァァァァァァアアアア!!!!
理亜の叫びとともに冷気が高まる
その光景はまさに…
絵里「……自然の……暴力…」
理亜「あああああああああ!!!!!」グググッ…!!
もう二度と、こんなことが起きないように
弱い心を持った自分が顔を出さないように
過去の自分との
決別の叫び
ルビィ「……っっ……!!」
ルビィ「いけぇぇぇ理亜ちゃん!!」
理亜「うぉあああああ!!!!」クルッ…!
ドキュッ!!!!
理亜【Awaken the beast!!】
ゴォォォォオォォオオオオ!!!!!
バキバキバキバキバキ!!!!
ゴォォォォオォォオオオオオオ!!!!
角間「完全に吹っ切れた鹿角!!!追加点は目の前だぁぁ!!!」
花陽「……こんなの……っ…!」
凛「穂乃果ちゃん!!」
絶望的な状況の中、彼女だけは覚えていた
海未「……!」
海未「……ふふ、そうでしたね」
勝利の女神は……
穂乃果「最後まで諦めなかった方に笑うんだよ!!」ジャリッ……!!
角間「高坂構えたぁぁ!!」
ゴォォォォオォォ!!!!
希「あれは……【マジン・ザ・ハンド】…!」
聖良「無駄ですよ、今の理亜は止められません!」
穂乃果「……無駄かどうかは!!」グググッ…!!
理亜「…!!」
穂乃果「やってみてから考える!!」バッ!!
メキメキメキ……!!
みんな「!?」
角間「高坂のマジンが姿を変えて…!」
彼女の必殺技は感情に左右される
【焔】の元は「勝ちたい」という純粋な想い
自分の中の一番の願い
ただ、それが別のものに入れ替わっていたら
「勝ちたい」以上の感情が芽生えていたら
『ねえ海未ちゃん』
『サッカーって……』
穂乃果「………!!」ニッ!
理亜「……!!」ゾクッ…!
ギュルルルルルルルル!!!!!!
穂乃果「っ…!!」ズズッ……!
角間「高坂踏みとどまる!?鹿角のシュートを掴んで離しません!!」
理亜「決まれぇぇ!!!」
凛「止まれ!!」
穂乃果「……っっ悪いけど…!!」ググッ…!!
ルビィ「!」
ギュルルルルルルル!!!!!
ッシュゥゥゥゥ……!!
パシッ!!
理亜「なっ……!?」
穂乃果「ここは止めさせてもらうよ!」
角間「と…止めたぁぁぁ!!!高坂見事止めました!!」
海未「穂乃果ぁぁぁ!!!!」
ことり「穂乃果ちゃぁぁぁんん!!」
あんじゅ「…あなたたちの幼馴染なんなのほんと…」クスッ
鞠莉「That's great!!まさに【グレイト・ザ・ハンド】ね!」
花丸「褒めてる場合じゃないずらぁ!!」
角間「音の木坂の反撃です!!」
にこ「……」