遊戯王GX 真のデュエリストを目指して   作:遊戯王勉強中

1 / 1
どこまで続くかわかりませんが、最近遊戯王GXの始めらへんの日常回を見ててめっちゃ面白かったので、ただのデュエルアカデミアの日常を書きたくなって書きました。あと、遊戯王のルールが分からなさすぎて、勉強と確認のためにも調べつつ、なおかつある程度わかりやすく説明できたらなと思います。処理が間違ってるやルール間違ってるなど、あれば教えていただけると本当に助かります。






1話 下には下がいるがその真下

「はぁ……やっぱ俺この世界向いてないわ」

 

俺は大きく溜息を吐きながら食堂の机に突っ伏した。俺がこんなに今落ち込んでいるのには理由がある。それは、今日は俺の通っているイースト校中等部で中間試験があり、この中間試験では一般科目の他に、デュエルの試験として筆記試験と実践試験の二つがある。これは、強いデュエリストはカードへの理解と扱いの両方ができていなければならないと教師たちは考えているらしく、筆記試験は基本ルールやカードの扱い、遊戯王の歴史などを主に問題としており、実践試験は実際に教師陣と戦ってみようというものだ。教師陣と戦う際は前日に教師の使うデッキについて教えてもらえるため、対策を立てれば勝つのは容易というようになっており、実際の見られているのはデッキ構築はどうかやプレイングミスがないかどうかなど勝敗以外も試されているが、この俺、高築 白星(たかつき しろぼし)はこの試験入学から一度も勝てたことがない。そして、今回も例外でなく……

 

「なんだ、また実践試験負けたのか。本当に毎回勝てないなお前」

 

青色の制服を着た俺の友人、松島 巡一郎(まつしま じゅんいちろう)は憎たらしい笑みを浮かべながらオレンジジュースを飲んでいる。

 

「筆記試験そっちのけでデッキ発表されてた10日前から必死に練り上げてきたデッキなんだけどなぁ」

「ハハハハ、それがあのネチネチ妨害してくるだけのデッキか?」

「いや、違うって!本当はそれがテーマじゃねえからな?あいつらは俺のデッキを生かすためのスパイスだ」

「スパイスも何もそいつらばっかりしか出てこないがな。ほらなんだっけ、春うさぎ?だっけか」

「混ざってる混ざってる、『灰流うらら』と『幽鬼うさぎ』な」

 

あのカードどう見ても強いはずなんだけどな。先行取られたとき妨害出来る唯一の策だし、『灰流うらら』なんてデッキからくるカードの効果なら大体止めてくれるから絶対強いし『幽鬼うさぎ』もカードの効果の発動に合わせて撃てば、破壊耐性持ってない奴らは大概倒せるし。

でも前回の試験で起こった、うらら×2とうさぎ×2ハーピィの羽根箒で先行とかいう、俺が組んだはずの「先行で『大天使クリスティア』たててオネストで封殺するデッキ」がもう原型がわからないほどの事故を起こしてたからな。あのデッキも俺の運命のデッキではなかった。

 

「それにしても、相変わらずイラストいいやつばっかり好んで使うよな、お前」

「いや、イラストで選んでないって何回も言ってるだろ!イラストで選んでたら今頃俺のデッキは家に飾ってる『ウィッチクラフトマスター・ヴェール』のデッキになるわ!」

「本当かよ、この前のトリックスターとか言うデッキだって可愛いだけのチクチクバーンするだけのゴミデッキ使ってたじゃん」

「お前ふざけるなよ!あのデッキ死ぬほど強いんだぞ?」

「んなわけあるかよ、あのデッキには火力が足りないね。攻撃力が最高で2000でバーンも200程度のデッキとか俺には物足りなすぎるぜ」

「何言ってんだ、トリックスターは速攻だぞ。自分のターンが2回回ってくる頃にはだいたい勝負が決まってるからな。しかもそれだけじゃなく、あいつら必要パーツが少ないから妨害カードたくさん詰めるっていうイカレっぷり」

「まーた、始まった。まったくよ、そんな別の世界に生きてるようなおめでたい発想はどっから来るんだよ」

 

ふざけやがってよ……でも、お前に勝てたことないからグゥの根も出ねぇ……

 

「まぁ、そんなどうでもいいことは置いといて俺のデッキについてアドバイスくれよ」

「やだね、俺のデッキを散々馬鹿にした挙句デッキみろなんてそんな都合の良すぎることあるわけないだろ!」

「そこをどうにか!」

「やだね」

 

ウルウルしながらこっちをみんな、男がやっても気持ち悪いだろ!

