四季の刃   作:草ナギ

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今回も恋愛色強めかも?


拾漆ノ型 幸福(妹視点)

 炭治郎くんから結納しよう!成人したら夫婦になろう!って言われた日から皆、行動が早かった。

 結納の話は実は前から決まってました。みたいな感じで、直ぐにまとまったけど、”正式結納”……えっと、仲人がお使いとして、結婚する人の家を行き来する事で、結納品を納めるというものなんだって。

 私の家が分からないのと、収める結納品なんて無いし、元々竈門家に住んでいるので無しになった。

 なので私達がやるのは”略式結納”。

 お嫁さんの家か、料亭などに両家が集まり、結納品を納めるというもの。これも同じ理由なんだけど、お祝いとして竈門家の皆でやる事に。

 あ、あと、炭を売りに行く町の人達にもお話だけ話をしたの。

 そうしたら、出来る限りのお祝いだよ!って農家の人から卵やお野菜等を、反物屋さんから売れ残りだけど生地の柄が綺麗な桃色の反物を、よく多めに炭を買ってくれるおじさんとおばあさんから沢山のお菓子といも餅を、子供達からは自分達の宝物だ!お祝いだからあげる!って言って、いろんな小物をくれた……。

 その翌日に葵枝さん曰く、ささやかなモノでごめんね。ってお赤飯や、山菜の天ぷら等のご馳走を作ってくれて……こんなにしてくれてるのに葵枝さんが謝る事でも、全然ささやかだなんてものでは無く、むしろお礼を言わないといけないのは私で。

 本当なら記憶喪失の得体のしれない私を受け入れてくれた、大好きな竈門家の皆や町の人達が私が炭治郎くんのお嫁さんになる約束をした事を祝福してくれる……涙が出る程、嬉しかった。

 泣いた私を見て炭治郎くんをはじめ、兄弟達皆が慌ててた。

 炭十郎さんと葵枝さんは微笑ましいモノを見たって感じで笑ってたなぁ。

 と、いう訳で結納も済み、いつもの日常が戻って来た。

 ただ、違うのは私と炭治郎くんが許婚の関係になった事。

 そしてもう一つ……私、とっても困ってます。

 

 「調、もう一回!」

 

 「た、たんじ…ろ……くん、今日はもうやめよ……?」

 

 「あとちょっとだから、がんばれ!調!」

 

 そう、許婚の関係になったんだから名前を呼び捨てにしよう!って炭治郎くんが言い出して……。

 なんというか、ずっと炭治郎”くん”だったから、なんだか恥ずかしい。

 そんな私の心境をわかってくれるのは葵枝さんと禰豆子ちゃんだ。

 炭十郎さんは分かってるけど、ちょっと楽しんでる節があるので除外です。(ぷんすか)

 最近、心の中でなら炭治郎って呼ぶ事が出来る様になったけど……。

 口に出すとダメになってしまう。特に本人の前では。

 

 「たんじ……ろう…くっ……」

 

 「あ!もう少しだ!調、がんばれ!」

 

 「う、うん。がんばりゅっ……あう、噛んだ」

 

 「…………お前ら何やってんだ?」

 

 町のお兄さんが話しかけて来た。実は今いる所は町の駄菓子屋さんの横。

 木の長椅子が置かれているからそこで座りながら食べれる様になっている。

 炭を売りに来て、炭十郎さんにすぐ戻るって約束して前回来た時には買えなかった禰豆子ちゃん用の金平糖を買いに来たのである。

 

 「俺の名前を呼び捨てで呼べるように練習してるんだ」

 

 「へ?そんな事練習してるのか?」

 

 「は、恥ずかしくて……」

 

 思わず顔が熱くなる。炭治郎くんと練習してる時も恥ずかしかったけど、他の人に聞かれると尚の事恥ずかしい……。

 

 「その練習、外でやらない方がいいぞ」

 

 「「??」」

 

 「……なんていうか……調の声がだな。声だけ聴いてると、なんていうか、やべーぞ」

 

 「「??」」

 

 やべーぞ??何が危ないんだろう……?炭治郎くんも分からないみたい。

 

 「あー……炭治郎、ちょっと来い」

 

 「え、うん」

 

 そう言ってお兄さんは手招きして炭治郎くんを呼ぶと、周りを見渡して耳打ちする。しばらくすると……

 

 「……?……!……?!」

 

  ? どうしたんだろう?炭治郎くんの顔色が変わって最後、顔が真っ赤になっちゃった。

 お兄さんが耳から顔を離した。何を話していたんだろう??

 

 「まぁ、つまりは、そういう事だ。その練習は家でやりな」

 

 「は、はい!失礼しましたぁ!!」

 

 「 ? 炭治郎…く…ん?どうしたの?」

 

 私がそう聞くと炭治郎くんは何故か慌て出した。んん??

 

 「な、なんでもないんだ!練習はおしまい!いい加減父ちゃんの所に戻ろう!」

 

 「??うん」

 

 ふと周りを見ると、さっきのお兄さんがいつの間にか遠くに居て、私が見ている事に気付いて手を振っていた。

 振り返そうと思ったら、炭治郎くんが手をいつもより強く握っていて引っ張られる形でさようならをした。

 本当になんだったんだろう?

 炭治郎くん曰く、名前の呼び捨ての練習は家でやる事にしようとの事だった。

 ……諦めてはくれないのが炭治郎くんらしいけど、ダメですか。そうですか。

 

 

 □■□■□■□■□■□■

 

 

 そんな謎な事があってから一か月。なんとか、たんじろ……う…の事を呼び捨てに出来るようになった。

 初めて呼び捨てに成功した時のたんじろうはとても嬉しそうだった。

 呼べて良かったって思うけど、二度目に名前を呼んだ時、顔を真っ赤にさせていたけど、何かあったのかな?

 私はただ、喜んでくれたたんじろうが……その…愛おしかっただけで、笑いかけて名前を呼んだだけなのに……。

 でも、なんでなんだろう?名前を呼び捨てにしただけなのに、こんなにも幸せな気持ちになるのは。

 もう、仕方ない事だけどさっきから疑問ばかり。ダメだなぁ……。

 私はこの竈門家の皆に受け入れてもらって幸せばかりだけど、罰が当たったりしないか怖い。どうかこれからも幸せが続いていく事を祈ってます……。

 




次の妹視点はまた+αするかも。
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