キュアハッピー「キュアギルティ・・・」   作:4度°

30 / 31
苛烈なる病院内での攻防の末、キュアギルティの魔の手によって負傷してしまった育代。自らの腕の中で流れ出る育代の生を感じながら愕然と母の名を呼び続けるみゆき。追随の止まないギルティの手からみゆきは逃れられず、ついにその生涯が閉じようとしたその時-


第30話【せんせい】

七色ヶ丘市-路上

 

看護師「プリ、キュア・・・」

 

?「・・・さんっ」

 

看護師「たすけ、プリキュアぁ・・・」

 

?「さんっ!」

 

看護師「う、うぅうん・・・」

 

?「か・・・さん・・・っ!」

 

看護師「かー・・・っこい・・・」

 

 

あずさ「加藤さんっ!!」ベシッ

 

 

看護師「はぅわぁ!!?」

 

看護師「あ、あれ・・・あれれ、わ、わたし・・・あれ・・・?」

 

あずさ「やっと起きたわね・・・」

 

看護師「え、え・・・ひ、柊先生!?あ、あれ!?あ、わ、わたし・・・っ!!あれ!?プリキュアは!?」

 

あずさ「ほらこれ、こっち見て。何本に見える?」スッ

 

看護師「あ、え、あ・・・えっと・・・に、2本・・・です」

 

あずさ「目をあけて、よく見せて・・・」

 

看護師「あ、ん・・・ん?あ・・・?え?」パチパチ

 

あずさ「大丈夫みたいね。あなた、道端で倒れてたのよ?」

 

看護師「え・・・道で・・・あ、えっと」

 

あずさ「なにがあったか覚えてる?」

 

看護師「ん・・・えっと・・・」

 

看護師「わたし、えと・・・お昼をもらって・・・それでパン屋さんに行こうと思って・・・」

 

看護師「そしたら私、プリキュアに助けられる・・・あ、そ、そう・・・う、うぷっ」

 

あずさ「ちょ、ちょっとちょっと・・・大丈夫?」

 

看護師「ご、ごめんなさい・・・ちょっと、嫌な夢を見ちゃって・・・」

 

あずさ「え、ええ・・・」

 

あずさ「・・・」

 

看護師「あ!で、でも!その後の夢は良かったです!わたしを助けてくれたプリキュアが・・・っ」

 

あずさ「プリキュア・・・」

 

看護師「そうなんです!ここに越してくる前の町で助けてくれたプリキュアの夢を・・・っ」

 

あずさ「・・・」

 

看護師「せ、せんせい・・・?」

 

あずさ「・・・」

 

あずさ「(ここに来る途中だけでも、多くの人たちが倒れてた)」

 

あずさ「(まるで街中の人たちが催眠術にでもかかったみたいに・・・)」

 

あずさ「(それに、わたし自身も・・・)」

 

看護師「せ、先生・・・いったい、なにが・・・?」

 

あずさ「・・・」

 

あずさ「わからないわ・・・」

 

看護師「ま、まさかどこかの工場からガスが噴き出したとか!?ば、爆発事故!?そ、それとも・・・テ、テロ攻撃とかでしょうか!?」

 

あずさ「さ、さぁ・・・」

 

あずさ「(このあたりにそんな工場はなかったはずだし、ガス爆発が起きてるんだとしてもこんなに街全土を覆えるものなのかしら・・・まだ他国の新兵器でも撃ち込まれたってほうが納得はできるけど・・・)」

 

あずさ「・・・」

 

看護師「せ、せんせい・・・」

 

あずさ「とにかく、そうね。今はできるだけの人たちを・・・」

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!

