私達が鬼殺隊に入って半年がたった。
あれから私はというと……
「義勇!義勇!どこ行った!?団子屋さんでまさかのお茶してるっていうパティーンじゃないよね!?」
実は前回本当にそんな事になってたから笑えない。
しかも、なんで私が義勇と行動を共にしているかと言うと、
≪今度ハ東南ニ向カエェー!ソコノ村デ子供ガ立テ続ケ二消エテイルゥー!楓!義勇!急ギ、向カエェー!≫
「はいはい、分かったから!八咫も義勇探して!ここ最近立て続けだなぁ……」
そう、半年前に偶然町で会ってから、義勇とは合同で鬼退治する事が多い。
別に嫌ではない。むしろ、友達と一緒なのは心強い。
義勇、強いしね。本人はまだまだ未熟だって言ってるけど。
何?あそこの人だかり……あ!あれは!!
「ああ!義勇!?こんな所で何してたの!……どうしたの?これ」
「…………」
なんと、義勇ってば女の子泣かせてる!でも、女の子は義勇の羽織を握っていて離そうとしてない。
一体この状況はなんなんだ……。
「いや、本当にどうしたの?女の子泣かせちゃった?」
「……泣かせた訳じゃない。どうやら勘違いしている様だ」
「「「あんた!喋れるんじゃないか!!」」」
周りに居た人達がすっごい驚いている。あー、これは
「義勇、まさかずーっと話しかけられてたのに、喋ってなかったの?」
こくりと頷くあんぽんたん。思わず頭を押さえる。ず、頭痛が……
すると泣いていた女の子は私を睨んで高らかに宣言した。
「この人は私のお婿さんになるんだから!」
「は……はいぃぃぃいいいいい!?」
何をいきなり!?凄い事言ったよこの子!
「だから、誤解だと言っている」
「誤解じゃないもん!ちゃんと”責任はとる”って言ったもん!責任とってわたしのお婿さんになってね!」
あ、泣き止んでる。こ、この子、嘘なきだ……なんていう高等技術を。
「義勇、どういう状況で言ったのか覚えてる?」
「……裏路地で助けた。その時にくじいたらしい。責任を取って帰ると言った。」
ふむふむ、つまり……
「『裏路地で感じの悪い奴らに絡まれているのを助けた。でも途中で人質に取られてその時に足をくじいたらしい。足の怪我の責任を取って家まで送る』って言ったつもりだったのね。もっと分かりやすく、長く話しなさい。特に最後」
その私が通訳?した言葉を聞いた周りの人は驚いて私を見る。
代表して近くに居たおじさんが聞いて来た。
「嬢ちゃん、この小僧の言った事分かるんか?」
「付き合い長いので」
義勇は無表情だけどホッとした雰囲気になった、けれど女の子は納得していなかった。
「嘘よ!この人を見て一目ぼれしたから、わたしに取られまいと嘘ついてるんだわ!」
おわー、なんかややこしい事言い始めたぁー!次の任務があるのにー。でもねー、お嬢さん。
「義勇がわざわざ気を使って、本当に足をくじいた事にして人の目を集めない様にしてたのに、この騒ぎ。随分と余裕なのね?」
「は?なんでそんな事?」
え、本当に分からない??
「分からない?男の人に襲われたんでしょう?噂がたったら貴女の事周りはどう見るでしょうね?」
「そんなの!この人が責任取ってくれれば!」
「責任を取る必要はないって言ってるの。だって貴女」
足をくじいたにしては、随分と真っ直ぐに立つのね?
そう女の子に耳打ちすれば、きょとんとした顔をして直ぐに顔を赤らめて
「もういいわよ!責められてるわたしを庇ってくれない人なんていらないわ!」
そう大声で義勇の羽織を掴んでいた手を勢いよく離して、ずんずんと音が鳴るんじゃないかって程、足を地面に踏みしめて人ごみに消えていった。
「あの子また同じ事したんだねぇ」
さっき話しかけて来たおじさんとは反対側にいたおばさんが言う。どういう事?
「あの子、近所では有名でね。気に入った男見ると理由を付けて結婚の約束をしようとするんだ。今回は本当に結婚決まるか!なんて思っちゃったよ」
な、なんて傍迷惑……。当の義勇といえば眉を顰めて
『それはなんという迷惑な。今後は気を付けなければ……』
なんて事を雰囲気で言ってきた。まぁ、わかるけど……ね!
肩にかけて持っていたリュックもどき(私が作った)で後頭部をどついておいた。
「何をするんだ」
どつかれた後頭部を押さえてジッと見つめて来た。分かってないって事も私には丸分かりやぞ!
「言葉が足りない!もっと分かりやすく!ちゃんと喋りなさい!」
「……すまない」
そんな私達を周りにいた人達は、そっかー、またかー。とか、兄ちゃんも気を付けるんだぞーとか、優しい言葉をもらって皆離れていった。
義勇はというと、シュンとしているので反省してる様なので一応許してあげよう!もう!仕方ないなぁ。
「……もう怒ってないよ。前にも言ったでしょ?私が居るからって説明とか省略しない。分かった?」
こくりと頷いた。若干眉を八の字にしている。とりあえず分かってもらえたようだ。
「ほら、八咫が私達の上でばたばた飛んで、早くって急かしてるから急ごう!今度は東南だって」
「……合同なのか?」
私が義勇の手を引いて町から東南の方向に向かおうとしたら、そう聞いて来た。あ、そうか。義勇は聞いてなかったね。
「うん、またらしいよ。最近多いよね。別れて退治する方が少ないのって珍しいらしいよ?」
さっきも思ったけど、義勇とは合同が多い。
錆兎とだって極たまに会うのに何故か義勇とは良く会うのだ。
こんなに合同が多いともうペア組んでやってた方が楽だと思う。
「私と合同は嫌かい?」
ふるふると横に顔を振る義勇。君は幼い子供かな?
「良かった。とにかく、またよろしくね!義勇!」
「……ああ」
歩いていた足を止めて、握っていた手を改めて握り直し、握手の形にする。
上下に振って、笑顔で義勇を見つめる。心なしか義勇もほんのり笑ってる気がする。
そしてまた義勇の手を引いて歩き出す。さーて、鬼さんや。覚悟して待ってなさい!
やはり義勇は天然(ドジっ子)だと思う。