四季の刃   作:草ナギ

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もしかしたら恋愛色強めかもしれないです。
多分。


拾壱ノ型 眠り(妹視点)

 

「調姉ちゃん、お歌うたってー」

 

 「うたってー」

 

 縁側で洗濯物を畳んでいると、花子ちゃんと茂くんが私にそう言ってきた。

 最近この二人は私の歌がお気に入りらしい。

 嬉しいし、ちょっぴり照れてしまうけれど、動物達が寄ってくるので迷ってしまう。

 

 「そう言えば、そろそろお昼寝の時間ではない?」

 

 日の陰り具合的にそうだと思った私は二人にそう聞いた。

 

 「うん。だから、調姉ちゃんにおうたをうたってほしいの!」

 

 「子守歌を?」

 

 「ううん、調姉ちゃんの好きなおうたでいいよー」

 

 それは困った。正直、記憶喪失中の私では披露できる曲目は少ない。

 でも、誰かに……うん、誰かに教えてもらった不思議な歌をぼんやりと覚えているのだ。

 それを竈門家の皆(特に子供達)に披露すると、とても喜んでくれる。

 それが何より嬉しくて仕方なかった。

 だから、私はこの歌を歌おうと思う。穏やかで陽だまりの様なあの子を想い浮かべながら。

 

 

 □■□■□■□■□■□■

 

 

 ――――黄色い花 見上げる空 きらめく陽の光

     小鳥たち 歌をうたう 緑の森におどる

     海の青 雲の白 映し出す陽の光

     魚たち 水をけって 波の上にあそバタンッ

 

 

 何かを倒した様な音の方を見ると、炭治郎くんが居て、足で倒してしまったであろう箒が倒れていた。

 

 「あ、兄ちゃん。兄ちゃんもおうた聞きにきたの?」

 

 「……花子ちゃん、茂くんが寝てるからちょっと静かにね?」

 

 「……はぁい」

 

 花子ちゃんと茂くんは私の横で、座布団を枕、ひざ掛けを毛布代わりにしてお腹にかけて寝っ転がっていた。

 茂くんは早くに寝てしまったけど、花子ちゃんはウトウトしていた所で、箒の倒れた音を聞いて起きたみたい。

 

 「……花子、調ごめん。邪魔しちゃったかな?」

 

 「……ううん、だいじょうぶだよー」

 

 「……気にしないで。続きを歌えば良いだけだもの」

 

 そう小声で話し、続きをまた歌えば、元々眠かったであろう花子ちゃんも寝てしまった。

 花子ちゃんも茂くんも本当に可愛い。

 外を少し覗けば木には小鳥たちとリスが、茂み等には野ウサギや、タヌキなどが居るだけだった。

 思っていたより少なかったので安心する。

 炭治郎くんと二人の寝顔を見ていたら、ふと炭治郎くんが気になって下を向いていた顔を上げる。

 すると同じ瞬間に顔を上げたらしい炭治郎くんと、顔の距離が意外と近くてびっくりした。

 炭治郎くんも驚いた顔をしていたけれど、はにかんで照れ笑いをしていた。

 私もなんだか釣られて笑ってしまっていた。

 そうして声を押さえながら笑っていると視線を感じて下を見る。

 じーっと炭治郎くんと私を見つめる可愛い二人。花子ちゃんと茂くんだ。

 

 「あ……ごめんね。起こしちゃった?」

 

 「ごめん、俺はもう行くな」ぐいっ

 

 そう、炭治郎くんが去ろうと立ち上がりかけていたら、茂くんが炭治郎くんの上着を握ってた。

 

 「し、茂?」

 

 「兄ちゃんもいっしょにねよー?」

 

 「いや、俺は……」

 

 「にいちゃん、なんかおしごとあるの?」

 

 花子ちゃんが炭治郎くんにこの後の予定を聞いていた。

 

 「え、今は休憩してるだけだけど……」

 

 「じゃぁねよーよー」

 

 「寝る所ないだろう?」

 

 「調姉ちゃんのおひざがあるよ?」

 

 「「え?」」

 

 茂くんの言葉に心底心臓がすごい事になった。

 炭治郎くんも茂くんが言った言葉に驚いてる様で……。

 

 「ほら、兄ちゃん、はやくー」

 

 「ねれないよー」

 

 花子ちゃんも茂くんも眠いのか、声が籠っている感じで発音がはっきりしてないけど、言葉はしっかりしていた。

 炭治郎くんは戸惑っていたけど、なんでかちょっと考えてる素振りをしたかと思ったら、真剣な表情で

 

 「調」

 

 「は、はい」

 

 「いい?」

 

 何が?とは聞かなかったけど直ぐに察した。私の膝を枕にして寝る事だ。

 まさかの言葉に絶句してしまったけど、理解したら思いっきり頷いていた。

 

 「ど、ど……どうぞ」

 

 「し、失礼します……」

 

 とても炭治郎くんを意識してしまってあわあわしてしまう。

 それに炭治郎くんまで意識したかのように敬語にならないでほしい。

 正座をしていた私の膝にゆっくりと頭を乗せる炭治郎くん。

 今、私の心臓がすごい早さでドクドク言ってるっ!

 顔が赤くなっている事を自覚して膝の上の炭治郎くんを見れば目が合った。

 何故か炭治郎くんはきょとんとした顔をして私を見た後

 

 「重くないか?」

 

 って聞いて来た。思わず上ずった声で

 

 「だ、だいじょうぶっ」

 

 って、言ってた。正直恥ずかし過ぎて、何処かで穴を掘って蹲りたい。

 ああ、目がちょっと回るかも……。

 両頬に手を添えて、落ち着いてー…落ち着いてー…と念じる。

 そうしてないと本当に落ち着かない気がしたから。

 そんな私を見ていた炭治郎くんは

 

 「膝から退こうか?」

 

 って聞いて来たから、大慌てで

 

 「本当に大丈夫っ、寝て……そのままでいてくだひゃいっ」

 

 最後噛んでしまった……やっぱり後で穴を掘ろうかと考え始める。

 なんていうか好きな人がこうして安心したような……安心してくれてるんだよね?

 とにかく、そんな感じで身体の一部(頭部)を預けてくれるのが嬉しかった。

 私が寝てと言ったからか、目を閉じて寝る事にしたらしい炭治郎くんを見る。

 思わず、炭治郎くんの顔を見ていたら顔がほころんでいるのが分かる。

 ああ、幸せだなぁ……って思うんだよね。

 可愛くて大事な家族の花子ちゃんと茂くん。

 家族だけど、大好きな炭治郎くん。

 他にも家族の人は居るけれど、今はこの三人に囲まれてすごい幸せ。

 思ったのだけれど、私ってとても恵まれてる。

 こんなに幸せでいいのかな?この幸せが壊れる事なんてないと、信じて良いのだろうか?

 そう思う事が多々ある。どうかこの優しくって暖かい私の家族がずっと幸せでありますように。

 そう、願わずにはいられない。

 




炭治郎の無意識の焼きもちかもしれない回でした。
こんなの炭治郎じゃねぇ!
私が一番分かってる!!
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