 

 

「「っ!!?」」

 

 

看護師「な、なんですか!今の!?ば、爆発!?」

 

あずさ「・・・っ」

 

看護師「や、やっぱり!ど、どこかで事故が・・・っ!?」

 

あずさ「病院の方から・・・だったわね・・・」

 

看護師「せ、せんせい・・・ど、どうしましょう・・・っ」

 

あずさ「あなたはここで休んでなさい」スッ

 

看護師「せ、先生!?」

 

あずさ「様子を見てくるわっ」タタッ

 

看護師「あ!ちょ!せ、先生・・・!!」

 

あずさ「・・・っ」タッタッタッ

 

看護師「ま、待ってください先生!わ、わたしも行きます・・・っ!!」タタッ

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・

 

 

 

七色ヶ丘総合病院-玄関前

 

 

あずさ「はぁっはぁ・・・はぁ・・・」タッタッ

 

看護師「は・・・はぁ・・・んく・・・」タタッ

 

あずさ「・・・ゴクッ」

 

あずさ「これは・・・」

 

あずさ「なんなのよ・・・これ・・・」

 

 

《閑散とした街の中でも、その大きな外観が一層異様な空気感を放っている七色ヶ丘総合病院。所々であずさの同僚の医師や看護師、患者や警備員に至るまでが倒れており、みな苦しそうに顔を曇らせたまま悪夢にうなされていた》

 

 

看護師「せ、先生・・・どういうことなんですか・・・これ・・・っ」

 

あずさ「・・・」

 

看護師「街中でこんな・・・っ」

 

あずさ「とりあえず、みんな気を失ってるだけみたいね・・・」

 

看護師「みんながみんななんて・・・ぜったいおかしいですよ・・・っ」

 

あずさ「わたしもここに来るまでに何人か同じような状態の人たちを見てきたけど・・・」

 

看護師「こんなことって・・・こ、これって現実なんですよね?」

 

あずさ「・・・」

 

あずさ「さっきの爆発音といい・・・いったい、なにが起こってるの・・・」

 

看護師「わたし!あっちの方も見てきます・・・っ!!」タタタッ

 

あずさ「あ、加藤さ・・・っ」

 

 

?『―――っ!!』

 

 

あずさ「っ!?」

 

 

?『―――ッ』

 

?『―――っ!!』

 

 

あずさ「え・・・」

 

 

?『―――っ!!』

 

 

あずさ「この声・・・」

 

あずさ「まさか・・・」

 

 

みゆき『―――っ!!』

 

 

あずさ「みゆきちゃん・・・?」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・

 

 

 

七色ヶ丘総合病院-ロビー

 

 

みゆき「あぁ・・・あぁあ・・・」

 

ギルティ「くく・・・あはは・・・」

 

ギルティ「あっはっはっはっはっは!!」

 

みゆき「お、おか・・・お母さ・・・あ・・・っ」

 

ギルティ「これでもまだ夢だキボーだって言えんのか?あァ?」

 

ギルティ「もうプリキュアにも変身できない」バキィィィンッ

《ひび割れたスマイルパクトをみゆきの目の前でさらに踏み潰すギルティ》

 

みゆき「あ・・・あ・・・」

 

ギルティ「大好きな母親も死んじまう」

 

育代「―――」

 

ギルティ「可哀想なみゆきちゃん」

 

みゆき「う、ぁ・・・ああ」

 

ギルティ「でも・・・」スッ

 

みゆき「・・・っ」

 

ギルティ「ラクに死ねると思うなよ」

 

みゆき「ひ・・・っ」

 

《じわり、じわりとまとわりつくかの様にみゆきの中に絡みつく恐怖心。母親の返り血がついた腕をゆっくりとこちらに向けて震えるみゆきの首をつかもうと、まるで大きく口の開けた蛇のように手を広げ・・・》

 

 

?「みゆきちゃんっ!!」

 

 

ギルティ「あァ?」ピタッ

 

みゆき「ぁ・・・っ」

 

あずさ「みゆきちゃん!だいじょうぶ・・・!?」

 

《目の前で何もできずにただ震えているだけの宿敵に、嗜虐心をかられながら口元を釣り上げさせてどういたぶるかを愉しそうに考えていたギルティ。しかし突然響き渡った聞き覚えのない声に腕を止め、声の主のいるであろう後方に何気なく振り返った。瞬間-》

 

 

ギルティ「ッ!!!!!!!!!!!!」

 

 

あずさ「え・・・」

 

ギルティ「ア・・・ア・・・」

 

 

?『ちょっとかなた・・・オイッ・・・オイッ!!』

 

 

