四季の刃   作:草ナギ

17 / 21
あんまり、腐れ縁って感じではないかもですね


拾陸ノ型 腐れ縁(姉視点)

 私達が鬼殺隊に入って半年がたった。

 あれから私はというと……

 

 「義勇!義勇!どこ行った!?団子屋さんでまさかのお茶してるっていうパティーンじゃないよね!?」

 

 実は前回本当にそんな事になってたから笑えない。

 しかも、なんで私が義勇と行動を共にしているかと言うと、

 

 ≪今度ハ東南ニ向カエェー!ソコノ村デ子供ガ立テ続ケ二消エテイルゥー!楓!義勇!急ギ、向カエェー!≫

 

 「はいはい、分かったから!八咫も義勇探して!ここ最近立て続けだなぁ……」

 

 そう、半年前に偶然町で会ってから、義勇とは合同で鬼退治する事が多い。

 別に嫌ではない。むしろ、友達と一緒なのは心強い。

 義勇、強いしね。本人はまだまだ未熟だって言ってるけど。

 何?あそこの人だかり……あ!あれは!!

 

 「ああ!義勇!?こんな所で何してたの!……どうしたの?これ」

 

 「…………」

 

 なんと、義勇ってば女の子泣かせてる!でも、女の子は義勇の羽織を握っていて離そうとしてない。

 一体この状況はなんなんだ……。

 

 「いや、本当にどうしたの?女の子泣かせちゃった?」

 

 「……泣かせた訳じゃない。どうやら勘違いしている様だ」

 

 「「「あんた!喋れるんじゃないか!!」」」

 

 周りに居た人達がすっごい驚いている。あー、これは

 

 「義勇、まさかずーっと話しかけられてたのに、喋ってなかったの?」

 

 こくりと頷くあんぽんたん。思わず頭を押さえる。ず、頭痛が……

 すると泣いていた女の子は私を睨んで高らかに宣言した。

 

 「この人は私のお婿さんになるんだから!」

 

 「は……はいぃぃぃいいいいい!?」

 

 何をいきなり!?凄い事言ったよこの子!

 

 「だから、誤解だと言っている」

 

 「誤解じゃないもん!ちゃんと”責任はとる”って言ったもん!責任とってわたしのお婿さんになってね!」

 

 あ、泣き止んでる。こ、この子、嘘なきだ……なんていう高等技術を。

 

 「義勇、どういう状況で言ったのか覚えてる?」

 

 「……裏路地で助けた。その時にくじいたらしい。責任を取って帰ると言った。」

 

 ふむふむ、つまり……

 

 「『裏路地で感じの悪い奴らに絡まれているのを助けた。でも途中で人質に取られてその時に足をくじいたらしい。足の怪我の責任を取って家まで送る』って言ったつもりだったのね。もっと分かりやすく、長く話しなさい。特に最後」

 

 その私が通訳?した言葉を聞いた周りの人は驚いて私を見る。

 代表して近くに居たおじさんが聞いて来た。

 

 「嬢ちゃん、この小僧の言った事分かるんか?」

 

 「付き合い長いので」

 

 義勇は無表情だけどホッとした雰囲気になった、けれど女の子は納得していなかった。

 

 「嘘よ!この人を見て一目ぼれしたから、わたしに取られまいと嘘ついてるんだわ!」

 

 おわー、なんかややこしい事言い始めたぁー!次の任務があるのにー。でもねー、お嬢さん。

 

 「義勇がわざわざ気を使って、本当に足をくじいた事にして人の目を集めない様にしてたのに、この騒ぎ。随分と余裕なのね?」

 

 「は?なんでそんな事?」

 

 え、本当に分からない??

 

 「分からない?男の人に襲われたんでしょう?噂がたったら貴女の事周りはどう見るでしょうね?」

 

 「そんなの!この人が責任取ってくれれば!」

 

 「責任を取る必要はないって言ってるの。だって貴女」

 

 足をくじいたにしては、随分と真っ直ぐに立つのね?

 そう女の子に耳打ちすれば、きょとんとした顔をして直ぐに顔を赤らめて

 

 「もういいわよ!責められてるわたしを庇ってくれない人なんていらないわ!」

 

 そう大声で義勇の羽織を掴んでいた手を勢いよく離して、ずんずんと音が鳴るんじゃないかって程、足を地面に踏みしめて人ごみに消えていった。

 

 「あの子また同じ事したんだねぇ」

 

 さっき話しかけて来たおじさんとは反対側にいたおばさんが言う。どういう事?

 

 「あの子、近所では有名でね。気に入った男見ると理由を付けて結婚の約束をしようとするんだ。今回は本当に結婚決まるか!なんて思っちゃったよ」

 

 な、なんて傍迷惑……。当の義勇といえば眉を顰めて

 『それはなんという迷惑な。今後は気を付けなければ……』

 なんて事を雰囲気で言ってきた。まぁ、わかるけど……ね!

 肩にかけて持っていたリュックもどき(私が作った)で後頭部をどついておいた。

 

 「何をするんだ」

 

 どつかれた後頭部を押さえてジッと見つめて来た。分かってないって事も私には丸分かりやぞ!

 

 「言葉が足りない!もっと分かりやすく!ちゃんと喋りなさい!」

 

 「……すまない」

 

 そんな私達を周りにいた人達は、そっかー、またかー。とか、兄ちゃんも気を付けるんだぞーとか、優しい言葉をもらって皆離れていった。

 義勇はというと、シュンとしているので反省してる様なので一応許してあげよう!もう!仕方ないなぁ。 

 

 「……もう怒ってないよ。前にも言ったでしょ?私が居るからって説明とか省略しない。分かった?」

 

 こくりと頷いた。若干眉を八の字にしている。とりあえず分かってもらえたようだ。

 

 「ほら、八咫が私達の上でばたばた飛んで、早くって急かしてるから急ごう!今度は東南だって」

 

 「……合同なのか?」

 

 私が義勇の手を引いて町から東南の方向に向かおうとしたら、そう聞いて来た。あ、そうか。義勇は聞いてなかったね。

 

 「うん、またらしいよ。最近多いよね。別れて退治する方が少ないのって珍しいらしいよ?」

 

 さっきも思ったけど、義勇とは合同が多い。

 錆兎とだって極たまに会うのに何故か義勇とは良く会うのだ。

 こんなに合同が多いともうペア組んでやってた方が楽だと思う。

 

 「私と合同は嫌かい?」

 

 ふるふると横に顔を振る義勇。君は幼い子供かな?

 

 「良かった。とにかく、またよろしくね!義勇!」

 

 「……ああ」

 

 歩いていた足を止めて、握っていた手を改めて握り直し、握手の形にする。

 上下に振って、笑顔で義勇を見つめる。心なしか義勇もほんのり笑ってる気がする。

 そしてまた義勇の手を引いて歩き出す。さーて、鬼さんや。覚悟して待ってなさい!

 




やはり義勇は天然(ドジっ子)だと思う。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。