炭治郎視点もあります。
目が覚めたのは夜中だった。
最初はいつ寝たんだろう?って思ったけど、直ぐに思い出した。
炭十郎さんと葵枝さんに炭治郎くんのお嫁さんになってくれないか?って言われたんだった。
ゆ、夢じゃないよね?私が炭治郎くんのお嫁さん……。
起きて思い出したけど、炭治郎くんに会ったらどうすればいいんだろう。
そもそも炭治郎くんはこの話を知ってるの?
聞きに行く勇気もない……一体どうすれば……。
とりあえず、お水を飲もう。そう思って厨に向かう。
すると、炭十郎さん達の部屋の襖が少し開いていた。
光が漏れている。まだ寝ていなかったみたい。
早足で通り過ぎようと思ったのだけれど、話声が聞こえる。
この声は……炭十郎さんと葵枝さん……え、炭治郎くんの声?
□■□■□■□■□■□■
「父ちゃん、母ちゃん、話って何?」
中々寝ない兄弟達をなんとか寝かしつけて父ちゃん達の部屋に来た。
話があるそうだけど、なんだろう?
「うん、実は調の事なんだ」
「え、調?調に何かあったの?」
思わず前のめりになる。また苦しい想いをしてるんだろうか。
あの子は普段とても優しい匂いがする。フワフワした綿みたいに優しく包んでくれる様な匂い。
それに俺が近くに居ると花の蜜の様な甘い匂いがするんだ。
その匂いを嗅ぐと何故か胸の辺りがざわつくというか、ムズムズする。
安心する匂いなのに、落ち着かなくなる。
調に触れていたい、離れていたくないという気持ちになった。
なんでなんだろう?そんな疑問が沸きあがる。
あと、俺と離れている時に時々寂しい様な、苦しくて辛いって匂いを漂わせる事がある。
だからいつも言うんだ。傍に居るよって。
そう言うと花が咲いた時の様な笑顔を見せてくれるんだ。
その笑顔を見る度にいつもこの笑顔を見ていたいって思う。
そんな調に何かあったのかと思うと、守ってあげないとっていう気持ちになる。
「何かあった訳ではないんだがな……」
「調に貴方達の将来の話をしたのよ」
「俺達の将来?」
「そう、将来。調に炭治郎、貴方の”お嫁さん”にならないかって話をしたの」
…………オヨメサン…およめさん……お嫁さん!?
「お、およめっ!!」
咄嗟に口を押さえた。禰豆子達が寝てるんだ。静かにしないと……でも!
「調を俺のお嫁さんに……」
物凄く驚いた。だって……え?……調は、調はなんて答えたんだろう。
「……はなんて」
「「?」」
「……調はなんて?」
父ちゃんも母ちゃんも二人共口を閉じてしまった。
もしかして
「調は断ったのか?」
「いいえ」
? 二人の匂いが変だ、迷ってる匂いがする。どうしたんだろう?
「実はね、調はこの話をした時、驚きすぎてしまったみたいで気絶しちゃったの」
「…………え?」
きぜ……え?調が気絶って……
「調は大丈夫!?」
「本当に驚いてしまって気絶しただけみたいだから大丈夫だよ」
よ、良かった……あ、でも
「……でも、それって嫌って意味じゃ」
「「それはないと思うよ/わ」」
びっくりした。二人して同時に言ったから
「それでなんだが」
「 ? 」
「炭治郎、調をお嫁さんにもらうのを、いや、調の事を異性としてどう思う?」
調を”異性”として……
そう考えたら心臓はどくどくって早く打って、顔が一気に熱くなった。
え?俺、どうしたんだろう?そういえば調をそんな風に考えた事なかった。
調は大事な家族で……大事な、大事な……
大事な女の子で……
「……うん、炭治郎の気持ちが分かった」
「え!分かったって……」
「炭治郎、今なら言えるんじゃないかい?調をどう想っているか」
…………。
「俺は……調の事……」
「あ、炭治郎。待って」
……言おうとした言葉を止める。どうしたんだろう?
母ちゃんは立ち上がり、襖を開ける。
そこには
「調、いらっしゃい」
そう襖が開いた端っこの辺りに調は居た。
「え!?」
え、あ!目の前の二人に集中し過ぎて調の匂いが分からなかった!調から驚きと困惑の匂いがする。
い、今の話を……聞いて!?
