四季の刃   作:草ナギ

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陸ノ型 歌(妹視点)

 竈門家の家族になって更に半年たった頃。

 私に不思議な事が起こってた。

 竈門家の子供達に私が何故か覚えている子守歌を歌うと家の外に動物達が集まるのだ。

 子守歌自体に何かあるのかと思ったのだけれど、違うみたい。

 それだと原因が分からなくて困る。

 だって……

 

 「まさか、熊まで来るなんて思わないよね……」

 

 「調姉ちゃん、しーだよ。しー」

 

 数日たった頃に皆のお昼寝がしやすい様、歌を歌っていたら、大きな熊まで来てしまったのだ。

 でも、意外な事に熊は、歌が終わってしばらくすると自分で山奥に帰っていった。

 葵枝さんにこの山では歌を歌うと、動物達が寄ってくるものなのか聞いてみると

 

 「いいえ、そんな事ないですよ。本当にどうしたのかしら?」

 

 炭を売りに行っていって帰って来た炭十郎さんと炭治郎くんにも聞いてみた。

 

 「怪我はなかったかい?」

 

 「はい、皆で家の中で静かにしていたら、山奥に帰って行きました」

 

 炭十郎さんは、そうかっと言うと私の頭をそっと撫でてくれて、調や皆に何もなくてよかったよ。と言うと家の中に入っていった。

 炭治郎くんはそんな私達のやり取りを見ていて、少ししたらこちらに近付いて来た。

 

 「調、大丈夫だった?」

 

 「うん、大丈夫だった」

 

 「……嘘ではないな。どちらかと言うと不安がってる匂い?」

 

 「え?」

 

 匂い?私、何か匂うのかなって慌てちゃった。

 

 「あー、違うんだ。俺、結構鼻が利くんだよ。人の気持ちとか、物に着いた匂いを嗅ぎ取る事が出来るんだ」

 

 「そうなの?すごいね炭治郎くんは」

 

 炭治郎くんの鼻すごい!でも、なんだかワンちゃんみたい。なんて思ってしまったのは秘密だ。

 

 「どうしたんだ?不安に思うならまた俺、話聞くよ?」

 

 「うん……」

 

 歌うのは好きだけど、動物達が家の縁側の前に集まって、自意識過剰かもしれないけど、まるで私の歌を聞きに来たみたいな感じで庭を陣取っていた事を話した。

 

 「子守歌が原因じゃないってなんで思ったんだ?」

 

 「実は家から少し離れて他の歌を歌ってみたの。そうしたら……」

 

 そう、子守歌に誘われて来たなら他の歌でなら来ないかも。って思ったのだけど、別の歌を歌ったら私の前に動物達が集合してしまったのだ。

 どういう事なんだろう。って自分の歌に戦慄した。

 本当は分かってた。原因は私の声だ。

 私が歌うと寄ってくるみたい。

 大きな鹿が来た時は思わず歌うのをやめてしまい、動物達はそんな私を見つめて、勘違いでなければ”続きを歌え”と言っているかの様だった。

 その時は怖くなって逃げた。

 歌を歌うのは好き、でもこんな事が起こるなら、歌うのは止めた方が良いかもしれない。

 そういう事を炭治郎くんに話してみた。すると炭治郎くんは

 

 「俺、まだ調の歌を聞いた事ないな」

 

 「そう言えばそうだね。炭治郎くんは炭十郎さんと炭を売りに行ったりしてる時に、歌を歌うのをねだられてるから聞いてもらった事ないかも」

 

 「…………」

 

 ちょっと考えるそぶりをしてから私の手を取って、家の裏に向かうのかと思ったら、そのもっと奥。遠くの方で竈門家の家が見える範囲まで山を登ると

 

 「調」

 

 「何?」

 

 「子守歌、歌ってみて」

 

 炭治郎くんは私と握っている手を両手で包み、調が歌う歌を聞いてみたい。っと言い出した。

 

 「でも、また大きな熊が出たら……」

 

 「その時はその時。調は長男の俺が守るよ」

 

 そこは長男は関係ないのでは?なんて思ったけど、炭治郎くんが言うと、なるほど。なんて思ってしまう。

 

 「じゃぁ、歌うよ?」

 

 「うん」

 

 とにかく歌ってみよう。そう思って深呼吸した後、ゆっくりと歌い始める。 

 

 

 ――――ねんねんころり、ゆりかごの

     ねんねんころり、夢の中

     ねんねこねこり、穏やかに

 

     ねんねんころり、ゆりかごで

     ねんねんころり、月明かり

     ねんねこねこり、安らぎを――――

 

 

 そこまで歌うと、炭治郎くんと手を繋いだままで歌っていた事に気が付き、恥ずかしくなって顔を伏せてしまった。歌も中断。

 反応がない事に気が付き、炭治郎くんをちらりと見てみる。

 すると炭治郎くんがじっとこちらを見つめて来てる事に気が付いた。ひぇっ。

 

 「調」

 

 「は、はひ!」

 

 いきなり呼ばれて噛んでしまった……。

 

 「調って歌を歌うのが上手いんだな!」

 

 「ふえ?」

 

 「もう少し調が歌っていたら、俺も寝るところだったよ」

 

 ん?俺”も”?

 良く見ると茂みで隠れてるけど、動物達が居た。

 皆、気持ちよさそうにスヤスヤ寝ている。

 

 「調の歌はどこか安心する」

 

 「そ、う……かな?」

 

 そんな事を言われると、動物達を呼んでしまう声でも嬉しい。

 

 「多分、動物達もそうだと思う」

 

 「 ? 」

 

 「動物達も調の歌が好きなんだと思うよ。だから、集まってしまうんじゃないかな。俺も調の歌、好きだ」

 

 ……炭治郎くんってもしかして人誑しの才能があるのでは?

 正直に言うと嬉しい気持ちもあるけれど、すっごく恥ずかしい。

 なんだか繋いでる手から伝わって、私の心臓の音が丸聞こえなのでは?なんて思う。

 顔が熱いから赤くなってるだろうと思って伏せた。

 そろそろ日が暮れるっていう事で急いで家に帰える事にする。

 炭十郎さんと葵枝さんにさっきの事を少し話した。

 動物達が来てもまた家で歌を歌っても良いですか?って聞いてみた。

 二人は微笑んで気にすることはない。好きな時に歌いなさい。って言ってくれた。

 それにそんなに報告しなくても好きにして良いんだよって。

 また一つ、恩が出来てしまった。

 




炭治郎は鼻が良い。つまり、妹の気持ちは下手したら丸わかり!
そんな妹を炭治郎はどう見ているのか!
っていうか気付いてる??気付いてないの??どっちなの??
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