光子、神皇宮へ行く   作:黄錦龍

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長くなりそうなんで前編。
妄想と勢いが産んだ駄文。
暇つぶしに見てくだされば幸いです。


前編

これは、もしかしたらこの先起きるかもしれない物語。

これは、有り得たかもしれない未来を描く物語。

これは、機械から降りた超人達が誤解する物語。

 

 

 

 

さて、語り部となる人物である指揮官様はとある少女をまるで侍らすかのように寄り添いつつ、毅然とした面持ちで視線を前方に向けていた。

その指揮官様は厳かな雰囲気で腕を組み、それでいて物静かに前方を見据えている。

 

 

「やぁやぁご両人。相も変わらず迸る殺気を放つものだねぇ」

 

 

ーーーあの時と同じじゃないか、と言葉を締めつつ視線を傍らに向ける。

指揮官様の語りにあるとおり、視線の先にいるのは2人の『門番』。あの時指揮官様が初めて2人と会った時と変化がない状況を、飄々とした態度で喜ぶ。

これがこの指揮官。喜怒哀楽をしっかりと分別し、メリハリ効かせては数多のパイロットや機体を魅了してきた。あの門番2人も、そして常に傍らに寄り添うように立つ少女も。

 

 

傍らにいる少女、佐々木光子は少々不安げな面持ちで指揮官様と目を合わせていた。それもそのはず、訳もわからず理由の説明も詳しく受けずに、所詮は学生の身分でしかない彼女が訪れている場所に問題があるから、不安を拭えないでいるのだ。

 

 

神皇が住まう皇居。豪奢、絢爛、その言葉が波動の重圧としてのしかかるように存在感を与えてくる施設。今まさにその門前に、指揮官様は光子を連れてきているのだ。

この先には、日の丸を代表とする少女がいる。それだけでも緊張しないわけが無い。だがしかし、緊張の原因は別にあるのだと言うのは指揮官様にも読み取れている。

 

 

先述した通り、指揮官様はここを以前も訪れている。あの時と変わらず、神皇様を守護する『門番』が如何なる来客をもってしても立ちはだかる。光子は、その門番2人が放つ威圧的な波動に、気圧されてしまっているが故に緊張を着込んでしまったのだ。

 

 

門番の1人である、物静かで清廉な雰囲気の男が、指揮官の言葉に真っ先に反応を示した。

腰に提げた刀に、手を伸ばしながら。

 

 

「貴殿も変わらぬ様子。安心しました」

 

 

そう語るこの男は、神志名蒼司。

誠実で寛大なる人物だが、少々武士道精神に傾倒しているためか現代に合わない言動と見た目をしている。一言で表すなら、堅物武士といったところだろう。

表情は指揮官の語りを聞くなり、微笑むように崩れたがそれも一瞬ーーー依然として警戒の糸を指揮官様を前にしても緩めはしない。

 

 

それでこそ立派な門番。だからこそ神皇様は安心できるのだろう。

 

 

「面会の件ならば神皇陛下からお話は伺いしておりまする。どうぞ、中へ」

 

 

と、刀から手を離し誘導するかのように指揮官と光子を手招きする蒼司。

 

 

だがーーーパシンッと。そのジェスチャーを叩き落とした人物がいた。

もう1人の門番、奈鬼羅カルマ。蒼司とは正反対に野蛮で闘うことを嬉々とした鬼の如き風貌の人物。一言で表すならば、風来坊といった所か。

 

 

「待てよ大将。俺としちゃよォ、隣にいる別嬪な嬢ちゃんが気になるわけよ。前来た時はいなかったろ?」

 

 

「待てカルマ、今回彼は客人としてーーー」

 

 

「テメェは黙ってろ。俺の話を最後まで聞けや」

 

 

蒼司が光子に注目するのは如何なものか、と忠告しようとしたがカルマが双眸をギラギラと鋭くして遮った。

 

 

思わず蒼司が気圧されてしまったのを他所に、相棒のことを気にもとめずカルマは表情を次第に微笑みで歪ませていく。

 