ギルティ「な・・・なん・・・で・・・」

 

あずさ「・・・?」

 

 

?『おい、ゴミクズ。こっちが呼んだら返事ぐらいしろや』

 

 

あずさ「あ、あな・・・たは・・・?」

 

ギルティ「なん・・・で・・・」

 

 

?『まったく使えないやつ。なんのために腹を痛めて産んでやったと思ってんの?』

 

 

ギルティ「ウソだ・・・ウソだ・・・」

 

あずさ「え・・・?」

 

ギルティ「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だッ!!あ、ありえねぇ・・・ありえねぇ・・・嘘だ・・・ッ!!」

 

ギルティ「て、てめぇは、わ、わた、わたし、わたしが・・・わたしが・・・」

 

 

?『いい、かなた。あんたはわたしを養うために生きてるのよ。わたしをシアワセにするために生まれたの。そのためなら血反吐吐いてでも働きなさい。いいわね?それ以外に生きる価値なんてないのよ、あんたには』

 

 

ギルティ「こ、ころ、ころこ・・・こ、こ・・・」

 

あずさ「あなた・・・」

 

ギルティ「・・・ッ!」

 

 

?『がな・・・だ・・・っ』

 

 

ギルティ「殺したはずだッ!!!」

 

 

あずさ「・・・っ!?」

 

ギルティ「なのに・・・なんで・・・ど、どうし・・・ッ」

 

 

あずさ『あなた、お名前は・・・?』

 

?『・・・』

 

 

あずさ「あなた・・・わたしとどこかで・・・」スッ

 

ギルティ「寄るなッ!!!!」

 

あずさ「・・・っ」

 

ギルティ「寄るな寄るな寄るな寄るな寄るな寄るな!!ババア!!クソババア!!死ね!!死ねよ!!クソクソクソ!!なんだ!!生きてたのか!?クソ、クソクソクソ!!なんで!!なんで生きてる!!なんでアレで生きてんだよ!!殺しただろ!!殺した!!間違いなく殺した!!クソッ!!寄るな!寄るな!!わたしに!!わたしに近寄るなッ!!」

 

あずさ「な・・・っ」

 

あずさ「(なに・・・この子・・・)」

 

ギルティ「嘘だ!!嘘だ嘘だッ!!こんなの!!こんなの嘘だッ!!幻覚だ!!幻に決まっ・・・うっぷ・・・うえ、おげぇぇえぇえぇぇえッ!!」ビシャビシャビシャッ

 

あずさ「(まさかこの子が・・・)」

 

あずさ「(悪の・・・プリキュア・・・?)」

 

ギルティ「―――ッ!!―――ッ!!」

 

あずさ「あなたは・・・っ」

 

 

バシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウンッ!!

 

 

ギルティ「ッ!!?」

 

あずさ「きゃっ!?」

 

 

ドガアアアアアアアアンッ!!!!

《突然あずさの真後ろから放たれた光の弾がギルティに直撃すると、激しい緑色の光を放ちながら粉塵を巻き上げてゆく》

 

あずさ「な、なに!?爆発っ!?」

 

?「はぁぁぁっ!!」バッ

 

あずさ「え!?」

 

ギルティ「ちィ・・・ッ!!」バッ

 

?「はッ!!」ガガガンッ

 

ギルティ「くっ・・・なんだ、てめぇは・・・ッ」バッ

 

?「はぁッ!!」ガンガンッ!!

 

ギルティ「・・・ッ!」

 

?「だぁぁぁあっ!!」バシュゥゥゥンッ

 

ギルティ「ち・・・次から次へと・・・ッ!!なんだってんだ・・・ッ!!」バッ

 

?「逃がさないよ・・・!!」

 

ギルティ「・・・っ!?」

 

?「くらいなっ!」

 

パシャァァッ!!

 

ギルティ「な・・・ッ!!」ビシャァッ

《ギルティは突然現れた敵の攻撃に動揺しながらも応戦し、いったん距離を取ろうとした瞬間、彼女の手から撒き散らされた液体を全身に被ってしまい》

 

ギルティ「なん・・・だこれ・・・くそ・・・っ!!」ググッ

 

?「フフッ」

 

ギルティ「動け・・・ね・・・ッ!!」

 

?「そらいくよ!!ハァっ!!」バキィィッ!!

