キュアハッピー「キュアギルティ・・・」   作:4度°

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ギルティの魔の手により重症を負ってしまったみゆきの母、育代。失意の中で戦意を喪失してしまうみゆき。そしてその場に駆けつけたあずさはマジョリーナの協力もあり、彼女の一命を繋ぎ留めるべく、キャンディとポップにある命令を下す。


第31話【operation】

七色ヶ丘総合病院-玄関

 

看護師「はぁっはぁ・・・」タッタッタッ

 

医者「うぐ・・・」

 

患者「う・・・ぅぅ・・・」

 

看護師「はぁ・・・は・・・」

 

患者「はっはっ、はぁ・・・あぁ・・・」

 

看護師「やっぱり、みんな気を失ってるみたい・・・」

 

看護師「わたしと同じ・・・」

 

サアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア・・・

《小ぶりな雨に降らされながら、以前として陰鬱な空気に包まれている七色ヶ丘市。尋常ならざる爆音を聞きつけて病院に駆けつけた看護師である加藤は、医師のあずさと別れ病院の敷地内を見て回っていた。敷地内は町中と同じくどこも苦しみ倒れている人で溢れかえっており・・・》

 

男の子「はぁ、はぁ・・・はぁ・・・」

 

看護師「あっ!ゆうき君・・・!!」

 

男の子「うぅぅ・・・」

 

看護師「ゆうき君・・・!!しっかり・・・!!」

 

男の子「お、おね・・・ちゃ・・・」

 

看護師「ゆうき君・・・っ」

 

看護師「ほんとに・・・みんな何が・・・っ」

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!

 

看護師「きゃぁぁぁぁっ!?」

 

 

ガラガラガラガラガラ・・・

 

 

看護師「ま、また爆発!?」

 

ドガガガガガガガガガガガガガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!

 

看護師「きゃぁぁぁぁあっ!?」

 

看護師「もう、もう・・・なんなのぉ・・・っ!?」

 

?「・・・ッ!!」ガラガガッシャアアアアアアアアアアアンッ!!!

 

看護師「!!?」

 

ギルティ「・・・ッ!!!」

 

看護師「え・・・え!?え?!お、おんなの・・・こ!?」

 

《三度起こる激しい爆発と共に壁を突き破って現れたのは、黒い羽根を生やした異形の少女。突然現れた人ならざる姿をした少女を前に驚愕する加藤》

 

ギルティ「・・・チッ」

 

看護師「い、いったいどうして・・・っ!?」

 

マジョリーナ「はあああああああああああっ!!」ギュンッ

 

看護師「ひぃぃっ・・・!?」

 

マジョリーナ「くらい・・・なァ・・・っ!!」

 

ギルティ「・・・ッ・・・ッ・・・ッ!!!」

 

マジョリーナ「はぁぁぁぁあ!!」バシュンバシュンバシュンバシュンバシュンッ!!

 

 

ドガガガガガガガガガガガアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!

 

 

看護師「あ、あああ・・・」

 

看護師「ひ・・・柊先生ぇーっ!!」タタタッ

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・

 

 

七色ヶ丘総合病院-ロビー

 

 

フワァァァァン・・・

 

《まるで災害でも起きたかのように所々が崩れている病院内。そのロビー中央には大きな血を床に染み込ませながら生気なくぐったりと横たわっているみゆきの母、育代の姿が。本来なら重症の傷を負っている彼女の身体は不思議な光に包まれていて》

 

あずさ「すごい・・・本当に身体の循環が止まってるなんて・・・」

 

《キュアギルティへの仇討を果たすべく駆けつけたマジョリーナは、育代の身体から溢れ出る大量の出血を止めるために自らの発明品を使用し、育代の身体の機能を一時的に“停止”させていた》

 

育代「・・・」

 

あずさ「これなら、時間を稼げる・・・っ」

 

みゆき「・・・」

 

あずさ「みゆきちゃん」

 

キャンディ「みゆき・・・」

 

ポップ「みゆきどの・・・」

 

あずさ「大丈夫よみゆきちゃん。お母さんはわたしが必ず・・・」

 

?「先生ーっ!!」

 

あずさ「!?」

 

看護師「せ、先生・・・はぁ、は・・・っ」

 

