あの似非アルラウネのいた階層からかなり進み、今は次で200層になる場所にまで来ていた。
それが意味するのは次の階層を攻略したらこの奈落の底から脱出が出来る可能性が高いのだ。
そのため、戦意も高く不備や漏れのないように準備をしていた。まぁ、マイペースなユエは飽きもせずにハジメの作業を見つめている。
というよりもどちらかというと作業をするハジメを見るのが好きなようだ。今もハジメのすぐ隣で手元とハジメを交互に見ながらまったりとしている。その表情は迷宮には似つかわしくない緩んだものだ。
それはそうと、ここでステータスの確認をしておこう。まずはハジメだ。ハジメは銃技、体術、固有魔法、兵器、そして錬成。いずれも相当磨きをかけた。この時代の人においては相当の修練を積んだ方であろう。最初はステータスオール10という最弱ぶりから
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:76
天職:錬成師
筋力:1980
体力:2090
耐性:2070
敏捷:2450
魔力:1780
魔耐:1780
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解
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と、ここまで大きく成長を遂げていた。
地上で見せると明らかに可笑しいと目をつけられてしまう数値になったため、鈴が隠蔽方法を教えていたりする。
次にユエだ。ユエの分は鈴があの時に数枚同時に取っていたためそのうち1枚を渡したのだ。
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ユエ 323歳 女 レベル:75
天職:神子
筋力:180
体力:310
耐性:74
敏捷:190
魔力:8755
魔耐:8910
技能:自動再生[+痛覚操作][+再生操作]・全属性適性・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇][+魔素吸収][+身体強化]・想像構成[+イメージ補強力上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・血力変換[+身体強化][+魔力変換][+体力変換]・高速魔力回復
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ユエは魔法関係がやはり強い。けれど身体的なステータス値が勇者である光輝より低いことを知ったらユエはショックを受けるだろう。言わぬが花である。
最後に鈴である。レベル1の時点で化けていたのだ。レベルが上がったことでどれ程成長したのかが楽しみだ。
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谷口鈴 17歳 女 レベル:78
天職:結界師・【魔術師】
筋力:4520
体力:27400
耐性:9458
敏捷:37564
魔力:58440
魔耐:29480
技能:結界術適性[+魔力効率上昇][+発動速度上昇][+遠隔操作][+連続発動]
光属性適性[+障壁適性連動]
【魔力操作[+魔力放出(跳躍)][+魔力圧縮][+遠隔操作]】
天歩【[+縮地][+瞬光]】・夜目・遠見・直感
気配感知【[+特定感知]・魔力感知[+特定感知]】
気配遮断【[+幻踏]】・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性
恐慌耐性・全属性耐性・【令呪】
【魔術[+強化][+ガンド][+治癒][+ルーン][+支配][+置換][+解析][+流体操作][+▪有結界]】
詠唱【[+高速神言][+洗礼]】
【逸話昇華[+神速][+中国武術][+忍術][+勇猛]】
言語理解
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結果から言って、数値は化けた上にさらに化けてしまった。それだけならまだしも魔力がある限り好きなだけ聖絶を使えることが判明。しかもある事でほぼ無限に使えてしまう。
それをいいことに鈴は今聖絶をアレンジ中だ。魔力量が増加したことにより、人自体の置換が出来るようになったため、戦闘の幅が広がるばかりだ。
薄らと笑う鈴は何かを企んでいるようだ。
しばらくして全ての準備が整った一行は階段を降りて最深層へと降り立った。激闘が予想されるため荷物は1箇所に纏めて置いておくこととなっている。
その階層は、無数の強大な柱に支えられた広大な空間だった。柱の一本一本が直径5メートルはあり、一つ一つに螺旋模様と木の蔓が巻きついたような彫刻が彫られている。
柱の並びは規則正しく一定間隔で並んでいる。天井までは30メートルはありそうだ。地面も荒れたところはなく平らで綺麗なものである。どこか荘厳さを感じさせる空間だった。
ハジメとユエはこういったものが初めてなのか見惚れており、鈴達は警戒を解いてなかった。なぜならヘラクレスが反応しているのだ。
だからこそ油断はならなかった。
足を踏み入れた途端、全ての柱が淡く輝き始めた。ハッと我を取り戻し警戒するハジメとユエ。柱は一行を起点に奥の方へ順次輝いていく。
一行はしばらく警戒していたが特に何も起こらないので先へ進むことにした。ハジメは感知系の技能をフル活用しながら歩みを進め、それ以外は経験から来る気配察知を使う。200メートルも進んだ頃、前方に行き止まりを見つけた。
いや、行き止まりではなく、それは巨大な扉だ。全長10メートルはある巨大な両開きの扉が有り、これまた美しい彫刻が彫られている。特に、七角形の頂点に描かれた何らかの文様が印象的だ。
「とうとう来たか。」
「…………ん。」
「こりゃラスボス感が半端ないねぇ。」
人間2人と吸血姫は巨大な扉を見て瞠目している。一同は警戒を緩めることなく足を進めた。
扉まであと30メートルというところで巨大な魔法陣が展開された。
赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。そしてそれについてハジメと鈴は知っている。自分たちが奈落の底に落ちた要因であるベヒモスが召喚された時の魔法陣と同一のものだからだ。