 

ギルティ「ぐあぁっ!?」ガァァンッ!!

 

?「はぁぁぁぁぁ!!」ブワァァン

 

ギルティ「・・・ッ」

 

?「くらいなぁっ!!」バシュンバシュンバシュンバシュンッ!!

 

ギルティ「ぐ・・・あ・・・っ!!」

 

?「らあああああああああっ!!!」バシュンバシュンバシュンバシュンバシュンッ!!

 

ギルティ「あ・・・ッ・・・ッ・・・ッ・・・ッ!!!!!!」

 

 

ドガガガガガガアアアアアアアンッ!!!ガシャアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!

《謎の女から絶え間なく放たれる数え切れない光弾を全身で受けながら、激しい爆発と共に病院の外へとはじき飛ばされてしまうギルティ》

 

 

?「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・っ」

 

?「とりあえず一発報いてやることはできたかねぇ・・・」

 

あずさ「あ・・・」

 

?「まぁ、この程度じゃ勝たせてくれないだろうけどね」スタッ

 

あずさ「あ、あなた・・・」

 

?「・・・」

 

ポップ「あずさどのぉー!!」

 

あずさ「えっ!?」

 

キャンディ「あずさぁぁーっ!!」

 

あずさ「ポップちゃんっ!?キャンディちゃんっ!?」

 

キャンディ「クルゥー!」

 

あずさ「ど、どうしてここに!?」

 

キャンディ「クルッ♪そりは・・・」

 

ポップ「話せば長いのでござるが・・・」

 

キャンディ「マジョリーナがつれてきてくれたクルーっ♪」

 

あずさ「え・・・まじょ・・・?」

 

 

 

マジョリーナ「・・・ふんっ」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・

 

 

 

あずさ「み、みゆきちゃん!!」

 

キャンディ「みゆきぃー!」

 

ポップ「みゆきどの・・・っ!!」

 

みゆき「せ、せん・・・せ・・・」

 

あずさ「だいじょう・・・」

 

あずさ「・・・っ!!!」

 

 

《あずさの目に広がった光景、それはじわりと腹部から血を滲ませて床を真っ赤に染めて倒れている育代の姿と、ガクガクと怯えた小動物のように震えながら呆然とした表情で自らの母親を抱きしめているみゆきの姿で-》

 

 

育代「―――」

 

あずさ「い、育代・・・さん!?」

 

ポップ「なん、と・・・」

 

みゆき「おか・・・あ・・・あ・・・」

 

あずさ「みゆきちゃん・・・!?」

 

みゆき「あ・・・ああ・・・」

 

キャンディ「みゆ、き」

 

あずさ「みゆきちゃん?みゆき・・・ちゃん・・・っ!!」

 

みゆき「せ・・・」

 

みゆき「せん・・・せ・・・」

 

あずさ「・・・っ」

 

 

あずさ『あなたが・・・星空育代さんの娘さん?』

 

みゆき『あの・・・!お、お母さんはいったい・・・!』

 

 

みゆき「けて・・・」

 

 

みゆき『おとうさん・・・しん・・・しんじゃ・・・しんじゃったんです、よね・・・?』

 

みゆき『お、お父さん・・・死んじゃったんですよねっ!ひっぐ・・・も、もう・・・あえ、会えないんですよねっ!?』

 

 

みゆき「たす・・・けて・・・」

 

 

みゆき『お、おと、おとう、おとうさんが・・・お父さんがぁぁっ!!』

 

やよい『みゆきちゃん・・・ひっく・・・えぐ、みゆきちゃぁんっ』

 

みゆき『うぁぁぁぁぁあんっ!!』

 

 

あずさ「みゆきちゃん・・・っ」

 

 

みゆき『お母さーん♪今日はね、あかねちゃんたちがお見舞いに来てくれたんだよー?』

 

育代『・・・』

 

 

みゆき「おね・・・がい・・・っ」

 

 

