外道傭兵はバッドエンドの夢を見るか   作:杜甫kuresu

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暴力!速攻!勝利!以外のまともな戦闘を初めて書くのでビクつく定期。


二面性

『おい馬鹿、突っ込むな! そっちには15体反応があるぞ!』

「はーい。でも()()()()1()5()()()()? ホントに」

 

 そんな事を言いながら彼女は扉を僅かに開けたかと思うと、滑り込ませたM4で壁越しの手前奥に盲撃ちをする。小さい悲鳴とともに銃弾の食い込む不快音。

 まるで話を聞かない発砲音に通信機越しの指揮官が怒鳴る。

 

『話聞いてんのかアンタ!? 素直に下がれって言ってるんだよ、孤立気味だしな!』

「15体でしょ? まあ見ててよ、全員殺せばわたしは死なないんだから」

 

 そう言いながら無人の扉に滑り込む、横には粗い弾痕の残る壁と死体が在った。

 

「アルー? 数分かる? 絶対来てるはずだけど」

『正確性には欠けるけどその側の通路に5体ほど、やれば?』

 

――言われなくてもな。

 走ってきた足音に無言でヒビ割れた壁越しにM26を構える。

 

 閉まっていない扉を軽く蹴ると扉に向かって発砲音、それに続いて少しばかり角度を調整したM26が喇叭を鳴らす。

 砕けた壁から血を吹流してよろける鉄血の姿、見計らったように左手のSR2Mを開いた穴に捩じ込みスタッカートのようにトリガーを引く。

 

『まだ来るよ、気は抜かないで』

 

 続く足は数人とは行かない、残弾を思い起こしながら算段を練り上げる。

 

「おバカ、わたしが誰か分かってる?」

『社交辞令さ、多少は洒落も解してもらえないと』

 

――アルの冗談は割と面白くないんだよな、ホント。

 跳ね返ってきた扉が戻るのに合わせて小脇に挟んだM26の槓桿を引くと、そのままスモークグレネードを投げつける。またたく間に扉の下の方を滑っていった。

 

 手が通るほどの扉に開けられた穴から再びSR2Mがやかましく吠える。滑り込みながら振り上げられた銃は酷く暴れていて、鉄血でもその弾丸の軌跡から位置が追いきれない。

 煙だらけの通路をニヤけづらの女が走り抜ける。

 

「だらしないなあ、わたしは此処だよ悪役諸君!」

 

 煙の中をまるで見えているようにM4とSR2Mが獲物の眉間に吸い寄せられていく。

 

 まず脳天を至近距離で一体。

 

 回し蹴りで頭を抱き込むように膝裏に巻き込み、鳩尾を踏みつけながら一体。

 

 断末魔に怯えた一体の胸ぐらを引きずり回して壁に叩きつける。

 

「君、何してるんだい」

「ひっ!」

「啼くならもっとデカイ声で!下品に!みっともなく啼き喚いてくれないか!? 銃を落とす訳でもなければわたしを撃つことも出来ない、中途半端に程度というものは有るぞこの塵屑!」

 

 返答はない。生理現象のようにガタガタと振動するのが分かるなり、凍りつくような死んだ表情が鉄血の目と鼻の先まで寄せられる。

 

「良いかい? 君はみっともなく膝からゆっくりと撃ち殺してやる、わたしの機嫌を損ねたからだ。全く、これが人間を模倣した機械のやることかな、何もかもが中途半端」

「中途半端な君は少しずつ血とプライドを垂れ流しながら仲間を呼ぶサイレンの役でもしてる方が有意義だ、最後まで仲間の足を引っ張って死んでいけよロクデナシ。わたしにその無駄な肉の塊をしっかり有効活用してもらえることに失禁しながら感謝することだね」

 

 そう言いながらSR2Mが足元からじっくりと鉄血を痛めつけるように軌跡を走らせはじめた。断末魔は暫くビル内を駆け巡り、確かに敵を誘き出すことに成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あーつまんなかった。ヤヒト君、あっちの鉄血練度が低すぎるよ」

「マジで全滅させて帰ってきやがったよこの変態人形」

 

 アイツラ戦意喪失も出来なきゃ俺にマトモに対処も出来やしない、何が軍用人形だ。あれのどこが木偶の坊と違うのか開発者に問いただしたい。コストだけが高い役立たずじゃないか。

 

 ヤヒトは辟易とした顔で交戦のログを漁る。アルはもう慣れてるというか、というよりこうじゃないと俺の不調を疑うくらい。

 アルが少し重そうな足取りで鉄の塊を運んでくる、支度をしているWA2000が目を少しだけ光らせて立ち上がった。

 

「はい、癒やしのギンカ」

「あ~ありがと~」

 