《なんとか育代の身体を処置しようと思考を巡らせていたあずさの元へ、目の前の光景が信じられず慌ててあずさの元へと駆けつけてきた加藤》

 

看護師「柊先生!あ、あっちの方も見てきたんで・・・え!?こ、これ!!」

 

あずさ「加藤さん・・・!!」

 

看護師「せ、先生!あ、あの、わた、わたしあっちで!あ、あのえと・・・!!」

 

育代「・・・」

 

看護師「え、ええ!?ほ、星空さん!?あ、あ、ど、どうして・・・っ」

 

あずさ「加藤さん!ストレッチャーっ!!」

 

看護師「え!?あ、あの・・・あ、あっちの方でも今、ば、ばくは・・・っ」

 

あずさ「いいからはやくっ!!考える前に動くっ!!」

 

看護師「は、はは、はいぃぃ・・・っ!!」タタタッ

 

ポップ「あずさどの!拙者たちにできることは!?」

 

あずさ「ポップちゃん・・・っ」

 

あずさ「そう・・・ね・・・っ」

 

あずさ「そうだ、ポップちゃんはできる限りの人を起こして・・・いえ、ううん違う!!そうね、ええ、ああ・・・そうだわ!濱田君!!アイツ!!アイツだけでいいから起こしてきて!!」

 

ポップ「は、はまだくん・・・でござるかっ・・・!?」

 

あずさ「痩せ身で長身、無精ひげ生やした濱田幸助って男よ!白衣に名札を付けてるからわかるはず!今の時間なら2階の食堂にいるはずだから!!起こしたら第2手術室へ来るように言って!!」

 

ポップ「こ、心得た!!」

 

キャンディ「で、でも、おにーちゃんキャンディたちのことバレちゃうの・・・いいクル?」

 

ポップ「事が事でござる。致し方ないでござるよ、キャンディ」

 

キャンディ「・・・クルッ。キャンディもおてつだいするクルぅー!」

 

あずさ「キャンディちゃん・・・」

 

ポップ「うむ!いくでござるよキャンディ!」

 

キャンディ「ク、クルぅーっ!」

 

あずさ「ふたりとも、お願いっ」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・

 

 

七色ヶ丘総合病院-玄関前

 

 

マジョリーナ「はぁぁぁぁ!!」バシュンバシュンバシュンッ!!

 

《キュアギルティへの奇襲に成功したマジョリーナは、捨て身の覚悟で彼女へ向かって光弾を連続で放ち続ける。標的の姿が見えなくなるほどに轟々と上がる爆煙の中、マジョリーナは渾身の一撃を繰り出して》

 

マジョリーナ「くらいなぁぁぁぁあ!!!」バシュウウウウウウウウウウウウウウンッツ!!!

 

ドガガアアアアアアアアアアンッ!!!

 

ゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴウ・・・

 

マジョリーナ「はぁっ・・・はぁっはぁ・・・」

 

マジョリーナ「(これだけやって、どうかね・・・)」

 

マジョリーナ「・・・」

 

?「はぁ・・・は・・・」

 

マジョリーナ「・・・っ」

 

ギルティ「ははぁ・・・はっはっはぁ・・・」

 

マジョリーナ「・・・っ!?」

 

ギルティ「あっは・・・あっはっは!あははは!」

 

ギルティ「あーあーあー。はっはっは・・・痒いんだよ。何回もよぉ?」

 

《煙の中から聞こえてくる不気味に笑う少女の声。次第に晴れ上がってきた爆煙の中からは傷一つ付いていないキュアギルティの姿が現れて》

 

マジョリーナ「・・・」

 

ギルティ「なんだ今の?あ?」

 

ギルティ「ナメたマネしてくれんじゃねぇか・・・」コキコキ

 

マジョリーナ「ちっ・・・」

 

マジョリーナ「(ウゴケナクナールの効力がもう切れたってのかい・・・)」

 

ギルティ「てめぇ、誰だ?・・・アァ?」

 

マジョリーナ「誰とはご挨拶じゃないか。これでも少しの間はいっしょに居たってのにさ」

 

ギルティ「あ?」

 

マジョリーナ「まさかあんなことを仕出かしてくれるとはねぇ・・・」

 

マジョリーナ「あんたのせいでバッドエンド王国はボロボロだよ。おかげで帰る場所もなくなっちまった・・・」

 

