心が広い人向けの話かも。
あれからついに最終日。
この日を生き残れば鬼殺隊に入れる!調を探しに行ける!
そう思ったら疲れ始めていた身体に力が沸く気がした。
……本当に気がしただけだけどね!!
あと、気のせいか分からないけど、なんか鬼が私の周りをウロチョロするのに襲い掛かってくるのを躊躇してる節がある。
なんなんだろう?来るなら来い!
「小娘ぇー!!」
「ふぇ!?」
え?何?なんでだか、すんごい遠くの方から声を掛けて来た鬼が居る。
と、遠すぎる……なんだろう?
「何ぃー?」
とりあえず、返事をしてしまった私って……。すると……
「来いよ小娘!日輪刀なんか捨ててかかって来い!」
「ぶほっ!?」
ちょ、ちょっと待ってぇぇえええ!!
え?昭和?昭和に戻ったの?コ〇ンドーって映画、昭和だよね?
なんでこの鬼、そんなセリフ知ってるの!?実は俳優さんの生まれ変わりじゃないよね?
っていうか、今時の人(平成産まれさんとか)このネタ知らないんじゃない!?あ、なら大丈夫……じゃない。
「捨てるかぁぁあああ!」
アホかぁー!捨てられる訳ないわ!私が自分から、仲良くしましょー。とか言って捨てたら一斉に襲ってくる気でしょ!そもそも今はそんな事するか!選別中やぞ!
とにかく、あの鬼、killyou。
「ちぇすとぉー!!」
「ぎゃああああ!!」
速攻で切りに行きました。
すると他の鬼もその後に現れて、切って切って切りまくり、そして、一息つくと遠くの方でまた何か聞こえてきた。
気になったので近くまで寄ってみる。
「あれ?この声って……」
聞き間違えではなければ錆兎の声だ。
もう一人……あ、鬼だ。手の量おお!!
なんだか錆兎怒ってるな。冷静になりきれてない。
良く見るとあの刀、結構消耗してない?下手したらあれじゃぁ折れるよ。
錆兎が切りかかっっていく。なんだか嫌な予感がした。
「間に合え!」
――――鏡の呼吸 参ノ型 万華鏡(まんげきょう)
私は咄嗟にこの技を使った。
この万華鏡という技は本来私自身の分身を作り出して四方で囲み、交差するように鬼の頸を切るという技である。
ちなみに今回どういう使い方をしたかというと、錆兎の分身を作り出したのである。
「なにぃ!?」
「!?これは……」
切りかかる体勢で立ち止まった錆兎は、自分の周りに三人の自分が居る事に驚いている。
手がいっぱいある鬼も殴りかかる動作をしているけど、ビックリして止まっている。今!
「さびとぉー!!」
「え?うわっ!?」
隙を見て錆兎を俵抱きして思いっきり走る。
鬼は刀を構えている三人の錆兎と私達を見て二、三見比べて怒りながら遅れて私達を追いかけた。
「お、降ろせ!楓!アイツを放って置けない!」
「このあんぽんたん!冷静になりなさい!その刀を良く見て!」
「刀……?あ、これは……」
「分かった!?分かったら逃げるよ!もうすぐ朝だ!それにこの方角なら藤が近くにあったハズ!」
降ろすのもこの際面倒!今は逃げるが勝ち!私は全速力で走る。
錆兎が何か言おうとするので、何か言われる前に思いっきり木の間をジグザグで走った。
細かく木の間を走ったからか、あの大きな手が沢山あった鬼も通るのに苦労している様だ。チャーンス。
「一気に駆け抜ける!」
錆兎に向かってそう言うと私は全集中の呼吸を使って普段より早く走った。
そして、藤が見えて来た所で朝日が昇った。
□■□■□■□■□■□■
「はぁはぁ!げほっ!はぁ……んぐっ。ごほっ!」
もうこれ以上ないって位走った。も、マジで無理!
「楓」
「私は謝らないよ」
「あの鬼は鱗滝さんの、俺達の兄弟弟子達の仇だ!何故邪魔したんだ!」
さっきの錆兎が持っている刀を無言で指でさす。
「そんな刀で本当に切れると思うの?」
「……それは」
「それに義勇はどうしたの?一緒じゃなかったの?」
錆兎の話を聞くとどうやら義勇は怪我をしている様で、錆兎は動けないと判断。勝手にまだ残っているだろう人達を救いに単独で走り、助けていたそうだ。
「その意気や良し。でもね……錆兎、貴方はバカ?」
「どういう意味だ!」
「自分の事だよ!分かりなさいよ!自分を守りなさいよ!もし錆兎に何かあったら悲しむのは鱗滝さんと義勇だよ!?特に義勇なんて錆兎がさっきの鬼に殺られてたらどう思う?あの子、自分を責めるよ?ずーっと気にするよ?」
それでも良いの?そう目で問いかける。錆兎、絶許。
「そ、それは……」
「それにね……私だって泣くぞ!すっごい泣くぞ!なんで死んだんだ!って、錆兎がもし死んでたら死後も呪うよ!生まれ変わっても消えない呪いだよ!箪笥の角に小指を毎日ぶつける呪いだよ!」
「地味に嫌な呪いだな……」
「効果的と言ってもらいたい」
錆兎は最初とても怒っていたけど、複雑な顔をして最後はすまないという顔をして伏せていた。
「とにかく、義勇の所に行こう。きっと心底心配してるよ?」
「……ああ」
ああ、案の定っていうか、再会した義勇は無事な錆兎を見ると走り寄ってきて錆兎を抱き締めた。
見間違いではないと思うけど、泣いてた。
そりゃそうだよね。置いてかれて、もし錆兎が死んでたら、この子の事だからやっぱり自分を責めると思う。
接しててわかるよ。義勇はそういう子だ。
その後、義勇は錆兎から聞いたのだろう。私の方にも駆け寄ってきて泣きながらお礼を言ってきた。
「かえで……あ、ありがとう!本当にありがとう!も、もし錆兎に何かあったら俺は……うっ、くっ」
「はい!泣かない泣かない。嬉しいのは分かったよ。私も間に合ってよかったって思うしね」
それに……
「大事な友達の為に何かしてあげたいと思う事は当り前さ」
「「!!」」
え、何、その反応。まさか……
「私達、友達だよね……?そうだよね?」
身体全体がぷるぷる震える。ちょっと涙目にもなった。
「「友達です!」」
おおう、安心したぁ。私が勝手に思い込んでた訳ではないのね。ホッ。
……こうして最終選別は誰も落ちることなく、その場に居る全員が合格するのであった。