「……」
あれから数日……それからは何事もなく、普通の一日を南澤は過ごしていた。
それに彼は高校生だ。数日間もそうだが、ちゃんといつも通っている。彼の高校は 穂群原学園だ。
「……」
制服を着ていながらも、その寡黙でどこか危険な雰囲気だけは、あまり消えそうにない。
元々がそうだったからだ。あまり喋るタイプの人間では無かったし、それに力がなまじ強かった。それが災いとなったのだ。
結果、彼は集団によるイジメを受けた。酷いものだった。世の中のイジメに、更に悪意を入れ込んだようなイジメだったからだ。
だが、助けてくれた人物がいたのだ。その人物もまた、同じ学校にいる。
――――
「……おはよう」
「お、南澤! おはよう!」
学校、彼の行く教室、2年C組、そこには親友がいた。その名は……
「衛宮……」
衛宮士郎。弓道部で、南澤の親友。そして、彼の恩人でもある青年だ。そして、彼を助けた男でもある。
「朝練、あるんじゃないか?」
「いや、今日は無かったんだよ」
ごく普通の会話。南澤にとって、唯一心を開くことが出来る空間。どんな時よりも、なによりも自分がちゃんとした人間であると、感じることが出来る時間。
「衛宮……」
「ん? 何だ?」
「藤村先生に、急に変なことを言われたんだ……正直気にしている」
「……なんて言われたんだ?」
「……それは」
『あなたはM○テに出れるようないい顔してるんだから! もっと騒いで騒ぎまくればモテモテになるわよ! 間違いない!』
「……そんなM○テ顔なのか?」
「い、いや……ま、まあいいじゃないか! 有名人と似てるってことじゃん!」
「腑に落ちん……」
他愛のない会話だが、南澤にとっては唯一の時間だった。衛宮だけでなくとも、誰かと話をするのも、彼にとっては楽しみの一つなのだ。
「もうそろそろチャイムが鳴る……またあとでな」
「ああ!」
楽しい学校生活は、ちゃんと過ごせている。
――――
「……」
帰り道、人通りの多い道を抜け、住宅街に出る。やがて段々と人気も少なくなり、歩きやすくなる。
(楽しいな……学校は)
そんなことを考えながら、歩いていく。自然と笑顔になってくる。
そうして、空を見上げた。
「……綺麗だな」
夕時の空が余りにも綺麗に見えた。自分の嫌いな時代の空なのに、と疑問を感じていた。
(だが……違う。こうじゃないんだ)
「……!!」
前と同じ感覚……<怪物>が現れたのだろう。妙な気持ち悪さがした。
「行かねば……!」
住宅街を走り抜けていく。怪物を殺すために。
もうすぐ聖杯戦争です!