ギルティ「はぁ?なにをゴチャゴチャとわけのわかんねーこと言ってやがる」

 

マジョリーナ「はん・・・そうだね。ま、そんなことはどうでもいいさ」

 

マジョリーナ「お互い、溜まった憂さを晴らすだけだ。そうだろ?」

 

ギルティ「・・・ハッ」

 

マジョリーナ「覚悟しなよ!!プリキュァァァア!!」

 

ギルティ「雑魚が・・・ッ!!ぶっ殺してやるよ!!」

 

マジョリーナ「いくよ・・・っ!!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・

 

 

七色ヶ丘総合病院-

 

 

みゆき「・・・」

 

みゆき「(おかあさん・・・)」

 

育代「―――」

 

みゆき「(おかあさん・・・おかあさ・・・)」

 

育代『みゆきー?学校遅刻しちゃうわよー?』

 

みゆき「・・・」

 

育代『ほーら、もう。お弁当、忘れちゃダメじゃない』

 

みゆき「・・・」

 

育代『みゆきを離してぇ!!』

 

みゆき「おか・・・さ・・・っ」

 

あずさ「「みゆきちゃん、大丈夫、大丈夫よ・・・っ」グッグッ

 

看護師「先生!ストレッチャーです!!」ガラララッ

 

あずさ「ええ・・・っ!移すの手伝って!!」

 

看護師「はいっ!!」

 

みゆき「(お母さん・・・)」

 

あずさ「ゆっくり・・・っ!!」

 

看護師「は、はい・・・っ」

 

育代『え、母の日?』

 

みゆき「(お母さん・・・)」

 

育代『わぁ・・・これ、お母さんにくれるの?』

 

みゆき「(お母さん・・・っ)」

 

育代『ありがとう、みゆき』

 

あずさ「みゆきちゃ・・・っ!!」

 

みゆき「・・・」

 

《まるで糸の切れた人形のように力なくへたり込んでいるみゆきはあずさの呼び掛けにも応えず、ただただ呆然と母の流した血の溜まりを場を見つめていた》

 

あずさ「・・・っ」

 

あずさ「みゆきちゃんはここにいて!!絶対に動いちゃダメよ!?あとでキャンディちゃんたちに迎えに来させるから!!絶対!!絶対よ!?」

 

みゆき「・・・」

 

あずさ「みゆきちゃん・・・っ!!」

 

看護師「先生・・・っ」

 

あずさ「・・・っ」

 

あずさ「いくわよ。加藤さん・・・っ!!」ガラララララッ

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・

 

 

七色ヶ丘総合病院-2F食堂

 

ポップ「ここが食堂でござるな・・・っ」ボウンッ

 

キャンディ「クルっ・・・みんなたおれてるクルっ」

 

《鳥の姿から元の姿へと戻ったポップはキャンディと共に大食堂へ辿りつく。普段は職員や見舞い客に関わらず賑わっている食堂も、今では閑散とした空気の中で何人もの人々がうずくまって倒れていて》

 

ポップ「どこも状況は同じのようでござる・・・っ」

 

キャンディ「クル・・・おにーちゃん、これからどうするクルっ?」

 

ポップ「とにかく手分けしてあずさどのの言っていた人を探すでござるよ。特徴はおぼえているでござるな、キャンディ?」

 

キャンディ「クルーっ!」トテテッ

 

《ポップとキャンディは二手に分かれ、あずさの言っていた食堂内にいると思われる男性の医者を急いで探し出そうとう駆け出して》

 

ポップ「ハマダどのー!ハマダどのはおらぬでござるかー!?」

 

キャンディ「クルー!ハマダのおじちゃんどこクルー!?」

 

ポップ「ハマダどのー!」

 

キャンディ「クル!こっちクル!?」

 

女性「うぅぅ・・・あぁ・・・」

 

キャンディ「クルぅ・・・こっちクル!?」

 

子供「はぁ、はぁ・・・っ」

 

キャンディ「クル・・・どこクルー!?」

 

?「ぅ、ぅうん・・・」

 

キャンディ「クル!?」

 

男性医師A「ぐうぅぅ・・・あぁ・・・」

 

ポップ「この者は・・・違うでござるな」

 

男性医師B「うぅぅぅ・・・っ」

 

ポップ「こちらの者も・・・違うでござる!!」

 