みゆき『わたしの気持ちがわかるんですか?お父さんを殺されて、お母さんは寝たきりになっちゃって。家までなくなって・・・。こんな気持ち、先生にはわかるんですか?』

 

 

みゆき「たすけて・・・」

 

 

みゆき『約束するよ。みんな・・・一緒に帰ってくる」

 

みゆき『そしたら、みんなでパーティしようっ♪』

 

 

みゆき「たすけて・・・っ」

 

 

 

みゆき「お母さんを助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇええっ!!!」

 

 

 

あずさ「・・・っ」

 

みゆき「お母さぁぁあん!!お母さんやだよぉぉおっ!!」

 

あずさ「み、みゆき・・・ちゃん・・・」

 

みゆき「助けてぇ!助けて先生ぇ!!おねがい!!おねがいします!!お母さんを助けてぇぇえ!!」

 

あずさ「・・・ぁ」

 

みゆき「やだぁぁ!!やだよぉ!!死んじゃう!!お母さんが死んじゃう!!やだ!やだやだやだぁぁあ!!」

 

あずさ「ぁ・・・あ・・・」

 

みゆき「おかあさぁぁあん!!いやだぁぁあ!!わ、わたしをひとりにしないでぇ!!やだぁぁあ!!」

 

あずさ「はぁ・・・はぁ・・・っ」

 

 

男性『先生!息子を助けてくれ・・・ッ!!』

 

 

あずさ「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

あずさ「(無理よ・・・)」

 

 

女性『お願い・・・お願い先生・・・!!あの人を助けて・・・ッ!!』

 

 

あずさ「はぁっは・・・はぁ・・・っ」

 

あずさ「(わたしには・・・)」

 

 

男性『先生・・・頼む・・・!!この子が怪我を・・・!!』

 

 

あずさ「わたし・・・わたしは・・・」

 

あずさ「(わたしの手は・・・もう・・・)」

 

 

男性『あんた!!なんのために助けにいったんだ・・・っ!!』

 

 

あずさ「はぁ・・・はぁ・・・」

 

あずさ「(こんな・・・こんな手じゃ・・・)」

 

 

男性『娘はどうなった!?あんた医者だろ!!あんたが助けにいくって言ったんじゃないか!!』

 

 

あずさ「はぁ・・・はぁ、は・・・」キュッ

 

あずさ「(誰も・・・助けられない・・・っ)」

 

 

女性『そうよ!!うちの息子だって・・・あんたが助けにいくっていうから!!』

 

 

あずさ「んっく・・・は・・・」

 

あずさ「(わたしは・・・誰も・・・っ)」

 

 

男性『約束したじゃないか!!必ず助けるって言った!!なのに・・・なのになんで!!この悪魔!!』

 

女性『あんたのせいよ!!息子が助からなかったのは!!あんたのせいよ!!なにが医者よ!!』

 

 

あずさ「は・・・はぁ・・・はぁ・・・っ」

 

 

男性『怪我した医者なんかいらねぇよ!!人が救えねぇ医者になんの意味があるんだ!!』

 

男性『出て行け!!・・・この魔女め!!』

 

 

あずさ「は・・・はぁ・・・っ」

 

 

はるか『あずさ、あんたはいつまでそうやって“アイツら”の言いなりになってるわけ?』

 

 

あずさ「あ・・・」

 

 

せな『おねーちゃんってさ、ほぉーんと偽善者だよねー?』

 

 

あずさ「はぁ・・・は・・・」

 

みゆき「お母さん!!お母さぁぁぁあんっ!!死んじゃやだぁぁあ!!」

 

あずさ「は・・・」

 

みゆき「やだぁぁあ!!め、目を・・・開けてよぉっ!!」ギュゥッ

 

あずさ「・・・」

 

みゆき「お母さぁぁぁぁあんっ!!」

 

あずさ「・・・」

 

キャンディ「みゆ・・・きぃ・・・」

 

あずさ「・・・」

 

ポップ「あずさどの・・・!な、なんとかならぬのでござるか!?」

 

あずさ「・・・」

 

ポップ「あずさどの!」

 

あずさ「・・・」

 

ポップ「あず・・・っ」

 

