四季の刃   作:草ナギ

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玖ノ型 最終選別 上(姉視点)

  そんなこんなでついに最終選別!

 藤襲山っていう所でやるらしい。遅れるのは嫌なので、何事も早く行動して目的地に着く様にしている。

 ……んで、到着はしたんだけど本当に此処なの?

 選別をするのは聞いてたけど、藤がこんなに沢山!

 あ、そうだ。山椿さんが言ってたっけ。”鬼”は藤の花がダメって。

 香りが特に嫌なんだとか。どういう理屈なんだろう?

 まぁ、いいか。苦手な物があったって良いよね!日光以外は日輪刀しか効かないんだから。少し位は弱点があっても良いと思うよ。うん。

 そういえば、私より早く来てる人も居るんだけど……えっと。

 めっちゃ話しかけ辛い。仕方ないので入り口の階段に座り込む。

 時間が経つにつれて人が集まって来た。

 ぼーっと階段下を眺めていると見覚えのある二人を見つけた。

 二人共キツネ面を付けての登場だ。おお!なんかカッコイイ。

 

 「義勇!錆兎!」

 

 「あ、楓」

 

 「もう来てたんだな」

 

 「うん!」

 

 友達に会えて良かった!……友達だよね?私しかそう思ってないとか、ないよね??

 

 「そういえば気になってたんだけど、そのキツネのお面素敵だね!どうしたの?」

 

 「お、嬉しい事言ってくれるな。コレは鱗滝さんが俺達にって、作ってくれた面なんだ」

 

 「お守りみたいな物だと思ってくれれば良い」

 

 「おおー」

 

 いいなー、そういう物もらえなかったなぁ。

 まぁ、刀位は貸してもらったけど、刃が綺麗な銀色をしてるから、何か特別な物なのかもって思う。

 

 「そういう楓だって何か持たされてる様だが……」

 

 錆兎が私の腰にぶら下がっている袋を見て、そう言ってきた。あー、コレはねぇ。

 

 「コレはお手入れ用の道具が入ってるの」

 

 「手入れ用の道具?……化粧か?」

 

 「いんや、刀の手入れ道具でっす!」(誤字にあらず)

 

 いや、考えてみなよ。もし、刀を使い続ける様な試練だったら絶対刃こぼれとかするでしょ?もしくは最悪、切ってる最中に折れるだなんて事になったら……なったら……

 

 「山椿さんにお仕置きされる……ヒェ」

 

 「元気だしなよ楓、きっと大丈夫だよ。ちゃんと道具持っている訳だし」

 

 義勇が項垂れている私の肩を、ぽんぽん叩いて慰めてくれる。良いヤツゥ。

 

 「…………」

 

 ふっと義勇の隣に居る錆兎に目線を向けるけど、気付かない。なんか黙り込んでるけど、どうしたんだろう?

 義勇もそんな錆兎に気が付いて、どうした?錆兎。って聞いてる。

 

 「ん?あ……いや、なんでもない。そうだ、楓」

 

 「はい?」

 

 「そんな後ろ向きになるな。いざとなったら俺が助ける」

 

 「遠慮します」

 

 「即答!?」

 

 錆兎のカッコイイお言葉に、お断りを即答で答える私、びっくりした顔でツッコミ?をする義勇。

 いや、だって

 

 「選別の内容がどういうのか分からないけど、お互いに切り合うとか試合形式だったら助けるとか出来ないでしょう?気持ちは受け取っておくよ」

 

 ありがとうってお礼を言うと、むすっとした顔でああ。って返事してくれた。

 

 「いじわるみたいな事言ってごめんね。でも本当にどんな内容か分からないからさ」

 

 「ああ、分かってる」

 

 そう言いつつ、まだちょっと拗ねてる。本当にごめんね。

 そんなやり取りをしていると、「最終選別を行います」と言い出した人が居た。いつの間に。

 内容はこの藤に囲まれている山の中心。そこで七日間生き残る事とか。

 ただし、中には鬼が居るから戦うのも、逃げるのも自由だって。

 ふむふむふむ。了解!完璧に理解した!!まっかせろー!

 そんな謎テンションで意気込んで森に入った。

 なんでそんな謎テンションで突っ走ってしまったのか。今考えると……いや、考えなくてもバカだったなって思う。

 

 

 □■□■□■□■□■□■

 

 

 

 ――――鏡の呼吸 肆ノ型 照魔鏡(しょうまきょう)

 

 

 「うわぁぁああ!そんな馬鹿な!?俺の血鬼術が効かないなん……」

 

 頸を切り落とし、鬼が消滅していく。

 この肆ノ型に使われている【照魔境】という名の鏡は、妖怪・悪魔の正体や妖術を照らし出してあばく伝説上の鏡なのだ。

 えっと何が言いたいかって言うと、この呼吸を使うと血鬼術を使う鬼に有効的だ。

 確かに効かない様に鬼には見えていただろうけど、”効かない”んじゃなくて”効果が分かって対処できる”だけだったりする。

 どう使うのかと言うと、鬼の隙を見て刀の刃の部分を鬼が映る様にして覗き込めばいい。

 え?厄介だって?でも、これって使いにくいけどある意味チートよ?だって、”鬼の一部”でも映れば良いんだから。

 切り落とした腕でも、鬼が変身した姿であってもどんな血鬼術か分かる。

 しかも、覗く事だけでなく、ちゃんと映し出してから切りに行くと問答無用で血鬼術ごと一閃できたりする所がすごい。

 ただ、さっきも説明した通り、隙を見つけないといけないのがなぁ。

 何故使っているかって?慣れる為だよ!なんかここの鬼って隙を出しやすいヒトばっかなんだもん。やるなら今!って思うよね?

 ふっふっふっ、この呼吸に関してはぶっつけ本番だったから緊張したよ。

 ああ、でも他に問題がある訳じゃないけど、流石に血鬼術を使う鬼は少ないねぇ。

 まぁ、大体の鬼は【反射鏡】で切って切って切りまくれば良いのだけど。

 はい!そこ!狂気を感じるとか気にしないで!OK?

 さて、実はもう初日から四日経ってたりする。そろそろ五日目の朝が来る頃だ。

 

 「さてはて、寝る前に日課でもするかー」

 

 腰に下げていた袋を掴み中身の道具を取り出す。

 鞘から刃を上にして刀を抜き、打粉で刀身を軽くポンポンを打ち、拭い紙でその白い粉を拭って鑑賞。

 

 「くっくっくっ、この刀も血に飢えておるわ……。鬼の血を吸いとーて吸いとーて仕方ない……ひっひっひっ」

 

 そう言ってまた手入れに入る。

 刀剣油を刀身に塗る。本当は、なかごとはばきを外してそっちも手入れした方が良いんだけど、今は敵陣の中。そこまで出来ない。

 今はもう日が昇っているので、安心だが油断は禁物である。

 ちなみに私は気付かなかったけど、この手入れの時に言った言葉が鬼達にも聞こえたらしく、一部では

 

 「あの小娘、頭おかしい」

 

 っと青褪めて別の人間の所に行く鬼が居たとか居ないとか……。

 




鬼にまでおかしいと言われる姉(笑)
ちょっぴりギャグを入れました。
次の姉視点、どうなるんでしょうね?
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