ポップ「早くせねば、みゆき殿の母上が・・・っ」

 

キャンディ「おにーちゃーん!」

 

ポップ「キャンディ!?どうしたでござる!?」

 

キャンディ「こっちきてクルー!!」

 

ポップ「・・・っ」タッタッタッ

 

 

男性医師C「うぅ・・・ん・・・」

 

 

キャンディ「このおじちゃん、みてクル」

 

ポップ「痩せていてメガネをかけている・・・それに無精ひげ!名前は・・・おお!濱田幸助!!あずさ殿の言っていた御人にござる!!」

 

キャンディ「やったクルー!」

 

ポップ「よく見つけたでござるな、キャンディ!」

 

キャンディ「えっへんクルー♪」

 

ポップ「よし、ふたりで起こすでござるよっ」

 

キャンディ「クルッ」

 

濱田「ううぅ・・・」

 

ポップ「ハマダどの!ハマダどの・・・!!」

 

濱田「う・・・うぅ・・・」

 

ポップ「起きるでござるよ!!ハマダどの・・・!!」

 

濱田「う・・・ん・・・」

 

キャンディ「クルー!おじちゃんおきるクルー!」

 

濱田「う・・・うぅ?あ、なん、だ?」

 

ポップ「・・・っ」

 

ポップ「御免!!」

 

濱田「あだだだだ!いだ!!いだだだ!な、なんだなんだ!?」

 

キャンディ「クルぅぅぅー!」ギュムゥゥゥ

 

濱田「痛い痛い痛い・・・!!だ、誰だお前たち!?」

 

ポップ「お主が、ハマダどのでござるな!?」

 

濱田「な、なんだ!?あ!?お、おま・・・うわ!!ぬ、ぬいぐるみが喋った!?」

 

キャンディ「クル!キャンディとおにーちゃんはぬいぐるみじゃないクルっ」

 

濱田「ああ、夢か。こんな・・・こんなファンシーなことがあるわけない」

 

ポップ「ハマダどの!話している暇はござらん!火急の用でござる!!」

 

キャンディ「そうクル!いそぐクルー!」クイクイッ

 

濱田「いや、ちょ、ちょっと待て!なんだ、なんなんだこの状況は!?」

 

濱田「俺は確か・・・飯を食っていて・・・そうしたら、なんだが急に・・・」

 

ポップ「ハマダどの!」

 

濱田「ああ、まったく・・・いい年してこんな生き物が出てくる夢を見るなんて・・・俺も疲れてるのか」

 

 

ポップ「人の命に関わる問題でござる!!」

 

 

濱田「・・・!」

 

ポップ「混乱するのは無理もない話でござる。夢だと思うのなら夢のままでも構わんでござる!!!」

 

ポップ「しかし・・・今だけは考えるのをやめて、拙者たちについて来て欲しいでござる!!」

 

濱田「・・・」

 

ポップ「・・・っ」

 

濱田「はぁ・・・」

 

濱田「人の命か・・・それは医者にとっては殺し文句だぞ」

 

キャンディ「クル・・・おじちゃん・・・」

 

濱田「俺の力が必要か・・・?」

 

ポップ「いかにもっ」

 

濱田「・・・」

 

濱田「ああ、くそ・・・柊にとやかく言えた義理じゃなかったな」

 

キャンディ「クル?」

 

濱田「・・・案内してくれ」

 

ポップ「ハマダどの・・・っ」

 

男性医師「どうせ夢なんだろ?考え込むのは後にするよ」

 

ポップ「面目ない!!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・

 

 

七色ヶ丘総合病院-中庭

 

 

ギルティ「あはっはっはっはっはっはっはー!!!」

 

マジョリーナ「・・・っ!!」

 

《以前として小雨が降り続ける七色ヶ丘病院の敷地内にて行われているギルティとマジョリーナによる戦闘。初めこそ手数の多さで優勢に攻めていたマジョリーナであったが、ほとんどの攻撃がギルティには通用せず防戦から攻めに回った彼女の圧倒的に攻撃力を前に、マジョリーナは追い詰められてゆき》

 

マジョリーナ「はぁっはぁっは・・・」

 

ギルティ「ははぁ!はっはっはぁー!」

 

マジョリーナ「くっ・・・!!」

 

ギルティ「“ギルティブレイド♪”」

 

ズガガガガガアアアアアアアアアンッ!!!

