今回から「シンフォギアG」の内容に入って行きます!
これまでの「戦姫絶唱シンフォギア~希望の歌姫と欲望の王~」
欲望から作られた未知なる力『コアメダル』。800年の眠りから覚めた『コアメダル』を核とする『グリード』と戦うため『コアメダル』で戦う『オーズ』の力を手にいれた火野映治は、不完全な復活を遂げたアンクと共に日夜『グリード』『ヤミー』そして特異災害『ノイズ』と戦っていた。
そんな中、同じく『ノイズ』と戦う戦力『シンフォギア』を纏う風鳴翼、立花響と共に謎の『ノイズ』操る人物、雪音クリスとフィーネ、さらに彼女たちと通じる『グリード』のカザリ達と敵対することとなった映治たち。
途中仲間割れによって切り捨てられてしまったクリスを保護しながら協力しフィーネの脅威と計画を撃破した映治たち。
これからのメダル集めの為に映治とアンクは日本政府所属組織、『特異災害対策機動部二課』と協力関係を結ぶのだった。
Count the Medals!
現在、オーズの使えるメダルは――
030~英雄と宣戦布告ともう一振りの槍~
櫻井了子――フィーネによる月破壊計画の失敗、通称「ルナアタック」から3か月が経った。
それまでの間に日本政府はシンフォギアシステムについての情報を開示し、世界に広く公表することでノイズへの対策を講じるための手段としていた。
その一つの策として、アメリカの研究機関との共同でノイズを操り力を持つ聖遺物「ソロモンの杖」の解析を行うことを決定。
しかし、「ソロモンの杖」を日本政府の施設から研究施設への輸送中ノイズの襲撃に遭う。護衛任務として同行していた立花響と雪音クリスによってノイズを退けることに成功したものの、その襲撃には何者かの作為が見え隠れしていた。
そして、現在――
「これで、搬送任務は完了となります。ご苦労様でした」
輸送後の手続きを終え、一抹の不安は残るものの響たちは無事に輸送を完了したことに安堵するのだった。
「確かめさせていただきましたよ」
そんな二人に「ソロモンの杖」と共に護衛され輸送に同行していた生化学者、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス――ウェルがにこやかに歩み寄る。
「皆さんが『ルナアタックの英雄』と呼ばれることが伊達ではないということがね」
「英雄ッ!?私達がッ!?」
そんなウェルの言葉に響が顔をほころばせる。
「いやぁ~普段誰も褒めてくれないのでもっと遠慮なく褒めてくださ~い!むしろ~褒めちぎってくださ――あいたぁッ!?」
そんな調子に乗り始めた響の頭にクリスがチョップを入れる。
「このバカッ!そう言うところが褒められないんだよッ!」
「痛いよぉ~クリスちゃ~ん……」
クリスの言葉と物理的なチョップの痛みに響がシュンとしながら抗議の言葉を呟く。
そんな二人を見ながらウェルは微笑みを絶やさず口を開く。
「世界がこんな状況だからこそ、僕達は『英雄』を求めている!そう!誰からも信奉される、『偉大なる英雄』の姿を!!」
「アハハハ~、それほどでも~」
どこか狂信的なウェルの表情にクリスと同じく同行していた友里あおいは一瞬違和感を覚えたものの、その言葉を額面通りに受け取った響は再び誇らしげに笑う。
「そうそう、英雄と言えば、あなた方と共に『ルナアタック』を戦った『オーズ』は今どこに?てっきり今回の輸送にも来られるとばかりい持っていたのですが……」
「あぁ~…あの人は……」
ウェルの言葉に響は急に言い淀み苦笑いを浮かべたままチラリと隣のクリスに視線を向ける。
クリスはウェルの口から「オーズ」の名が出た途端目に見えて不機嫌そうに顔を顰め
「あのお人好しバカなら別任務で不在だよッ」
少し語調を荒げて言う。
「そうですか……シンフォギアシステムとは違うノイズへの対抗戦力、研究者としても一個人としても非常に興味があったのですが……」
ウェルは少し残念そうに呟きながら頷き
「オーズ氏にはまたいつか会えるのを楽しみにしておきましょう」
にっこりと微笑みながら響たちを見る。
「皆さんが守ってくれたものは、僕が責任を持って役立ててみせますよ」
