ホワイトクリスマスも終わりを告げて、そろそろ興が冷めるであろう頃。
月明かりと少ない街灯の淡い光に照らされ、彼女は俯いていた。
金色の髪で隠れて顔は見えないが、悲しみ、怒り、苦しみ、絶望、ありとあらゆる負の感情をコート越しの俺の肌に直接ひしひしと伝わせるかのような雰囲気を漂わせていた。
何となく気のせいかもしれないが、冬の気温以外にもほかの寒さを感じているような気がした。
そんな彼女を前に雪が薄く積もった所に俺がただ突っ立っているこの状況が体感時間的に10分ぐらいが経とうとしている頃、彼女は唐突にその口を開いた。
「他の皆はもう、知っているの?」
今にも何処か消えていってしまいそうな声で俺のそう問いかけた。
「他の4人も...もう知ってる」
「っ...」
俺の返答を聞いて、彼女はその小さな両手にギュッと力を込める。その行動にどんな意味を含んでいるのか想像するに難くなかった。
情けない話、正直怖くてしょうがない、全て投げ捨て逃げたくてたまらない。だがそれと同時に今彼女に真正面から向き合おうという、どうしようもないほどの屑なりの責任の取り方もあった。言ってしまえばもう何もかもほぼ手遅れだが。
彼女は震えた声で涙を流しながらただ淡々と言葉を続けた。
「私はあなたの特別になりたかった」
怖い
「あぁ」
「でもそれは他のみんなも思ってることで」
逃げたい
「あぁ」
「周りを蹴落としてでも貴方の特別になりたくて」
全て投げ捨てたい
「あぁ」
何故俺が責任を持たなきゃいけないんだ
「だから私達は貴方のことを奪い合った」
俺は何も悪くないだろ!
「...あぁ」
「結果的に誰か一人が選ばれるはずだった」
ふざけるな!
「そうだな...」
「でも貴方は選びきれなかった」
.....
「っ...あぁ」
「貴方は全てを得ようとして全てを失った」
もう、やめてくれよ...
「その通りだな...」
「貴方はこの責任を取れるの...?」
「っっっ!!」
その言葉を告げられた瞬間心臓が口から飛び出るかと思った。
鼓動が速くなって収まらない、目眩がして息が荒くなっている、足が震えている。
結局目の前にある現実からは逃げられない。自分が屑とわかっていながらも自分を守ろうとしてしまう。それが人間の性だとかそんなことは言い訳になんてなるはずがない。全ては自分に責任があるというのに。最も辛いのは彼女たちの方だと、そんなこと、とうに分かっているはずなのに。
全て責任がおしかかる中、こんな時に俺はこの状況を生んだ全ての起点となった所からの話を思い出していた。
とりあえずはここまでにします。
次回から回想に入ります。