 

マジョリーナ「っ!!」

 

ギルティ「おらぁぁ!!」ガガァァンッ!!

 

マジョリーナ「ぐ・・・あ・・・っ!!」

 

ギルティ「“ダークロウ・ジャベリンズ・・・ッ”」ブワンッ

 

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガアアアアアアアアンッ!!!

 

マジョリーナ「くぁぁぁぁ!!?う、ぐうぅぅう!!?」

 

ギルティ「おらどうしたどうしたァ!!さっきまでの威勢はよォ!!」ギュンッ

 

マジョリーナ「ち・・・ッ!!」

 

マジョリーナ「(一撃一撃が・・・なんて威力だいっ)」

 

ギルティ「どいつもこいつも勢いばっかで、てんで相手になりゃしねぇ!!もっとわたしを愉しませろよ!!」

 

マジョリーナ「この・・・ガキが!!」バシュンバシュンバシュンッ!!

 

ギルティ「ハ・・・ヌリィんだよ!!」ブワンッ

 

マジョリーナ「っ!!?」

 

ギルティ「らぁぁぁっ!!!」ガガアアアンッ!!!

 

《マジョリーナから放たれる光弾をいとも簡単に弾き飛ばしながら、上空から責め立てていたギルティは勢いよく滑空して彼女に急接近し、マジョリーナの首元を鷲掴んではそのまま地面に叩きつける》

 

マジョリーナ「ぐぁ・・・っ!!」

 

ギルティ「てめぇみたいなクソ雑魚に構ってるヒマはねぇんだよボケが」ギリリリ

 

マジョリーナ「ぐ・・・ぅ・・・っ」ギリギリ

 

ギルティ「このまま首をへし折ってやろうか」

 

マジョリーナ「・・・っ」

 

ギルティ「目玉をえぐり出して・・・」

 

ギルティ「舌を引きちぎってやるのもいいかも・・・なぁッ!?」ガンッ!!

 

マジョリーナ「ぐぶっふ・・・っ!!!」

 

ギルティ「ははぁ・・・はっはっは・・・♪」

 

ギルティ「てめぇがいらねぇ邪魔するから・・・アイツを殺し損ねちまったじゃねーか」

 

マジョリーナ「ぐっが・・・あ、がが・・・」

 

ギルティ「さっきの“幻覚”もお前の仕業か?」

 

マジョリーナ「・・・っ?」

 

ギルティ「はは、アレはなかなか効いたよ・・・」ギリリリッ

 

マジョリーナ「ぐ、は・・・っ」

 

ギルティ「どう落とし前つけてやろうかなぁ?あァ?」

 

マジョリーナ「・・・は、はは・・・は」

 

ギルティ「あン?」

 

マジョリーナ「はぁ・・・はぁ、は・・・はは、あははは・・・」

 

ギルティ「なにが可笑しい」

 

マジョリーナ「は・・・はは、は・・・はぁ、は・・・は・・・」

 

マジョリーナ「可笑しいさ・・・はは、は・・・」

 

ギルティ「あ・・・?」

 

マジョリーナ「あの隅っこで縮こまってたアンタがねぇ・・・はは、は、はぁ・・・随分と、偉くなったもんじゃない・・・か」

 

ギルティ「・・・」

 

マジョリーナ「昨日までは・・・子鹿にみたいに震えてたってのに、はぁ、は・・・ピエーロ様の力を奪った途端にやりたい放題かい・・・。現金なもんだ」

 

ギルティ「ハッ・・・なんだそりゃあ、遺言か?」

 

マジョリーナ「戯言だよ。はぁ、は・・・アンタみたいなやつのことを、なんていうか知ってるかい・・・?」

 

ギルティ「あ?」

 

マジョリーナ「ガキ」

 

ギルティ「ハッ・・・ははっ」

 

マジョリーナ「プリキュアなんて、生ぬるいお子様の連中だと思ってたけどねぇ・・・アンタはその中でも飛び切りのお子様だよ」

 

ギルティ「ハハ・・・ははははははっ」

 

マジョリーナ「オモチャを取り上げられて落ち込んで、また新しいオモチャを手に入れて周りに自慢してハシャイでるクソガキだ」

 

ギルティ「ハッ!!」ガガァァアンッ!!