 

「わかった、わかったからその気色悪い顔やめろ。で、デッキは?」

「助かる〜!これなんだけど」

 

ジュンは腰にぶら下げたデッキケースからデッキを取り出してきた。それを俺は受け取り中身を見ていった。

 

『暗黒界の取引』、『暗黒界の尖兵 ベージ』、『暗黒界の狂王 ブロン』……なるほどね、暗黒界デッキか。暗黒界の効果発動条件は墓地に捨てられた場合、効果発動する奴らなんだったよな。

 

「そういえば、この前のデッキはどうしたんだ?確か召喚獣使ってなかったか?しかも、強いからずっと使うわとか言ってなかったっけ?」

「あ、いや、それはだな。同じデッキ使って戦ってたから……飽きちゃってやめた」

「勝率が下がったとかじゃ無いのか。それはまた贅沢な悩みなことで」

 

こいつ勝てるデッキ手放すとか……まぁ、そうやってこいつ何回もデッキ変えてるから今回もそうだろうと思ったけど。

 

話しながら俺はデッキのカードをペラペラと見ていく。

 

「つまり、新しく自分でデッキ構築したのはいいけど、あまり回らないから俺を頼ったと……なるほどね。オッケー、だいたいデッキ内容も理解した」

「で、どうだった?」

「まずだな、暗黒界のカード入れすぎ。自分の知ってる限りの暗黒界のカードだいたい入ってたし3積みされてたわ」

「いや、普通はそれで完結するはずだろ?ほとんどのカードはちゃんとコンボあるし。問題なさそうなんだけどな」

「とりあえず、要らなさそうなカードを考えたらまず、通常モンスターは論外だな。こいつらは手札から捨てられても何も効果が発動しないからな」

 

『凡骨の意地』とか『下克上の首飾り』とか入った通常モンスターデッキなら強いかもしれないけどね。あのデッキで勝ったことないけど。

 

「んー、まぁあとは適当に枚数調節してと……じゃあこっからはこのデッキに相性いいカードだな。まぁもうわかってるが一応聞いておく。型は……」

「ワンキル型」

「だよなぁ……」

 

こいつの作るデッキはいっつもワンキル型なんだよな。ワンキルする楽しさはわかるが、ワンキルデッキ使うには俺にはドロー力足りなさすぎるからなぁ……せいぜい、デッキレシピ考えたあとランダムで手札決めて一人で回した時の想定しつつ、勝てそうな回り方したらニヤニヤしながら、はい勝ちぃ!!!!っていう遊びしかしないわ……あれ、今考えたら何してんだ俺。めっちゃ寂しいやつやん……

 

「ちょっと待ってね、えーと、『墓地利用汎用ノート』と『闇属性汎用ノート』、『汎用ノート』、『悪魔族汎用ノート』、『闇属性デッキレシピ』……」

 

俺はカバンに入った何冊のデュエル研究ノートをかき分け探す。

 

このノートは俺の血とお金と時間の結晶だ。小さい頃から勝利の味を知らなかった俺はひたすらノートに使ったカードや使われたカードやプロが使ったカードなどをチェックしては書き込んでいた。おかげさまでデュエル科目の筆記のテストはTOP10にはいつも入れている。……まだ、一度も勝てないが。

 

「あー、3冊あったわ。まずどのデッキでも使えそうな汎用編から見てくかな。ほい、一緒に使えそうなカードあるか探そうか」

「えー、だって依頼なんだからそっちだけでやってよー」

「お前のデッキだぞ?手伝え」

「ちぇー、わかったよ……デッキ考えるの苦手なのに……」

 

昔、悔しい思いをしながら書いてたのを思い出し懐かしみながらペラペラとページをめくっていく。

 

「まず伏せカードでのワンキル阻止を考えて、『ハーピィの羽根箒』は欲しいな。あとは、『手札抹殺』、『おろかな埋葬』あたりは入りそうだな」

「なるほどな、墓地に送られた時効果を発動するカードがほとんどだからな。でも『おろかな埋葬』は何で?」

「そりゃ、確実に『暗黒界の龍神 グラファ』を墓地に送れるとんでもカードだからだよ。このデッキのワンキル型の要はこいつになる。攻撃力3000が3枚並ぶことだってできるしな。つまり、実質滅びのバーストストリーム3連打デッキだぞ。弱いわけないよな?」

「せやな?」

 

グラファにとって墓地は第2の手札だからな。いや、なんなら手札にいるより墓地にいる方がいいからグラファだけは墓地は本物の手札だな。何言ってるか分からなくなってきた。なんだよ墓地が本物の手札って……。

