導きの青い星が輝かんことを。
波打ち際で静かに釣り糸を垂らす。お気に入りの釣りスポットである古代樹の森エリア4。今日はケストドンもいないみたいだし静かに釣りが出来ている。
ただ、さっきから魚影はさっぱり見えないし、もしかしたら魚はいなくなってしまったのかもしれないなぁ。
「う~ん、これ以上は厳しいかなぁ。今どんな感じだっけ?」
「サシミウオが6匹、キレアジも6匹、大食いマグロが1匹ニャ」
…思ってたより釣ってた。キレアジ目当てで来たけど5匹も釣れれば十分でしょ。
ストックも20匹位いたはずだし、そんな大量に使うわけでもないしなぁ。よし、今日はそろそろ引き上げかな。
「うん、釣りはこの辺にして帰ろうか。テリヤキは何かやっておきたい事とかあった?」
「無いかニャ。しいて言えば、ダイオウカジキをお目にかかりたい…なんて願望はあったけどそこまで重要じゃないニャ」
「ダイオウカジキかぁ…。僕も一回も見たことないしねぇ…。ちょっと難しいや、ゴメンネ?」
「気にしないでいいニャ。モンスターが来ないうちに早く帰ろうニャ」
テリヤキにそう言われながら、僕は釣り竿を折りたたむ。最近は忙しかったからなぁ…。
正直な話、あんなクソデカい古龍を捕獲しようだなんて無茶が過ぎる。総司令もなかなかハッピーな頭をしてるもんだ、とか思っちゃった。
なんやかんやあって、ゾラ・マグダラオスは遠くのほうへ撃退することは出来たんだ。この新大陸も滅亡は免れたみたいだし、五期団の推薦組としての役割は果たせていると思いたい。
…なんで僕が推薦されたんだろうなぁ。向こうにはもっと優秀なハンターがたくさんいたと思うけど、僕なんかが選ばれちゃって変な嫉妬とかされてないよね?
「旦那さん、どうしたのニャ?ボーっとして…」
「あぁ、ごめん。最近忙しかったなぁってさ」
「そうだニャ~。だから早いところ帰ろうニャ」
「そう急かさないでって!わかったってば…」
テリヤキからちょっと圧を感じる…。頼りになるオトモだけれど、こういうところがなぁ…。
でもまぁ、いい加減帰ろうか。
そう思い、指笛を鳴らそうとしたときだった。
「あっ、すいませ~ん!!そこの人~!!」
なんだよ…別のハンターも来てたのか…。早く帰りたいんだけど…。
声をかけられた方を振り向くと、そこには大剣を担いだ赤髪のハンター。そして、双剣を装備した黒髪のハンターがいた。二人とも女性だった。しかもなかなかの美人。
黒髪さんはちょっと胸の大きさが残念だけど、そういうのも全然アリだと思いますよ。
「…なんか変なこと考えてません?」
「いや、決してそんなことはありませんが…」
…なんだこの黒髪の人、超能力かよ。油断できないな。
「ちょっと、失礼でしょうが…!すいません、うちのメンバーが変なこと言って…」
「あぁいえ、全然ですよ?…で、お二人はどうしたんです?」
「えっとですね…、人を探してまして…。どうもこの古代樹の森の中で迷子になっちゃったみたいなんですよね…」
赤髪のハンターさんが困り顔で言う。
…ソイツ、ハンターの才能無いんじゃないかな?古代樹の森は確かに迷いやすいけど、最悪翼竜を呼べばいいじゃないか。
「なんか翼竜も手懐けれていないらしくて…。迷子になりやすい人がパーティにいると、ホント困っちゃいますよね…タハハ…」
うん、才能無いなソイツは。
「トマt…その人なんですけど結構…というか、かなり風変わりな装備なので、もし見かけていたら教えてほしいんですが…」
「えぇ、構いませんけど…。どんな装備ですか?」
僕が二人に尋ねると、二人は何とも微妙そうな顔をした。んん?そんなにアレな恰好なのか?
「「クルルヤックです」」
「………は?」
僕の反応をみて、黒髪さんが補足してくれる。
「えぇとですね…。非常にリアルなクルルヤックの被り物をしてるんです…」
……なんなんだソイツ。
「あっ!あと、君と同じく操虫棍使いです!見覚えないかな?」
僕はそんな奴と一緒の武器なのか…。ハンマーあたりに持ち替えようかな…。
「頭クルルヤックの操虫棍使いですか…。すいません、ちょっとわからないですね…」
「あっ、そうですか…。ご協力ありがとうございます!私たちはまだその人を探しますので!」
「いえいえ。では僕はこの辺で。人探し頑張ってくださいね」
そうして、僕はその場を後にしようとした。
あぁ、やっと帰れる…。
「すいません。ちょっと気になったんですが…。
操虫棍にそのエンブレム…。もしかして五期団の推薦組の方ですか?」
「えぇ、そうですけど…」
黒髪の人、よくこのエンブレムに気づいたな…。僕はわざと見えにくい腰横に着けてるから、初見で気づく人なんてまずいないんだけど…。
「ということは…貴方はセフィ・アスターさんで合ってますか?」
「…そうですけど。知り合いからはアストって呼ばれてますけどね」
いや…何で知ってるの?僕ってそんなに有名人になったのか?
ソードマスターや、あの陽気な人ならけっこう有名らしいけど…。
「そうですか、貴方が…。すいません、引き留めてしまって。
では、私達はまだ残りますので。またいつか狩場で会うことがあったらよろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いしますね」
そういって、女性二人組は森の奥へと歩いて行った。何やら楽し気にしゃべっていったみたいだったけど…。
「何だったんだ一体…。テリヤキ、待たせてごめんね?」
「赤髪の大剣使い…。それに黒髪の双剣使い…。もしかして…いや、でもあのパーティは新大陸に来てないはずニャ…」
なんだかテリヤキが考えてるけど、どうしたんだろう。あの二人に心当たりでもあるのかな?
「じゃ、翼竜呼ぶよー。しっかり捕まって…」
次こそ本当に翼竜を呼ぼうとした。
…だけど、僕の目にあるものが映った。
正直、目に入れたくない類のモノだった。関わるべきじゃないと僕の本能が警鐘を鳴らしている。
あの人たちの言ってたクルルヤックの頭ってあんなにリアルなのね…。
さっきの二人が歩いて行った方向とは別の方から、頭クルルヤックの操虫棍使いが歩いてきていた。
「あぁっ!!遂にハンターを見つけたぁ!!」
うわ…。気づかれたよ…。
よし、逃げよう。あんなバケモノに関わると碌なことがなさそうだ。
「みんなとはぐれて三時間…やっと人に会えた……ってえぇ!?逃げてる!?」
なんか叫んでるけど気にしない。僕は翼竜を呼び、掴まった。
「貴方を探してる人たちなら、エリア5の方に行きましたよー!」
「アッ、一応アドバイスはくれるのね…。ありがとうござんすー!!」
僕の指示を聞いた頭クルルヤックは、嬉しそうに森の奥へと歩いて行った。
新大陸の調査団には変わり者が多いと聞いていたけど、まさかあれほどとは…。
ちょっと先が思いやられるなぁ…。
調査拠点アステラを目に入れながら、そんなことを考えた僕だった。
というわけで、性懲りもなく連載を始めました。とある作品の続編という扱いですが、前作を読んでいなくても読んでいけるような作品にしていきたいと思います。
とりあえずプロローグのみですが、本編は来月以降にボチボチ更新していこうかなと。
どうか温かい目で見守っていただければ幸いです。
感想など気軽にどうぞ。お待ちしてます。