 

マジョリーナ「かっは・・・っ!!!」

 

ギルティ「ははぁ・・・はっはっはっはっは♪」

 

ギルティ「あぁ・・・知ってるぜ、これ。“負け惜しみ”って言うんだ」ガガンッ!!

 

マジョリーナ「ぐ・・・あ・・・かはっ」

 

ギルティ「ここまでご立派な負け惜しみは聞いたことねぇよ」

 

マジョリーナ「が、ぐ、う・・・っ」

 

ギルティ「自分の攻撃が効かねぇってなったら、次は毒づいて攻撃ってか?あははははは!くっだらねぇ!!」

 

マジョリーナ「ぐが・・・が、あ゛あああ゛あ・・・」

 

ギルティ「ああ・・・もう本当にくだらねぇ・・・てめぇらは・・・」

 

ギルティ「次から次へと・・・雑魚の分際でわたしに楯突きやがって・・・」

 

ギルティ「身の程ってのをわかってねぇんだなぁ?」

 

《言いながらギルティは片方の腕でマジョリーナの左腕を掴み》

 

グボキィィッ!!

 

マジョリーナ「ぎぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!!?」

 

ギルティ「ははぁ・・・はっはっは・・・」

 

ギルティ「知ってるか?バカは死ななきゃ治らねぇらしいぜ・・・?」バキキキッ

 

マジョリーナ「がっ!!!あがぁぁぁぁぁぁあああっ!!!」

 

ギルティ「あはははははははははははははは!!」

 

《ギルティは砕け切ったマジョリーナの腕を何度も何度もねじり上げながら彼女に激しい苦痛を味あわせ、あまりの激痛に悲鳴を上げるマジョリーナを見ながら愉快げに嘲笑う》

 

ギルティ「どいつもこいつも・・・威勢がいいのは初めだけだなぁ?ほんと」

 

マジョリーナ「はっは・・・はぁ・・・はぁ・・・っ!!」

 

ギルティ「てめぇらみたいなクソどもの相手をするのもいい加減抱きたよ」

 

ギルティ「最初は遊んでやろうかとも思ったけど、てんで話にならねぇ。ゴミは所詮ゴミだな」

 

マジョリーナ「ぐ・・・が、はぁ・・・はぁ、はぁ・・・っ」

 

《容赦のないギルティの責めに苦しみもがくマジョリーナ。しかしギルティの暴虐はそれで終わらずマジョリーナの身体を首元を掴んだまま軽々と持ち上げて》

 

ギルティ「お前の終わりまで残り3秒ー♪」

 

マジョリーナ「・・・っ」

 

ギルティ「さーん」

 

マジョリーナ「く・・・」

 

マジョリーナ「(これで・・・あたいも終わりかい・・・)」

 

ギルティ「にー・・・」

 

マジョリーナ「(ウルフルン・・・アカオーニ・・・)」

 

マジョリーナ「(勘弁しておくれよ・・・)」

 

ギルティ「いーち♪」

 

マジョリーナ「・・・っ」

 

 

 

ギルティ「死ね」

 

 

?「だああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 

 

ギルティ「・・・ッ!?」

 

マジョリーナ「ッ!!」

 

ボワワワワワワワワワワワワワワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!

 

《マジョリーナの首を絞めている手に力を入れかけたその瞬間、ギルティの後方から激しく燃え盛る炎が放たれる。咄嗟にギルティは掴んでいたマジョリーナを放り出し上空へと回避して》

 

?「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

ギルティ「チッ・・・」バサバサッ

 

マジョリーナ「かっは・・・!!はぁ、はぁ・・・ぜぇー、はぁぁー・・・」

 

?「なんや・・・意外やんか・・・。はぁ、はぁ・・・えらい頑張ってギルティと戦ってるやつがおる思たら・・・」

 

マジョリーナ「あんた・・・」

 

?「はは・・・」

 

マジョリーナ「キュアサニー・・・」

 

サニー「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

 

ギルティ「あかねぇぇぇぇぇ・・・」

 

サニー「はぁ・・・はぁ・・・黒咲・・・」

 

ギルティ「くく・・・ははは・・・」

 

サニー「はぁ、はぁ・・・言うたやろ。黒咲・・・」

 

 

 

サニー「これ以上、みゆきに手出しはさせへんってなぁ!!!」

 

