戦姫絶唱シンフォギア~希望の歌姫と欲望の王~   作:大同爽

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戦姫絶唱シンフォギア~希望の歌姫と欲望の王~、前回までの3つの出来事

1つ!自身を狙ってノイズが出現したことでたくさんの人に被害が出ることを危惧し悲痛なまま逃げる雪音クリス。彼女を助け改めて自分の正体を明かした火野映治は再び手を伸ばす。信用ではなく利用するという形でクリスは一応はそんな彼の手を取るのだった。

2つ!近くで聞こえた悲鳴の元に駆け付けた映治はノイズに襲われる小日向未来と立花響を発見。オーズの力で撃退するも、未来に自身の正体を言い当てられ、映治は何も言わずにその場を去って行くのだった。

そして3つ!ついに判明した襲撃事件時に紛失した赤いコアメダルの所在。しかし、喜びもつかの間、フィーネの元からそれを持ち去ったはずのクリスは、逃走途中にそれを落としてしまったと告げるのだった。



Count the Medals!
現在、オーズの使えるメダルは――





017~報告とファンクラブと作戦会議~

 

「――ということで、仲直りしました」

 

「ご心配おかけしました」

 

 響と未来はそう言って目の前の友人三人に頭を下げた。

 

「まったく、ホントよ!」

 

「一時はどうなるかと思ったよね」

 

「仲直りできてよかったですわ」

 

 二人の前に立っていた三人――板場弓美、安藤創世、寺島詩織は二人の言葉に嬉しそうに笑う。

 

「クラスでも結構話題になってたわよ、あの仲のいい二人がってね」

 

「そ、そうなの!?」

 

 弓美の言葉に響が驚きの声を上げる。

 

「お二人が仲がいいのはクラス中が知ってましたから。余計にみんな不思議がってましたわ、いったい二人に何があったんだろうって」

 

「あぁ~それは……」

 

「何というか……ちょっとした行き違い…かな?」

 

 詩織の言葉に二人は言い淀みながら答える。

 

「なぁ~んだ、てっきり噂されてる三角関係からの痴情のもつれあたりが一番有力かなぁ~って思ってたんだけど」

 

「三角関係!?」

 

「痴情のもつれ!?」

 

 弓美の言葉に二人が素っ頓狂な声を上げる。

 

「い、いったいどこからそんな話が!?」

 

「ほら、二人って火野さんとときどき仲良く話してるでしょ?」

 

「だから二人のどちらか、あるいは二人ともが火野さんを好きになって、それでもめていたんじゃないか、と」

 

「ち、違うよ!映治さんとは別にそんなんじゃないから!」

 

「まあそうだよね。ヒナならともかくビッキーが恋愛でもめるなんてないよね~」

 

「う、うん?なんで私は除外されちゃったの?」

 

「だってあんた『花より団子』じゃない」

 

「うっ……それは…まあ……」

 

 弓美の指摘に響は図星をつかれ顔を顰める。

 

「でも、三人も映治さんと面識あったんだね」

 

 と、そんな響に苦笑いを浮かべながら未来が訊く。

 

「面識って言うか、こっちが一方的に知ってるだけだけどね」

 

「と言うか、あんたたちもしかして知らないの?」

 

「「???」」

 

 創世と弓美の言葉に二人は首を傾げる。

 

「火野さん、結構人気あるのよ」

 

「実は非公式にこっそりファンクラブまであるくらいで、噂ではそのファンクラブ、先生たちの中にも会員になってる人もいるって話ですよ」

 

「そうなの!?」

 

「ファンクラブ!?」

 

 弓美と詩織の言葉に二人は驚きの声を上げる。

 

「ほら、火野さんって結構イケメンでしょ?うち女子高だから出会い少ないし、そんな中ですぐ近くに年の近いイケメンがいるとなれば人気出るってもんよ」

 

「それに火野さんって優しいし。困ってたらいろいろ手伝ってくれたりって話よく聞くよ」

 