あずさ「・・・」

 

あずさ「(なんのために・・・)」

 

 

?『医者になる?ははは、そうか、なんだそれは。冗談のつもりか?うん?本気?ああ、そうか。本気か。ははは、そうかそうか、それはいいな。反抗期も極まったものだ』

 

 

あずさ「(わたしは・・・なんのために、医者になったの・・・)」

 

 

?『あずさ、お前は優秀だ。“アレ”なんかとは比べようもない。とても同じ血が流れているとは思えない』

 

 

あずさ「(わたしは・・・)」

 

 

?『なに?NGOに参加する?バカなことを言うな。紛争地区にでも行く気か?』

 

 

あずさ「(わたし・・・わたしは・・・)」

 

 

?『お前は上にあがることだけを考えていればいい。余計なマネはせずにな。あんな場所にいってなんになる。わざわざこちらから身を危険に晒す必要なんてない。そんなことよりもキャリアを積むことを考えろ』

 

 

あずさ「(親のいいなりになってただけで・・・)」

 

 

?『医者なんてものはなあずさ、所詮は金と権力にしがみついた利己的な生き物だよ。人命救助なんてものはもののついで、いや、己の出世のための道具できかない。だが、そうだな。“それでいい”。所詮人間なんてものは我が身が第一だからな』

 

 

あずさ「(逃げ出しただけで・・・)」

 

 

?『ああ、全く仕方のないやつだ。生き恥を晒し、死んでなおこの体たらくとは。本当に“アレ”は昔から出来損ないだった。あずさ、お前は違うと思っていたのだがこうなっては仕方がない。後のことは星奈に任せるとしよう』

 

 

みゆき「お母さん・・・死んじゃうよぉ・・・っ」

 

あずさ「(目の前に・・・)」

 

みゆき「せん・・・せ・・・っ」

 

あずさ「(こんなに・・・助けを求める声があるのに・・・)」

 

みゆき「せんせぇ・・・」

 

あずさ「(わたしは・・・)」

 

みゆき「えぐ・・・ぐず・・・えっぐ・・・」

 

あずさ「(わたしは・・・っ)」

 

みゆき「お母さんが・・・おか・・・っ」

 

あずさ「・・・」

 

あずさ「(わたしは・・・っ!!)」

 

あずさ「・・・」

 

あずさ「・・・っ」

 

 

あずさ「ビビッてんじゃねぇわよ柊あずさッ!!!」

 

 

みゆき「・・・っ」

 

キャンディ「ク、クル・・・っ!?」

 

ポップ「あずさ、どの・・・?」

 

あずさ「はぁ・・・はぁ・・・っ」

 

あずさ「見せて・・・!みゆきちゃん・・・っ」

 

みゆき「あ・・・っ」

 

あずさ「(利き手をケガしたから何・・・っ)」

 

あずさ「(姉さんが死んだから何よ・・・っ)」

 

あずさ「(父さんなんか関係ない・・・っ)」

 

あずさ「(こんなに人が怪我して困ってる・・・っ)」

 

みゆき「せん、せ・・・」

 

あずさ「(泣いて助けを求められてるじゃない・・・っ)」

 

みゆき「せんせぇぇ・・・っ」

 

あずさ「(これだけで十分でしょう・・・っ!!)」

 

あずさ「わずかだけど・・・まだ脈はある・・・っ」キュッ

 

キャンディ「あずさ・・・」

 

あずさ「(応急処置だけなら今までだってやってこれた・・・っ)」

 

育代「―――」

 

あずさ「腹部に大きな裂傷・・・貫通傷?刺された?」

 

あずさ「(事故でついたものじゃない・・・じゃあやっぱり彼女が・・・?)」

 

あずさ「(ううん、考えてる場合じゃない・・・)」

 

あずさ「とにかく出血を止めないと・・・っ!!」

 

みゆき「せん、せ・・・」

 

あずさ「だいじょうぶ、だいじょうぶよ・・・みゆきちゃん・・・っ」

 

マジョリーナ「・・・」

 