 俺が抱えるなり抵抗のつもりなのか、ぺちぺちと胸を叩いてくる。全然懐かないのがアイツそっくりでなんか憎めないんだよなコイツ。

 ギンカというのは俺がこっちに来る前の従兄弟で、気のいいやつだった。まあ俺は警戒されてたと言うか、何か胡散臭いと言われてあんまり喋ってもらえなかったんだけど。仕方ないからお金とかプレゼントだけあげてた。

 

 アイカメラの埃を取ってやるとビクついて固まってしまう。死んだふりのつもりなんだろうか。

 ヤヒトがちょっと驚いた顔で振り向く。

 

「ん、そいつギンカって名前なのか」

「そうだよ~、可愛いでしょ」

「いやダイナゲートに個体差はないっつーか…………まあ可愛いけどな。名前が聞き覚え有っただけ」

 

 世の中ってのは狭いらしい。ヤヒトの前世にもギンカって奴が居たのだろうか、縁というのは不思議なものだな。

 ヤヒトが目の前で指をくるくるさせるとギンカが体ごと指先を追ってぐるぐるし始める。

 

「なっ――――――――可愛いか……!? わたしがやっても全然反応しないのに!? 何なら叩かれるのに!」

「まあアンタ機械でも分かる危険思想の持ち主だしな」

 

 反論できな~いっ☆

 それはそうと、さっきからずっと気になっていたことが一つ有って。

 

「ところで…………わーちゃんも触りたいの?」

「べ、別に!? っていうかわーちゃん言うな!」

 

 俺の方にキャンキャン言いながらもすごいウズウズしながらギンカを観察するWA。

 ギンカの方もどうやら俺よりは断然興味を持っているらしく、俺の腕をペシペシ叩きながらWAの方へ歩いていこうと宙で藻掻いている。

 

 何だか俺が悪い人みたいで虚しくなってきたのでいい加減下ろしてやることにする、流れるようにWAの足元まで走っていった。

 

「さ、触って大丈夫?」

「ご自由にどうぞ。かわいいは共有財産だからね~」

「…………ごくり」

 

 それマジで言う子いるんだ。やっぱ二次元に住み慣れてもカルチャーショックは絶えないもんだねえ。

 

 しゃがみ込んだWAが恐る恐る人差し指を伸ばすと、ギンカが走り寄ってきて頭上を押し付け始める。いやホント基本的には人懐っこい性格なんだけどどうして俺だけこんな怯えられてるんだ? 世界ふ○ぎ発見で取り上げれば撮れ高ウハウハなネタだと思うのだが。

 

 段々慣れてきたのか、首(?)をくすぐりだしたWAにギンカはかなり懐いていると言うか、前脚でペチペチと返している。

 

「え、かわ。はわわわわ」

「は、まっさんの口から「はわわ」はギャグなんだけど」

「ちょ、待って。かわいい、むり。。。。。。」

「限界オタクさん!?」

「え、だってダイナゲート可愛いじゃん前脚が短いくせにすぐに前脚で相手をペタペタしようとするところとか新しい人を見つけたらアイカメラきゅるきゅる動くところとか格上が来たらすぐ固まって死んだふりしようとするところとか集団で群れてくるのにあっさりやられちゃうところとか自分で充電もできない微妙に庇護欲を誘う設計も最高だし何より抱えてて重くないんだよこれ多分設計者も愛玩動物として遊ぶ事考えてたんだと思うんだよね控えめに言って神いやそんな話じゃなくてこの子達は愛でるために生まれてきたと言っても過言のない要素が揃ってるのは今まで言った通りだしダイナゲートはそもそも一般人も間違えて持ち帰っちゃうぐらい愛くるしいわけでわたしが限界オタクになるのもある意味当然というかむしろヤヒト君は何で素面なの君もう狂っちゃったのかな?」

「お前のほうが狂っとるわド変態」

 

 いやん褒めないでよ♡

 でもなー、俺が触ったら怖がられちゃうから俺は頬の緩んだWAとそれに愛嬌全開で擦り寄ってるギンカを眺めることしか出来ないよ。

 

 銃を持たねばお前を養えない、銃を持ってはお前を抱きしめられない、そもそもお前は抱きしめられてくれない。頼む俺をいくら嫌ってもいいから俺に前脚でお手をするようになってくれ。

 溜息しかもれない。

 

「はぁ…………ギンカ、すき」

「限界オタクさん限界オタクさん、ところで救出した人形からもうすぐ色々情報引っ張り出せるって話しましたっけ」

「どーでもいいよ。。。。。。ギンカ愛してる。。。。。。」

「コイツ中々厳しい」

「あ、勿論ヤヒト君も好きだよ? 顔が良いからヤりたいね」

 

 そんなドン引きするなよ、見れば分かる言動だろ?




意外とこの人可愛いような気もする。
何というか今回は特に語る所が思いつかないので、それこそ感想で振っていただきたい。何か喋りたいんですけど上手く今回はしゃべれない。
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