あ、だけど過去のデュエル歴史研究家が言っていた『真のデュエリストにとって墓地は第2の手札』という言葉自体はあったらしい。あまり有名じゃないから教科書にも乗ってないけど、俺は割と好きな言葉だ。ちなみに、その人が有名じゃない理由として、その後どっかのお偉いさんが『真のデュエリストはデッキが第2の手札である』という反論のせいである。この言葉も割と好きな言葉だが、実践できるかと言われたら今の俺には無理だ。たぶん手札に持ってくる効果のカードの入れる量が悪いんだと思う。

 

あと、自分で暗黒界回してた時は『スキルドレイン』と併用して使っていたけどね。墓地で発動する効果だからフィールドのモンスターカードの効果を無効化する『スキルドレイン』とはとんでもなく相性良すぎてたし。思いついた時は、「これこそ最強のカードだー」って調子乗って通り魔デュエルしたら、スキドレ3枚手札に来てグラファ2枚でフルハウス決めたのは今ではいい思い出だ……いや、全然いい思い出じゃないわ。

 

「んじゃ、これとかどうだ『手札断殺』」

「あー、それよさげ……じゃないな。いや、まぁ入れてもいいかもしれないがそんなに相性良くないな」

「なんで?」

「そのカードは2枚墓地に送って2枚ドローするっていう効果だからだな」

 

何言ってんだこいつちゃんと日本語喋れみたいな顔してるな。

 

「んじゃ、『手札断殺』と『暗黒界の尖兵 ページ』の効果を見てみるか」

「これが『手札断殺』」

 

 

と言いつつ、ノートに貼られたカードの写真の効果を見せる。

 

速攻魔法『手札断殺』

お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地に送る。その後、それぞれのデッキから2枚ドローする

 

「次にこれが『暗黒界の尖兵 ベージ』な」

 

星4 効果モンスター 『暗黒界の尖兵 ベージ』

このカードがカードの効果によって墓地へ捨てられた場合、このカードを墓地から特殊召喚する。

 

「この二枚、何が違うかわかる?」

「カードが違う?」

「いやカードは違うが今回はそういうことじゃなくてだな」

 

今はそんなことないと思うけどね

 

「あー、もしかして『墓地に送る』と『墓地に捨てる』って部分?」

「そうそう、『手札断殺』は墓地に送る効果だから『暗黒界の尖兵 べージ』の効果は発動できないんだよね。まぁ、今回の理由をもっとまとめて言うなら処理が違いますって感じかな?」

「なるほどね」

 

んー、念のためにもう一つ確認しておくか。

 

「あとさ、もし『ライトニング・ボルテックス』を発動してその効果で『暗黒界の尖兵 べージ』捨てたときって『暗黒界の尖兵 べージ』は効果を発動できると思う?」

「まぁ、できるんじゃね?」

 

俺は頭を押さえた。

あぁ……やっぱりかうすうす感づいていたけど。

 

「違うぞ、発動できないが正しい。『ライトニング・ボルテックス』の発動条件は効果ではないからな。ほら、ここの汎用ノートに書いてある『ライトニング・ボルテックス』の効果を確認してみろ」

 

通常魔法 『ライトニング・ボルテックス』

手札を1枚捨てて発動できる。相手のフィールドの表側表示モンスターを全て破壊する。

 

「『手札を一枚捨てる』っていうテキストは発動条件であってコストではないからな。効果は後半の相手のフィールドの~ってやつからだ。だから『暗黒界の尖兵 べージ』は効果で捨てられてないから発動できないってことだな。よほど昔のカードじゃなければ『発動できる』って言葉の前に書かれているからわかると思う」

「なるほどな、そういう話確か学校で聞いた覚えあるわ」

 

ジュンは納得したように手をポンと叩いた。

『コストとコストの利用法』とか中学一年の内容だぞ?言わないけど。こいつ、何でこれでオベリスクブルーに居るんだよ……羨ましいなぁ。あと、多分こいつは知らないんだろうが『墓地に捨てる』ってのは『墓地に送る』って効果に含まれるからもし墓地に行くカードの効果が『墓地に送られた場合』って効果なら『墓地に捨てる』って効果で墓地に捨てられたカードでも発動する。まぁ、要するに『墓地に送る』の一種に『墓地に捨てる』ってのがあるって感じで理解してるわ。今は無理やり覚えてるからわかるが、正直、意味わからなかった……ニンホン語難しい。

 