「部活動の荷物や準備を手伝っていただいた、とか、自転車登校してて自転車のチェーンが外れて困っていたら直していただいた、とか、うちのクラスでも何人かお世話になった方がいるらしいですわよ」

 

「そ、そうだったんだ……」

 

「なんだか人のいい映治さんなら納得かも」

 

「まあ話だけ聞いてればどっかの誰かさんみたいな趣味が人助けって感じの人よね」

 

 三人の言葉に納得して頷く響と未来に弓美は肩を竦めながら言う。

 

「それに、火野さんっていろいろ謎なんだよね」

 

「「謎?」」

 

 創世の言葉に二人は首を傾げる。

 

「ほら、火野さんって結構若いのに女子高の用務員のバイトしてるっておかしくない?しかも、ちょくちょく長期間不在になるらしいし」

 

「噂じゃあの〝日本三大何やってるかわからない大企業〟の一つの『鴻上ファウンデーション』に出入りしてるところを見たって人もいるし」

 

「いろいろ謎が多い方ですよね。そう言うミステリアスなところも人気の秘訣かもしれませんね」

 

「「…………」」

 

 創世たち三人の言葉に二人は顔を見合わせる。

 

「まあ話はそれたけど、とにかくあんたらが仲直りしてホントよかったわ」

 

「ですね」

 

「やっぱり二人は仲いい方がしっくりくるね」

 

 そんな二人の様子に特に気にせず弓美たち三人は言う。

 

「どう?仲直りを祝ってこれからふらわーでもいかない?」

 

「あぁ~、行きたいのはやまやまなんだけど……」

 

「実はこの後響と一緒に用があって……」

 

「そうですか、それは残念」

 

「じゃあまたの機会ってことにしよっか」

 

「うん、ごめんね」

 

 響の言葉にいいよいいよ、と創世たちは頷き、その後二言三言話してから帰って行った。

 

「ねぇ……さっきの話、映治さんが『鴻上ファウンデーション』に出入りしてたって話……」

 

「うん」

 

 未来の言葉に響が頷く。

 

「この間未来が話してくれた通り、もし映治さんの家にいた金髪の女の人――」

 

「うん、あの時映治さんとクリスは『アンク』って呼んでた。最初雰囲気が違ったからわからなかったけど、後から翼さんも戦ってるって聞いて腑に落ちたの。あのアンクって人、天羽奏さんそっくりだった」

 

「もしその話が本当なら、映治さんは……オーズさんかもしれない」

 

「うん。その証拠に、クリスは映治さんに『まさか、あんたが、オーズ……!?』って……」

 

「…………」

 

 未来の言葉に響は押し黙る。

 

「……どうするの、響?」

 

「正直、オーズさんにはたくさん助けてもらった。でも、弦十郎さんたちに報告したら、映治さんの事は翼さんにも伝わると思う。翼さんはオーズさんのことをよく思ってないから、それを知ったらどうなるか……」

 

 ムムムッと眉をへの字にして考え込む響。

 

「とりあえず、それ込みで報告したらいいんじゃないかな?響の気持ちを伝えたら弦十郎さんもわかってくれるかも」

 

「うん、そうしてみる……」

 

 未来の言葉に響は小さく頷くのだった。

 

 

 ○

 

 

 

「散々探し回って手掛かりの一つも見つからなかった」

 

 リビングの食卓に座り不機嫌な感情を顔いっぱいに満たしたアンクは吐き捨てるように言った。

 

「もう誰かが拾った後だったってことか」

 

「まあもう既に1日以上経ってるしな」

 

 同じく食卓に着く映治とクリスは話を聞きながら頷いた。

 

「一般人が拾った可能性もなくはないが、それよりも考えられるのは――」

 

「やっぱあの〝フィーネ〟ってやつが」

 

「それにカザリもな」

 

映治の言葉に付け足してクリスが言う。

 

「くそっ!やっと俺のメダルが戻ってくると思ったのに!またふりだしかよ!」

 

 アンクは苛立たし気に机を叩く。

 

「これはもう大元を叩くしかねぇな」

 

「大元?」

 