 

「……良いな、テメェ。ぜってぇ強いだろ?」

 

 

カルマの視線の先は指揮官の傍らにいる、佐々木光子しか映し出されていない。

彼は強者を前にするといつも視野が狭くなり、注目を一切合切崩したりはしない(というか出来ない)性分にある。

 

 

指揮官様や神皇もそれが分かっているくらい、カルマという男は単純なのだ。

 

 

光子は自分がカルマに見詰められている事を察してか、表情を真剣なものとする。程よい緊張感で冷や汗を垂らしながら。

 

 

「拙者、でございますか?」

 

 

「拙者! 拙者ときたか。テメェもコイツと同類かよ笑えるわ」

 

 

何をしでかすのか、と警戒する蒼司よりも前に出つつカルマは盛大に笑いあげた。

だが、『先程よりも殺気が強烈になった』のを指揮官様は肌で感じとった。

 

 

それを狙い通りであるが故に指揮官様はほくそ笑むのだが、その笑みにはこの場にいる誰も気づかない。

 

 

一方で光子は、指揮官様の前に立ちーーーまるで殿様を守る側近であるかのように、重心を落として腰に携帯している刀の柄を掴む。

 

 

「お主、何を……?」

 

 

「あァー……俺はよ、強そうなやつを見ると身震いしちまうみたいでよ。大将が連れてきたアンタが直感でそうだと告げてるんだわ。で、だ」

 

 

ぶっきらぼうに返答しつつ、背負った竹刀を抜き取るやいなや乱暴に振るって。

 

 

「ちょっくら、ひと試合やらせてくれよ」

 

 

「おいカルマ、彼等は客人でーーー」

 

 

「なぁ大将、良いだろ? 最近刺客が来なくて身体がなまってんだよ。運動、付き合ってくれよ」

 

 

「はっはっは、光子……相手してあげてくれ」

 

 

「よろしいのですか?」

 

 

「うん、護衛と神皇様に紹介も兼ねて連れてきたんだけど……折角なら打ち合い、見てみたいなって」

 

 

朗らかな表情で語り合う。

しかし空間は剣呑な舞台と様変わり。

 

 

カルマは笑う。久々の強敵と試合出来るから。

指揮官様も笑う。『思った通りの展開にことが運んでいる』から。

 

 

「ではカルマ殿、お手合わせ願います」

 

 

「逆だ。俺が手合わせ願うんだよ」

 

 

反対に。

光子は表情を引き締める。指揮官様が見てくださる手前、無様さ見せられないから。

蒼司は溜息を吐く。またカルマの癖が出てしまい、こんな状況を止められない自分の不甲斐なさを理由に。

 

 

カルマ、光子。

両者ともに前へ出る。

方や竹刀、方や日本刀。それぞれの愛刀を握り締めて。力が込められて、しかし表情は力まず落ち着いていた。

 

 

「なんか悪いねぇ蒼司くん」

 

 

「いえ、貴殿は悪くない。……またカルマの悪い癖を見せてしまい、こちらが謝罪を」

 

 

「堅苦しくしないで。これからが楽しみだよ」

 

 

「楽しみ、とは?」

 

 

「……光子、強いよ?」

 

 

「ほう、カルマが負けるとでも?」

 

 

「んー、それを楽しみにしてるんだよね」

 

 

「貴殿は読めないな……全く」

 

 

「よく言われ……るのかな、分かんないや」

 

 

そんなやり取りをしている最中。

蒼司の呆れた表情と指揮官様の物静かな雰囲気を他所に。

 

 

向き合うは、桃色の武士と鬼。

両者ともに、剣を構える。

カルマは型がないのか、軽く素振りでもするかのように待ち構えていた。

一方で光子は、抜刀術の型を選択しカルマ同様に相手の出方をうかがっている。

 

 

ーーー静寂な時間、わずか数秒。それを打ち破ったのは………!!!

 




続くかもしれないし続かないかもしれない
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