「あとは、デッキ動かすためにドローソースとか欲しいな。ならデッキの枚数を減らすも兼ねて『テラ・フォーミング』とか『チキンレース』も『暗黒界の門』で張り替えられるしありかな。というか、この際使う魔法カード多いし『王立魔法図書館』もありだな。じゃあ、『闇の誘惑』も『無の煉獄』も1キルだし入れちゃお」

「あ、こいつ一人でどっか行っちゃった。やっぱり頭おかしいわこいつ」

 

 

 

ー数分後ー

 

 

 

「デッキの入れるカード候補はできたかな。あとは持ってるカードとか買えるカードを考えてデッキを組むといいぞ、ちなみにデッキ名は『王立魔法図書館ドロー型ワンキル暗黒界』略して『魔法ドローワン黒界』だ!」

「おい、人のデッキの名前勝手に決めてるんじゃねぇよ。しかも何その略し方。ダサいし」

 

散々な評価だな……泣きそう。

 

ジュンはデッキ案の書かれた髪を受け取る。その内容を読むと何秒間沈黙し、突然叫んだ。

 

「なんだこれ!暗黒界のカード5種類しか入ってないじゃねぇかよ!しかもグラファとページ以外まともに出せるやついないし!しかもどう見てもデメリットやばそうなカードあるんだけど。何この『無の煉獄』ってカード、このターンのエンドフェイズに自分の手札を全部捨てるってかいてるんだけど!?」

「しょうがない。使わない暗黒界のカード抜いてドローカード入れた方がが図書館回るし、ワンキル狙いならこれを使うか使わないかでワンキルの成功率もダンチだぜ」

「ならしょうがないな」

「あぁ、しょうがない」

 

時にはデッキテーマすらも捨てなければならないのがデッキ構築のコツである。

 

「じゃあ、あとは家にカードあるか探すだけだな。もし無いカードあったら前みたいに連絡くれよ、交換か売ってやるよ」

「おっけー、もし質問あったらよろしく頼むぞ。じゃあなー」

「じゃあなー」

 

色々話してるうちにもう食堂には人は残っておらず俺ら二人だけになっていた。

 

レッド寮での食事は7時からだから……ってあれ?今6時40分……遅刻したら飯抜きだからやばい!急いでかえるぞ、ウォォォォーーーアクセルシンクロォォォォーーー!!!

 

俺は食堂を後にし意味不明な何の意味もない叫び声をあげながらdホイールのように駆け出した。

 

ーーー

ーー

 

 

学生デュエリストの一番の敵は何か。

破壊耐性?違う。相手からの妨害札?違う。手札事故?俺にとって大正解だが違う。正解は、カードを集める軍資金だ。学生デュエリストはデュエルにより人生が決定すると言っても過言ではない。そして、勝つためには強いカードは必要不可欠である。そのために必要なものといえば、やはり金。ジュンのような強いデュエリストは小さなデュエル大会に参加し、カード代を稼げるが、俺のような万年敗北者デュエリストには到底無理であるため、こうしてコツコツバイトしなければならないのだ。ということで、今俺はカードショップで働いている。

 

「それにしても、会計をちょっととデュエルスペース管理くらいしかやることないからやっぱこのバイト神だわ〜」

 

構築を考える時間があるのはやっぱり爆アドだなぁー……暗黒界のフィールド除去札どうしようかな。はじめ考えてた『ブラッホール』は初期手札にないと困るし、だからといって『ライトニングボルテックス』は発動条件に手札1枚捨てないといけないから微妙だしなぁ……

 

「よぉ、昨日ぶり」

「おぉ、ジュン。きてたのか」

「お前、俺が話しかけるまで時『マジック・ドレイン』されてそうな顔で虚空を見つめてたぞ。何してんのか知らんが、バイト中にそういことするのやめとけ。客来なくなるし、まじ怖いから」

 

えっ、そんな俺気持ち悪い顔してたの?

 

「あと言おうか迷ったけど、授業中に『強欲の壺』みたいな顔でニタニタするのやめとけ。ただでさえ悪評すごいお前なのに、まだ嫌われるつもりか?」

 

……なんていうか、もう。死にたい。

 

「いや……ご忠告痛み入る。できれば傷を負う前に助けて欲しかったが……」

「とっくに小学校との交流会で小学生と勝負した時「いやだ……いやだ……俺は負けたくないぃぃぃぃぃ!」とか言って『成金ゴブリン』から自爆スイッチ使って引き分けにするとかいう伝説作ったし、今更では?」

「やめてくれ」

 

グッフォ(吐血)……これ以上やめろ、負けるわけにはいかないって必死こいて考えたデッキだったのに、あんなちっちゃい女の子に負そうになるとは一ミリも思ってなかったんだ……思ってなかったのになぁ。