「はい!不束な『ソロモンの杖』ですが、よろしくお願いします!」
「くれぐれも、頼んだからな」
響とクリスはウェルの言葉にそれぞれ頷いた。
こうして任務は無事終了となり、二人は友里ともに施設の前まで出る。
「ねぇ~、クリスちゃん、まだ映治さんのこと怒ってるの?」
「怒ってねぇよッ」
響の問いにクリスは言うがその語調は荒く不機嫌な様子がにじみ出ていた。
「しょうがないよ、映治さんもきっと忙しいんだよ」
「だから!あたしは怒ってねぇって言ってるだろうが!」
「「…………」」
クリスの不機嫌そうな言葉に響は苦笑いを浮かべ、友里は首を傾げこっそりと響に問いかける。
「クリスちゃん、いったい何をあんなに不機嫌になってるの?」
「それがですね、映治さん一週間前から海外のメダル関連の遺跡調査に出掛けてるじゃないですか?」
「あぁ、鴻上ファウンデーションからの依頼の……」
「はい。それに行ったっきり映治さんが何の連絡もくれないって怒ってるんですよ」
「だから違うって言ってんだろ!!」
コソコソと話す響と友里の会話が聞こえていたクリスが叫ぶ。
「ごめんなさいね、今回の火野さんの任務は鴻上ファウンデーションが主体なせいでうちも詳細が把握しきれてなくて。一応定期連絡はくれてるから安否確認はできてるんだけど……」
「ほ、ほら…映治さんなら何も心配ないって!きっとすぐ帰ってくるから……」
「わぁってるよそんなこと!あたしは何にも心配なんてしてねぇ!」
友里の言葉に頷きながら言う響だったが、そんな響をギロリと睨む。
「あたしはただ、同じマンションの、しかも隣の部屋になったからってやれ、ちゃんと飯食ってるかぁ?とか、学校はどうだぁ?とかウザったいほど付き纏って世話焼いてきやがったくせに、いざこうして任務に出たら連絡一つ寄越さねぇ薄情さが許せねぇってだけだ!」
「「…………」」
クリスの言葉に響と友里は「つまりそれを怒ってるってことなんじゃ……」と思ったが言えば余計に不機嫌になりそうだったのでその言葉を飲み込み苦笑いを浮かべる。
「それよりも!無事に任務も終わったし、この時間なら間に合うだろ!」
「うん!よかったね、翼さんのステージ見られそう!」
この話題から逃れるためか話題を変えたクリスに、響も嬉しそうに頷く。
「頑張った二人の為に司令が東京までヘリを出してくれるみたいよ」
「マジっすか!?」
友里の言葉に響が目を輝かせ――直後
――ドガァン!!
三人の背後の施設で大爆発と共に巨大ノイズが姿を見せる。
「ま、マジっすかぁッ!?」
「マジだな!!」
唖然とする響に応えながらクリスが駆け出す。響も一瞬遅れてそれを追いかけて駆けだした。
〇
研究施設に突如現れた大量のノイズは施設に常駐していた軍隊と響とクリスの活躍により倒しきることに成功した。
しかし、その騒動の最中、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクスの消息不明、さらに加えて輸送された「ソロモンの杖」が何者かによって強奪されてしまった。
――そして、その数時間後
アメリカからやって来た世界的歌姫、マリア・カデンツァヴナ・イヴとの合同ライブ中だった翼の前に、ノイズが出現した。
阿鼻叫喚の混乱状態に陥りかけたライブ会場に
「狼狽えるなッ!!」
凛とした声が響き渡る。
声の主はほんの数分前まで翼とともに歌い会場を盛り上げていたはずの女性――マリア・カデンツァヴナ・イヴだった。
マリアは手に持ったマイクを構え観客に、そして、中継されている全世界に向けて言い放つ。
「私達は、ノイズを操る力をもってしてこの星の全ての国家に対して要求する!!」
高らかな口上に翼は唖然とする。
「世界を敵に回しての口上!?これはまるで、宣戦布告!?」
驚愕する翼、そして、観客、中継を見るすべての人々の前で不敵な笑みを浮かべたマリアは
「そして――」
マイクを頭上へと放る。
「――Granzizel bilfen gungnir zizzl」
紡がれた詩と共にマリアの身体が光に包まれる。
