「はーい、まっちゃん傭兵事務所でーす…………え、名前? ごちゃごちゃ言わないでくださいよ、仕事はちゃんとしますので。大体イマドキこんなつまんないフリーランスの人形に仕事寄越す時点でまっちゃん傭兵事務所より貴方がたの方が何万倍も胡散臭いじゃないですか?」
「――――――あー苦情は受け付けてませーん。それで要件は? うんうん、今襲撃を受けている? S06地区? で、行けばどれだけ貰えます?――――――はいはい、わたし速達便で来るようなタチなので事務所の住所とか電話番号とかとの距離についてはお構いなく。ってかこの情報全部ダミーなんですよ、よく恨みを買うもので」
「――――――え、マジ? 相場の3倍? 流石G&K、わたし前から好きだったんですよ~! ああいやわたしってお金をくれたら誰でも好きなんですよ、ご要望なら股でも国交でも開いちゃいますよあははは、嘘ですけど。股はともかく今の国交を動かす自信はございませんので」
「まあともかく。今から向かいます、良い戦争にしましょう。やはり殺すなら気持ちよく殺さないとつまらないでしょう?」
「ふぅ~、お疲れさまでした。非常に良い戦運びにまっちゃんもニッコリですよ」
「いやそれは良いけどアンタ誰?」
あのおっさん契約とか話してないの? 俺は良いけどこの兄さん可哀想だな…………。
しかしやってきた戦地の指揮官は随分と若いし、恐ろしいことにジャップ顔。ああいや俺も中身はジャップなんだがしかし良い顔してる、抱かれても構わんな正直。
どうやら俺が呼ばれたのはM4の逃走劇の一環、正確には第一戦役だな。予定調和の一大抗争のど真ん中、これは沢山殺せちゃうやつなんですね? 既に硝煙臭いし結構殺せたし良い感じだった、報酬も弾むとなればそりゃもうね。
そろそろ困惑してるお兄さんに説明を入れる。
「遅れましたね、わたしは――――――まあ「まっちゃん」とお呼びください。名もない傭兵なので」
「人形で傭兵って珍しいな…………あー俺も紹介しようか? 傭兵だし興味ない?」
「顔がいい男性は好きなのでお願いします」
そんなドン引きすんなって、TS楽しんでるだけじゃん。
まあお兄さんが俺の名前を判別しかねるのは分かる。兄さんはパット見銃とかはたいそう詳しくないし、俺の両手のXM26 MASSとかSR2Mなんて絶対分かるわけない、キモいもんなこれ。
というかゲテモノ過ぎてどこを名前にするのかさっぱりだと思う。
「ともかく俺はオノ・ヤヒト、見ての通り戦術はミソカスだから暇なら教えてくれ」
「…………へー。ヤヒト君、ね」
――――オノ・ヤヒトねえ、昔ドルフロの二次創作に居たわそんな奴。足だけが取り柄のお兄さんだったか、意外と顔良いじゃん。
っていうと代理人とか殺した経験がお有りなのだろうか、俺より余裕で強い説があるんだけど。
とかそんな話を振って転生者どうしの慰め合いをする気も起きず、ちゃちゃっと状況報告に戻る。中身男ってバレたら言い寄る時に困る。
「ところでヤヒト君、まっちゃんからご報告申し上げるけど今回の護送、一体足りてないみたいなんだよね。いや一匹かな? サソリだし?」
「は? そうなの、ヘリアンから聞いてないなそれは」
まあ言わないだろうねえ、出てない情報なんだから。
このお兄さんがあまりに怪しいからイングラムをとっ捕まえる時点で割と慎重に盗聴には努めてた、なにせもう俺の知ってるメインストーリーの指揮官像には程遠い。これなら下手をすれば敵が実はウロボロスでした―なんて有り得るよな、オノ・ヤヒトが居る以上は。
今回はちゃんとスケアクロウらしい、安心だ。
「まあ後日話は出るはずだけど身構えておいて。後一応ヘリアントスにもご報告を」
情報は速くて損がない。
――――そう言えば、あの作品群の主人公がいるってことは必然的に…………。
言った側からテントの中にカツカツとちっちゃい帽子が俺に迫ってくる。豊かな銀髪、大仰なコート――――やはりレイブンか。
全然違うけどな、うん。
「ちょっと貴方! いきなり出てくるなり指揮官さんと距離が近いのではなくて!?」
「あー耳が痛いなー、Karちゃんこわーい。ヤヒト君助けてー」
「抱きついてこないでもらえますかね、俺が殺されるので」
知ってる、後で揉めてるの見たいだけだから。
がっつり右腕をホールドするとKarの顔があっと言う間に桜餅みたいに真っ赤になっていく、面白いなあこういう子。
ヤヒトの方も割と恥ずかしがっているが、まあそりゃこっちもAPPは18ある感じなので残当。男を誑かすのは楽しいぞぉ!
何かTSして人形になってから完璧に何かが外れたらしくて、男と(もしくは「で」か)遊ぶのを超エンジョイできる神経を経てしまった。何度朝チュンから本妻と事故った事か…………バレないようにするか清純に生きていくかはトレードオフの必須マナーと言うものですよ。
「そんなつれないこと言わないでくださいよ~、わたしとヤヒト君の仲でしょ?」
「メチャクチャ適当なこと言うなこの人!? 誤解だカラビーナ、俺は何にもしてねえよ!?」
「え…………?」
その後涙ながら笑ってどっかに行ってしまったので流石に慰めた。
まっちゃん、何も話が進んでいない2100文字で狂ってるのが分かるの凄くないですか。
TSして男を誑かすのって全世界の男性がやりたいムーブ第一位だと思うし、時には快楽に溺れちゃってもいいと思いますね。何の話だ?
次回から出来るだけ戦わせたいとか思ってはいるんですが多分間違いなく恐らく確定的にまっちゃんがフラフラしてる話が続きます。話が遅いんだよ君ねえ!