 

「素直に負けてれば女の子も泣かなかったし、教師も手加減したのかって納得してたかもしれなかったのにな。大人気なさすぎ。」

「ストップだ。これ以上致命傷を負ってる俺の傷口をグリグリするのはやめようか。お前は、何か用事があってきたんだろ?」

「あー、悪い忘れてたわ。言われてたパーツだいたい揃ったんだが、どうしても『王立魔法図書館』だけなくてな」

 

俺の記憶ではそんなにレアじゃないはずなんだけどな、あのカード。あ、こいつもしかして

 

「お前……捨てたな?カード」

「ギクッ……いや、いやぁ。たまたまあたんなかったんじゃないか?」

「毎度言ってるが、最強のカードはあるが使えないカードはそこまでない。どこかしらで使い道が発生することがあるかもしれないんだ。だからそういうカードは俺に全部くれって昔から言ってるだろ!俺のカードを勝手に捨ててるんじゃねぇ!」

「い、いや、悪かったって」

 

ったく。せっかくのおこぼれを……ん?怒るのはおかしいって?しょうがないだろ!カード研究には莫大な金がかかるんだ!

 

「ふむ、わかったならよろし。ちょっと待ってろ、多分用意してきたカードケースに入ってるから」

 

ガサゴソとカバンを漁る。

 

「お、あったあった。んじゃこれ三枚な」

「あざーす」

 

ジュンが俺のカードに手にかけた時、俺はそれをジュンの手を避けた。

 

「ん?あざーす」

 

避けた。

 

「なんだよ。くれって」

「フフフ……あげる、あげるさ。だが俺の『真ヒーローデッキ』勝てたらなぁ!」

「んじゃ、先いただきます」

 

ジュンは俺の手から無理やりカードを奪い取った。

 

「あ、おい!」

「どうせお前の負けだろ?デュエルする前でも後でも誤差だろ」

「甘いなジュン、『モウヤンのカレー』くらいあめぇよ、お前!」

「『モウヤンのカレー』は甘くないだろ。食ったことないけど」

「たしかに昨日までの俺は『モリンフェン』だった……しかしだ。今日の俺はあの『青眼の白龍』に匹敵する強さだ」

「寝言は寝て言え」

「そんな口聞いてられるのも今だけだ。俺の最強デッキ……見せてやる!」

 

暗黒界を完全にメタったこのデッキでぼっこぼこにしてやるぜ!

俺はカバンからデュエルディスクを取り出す。

 

「じゃあ行くぞ。「デュエル!」」

 

白星 LP 4000

ジュン LP 4000

 

「俺が先行はもらう」

 

言ったもん勝ち!先行いただき!

さて、手札を確認……

 

「タイム!」

「デュエルにタイムってなんだよ」

「相談がある」

 

俺は手札をジュンに見せる。その内容は、

『リビングデッドの呼び声』

『マスク・チェンジ』

『マスク・チェンジ・セカンド』

『マスク・チェンジ・セカンド』

『強制脱出装置』

 

ヒーロー……どこ?

 

「1枚だ、1枚だけ交換させてくれ。頼む、この通り」

 

俺は地面の下に座った。

 

「いいけどよ……これは俺の勝ちでいいんだよな?」

「ぐっ……し、仕方ない。だが、デッキの強さはたしかだ。それを見せたかったからまぁいいだろう」

「ヤッターカッターウレシー」

 

棒読みだな……。まぁだがこれで俺のデッキを見せることができる!

 

「じゃあ俺はデッキから『E・HERO シャドー・ミスト』と『マスク・チェンジ・セカンド』を入れ替えるぜ。それじゃあ気を取り直して、デュエル!「はぁ……デュエル」」

 

「メインフェイズ!まず俺は『E・HERO シャドー・ミスト』を通常召喚!そしてそのまま、手札から速攻魔法『マスク・チェンジ』を発動!『マスク・チェンジ』の効果は 『HERO 』モンスターを一体フィールドから墓地に送り、同じ属性の『M・HERO 』をエクストラデッキから特殊召喚するという効果だ。こい!M・ヒーロー最凶のヒーロー『M・HERO ダーク・ロウ 』!」

 

効果モンスター 星4 『E・HERO シャドー・ミスト』

ATK 1000 DEF 1500

 

融合モンスター 星6 『M・HERO ダーク・ロウ』

ATK 2400 DEF 1800

 

「え、そいつも一体で融合できるのか!」

「いや、エクストラデッキから特殊召喚だからこいつは融合召喚しているわけではないぞ」

「じゃあなんで融合召喚しないやつが融合モンスターなんだろうな」

「知らん!とりあえず、ダーク・ロウの効果を説明するぞ。こいつはなんと、こいつが存在する限り相手の墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される!しかも、1ターンに1度、お前がドロー以外の方法でカードを加えた瞬間、ランダムに1枚手札を選んで除外する!」

「へぇー、強そう」

 

そう粋がっていられるのも今のうちぃ!