そして、その身を漆黒の鎧が包む。その鎧は翼のよく知るモノ――『ガングニール』だった。
「黒い…ガングニールだと……?」
そのあまりにも予想外な姿に翼は驚愕に震えながら呟く。
そんな翼の様子に一瞥をくれ、響や奏のモノには無かった漆黒のマントをたなびかせながら落ちてきたマイクを華麗に掴んだマリアは再び観客や全世界の人間に向けて再び口を開く。
「私は――私達は『フィーネ』!!そう、終わりの名を持つものだ!!」
高々に宣言される口上、そこに登場する名は翼にも、そして、会場に向かいながら中継を見る響たちにも、同じく中継を見る弦十郎たちにも聞き覚えのある名だった。
「我ら武装組織『フィーネ』は、各国政府に対して要求する。――そうだな…差し当たっては、一両日中の国土の割譲を求めようか」
「馬鹿なッ!?」
「もしも24時間以内にこちらの要求が果たされない場合は、各国の首都機能がノイズによって不全となるだろう」
その場にいる翼も、中継を見る各国の首脳陣もその言葉の意味を測りかね困惑する。
「どこまでが本気なのか……?」
「私が王道を敷き、私達が住まうための楽土だ。素晴らしいとは思わないか?」
翼の問いにマリアは本気とも冗談とも思える不敵な笑みを浮かべながら言ったのだった。
〇
そんな中継をとある個人所有のジェット機――個人所有とはいってもその性能はおおよそ通常のジェット機をはるかに凌駕するものだった――の中で見ていたそのアンクは笑う。
「ハッ!アイドル大統領の誕生ってわけか!」
「おい、笑ってる場合かよ!急がないとこうして中継されてちゃ翼ちゃんは戦えない!響ちゃんやクリスちゃんもまだ現場に着いてないみたいだし俺達も早く向かわないと――」
「慌てんじゃねぇよ馬鹿が!」
笑う人物を窘め慌てた様子で言う映治にアンクは睨みながら言う。
「ここで慌てたところでジェット機の速さが変わるわけじゃねぇ!黙って座ってろ!」
「それはそうだけど……」
なおも食い下がる映治。しかし、アンクは憮然と言う。
「いいから黙って見てろ、今のお前にはどうしたってそれしかできねぇんだからな」
「くぅッ……」
アンクの言葉に映治は悔し気に歯噛みする。
「でも、本当にどういうことなんだろう?『フィーネ』の名前を冠した武装集団に国土割譲を要求する歌姫マリア。本当に自分たちの国を作ることが目的だと思うか?」
「さぁな?一両日中の国土割譲なんて到底不可能だ。そんなもん誰の目から見ても明らかだ。つまり、できれば御の字で本当の目的は別にあるのかもなぁ。最初に実現不可能な条件を提示して、その後にそれよりも実現可能な本来の要求を提示するってことも考えられる」
「だとしたら彼女たちの本当の目的っていったい……?それに何よりあの黒いガングニール…奏ちゃんのガングニールは二年前のあの日の負荷でもう起動もできないくらいの損傷レベルだったし、響ちゃんのは心臓近くの彼女の体内に破片としてあるものだから、それが奪われたわけでもないだろうし……」
「…………」
映治の問いにアンクは答えない。情報が少なすぎて答えられないともいえるだろう。
映治の言う通りアンクが二年前に奏の身体に取り憑いた時、彼女が持っていたガングニールはその前の戦闘による負荷で完全に破損していた。二課の所属になった時点でそれは弦十郎たちに渡したが、その破損レベルは恐らく仮に櫻井了子が健在だったとしても使用することはできなかっただろうとのことだった。
得体の知れない謎の武装組織に、もう一振りのガングニール、二人は押し黙り中継画面を注目するしかない。そんな中で、状況が動く。
『会場のオーディエンス諸君を解放する!ノイズに手出しはさせない!速やかにお引き取り願おうか!』
「なッ!?」
「どういうことだよ!?人質がいなくなったら優位性が無くなるんじゃ!?」
「知るかッ!こいつらに訊け!」
驚く映治の言葉にアンクも困惑した様子で叫ぶ。
「どういうことだ……本当に何が目的なんだこいつらは……?」
『フィーネ』の謎の行動にアンクはその意図を図りかねていたのだった。
久しぶりの投稿になるので次回もそれほど期間をあけずに投稿する予定ですのでお楽しみに!