夜明けのターン   作:金碧

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テコ入れに戦闘シーンをば。初めて書くもんだから、せめて読める文であればいいんだけど……


道行きの風

 

「おい!そこのずんぐり頭巾!おとなしく投降して、その機械人形をよこせ!」

 

 

自分は、あまり運が良い方ではない。けっして不幸でもないのだが、なにかと騒動に巻き込まれることが多かったと記憶している。

 

 

「聞こえてんのか!そこの布かぶった機械人形だよ!おい!」

 

 

……昔、父と旅をしていた時だ。ルジャーナ領に向かった折、領内で発生していた大捕物に巻き込まれたことがある。

 

 

なんでも、ルジャーナ・ミリシャから数名の離反者が現れ、退職金代わりに機械人形ボルジャーノンを奪い逃走を謀ったそうだ。

 

 

「ハ、ビビって声も出ないってか?どうなんだよ、えぇ!?」

 

 

離反者たちを確保するため、ルジャーナ・ミリシャが動き、やがて戦闘が始まったのだが、事情を知らずに作戦区域に入ってしまったのが運の尽き、戦場で右往左往する羽目になり、気がつけばなんか赤く塗られたカプルに乗って首謀者と思われる人物と一騎討ちを演じていた。

 

 

……何がどうなってそうなったかは、あまり覚えていないが、今思い出しても頭が痛くなる。やはり父があのタイミングでルジャーナ領に行こうとしたからだろう。恐らくだが、騒動を知ったが故に目的地を変えたのだと思う。息子を連れていたが、居ても立ってもいられずに向かうことにしたのだろう。

 

 

あの時のことを父は申し訳なく思っているようで(さんざん母に絞られたのもあるだろうが)、今でも話すたびに頭を下げられることがある。別にそのことに関しては恨んではいないし、守ろうとしてくれていたのは伝わっているので、むしろ感謝しているくらいだ。

 

 

「どうした、おい!……もしかして死んでるのか?」

 

 

だが、それがケチのつき始めだったのかもしれない。その事件以降、行く先々で、やれ賊だとか、民族対立だとか、古代の儀式だとか、牛だとか………。様々な事件事故に遭遇してきた。あげく、今案内をしているこのお姫様だ。

 

 

………やはり呪われているのでは? これも全部父のせいだな、そうにちがいない。そう思いつつ、とりあえず父を恨む。

 

 

「お…おい、まさか……幽霊…とかいわないよな? どうなんだ!返事をしてくれ!なぁ、おい!」

 

 

「なにやら涙声になっていらっしゃるようですが、返事をなさらないのですか?」

 

 

「あ、悪い。考え事してた。」

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

機械人形を所持する賊、というのは最近では珍しくなくなっている。いや、珍しいには珍しいが、いないこともないという認識をされている。

 

 

機械人形の普及などの背景もあるが、主にミリシャやディアナ・カウンター等の軍組織からの持ち逃げ、窃盗や盗掘など、が原因であったりする。

 

 

「………で、何でしたっけ?」

 

 

「な、なんだよ……生きてるじゃねぇか…」

 

 

「へへ、ビビらせやがって……幽霊なんかいるわけないだろ!」

 

 

「そうだそうだ!幽霊なんかいるもんか!」

 

 

「まあ、お化けがいらっしゃったのですか?」

 

 

何か馬鹿なことを言ってる連中の言葉を流しつつ、状況を確認する。

 

 

なんてことない荒野だ。こんな見渡しのいい場所で賊に絡まれるとは、我ながら運がないと言える。

 

 

それに三方向を機械人形に囲まれている。銃を持っていて、それぞれが射線上に味方を入れないように位置取っている。多少は訓練されているようで、恐らくはミリシャ崩れだろう。

 

 

機械人形の内訳を見るに、前方と右後方の2機はボルジャーノンのようだ。残りの1機はボルジャーノンに似ているようだが、胴体をはじめとして細部が異なっているし、何より指が太い。

 

 

(これは……グフ、だったか…?)

 

 

そんな機械人形が発掘されたとは聞いていないが、考えるに、偶然発見し、増長して軍を抜けて好き勝手している、といったところか。

 

 

「その機械人形をよこせ。おとなしく譲ってくれれば悪いようにはしないさ、へへ…」

 

 

「すまないが借り物なんでな。遠慮させてもらう!」

 

 

「なら、力づくで譲ってもらうとするか!」

 

 

「ルーナ。揺れるぞ、しっかり掴まってろ!」

 

 

「分かりました!」

 

 

スモーが被っていた布を脱ぎさり、前方のボルジャーノンの視界を覆うように投げかける。それと同時に、一気に前方へと駆け出す。

 

 

「なんだ!?小癪なぁ!」

 

 

布をとり払うボルジャーノンだが、すでにスモーの接近を許してしまっている。慌てて武器を向けるが、

 

 

「遅い!」

 

 

「な、銀色ぉ!?」

 

 

武器を切り落とし、ついでに両の脚も切断する。

 

 

「バラせば、動けないだろ!」

 

 

無力化したボルジャーノンを掴みあげ、もう1体のボルジャーノンに向けて投げつける。

 

 

「機械人形を投げ……うあぁぁ!?」

 

 

2機目の無力化を横目で確認し、最後の1機に向かって駆けはじめる。

 

 

「やるな……だが!」

 

 

グフらしき機械人形が銃で牽制しつつ、もう片方の腕を構えた。

 

 

「このグゥフは、ボルジャーノンとは違うんだよ!」

 

 

どうやらグゥフというらしい機械人形が腕から鞭らしきものを伸ばしてきた。直線で向かってくるのを見るに、絡め取って電流を流し込み、無力化するつもりだろう。

 

 

(リーチは向こうが有利。距離も少しある。が!)

 

 

「ヒートファンは、サーベルにもなる!」

 

 

襲いくる鞭を姿勢を下げて掻い潜りつつ、ヒートファンの先端にIフィールドを集中させ、ビーム刃を形成、そのまま加速し、延長した刀身を用いて両足を切断する。

 

 

「な、にぃぃ!?」

 

 

バランスを崩した所を狙い、今度は両腕を切断、グゥフを完全に無力化する。

 

 

「ふぅ~………。なんとかなったか」

 

 

「すごい、ものですね。腕が良いとポゥさまが仰られておりましたが、本当でしたか」

 

 

「疑ってたのか?」

 

 

「いえ、ただ想像以上でしたので驚いております。やはり、あなたを雇って正解だったようですね」

 

 

「褒められると少し照れるな…」

 

 

ルーナの称賛を受け取りつつ、賊をミリシャに引き渡す準備をする。ここはまだイングレッサ領だったはず。そう考え、引き渡し先になるであろう組織に所属している知り合いに連絡をかけ、事態を説明する。

 

 

「どうでした?」

 

 

「受け取りに来るから暫く待っているように、だってさ」

 

 

「では、少し休憩しましょうか。はしたないですが、少しお腹がへってしまったので」

 

 

「そうだな、そうしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……幽霊なんているもんかよ。ああ、いてたまるか」




それは、争いの風
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