あずさ「止血ざっ・・・!!ないわよね・・・っ」

《一刻の猶予もない状況に思考をフル回転させながら、あずさは上着を脱ぎ育代の腹部へと強く押し当て即席で育代の止血を試みる》

 

あずさ「これだけじゃ足りない・・・っ」

 

あずさ「なにか・・・なにかない・・・っ!?」

 

マジョリーナ「はぁ・・・」

 

あずさ「せめてガーゼ・・・っ」

 

あずさ「ううん、もうひとりいれば・・・!!加藤さんは!?」

 

マジョリーナ「ちょっとどきな」

 

あずさ「え!?」

 

マジョリーナ「まったく手間のかかる・・・」

 

あずさ「ちょ、あ、あなた何!?」

 

マジョリーナ「うるさいんだよ小娘。黙ってな」キュポッ

《マジョリーナは懐から小瓶を取り出すと指先でフタを開け、おもむろに育代のカラダへと振り掛けてゆく》

 

あずさ「ちょ、ちょっとなにして・・・っ!!」

 

マジョリーナ「うるさいって言ってんだろ?見な」

 

あずさ「えっ?」

 

《一見なんの変哲もないように見える育代の身体。誰がどう見ても代わり映えはないが医療を志したあずさには雲泥の差だということがわかる。それは明らかに育代の身体から溢れ出ていた血の量がぴたりと止まっていて》

 

あずさ「こ、これは・・・うそ・・・」

 

マジョリーナ「ふん」

 

あずさ「出血が・・・止まった・・・?」

 

マジョリーナ「止めたんだよ。あたしの新発明『ウゴケナクナール』でね」

 

あずさ「うごけ・・・?な、なに?」

 

マジョリーナ「何もないさね。相手の動きを封じる魔法の薬さ」

 

あずさ「魔法の薬!?」

 

マジョリーナ「これでこの女の時間はしばらくは止まる」

 

あずさ「う、うそでしょ?そんな・・・」

 

マジョリーナ「信じなくてもいいさ。事実であることに変わりはないしねぇ」

 

あずさ「な、なによそれ・・・そんな漫画みたいなこと・・・」

 

ポップ「そうか、さっきギルティにかけていた液体もコレでござるな!だからギルティの動きが止まったというわけでござるか!」

 

マジョリーナ「まぁね、アイツ相手にどこまで効くかはわからないけどねぇ」

 

キャンディ「マジョリーナすごいクルぅー!」

 

マジョリーナ「ふ、ふんっ・・・うるさいよ!」

 

あずさ「ちょ、ちょっと待ってよ!あなたたち・・・いったい何の話!?」

 

マジョリーナ「うだうだ言ってないでほら、これでいいんだろ?」

 

あずさ「え・・・ええ・・・」

 

マジョリーナ「とにかく、この薬の効果はもって10分ってとこだ。あんた、人間の医者なんだろ?」

 

あずさ「え、ええ、そうよ」

 

マジョリーナ「だったら後はアンタがなんとかしな。これ以上はあたしは知らないよ」スタッ

 

あずさ「ちょ、ちょっと・・・!!」

 

マジョリーナ「それにほら・・・」

 

 

ギルティ「あああああああああああああああああああああああああああ!!!クソがあああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

キャンディ「ク、クル!?ギルティクルぅぅー!!」

 

マジョリーナ「ち・・・もう口は動かせるのかい。仕方ないねぇ・・・」

 

ポップ「マジョリーナ・・・っ」

 

マジョリーナ「あいつをぶっ飛ばしたいのはあんたらだけじゃないんだ。こっちにもデカい借りがあってねぇ」

 

マジョリーナ「あたしもあたしで戦ってられる時間も長くないし・・・それに」

 

キャンディ「クル・・・?」

 

ウルフルン『―――』

 

アカオーニ『―――』

 

マジョリーナ「あのバカたちのカタキも取ってやんなきゃいけないしね」

 

ポップ「マジョリーナ・・・」

 

マジョリーナ「それじゃあね。あんたらとの付き合いもここまでだ」

 

キャンディ「マジョリーナっ」

 

マジョリーナ「あん?」

 

キャンディ「ありがとークルぅー!」

 