 

 

ギルティ「・・・ハッ!!」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・

 

 

七色ヶ丘総合病院-廊下

 

 

キャンディ「クルー!おじちゃん急ぐクルー!」

 

濱田「おい・・・!暴れるな!落ちるぞ・・・!!」タッタッタッタッ

 

キャンディ「ク、クル・・・ッ!」

 

濱田「にしても、いったいなんだ・・・これは・・・っ」

 

《キャンディとポップを頭と肩に乗せながら病院内を走り回る濱田。あずさの指定した手術室へと急いでいる最中にも、混沌とした病院内の惨状に彼は目を疑って》

 

濱田「まさか、病院内すべてこの有様なのか!?」

 

ポップ「病院だけではござらん・・・」

 

ポップ「街中が今はこのような状況でござる・・・っ」

 

濱田「なんだと!?いったいなにが・・・っ」

 

キャンディ「みんなキュアギルティのせいクルー!!」

 

濱田「きゅ、きゅあ?なんだ?」

 

キャンディ「ぷりきゅあクル!でもみゆきたちをはぜんぜんちがう“あくのプリキュア”クル!!」

 

濱田「ぷ、ぷりきゅあだ!?」

 

キャンディ「クル・・・!」

 

濱田「わ、わけがわからん・・・」

 

ポップ「すまぬ。今は説明している時間はないでござるよ」

 

濱田「それはわかってるが・・・」

 

 

あずさ「濱田君!!こっち!!」

 

 

ポップ「あずさどの!!」

 

濱田「柊!?おまえ、どうして・・・!!」

 

あずさ「話は後!!緊急オペ!!用意して!!」

 

濱田「な・・・っ!?」

 

あずさ「中で加藤さんが準備してくれてるから、濱田君も入って!!」

 

濱田「いや、オペってお前・・・本気か?」

 

あずさ「冗談言ってられる状況じゃないのわかるでしょ!?」

 

濱田「あぁ・・・いよいよもってこれは夢だ。お前がオペだなんて」

 

あずさ「うるさい!!はやく!!」グイッ

 

濱田「あ、ああ・・・わかった!わかったから、引っ張るな・・・!!」

 

キャンディ「あずさ・・・」

 

あずさ「キャンディちゃん。ポップちゃん」

 

あずさ「濱田君を呼んできてくれて本当にありがとう。あとはこっちの領域よ。わたしたちに任せて、二人はみゆきちゃんのそばに」

 

キャンディ「クル・・・」

 

ポップ「あずさどの・・・後のこと、しかと頼むでござるっ」

 

あずさ「ええ」

 

キャンディ「・・・」

 

ポップ「キャンディ。拙者たちはいくでござるよ」

 

キャンディ「クル・・・あずさ」

 

あずさ「・・・なぁに?キャンディちゃん」

 

キャンディ「みゆきは・・・みゆきはおかーさんのことがだいすきクル。おとーさんのこともだいすきだったクル・・・」

 

あずさ「・・・」

 

キャンディ「みゆきは、みゆきはかぞくがだいすきクル!とっても、とってもたいせつにしてるクル!」

 

キャンディ「だから・・・だからおねがいクル・・・」

 

あずさ「キャンディちゃん・・・」

 

キャンディ「みゆきのおかーさんを・・・たすけてクル・・・!!」

 

あずさ「ええ・・・必ず。みゆきちゃんとも約束したもの」

 

キャンディ「クル・・・」

 

あずさ「キャンディちゃんとも約束」キュッ

 

キャンディ「クルぅ」キュッ

 

あずさ「みゆきちゃんのお母さんは、わたしに任せて。わたしが必ず助けてみせるから」

 

あずさ「だからキャンディちゃんもお願い。みゆきちゃんを・・・助けてあげて」

 

キャンディ「クル・・・やくそくクル・・・」

 

あずさ「ええ・・・」

 

ポップ「あずさどの・・・キャンディ・・・」

 

あずさ「ほら、行ってっ」

 

キャンディ「クル・・・」

 

ポップ「キャンディ、いくでござるよっ」

 

キャンディ「・・・クルッ」

 

あずさ「・・・」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・

 

 

七色ヶ丘総合病院-第2手術室

 

 