墓地活用しないと動けない暗黒界はこいつを倒さない限りなんもできないというわけだ!つまり、もはやあいつは『海』のない『伝説のフィッシャーマン』ってなわけだ!

だがこれだけでは終わらない!

 

「墓地に送られた『E・HERO シャドー・ミスト』の効果発動!こいつは1ターンに一度、墓地に送られた場合デッキから『E・HERO シャドー・ミスト』以外の『HERO』モンスターを1体手札に加える。俺は『E・HERO オネスティ・ネオス』を手札に加えるぜ。こいつは手札から捨て、自分の『HERO』モンスターを1体を対象として発動し、そいつの攻撃力を2500上乗せする効果を持っている」

 

これであいつのデッキには『ダーク・ロウ』を戦闘で破壊はほとんど不可能!

 

「最後に手札を2枚伏せ、ターンエンド」

 

俺の伏せたカードは『強制脱出装置』と『リビングデッドの呼び声』の2枚。これであいつがのうのうと召喚してきた『王立魔法図書館』を手札に戻し、たとえ『M・HERO ダーク・ロウ』が破壊されても墓地にいる『E・HERO シャドー・ミスト』を『リビングデッドの呼び声』で特殊召喚すればマスクチェンジもサーチでき、さらに手札に『E・HERO オネスティ・ネオス』があるから実質『E・HERO シャドー・ミスト』は攻撃力3400で『暗黒界の門』を発動していても『暗黒界の龍神 グラファ』が攻撃力を超えることはできん!これは勝ちはもらったな。ハンデをもらったとは言え、ようやく勝利できた……これで俺も勝つことはできることは証明できそうだ。

 

「んじゃ、俺のターン。ドロー」

 

ジュンは目の前で目から涙を流しながら、謎の笑みを浮かべている俺を横目で見つつカードをデュエルデスクからドローした。

 

「んー、じゃあまず手札から『ハーピィの羽根箒』を発動」

 

通常魔法 『ハーピィの羽根箒』

相手フィールドの魔法・罠カードをすべて破壊する。

 

「え?『ハーピィの羽根箒』????」

「そうだ。んじゃお前のセットカード全部破壊な?」

 

こいつ、この土壇場でとんでもないカードを……いや、だがまだまだ手はある。

 

「ま、まった、それにチェーンして『リビングデッドの呼び声』を発動!墓地にいる『E・HERO シャドー・ミスト』を蘇生!」

「ん?どうせ『リビングデッド』破壊されるのに意味あんのか?」

「大いにあるさ、チェーン逆順処理により『E・HERO シャドー・ミスト』を蘇生させる!」

「そのご、『ハーピィの羽根箒』により『リビングデッド』は破壊されるな」

「『リビングデッド』の効果によりフィールドの『E・HERO シャドー・ミスト』は破壊される。だが、この時、『E・HERO シャドー・ミスト』は墓地に送られ、また特殊召喚もされたためどちら発動条件も満たす。どちらか一つしか選べないから俺は『HERO』モンスターを手札に持ってくる効果を使う。俺が持ってくるのは……『E・HERO エアーマン』!」

 

もし『ダーク・ロウ』がやられても、次のターン『HERO』モンスターを出せそうなカードさえあれば『エアーマン』を出して『暗黒界の門』を破壊して『マスクチェン・チェンジ』さえすれば、突破できる。まだ、余裕はあるな。まぁ、よほどのことがない限り『ダーク・ロウ』は倒せないけどな!