マジョリーナ「・・・ふんっ」バッ

 

みゆき「ひっぐ・・・ぐず・・・」

 

マジョリーナ「・・・」

 

マジョリーナ「キュアハッピー!!」

 

マジョリーナ「あたしが言ったこと、忘れてんじゃないだろうね!?」

 

みゆき「え・・・えぐっ・・・え?」

 

マジョリーナ「あんたがやらないなら・・・」

 

みゆき「・・・」

 

マジョリーナ「あんたがやらないなら・・・あたしがやるよっ!!」ダダッ

 

ポップ「マジョリーナ・・・っ」

 

みゆき「ぁ・・・」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・

 

 

 

あずさ「すごい・・・ほんとに止まってるわ・・・」

 

育代「―――」

 

あずさ「これなら、少しは時間が稼げる・・・っ」

 

みゆき「せん、せ・・・」

 

あずさ「みゆきちゃん・・・」

 

みゆき「ぐず・・・えぐ・・・」

 

あずさ「・・・」

 

みゆき「おか、おかあさ・・・ひぐ・・・ひっく」

 

 

みゆき『ねーねー先生♪』

 

あずさ『なぁに?みゆきちゃん』

 

みゆき『お母さんっていつになったら外に出れるようになるかなぁ・・・』

 

あずさ『そうね・・・育代さんのケガは精神的なものだから、すこし経過は見るでしょうけど』

 

あずさ『きっと、もうすぐよ』

 

みゆき『そっかー♪もうすぐかぁー♪』

 

あずさ『ええ』

 

みゆき『~♪』

 

あずさ『(もうすぐなんて曖昧なことしか言えなくてごめんね、みゆきちゃん・・・)』

 

 

みゆき「おかあさ・・・ぐす・・・お母さんを・・・」

 

あずさ「・・・」

 

みゆき「お母さんを・・・助けて・・・っ」

 

あずさ「・・・」

 

みゆき「お母さんを助けてください・・・っ」

 

あずさ「・・・っ」

 

 

みゆき『先生は、なんでお医者さんになろうと思ったの?』

 

あずさ『え?』

 

みゆき『だってお医者さんってすっごく勉強しなくちゃダメなんでしょー?わたしには絶対無理だよぉ』

 

あずさ『あはは。そんなことはないと思うけど・・・』

 

みゆき『ううん、絶対無理だよー。それでなっちゃう先生はすごいなぁーって♪』

 

あずさ『そう、ね・・・』

 

あずさ『人を・・・助けたかったの』

 

みゆき『人助け?』

 

あずさ『ええ。とにかく、人を助ける仕事がしたかった』

 

あずさ『それだけ、かな』

 

あずさ『ふふ・・・くだらないわね』

 

みゆき『ううん!そんなことないよ!すごいよ!』

 

あずさ『え?す、すごい?』

 

みゆき『うん!すごーい!人助けなんてヒーローみたいだねっ♪』

 

あずさ『・・・ふふ、みゆきちゃんに言われたら自信がつくわね?』

 

みゆき『あははは♪』

 

 

あずさ「・・・大丈夫よ、みゆきちゃん」

 

 

言っちゃダメ-

 

 

あずさ「だいじょうぶ」

 

 

医者として、こんなこと言っちゃ-

 

 

あずさ「わたしが・・・」

 

 

保証なんてない。なにひとつだってない-

 

 

あずさ「わたしが必ず」

 

 

 

 

それでも-

 

 

 

 

 

 

 

それでも-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あずさ「あなたのお母さんを助けてみせる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued...




今回はあずさ先生メインの話。

オリジナルキャラなので、みなさんからすれば感情移入しにくいでしょうがご勘弁を。
もうこの時のために作ったようなキャラなので。

ちなみに劇中でギルティが動揺しまくってるのはお母さんとあずさ先生を見間違えてるわけですね。かなたは幼少期だから覚えてないし、あずさ先生はギルティ変身後なもんでお互いうろ覚え状態。だけどギルティからすれば「母親っぽいやつ」が現れたんだから溜まったもんじゃない感じ。それほどまでにトラウマなんですね。

それではまた次回。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。