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襖の間から聞こえてきた会話を聞いて私はすごく驚いていた。
まさか炭治郎くんより先にこの話をされていたなんてっと
てっきり炭治郎くんに先に話してあるんだと思っていたけど……
というか私、寝たんじゃなくて気絶しちゃったのね……。
恥ずかしい……穴でも掘ろうかと一瞬思った。
そうやって悶々と考えていたら、襖が開いて葵枝さんがひょっこりと顔を出して私を見つけると
「調、いらっしゃい」
「は、はい」
私はおずおずと葵枝さんが開けた襖の近くに座った。
「調、そこではなく、炭治郎の隣に座りなさい」
「え、あ、はい」
炭十郎さんにそう言われてゆっくりと炭治郎くんの隣に座る。
ちょっと気になってちらりと炭治郎くんを見る。
そうしたら、炭治郎くんも私を見ていたみたいで目が合った。
恥ずかしくなり直ぐに顔を背けた、顔がとても熱いから真っ赤になっているだろうなって思う。
そしてまたちらっと見ると、また目が合った。
また背けてしまったけど、見間違いかな?炭治郎くんも顔が真っ赤だった気がする。
今度は炭十郎さんと葵枝さんの方を見ると、二人共微笑ましいモノを見たと言わんばかりに素敵な笑顔だった。
あわわわわわわ!恥ずかし過ぎる!!
「では、改めて問うが、二人はお互いをどう想っている?」
わたわたしていた私を炭十郎さんがそう切り出して落ち着かせてくれた。
「「俺/私は」」
二人同時に言ってしまった。どちらが先に発言するか今度は二人で譲り合い。
私達の様子を見ていた炭十郎さんが苦笑いしてる。
炭十郎さんは炭治郎くんを見て言った。
「炭治郎、先にお前から聞こう」
「…………」
炭治郎くんは黙ってしまった。
だけど隣に居る私を見て、体の向きも私の方に向ける。姿勢を正して真っ直ぐ私を見る。
私もちゃんとした方が良いと思って、炭治郎くんと向き合う形になる。
しばらくお互いを見つめて炭治郎くんが口を開いた。
「調」
「……はい」
すごいドキドキしてる。これから言われる事が何なのか、なんとなく察して期待してしまってる自分が居る。
期待……してるけど、怖さもある。違う事を言われるんじゃかって思う自分も居る。
なんて言われるんだろう……。
「俺は、この今の気持ちがまだよくわかってない」
「うん」
「調の事は家族だと思ってる」
「……うん」
そうだよね……それ以下でもなく、きっとそれ以上でもないんだろうな……。
「…………」
「…………」
黙ってしまった……けれど、炭治郎くんの目はしっかり私を見てる。
あ、小さく深呼吸した。何か言うんだ。
見つめ合っていたら、膝に置いていた手を炭治郎くんが握ってきた。
…………え?
「調、俺と結納してくれ」
「………え?」
いま、なんて……。
「確かに俺は調の事家族だと思ってる。でも、それ以上に……
ずっと守りたい大事な女の子だと想ってる。
だから……俺が成人したら、夫婦になってくれないか?」
言葉が出なかった。ううん、出てくれなかった。夢なんじゃないかって思った。
ふと、頬に何かがすーっと流れる感触がした。
あ、私、泣いてる?
私の涙を見たら炭治郎くんが慌て出した。
「あ!その!嫌なら良いんだ!えっとだ「……ない」え?」
「い、嫌じゃない……」
きっと何も言わなかったら無かった事にされるだろうから、必死に声を、言葉を出した。
「あ……」
「炭治郎くん……きです。……好きです!私をあなたのお嫁さんにしてください」
「……うん、調を俺のお嫁さんにしたい」
「炭治郎くん……」
ふと炭治郎くんがそうだ!っと言って私の手を引き寄せた。
「調!俺にくん付けするの止めよう!」
「え?」
「炭治郎でいいよ。呼び捨て」
また、顔が熱くなる結納もいきなりだったけど、くん付けも無しって!
「ほら、炭治郎!」
「た、たんじろ……う……くん」
「頑張れ!調!もう一回!」
「た、たん、たんじ…ろ………」
「うん!」
「……くん」
「惜しい!もういっか「炭治郎?」」
そこでハタッと気付いた。そうだ。私達が居るこの場所は……!
「私達が居る事を忘れてるでしょう?」
葵枝さんが声をかけて来た。そう、ここは炭十郎さんと葵枝さんの部屋。
私達を見守っていた二人は苦笑しているけど、ちょっと呆れてる?
…………あとで穴を掘ろう。そう決意する私でした。
っという訳で妹は婚約します。
妹の方が進んでますね。姉よ、ふぁいと!