夜明けのターン   作:金碧

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とりあえず二話目です。原作キャラを出したのはいいんですけど、キャラを掴めているといいなぁ


遺跡の風

「貴様ぁ!あの方がどなたか知っていて連れているのか!?」

 

 

「知らないです、ハイ。知らないったら知りません」

 

 

ルーナとの出会いのあと。押しきられるままにマウンテンサイクルまで案内することになった。

 

 

スモーを隠しつつ、ではあるが。機械人形を所持しているのは珍しいといえば珍しいが、ムーンレィスの移住者や機械人形の普及によって珍しいで済む程度の認識だ。が、いかんせん機体が機体だ。隠さなければ騒動が起きるだろう。確実に。

 

 

そんなこんなで旅をしつつ、目的地であるマウンテンサイクルに着いた。そこで、顔見知りの人物と鉢合わせたというワケなのだが………

 

 

「いきなり目の前に現れて案内しろ、なんて言われて押し切られただけですって。他は全然、何も、聞いてませんし、知りません」

 

 

道中いろいろとボロを出してはいたが。

 

 

「だから勘弁して下さいよ、ポゥさん」

 

 

ポゥ・エイジ。ムーンレィスの考古学者で、主にマウンテンサイクルのような黒歴史の痕跡を辿っているらしい。かつての泣き虫と言われた面影はなく、むしろ貫禄を感じられるくらいだ。

 

 

「完全に分かっているだろうが!だいたい、ロランの息子だというなら、あの顔は判別つくはずだ!」

 

 

「ちょ、声が大きいですって。聞こえたらどうするんです」

 

 

そう言って、月の少女に目を向ける。当の本人はというと、

 

 

「ここが、マウンテンサイクル。……あそこのモビルスーツ、カプルと言うのでしょう? あの愛らしさは覚えがあります」

 

 

感慨に耽っていたようで、こちらの話は聞こえていなかったようだ。

 

 

「ええ、この遺跡で発掘された主なモビルスーツです。なんでも、水場が得意だと聞いていますが。……………おい、後で話すぞ」

 

 

何か小声で話していたが、聞こえていない。そういうことにしておく。

 

 

「カプルだけ、ではないのでしょう?」

 

 

「やはり、お聞きになりますか。まあ、分かっていらしたからこそ、こちらにおいでになったのでしょうが」

 

 

「分かりますか?」

 

 

「分かりますよ。ここに来る人たちは、みんなそうですから」

 

 

「では、本当なのですね。ここで発掘されたという、白きモビルスーツ、名を…」

 

 

「ターンA。もしくはホワイトドール、だな。ここでは後者の方が馴染みがある」

 

 

20年前のムーンレィスと地球人との戦争にて活躍した機械人形。かつて文明を滅ぼし、そしてまた、今度は人を守り眠りについた、白き巨人。

 

 

「やはり、そうですか」

 

 

「貴様、ルーナ様になんて口を……」

 

 

「でも、お詳しいのですね、リオス。旅をしている、とは聞きましたが、もしやあなたも黒歴史を?」

 

知っている。むしろ一番詳しいのではないだろうか。だが前世うんぬんを抜いたとしても、関わりのある人物達と縁が深い、という事情もある。

 

 

「いや、むしろ乗っていた人物を知っているというか」

 

 

「ローラ様とお知り合いなのですか!?」

 

 

「ブフォ!」

 

 

聞き覚えのある(むしろ聞きたくなかった)名に動揺してしまう。隣の考古学者は笑いを堪えている。屈辱だ。

 

 

「し、知っておいでで?」

 

 

「はい。聞いたところによると、とても綺麗でお強いお方なのだとか。ハリーが、見惚れるくらいだと言っていましたし、一度お会いになりたいと考えております」

 

 

「くっ、くくく………」

 

 

「~~~~~っ」

 

 

おのれ余計なことを、と脳裏に謎なファッションセンスを持つ男を思い浮かべる。

 

 

「い、今はどこにいるのか知らないんでな」

 

 

「そう、ですか……。残念ですが、それは今度の機会としましょう」

 

 

「だ、そうだが?」

 

 

「一度たりともあってたまるか!」

 

 

「?」

 

 

誰が好き好んで親の女装を見たがるものか。ポゥを睨みつつ、そう考えるが、益体もないことだ。これもすべて父が悪い、と彼を恨んでおく。

 

 

「そのホワイトドール、でしたか。かつてあった場所を見ておきたいのですが……」

 

 

「分かりました。……おい!そこの!案内してやれ!」

 

 

「はい!分かりました!……こちらです、案内します」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

近くにいた……作業員と思われる人物にポゥが案内を命じた。自分で案内しないのかと疑問に思っていたが

 

 

「話すと言っただろう」

 

 

どうやら聞こえてなかったことにはできそうにないようだ。

 

 

「なんです?説教は嫌ですよ?」

 

 

「相変わらず生意気な…。そうではない」

 

 

「?」

 

 

「ルーナ様が地球にいる間の面倒、貴様がみろ」

 

 

「はぁ!? なんで」

 

 

「事情を知っている上で関係者との繋がりがあり自由に動けるのが貴様だからだ。業腹だが、気に入られているようだしな」

 

 

「そんなこと言ったって、どうするんです」

 

 

「貴様の腕は知っている。生身も、操縦もな。護衛としては充分だろう」

 

 

「アンタがやるっていう考えは無いんですか」

 

 

「私にも立場があるしな」

 

 

学者である以上、それは避けられないといったところか。部下も連れているようだし、扱っている分野が分野だ。下手な動きは出来ないのだろう。

 

 

「………分かりました。ただし、迎えが来るまで、ですよ?」

 

 

「それでいい。あの方を、どうかよろしく頼む。………見つかるといいな、お前の探しているものも」

 

 

「! アンタは……」

 

 

「では頼んだぞ!ローラにもよろしく言っておけ!」

 

 

「ポゥ・エイジ!」

 

 

「ハハハ!」

 

 

最後に自分をからかってから、彼女はこの場から背をむけた。遠ざかるシルエットに怒鳴りつけるが、聞き流したのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「探してみせるさ、自分の道くらいは…」

 




それは、追憶の風
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