ただ、ベヒモスの時よりも魔法陣は3倍大きく陣も緻密だ。
「おいおい、なんだこの大きさは? マジでラスボスかよ」
「……大丈夫……私達、負けない……」
ハジメが流石に引きつった笑みを浮かべるが、ユエは決然とした表情を崩さずハジメの腕をギュッと掴んだ。
それにハジメは微笑ましさを感じつつも目の前の現れつつある化け物を睨めつける。
しかし、英霊3人と鈴の表情は優れなかった。
魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。咄嗟に腕をかざし目を潰されないようにするハジメとユエ。光が収まった時、そこに現れたのは……
「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」
体長は30メートルだが、見た感じ首は100程あり、地龍の様にがっしりとした四つん這いの身体。口から漏れでる紫色の瘴気のようなもの。
嘗てギリシャの異聞帯にて現れたあのヒュドラがミニマム化して此処に現れたのであった。
ミニマム化してはいるが、殺気や気迫は以前と何ら遜色はない。それを直に浴びる一同はと言うと…………
「おいおいおいおい…………首多すぎやしません?」
「……………………」(((*>_<)))ブルブル
「はっ、懐かしいなぁ。」
「流石に私は足でまといになるよ此奴は…………」
「やっちゃえ、バーサーカー!!!!!!!!」
「Gaaaaaaaaaaaaaaaッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ハジメは所狭しと並ぶ首に意識を逸らし、ユエはハジメの背中に隠れて震え、詩音は異聞帯で戦った頃を思い出し、武蔵は以前と同じ様に約立たずでになるためヘラクレスから荷物を受け取って後方に退去。
そして、鈴はヘラクレスに命じて、ヘラクレスは飛びかかった。
それと同時にヒュドラは開幕毒ブレスを鈴達に向けて放つ。
「ちっ、
そのブレス自体は詩音の
その間にヘラクレスは天井に立ち足を曲げて天井を蹴る。大英雄の膂力により天井は1部砕けた。膂力と落下速度で勢いをつけて
そのままそれを足場にして飛び立ち柱へ向かう。
しかし、ヒュドラもただ殺られる訳では無い。瞬時に首を再生させ、同時に別の首全てが極光をヘラクレスに向けて放つ。ヘラクレスは空中で方向転換は出来ず柱ごと飲み込まれた。
後には何も残ってない。それをいいことに鈴達を狙おうと其方に向けると目の前にはヘラクレスがいた。鈴が置換魔術で移動させたのだ。
消したはずの存在が目の前にいたためヒュドラは驚くが、ヘラクレスは止まることなくまた首を搔き切った。
再生と切断が繰り返される中、鈴たちの方はヘラクレスと相対していない首の相手をしていた。
結局武蔵も参戦することになり、襲い来る首を二刀流で的確に捌いて細切れにしていく。
ただし、血には決して触れない。血に触れると即死だからだ。ヘラクレスは血に触れて一度死んだため宝具により死ななくなっている。
鈴は自分に襲い来る首の上に乗って同士討ちを行っている。時には他人の援護も忘れない。
ユエは緋槍や凍雨といった魔法をバカスカ撃ちまくり首の数を減らしている。必死に再生力を越えようと頑張っている。
ハジメはシュラーゲンという対物ライフルで遠距離攻撃をしたり近づいて来た首にはドンナーで撃ち抜いて場所を移動する。
最後に詩音だが、とある宝具を解放するために移動していたりする。
ヘラクレスも残った理性でその意図に気づいており、立地を整えながら首を狩り続けた。
「Gaaaaaaaaaaッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ッ!?全員退避!!!!!!!!!!!!」
「うぉわっ!?!?」
ヘラクレスが長距離に後退したため、鈴は置換魔術で強制的に全員を後退させた。それと同時にヒュドラは全ての首を再生させてその全てで毒混じりの極光ブレスを満遍なく吐く。
何とか難を逃れたが、また1からヒュドラの首を切らなければならなくなった。
が、ここでヘラクレスがあの宝具を使った。
「らあぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!!!
「「山ぁぁぁ!?!?!?」」
そう叫びながら何処かの山を丸々一つヒュドラに向けて投げ込んだのだ。流石のユエもこの驚き様である。
山に吹き飛ばされたヒュドラは巨大な扉前から真横に倒れ、山に潰されてしまった。
これはヘラクレスがヒュドラを討った時のものを再演した事でヒュドラを討つ作戦であり、見事成功したのかヒュドラは一切動かなくなった。
「(*`∀´*)ニカッ」
「おぉう、すげぇ笑顔だ。」
「………………勝った。」
「それじゃあ、行こうよ。」
ヘラクレスはグッドラックをしながら笑顔を向けた。滅多にない光景を初めて見たハジメは瞠目し、ユエはあの化け物に勝てたことに素直に喜び、鈴は扉の先が気になるのか先を促す。
武蔵と詩音は置いてきた荷物を取ってきており、一同は扉の先に進んだ。
その前にヒュドラの剥ぎ取りも忘れない。ヒュドラの毒血はハジメ謹製のボトルに入れて保管した。
巨大な扉を開いてその先に進むと、神殿みたいな建物と燦々と輝く太陽、マイナスイオン溢れる清涼な風を起こす滝、自炊可能な程の野菜や魚、動物がいないのに家畜がある。
まさに楽園の如き場所であった。
「「「ぽけぇ………………」」」
「うっひゃあぁ…………綺麗なもんだねぇ。」
「懐かしいなぁ。ほんと。」
「…………………………」
ハジメ、ユエ、鈴はこの光景があまりにも予想外だったからか固まっており、武蔵は賞賛し、詩音はアテナとして懐かしむ。
神殿まで着いたら中に入り、張り詰めた空気から開放されたからか、各自部屋を決めて入り、熟睡を始めるのであった。
ただ、詩音と武蔵はある疑念を語り合った。
「何故この世界にあのヒュドラがいた?まさか聖杯ないしはそれに準ずるものがこの世界にあるのではないか?」
「或いはエヒトが地球から無理やり引き抜いたのか?なら何故地球の存在を認知出来た?」
疑問に疑問が増えて埒が明かないため、疑念を無理やり振り払って眠り着くのであった。