あずさ「患者は星空育代34歳。うちで見てた精神疾患の患者。腹部に激しい裂傷、貫通傷ね。“今は”出血が抑えられてるけど時間がない。急いで処置しないと・・・っ」

 

濱田「星空・・・ああ、例の猟奇殺人の被害者家族か・・・なんてこった・・・」

 

《あずさと濱田は先に準備をさせている加藤の後に続いて、迅速に手術着に着替え消毒洗浄を終えて手術室へと入室する。手術台にはすでに呼吸器を取り付けられて寝かされている育代と、同じく手術着を着用して慌ただしく準備をしている加藤の姿が》

 

濱田「にしても、なんだこれは・・・」

 

《スコープを取り付けながら育代の状態を確認する濱田は、まるで一時停止された映像のようにピクリとも動かない彼女の身体の状態に驚愕する》

 

濱田「柊、これはいったい・・・」

 

あずさ「なんでもない。ただの魔法よ」

 

濱田「魔法ってお前・・・」

 

あずさ「ごちゃごちゃ言わない。麻酔は?」

 

看護師「せ、先生。これ、ど、どうすれば・・・」

 

あずさ「貸して」

 

看護師「は、はい・・・っ」

 

あずさ「そろそろ、言ってた効き目が切れる時間のはずね・・・」

 

濱田「いや・・・ああ、くそ。いちいちツッこんでたらキリがない」

 

看護師「せ、先生!モニター電源入れました!」

 

あずさ「輸血は?」

 

看護師「セ、セットできてますっ」

 

あずさ「ライトを」

 

看護師「は、はい・・・っ」ガコンッ

 

濱田「この状況でMEがいないのが痛いな・・・」

 

あずさ「ここが“病院”で“3人”いるだけマシよ」

 

濱田「ふ・・・」

 

看護師「せ、先生・・・!準備できました!」

 

あずさ「オーケー。電気系統が生きてたのが不幸中の幸いね」

 

濱田「非常電源に切り替わっている可能性もある。いつ停電になるかわからんぞ」

 

あずさ「時間がないのはどのみち同じよ」

 

濱田「・・・違いない」

 

看護師「せ・・・先生、わ、わたし・・・ほんとに入っちゃって・・・いいんですか?」ゴクッ

 

あずさ「ええ、今はひとりでも人手が欲しいの。頼りにしてるわよ」

 

看護師「ででで、でも、わ、わたし・・・オペ看なんてまだやったこと・・・」

 

あずさ「大丈夫よ。わたしたちは自分でできることは自分でするから、あなたはわたしたちの指示に従ってくれればいい」

 

看護師「で、でも・・・っ」

 

濱田「無茶を言うな柊。ERの経験もない加藤にはまだ早い」

 

濱田「それに、医院長の許可もなしの緊急オペだ。責任問題を問われたらクビかもしれん」

 

看護師「えぇ!?」

 

あずさ「クソ喰らえってのよ。はい、麻酔オッケー」

 

看護師「えぇぇぇぇ・・・」

 

濱田「ははは。冗談だ、加藤」

 

看護師「は、濱田せんせぇ・・・」

 

濱田「それに悪いことばかりじゃない。こんな機会は滅多にないぞ、加藤」

 

看護師「え、ええ・・・?」

 

濱田「こいつのオペに入れるなんてレアケースはそうそうない」

 

看護師「・・・っ」

 

あずさ「・・・」カチャ

 

濱田「“神の手”の復活だな」

 

あずさ「茶化さないで」

 

あずさ「・・・」

 

あずさ「(震えてんじゃないわよ、右手・・・っ)」キュッ

 

あずさ「・・・」

 

男性医師「柊、執刀はやはり俺が・・・」

 

あずさ「・・・」

 

あずさ「大丈夫、やれる」

 

 

みゆき『―――ッ!!』

 

 

あずさ「(約束・・・したんだから・・・)」

 

あずさ「(みゆきちゃん・・・)」

 

みゆき『お母さんを助けてぇぇぇ!!!』

 

あずさ「・・・っ」

 

あずさ「・・・」

 

あずさ「(バカね・・・助けるのは、こっちの方じゃない)」

 

濱田「・・・」

 

看護師「・・・」

 

あずさ「すぅぅ・・・」

 

あずさ「はぁぁ・・・」

 

あずさ「・・・」

 

あずさ「いくわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

あずさ「―――術式開始」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued...


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