 

「あとは、『ブラック・ホール』を発動」

 

通常魔法 『ブラック・ホール』

フィールドのモンスターをすべて破壊する

 

「は????いま、なんと?」

「だから、『ブラック・ホール』を発動ってば、耳大丈夫かよ」

 

夢でも見ているのだろうか、手札に、しかも初手に『ハーピィの羽根箒』と『ブラック・ホール』だと?俺『神の宣告』も『神の警告』も持ってないのに……いや、まぁまだ可能性はあるよな。2枚使わせたし。ワンキルされなければ立て直しも余裕……

 

「じゃあ、『王立魔法図書館』を通常召喚」

 

効果モンスター 『王立魔法図書館』

1. このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

自分または相手が魔法カードを発動する度に、

このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大3つまで)。

2. このカードの魔力カウンターを3つ取り除いて発動できる。

自分はデッキから1枚ドローする。

 

そっかー、引いてたか……。いやー、そっかぁ

 

「そして俺は、『カップ・オブ・ベース』を発動!」

 

通常魔法 『カップ・オブ・ベース』

コイントスを一回行う。表が出た場合、自分はデッキからカードを2枚ドローする。裏が出た場合、相手はデッキからカードを2枚ドローする。

 

「『カップ・オブ・ベース』だと?馬鹿め!それは運が悪ければ俺の手札が2枚増えることになる!しかも、カードの損失なしだから、そっちはデメリットのほうが多い!」

 

今回は、デッキに『D.D.クロウ』が入っている。こいつは手札から墓地へ捨てることで発動し、相手の墓地のカードを一枚選択しゲームから除外できる。しかもこの効果、相手のターンでも使うことができる。つまり、こいつを俺が引いてしまえば、一枚『暗黒界の龍神 グラファ』が消えてしまうというわけだ。引ければの話だが。

 

ジュンはコインをポケットから取り出し、裏にクリボー、表に三角形の中に目があるという不思議だが見たことのあるデザインをしたコインを空中に放った。それは、空中で三転、四転しジュンの手の甲で受け止められた。そして、お互いその結果を覗き込んだ。

 

「当然表ェ!よって、俺は2ドローするぜ!しかも、『カップ・オブ・ベース』は魔法カードだから『王立魔法図書館』に魔力カウンターが1個乗る!」

「うっそだろぉ!」

「この流れに乗る!俺はもう一度『カップ・オブ・ベース』を発動!結果は……もちろん、表ェ!デッキから2枚ドローし、『王立魔法図書館』に魔力カウンターを1個乗せる!次は通常魔法『手札抹殺』を発動!お互いは手札をすべて捨て、その後同じ枚数だけドローするぜ」

 

あぁーーー、俺の『オネスティ―ネオス』と『エアーマン』が!!!これでどうやって戦えばいいというんだ!

いや待てよ、『暗黒界の尖兵 べージ』はの効果は、墓地から特殊召喚するカード。それを『D.D.クロウ』で除外すれば『暗黒界の尖兵 べージ』の特殊召喚は止められる。そして、この前渡した構築では『暗黒界の尖兵 べージ』は一枚にしていたから『D.D.クロウ』が1枚さえこれば止められるはず。頼む。カード、俺にこたえてくれぇぇぇぇ!!!

 

『神の宣告』

『神の通告』

 

神は言っている。ここで〇ねと……。

 

「おれは、手札を全部捨て4枚ドロー。そして、『王立魔法図書館』に3つ目の魔力カウンターがのる。墓地に捨てられた『暗黒界の狩人 ブラウ』の効果発動。カードをデッキからカードをドロー!さらに、俺は『王立魔法図書館』のカウンターをすべて取り除き、デッキからカードをドロー!手札6枚に戻った!このデッキ楽しいな!じゃあ今度は『暗黒界の取引』を発------」

 

 

 

ーーー

ーー

 

「バトルフェイズ!いけ、『暗黒界の龍神 グラファ』滅びのバーストストリーム!3連打!」

「……」

「ふぃー、楽しいデュエルだったぜ!」

「……」

「あれ?おーい白星?」

「……」

「し、死んでる!」

 

この日、6741回目の敗北を体験し、白星は死んだ。

 

 

 

 

ーーー

ーー

 

「いや、危なかったー。いや、ギリギリ勝てたぜ!危ない試合だった!」

 

俺は、無事ジュンに勝利することができ、何とか1枚手札入れ替えすれば勝てることを証明できた!いやーよかった!さすがに一枚手札入れ替えたら負けないわ!

俺らは、あの戦いが終わり、バイトも無事に終わらせた後いつもの食堂に集まっていた。

 

「なぁ、こいつほんとに大丈夫なのか?」

 

髪型が赤色の男が隣の席についている順に尋ねる。すると、ジュンは首を横に振った。

 

「何の話?そういえばケイ。この前送ったデッキどう?攻撃力ソムリエの 能村 京(のうむら けい) ならあのデッキの面白さわかってくれると思うんだが」

「あー、あれは面白いとは思うが、やっぱ火力が足りないぜ!通常カード全部機械族にして『リミッター解除』使わなきゃな!」

「いや、なんでだよ。何のために守備力の高い通常モンスター集めて『スキルドレイン』で遅延して、『右手に盾を左手に剣を』と『下剋上の首飾り』で相手のエースを狩るってだけでいいじゃん!火力それ以上にあっても余分だろ!」