「殴り込みかけるって言ってんだ」

 

 首を傾げる映治にアンクは答える。

 

「どっちにしろあの女もあの女とつるんでるカザリもいい加減目障りだ。メダルを取り返すついでに潰しちまおう。あいつらがいなくなればこのチビガキ庇う必要もねぇしな」

 

「誰がチビガキだ、鳥野郎」

 

 自信を指さしながら言うアンクの言葉にクリスはムッとしながら返す。

 

「あぁ?なんか文句あんのかチビガキ?」

 

「だからチビガキじゃねぇって言ってんだろ?物覚え悪ぃな鳥頭」

 

「あぁん?」

 

「あぁん?」

 

 立ち上がりお互い近距離で睨み合うアンクとクリス。

 

「はいはい、二人ともそこまで」

 

 そんな二人の間に映治が割り込む。

 

「まあとりあえず、あいつらのところに乗り込むのは俺も賛成だ。上手くいけばクリスちゃんも逃げ隠れせずに済む」

 

 言いながら映治はクリスを見る。

 

「俺とアンクであいつらはなんとかする。だからクリスちゃんは安心して待っていてほしい」

 

「あぁん?何言ってんだ?そのドチビガキも行くんだよ」

 

「「はぁ!?」」

 

 映治は微笑みかけながらクリスに言う。が、それに対して言ったアンクの言葉に二人は揃って声を上げる。

 

「当り前だろ。メダルを持ってったのもあいつに渡したのも、あいつらともめてあいつらのところから追われてるのも全部もとはと言えばお前のせいだろ。お前の問題でもあんだから協力しろ」

 

「それは…まあそうだけど……」

 

「働かざるもの食うべからずってやつだ。お前を匿うのもタダじゃねぇ。お前を匿ってやってる分くらい働きやがれ」

 

「アンク!そんな言い方!」

 

「……わかったよ」

 

 アンクをたしなめる映治をよそにクリスは少し考えた後に頷く。

 

「その殴り込み、私も行く」

 

「いいの、クリスちゃん?」

 

「ああ、これはあたしの問題でもある。あたしもあたしの手で決着を付けたい」

 

「……そっか」

 

 クリスの決意に固まった表情に映治も頷く。

 

「決まりだな」

 

 そんな二人にアンクはニヤリと笑いながら頷く。

 

「決行は明日の午前10時。それまでにカンドロイドを飛ばして奴らの所在を明らかにしておく。乗り込んで誰もいませんでした、じゃ意味ねぇからな」

 

 言いながらアンクは立ち上がる。

 

「精々ゆっくり休んで英気を養え。明日は働いてもらうからなぁ」

 

「お前はどうするんだ?」

 

「カンドロイド飛ばしたら風呂入ってアイス食って寝る。お前らもしっかり休んでおけよ。明日寝不足で十分に戦えません、じゃ困るからなぁ」

 

 そう言ってアンクはリビングを後にした。

 

「…………」

 

 出て行ったアンクを見送ったクリスはどこか物憂げな様子でぼんやりとしている。

 

「……やっぱりまだあのフィーネって人のこと気持ちの整理つかない?」

 

「……別に。そんなんじゃねぇよ」

 

 映治の問いにクリスはぶっきらぼうに答える。

 

「本当に?無理しないでね。何か気にかかることがあるなら、俺で力になれることがあるならいくらでも――」

 

「あぁもう!ウザい!なんでもねぇよ!ガキ扱いすんな!」

 

 クリスは鬱陶しそうに叫び立ち上がる。

 

「あたしも寝る!」

 

 そう言ってクリスは苛立たし気にズンズン歩いて行く。

 

「クリスちゃん!」

 

「なんだよ!?」

 

 自身を呼び止める映治の声に苛立たし気にクリスは振り返る。

 

「おやすみ。明日は大変な戦いになると思うけど、頑張ろうね」

 

「…………」

 

 映治の言葉にクリスは数秒黙り。

 

「おやすみ……」

 

 ぶっきらぼうに返し、今度こそリビングから出て行くのだった。

 

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