「余分な火力なんてないんだぜ!あればあるほどいい。それが攻撃力。逆に守備力はどうでもいい」

「おい、ジュン。お前はどうなんだよ!火力なんかよりデッキの安定性をとるよな?」

「なわけないだろ、ワンキル厨のこいつが攻撃力を気にしないわけがないぜ」

 

ジュンはやれやれといった表情で言った。

 

「オシリス・レッドのお前らにはわからんだろうが。一番はやっぱデュエリスト力なんだよなぁ。それ以外はあまり関係ない」

 

こいつ、てめえこそデッキ構築も一人でできないくせに!

 

俺とケイは顔を見合わせた。ケイも憎たらしいような目で見ていることがわかる。

 

なるほどね。意見は一致しないが、今やるべきことだけは理解したみたいだ。

 

「あ、そういえば昨日偶然コストの理解すらできてないオベリスク・ブルーにデッキ構築を頼まれてたんだった!誰だったかなぁー」

「お、おいバカやめろ!俺がオシリス・レッドとラー・イエローのお前らとつるんでるのでも変な顔されるのに、それを言ったらまずいって!」

「あ、俺も知ってるぞ!確か、攻撃力の計算もできないやつだった気がする!」

 

いや、まぁ攻撃力の計算はめちゃくちゃ理解するの難しいし。何ならまだ習ってないしね。しかもデュエルディスクが勝手に計算してくれるし。それを中学ではっきり理解してるやつってお前くらいだと思うぞ。

 

「ほんとにやめろって!」

「じゃーな!『wall user』一生壁とデュエルしてな!今日の負けの仕返しにちょうどよかったぜ」

「そうだぜ、独りよがりなデュエルはつまらないぜ!攻撃力力を上げてリスペクトデュエルをしな、『wall user』」

「というか、覚えてるじゃねえか白星てめぇ!そして、その名で呼ぶんじゃねぇ!」

 

俺とケイはダッシュでジュンから逃げた。レッド寮まで追いかけてくるとは流石に思わなかった……あいつ怖ぇ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




細かいキャラ設定はこんな感じでした。

高築 白星 (たかつき しろぼし)
使用デッキ 強そうならなんでも
所属 オシリス・レッド
小さい頃から運が悪く、初めて当たったシークレットレアの『ウィッチクラフトマスター・ヴェール』あまりにも嬉しすぎて、デッキに入れず、スクリューダウンに入れて保管している。その頃から、1勝も出来たことがない。いまだにそれ以外のからカードを当てられていないためまだまだ保管され続けている。また、勝つための努力は惜しまず、現在100冊以上の考察ノートを作っている。さらに、教師陣からは筆記では毎回の10位以内なのにデュエルでは赤点以外の点数を取らない問題児、同じ学年の生徒からは『黒星』、『敗北者』、『小学生を流せたやばいやつ』の呼び名で親しまれている。


スクリューダウン:ガラスケースみたいなやつ


松島 巡一郎(まつしま じゅんいちろう)
使用デッキ ワンキル出来ればなんでも
所属 オベリスク・ブルー
天性の引きで戦うデュエリスト。デッキについては飽き性であるため、定期的にデッキを変える。また、ルールについてはそこまで詳しく理解していないため筆記については致命的だが、実践の方が点数の割り振りが高いため、オベリスク・ブルーに所属している。また、相手に何もさせない完璧なデュエルから、女子の人気も高めだが、その分男子生徒からは疎まれている。通り名はどんなデッキでも使うことと、一人でデュエルしていることから『wall user』、または『一巡』と知られていることもしばしば。(大抵主人公とケイのせい)

能村 京(のうむら けい)
使用デッキ 攻撃力が高いならなんでも
所属 ラー・イエロー
脳筋。攻撃力を上げることに全てをかけたデッキをよく作る。また、攻撃に関しての裁定は大抵知っているため、主人公もその点においては尊敬している。しかし、筆記はそこそこだが実戦では相手がどのデッキを使用しても攻撃力を上げることしか考えてないためそこそこ負ける。しかし、ドロー力はかなり鍛えられているためどうにかなってしまうこともしばしば。また、がたいがよく、体毛も濃ゆいため、デュエルスタイルとも合わさり『脳筋ゴリラ』とよばれ、京が使うデッキは『筋肉デッキ』と呼ばれている。

多分、次は京の話を書きます。
誤字脱字日本語がおかしいなどあれば、教えてくれると嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。