もう1人の陽だまりの親友   作:黒雪兎

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あかん・・・XDUに対するモチベが下がってきている・・・!


第12話

ピリリリリ!ピリリリリ!と喧しく鳴り響く時計を勢いよくスパァン!と叩き込み、のっそーりとした速度で布団から出てカーテンを開ける。

外はあいにくの灰色の空で・・・天気、悪いのかな、なんて思っているとズキリと、鈍い痛みが走る

 

「・・・ッ!」

 

・・・頭痛薬あったかな?と思いつつリビングに降りる。

自宅に置いてある薬品箱から頭痛薬を一粒取り出し、それを水と一緒に飲み込み、数秒したら痛みは引いて行った。

ポチッとテレビを付けて今日の天気を確認すれば、今日一日ずっと曇りらしく、気温もそんなに高くないとか。

昨日は晴れとか言ってたのに、やっぱ鵜呑みにしちゃいかんねと思い、ポチポチッと適当にチャンネルを変え、朝の支度を始めた。

 

 

「行ってきますっと・・・」

 

マフラーをしっかりと巻き、手袋も付け、バックに折り畳み傘と念のため頭痛薬が入った薬品ケースを入れたのを確認してから、カチャンと鍵をかけて家を出る。

・・・止まったと思った頭痛が鈍い痛みを主張し、陽が出てないのも相まって余計に気が滅入る。

小さくため息を吐いてると、おはようと、横から未来が挨拶してきた。

こちらも軽くおはよ、と返し2人揃って駅へ向かう。

 

「ため息なんて吐いてどうしたの?」

 

「んー?・・・あぁ、天気悪いなーって思っただけさ」

 

「確か今日一日中だったけ?」

 

そうだなと返せば、未来があっ、と声を上げる。

 

「そういえば、今日のニュースでやってたけど、近くの山でまたノイズが出たらしいよ」

 

「ノイズがねぇ・・・」

 

ノイズと言われて頭を過ぎるのは、あのライブでノイズと戦っていたツヴァイウイングの2人だ。

 

(・・・そういえば)

 

ツヴァイウイングで思い出した。

テレビで報道などがされていたが、あのライブの後、天羽奏さんが居なくなってしまい、ツヴァイウイングは実質的に解散、今は翼さん一人で活動してる、だっけか。

なんてことを話しつつ歩いていけば、バス停に着いた。

 

「そういや、結局街までなに買いに行くんだ?」

 

ふと疑問に思い聞いてみれば、刺繍糸を買うらしい。

刺繍糸?と聞き返せば、どうもミサンガを作るようだ。

 

「ミサンガって、切れたら願いが叶うって、あのミサンガか?」

 

「うん、そのミサンガで間違い無いよ」

 

「ふーん、陸上部の願掛けにでも作るのか?」

 

なんて言えば、ピタッと未来は固まり、えーとね、と少し言いにくそうにして、驚かないでね?と聞いてきた。

?と頭に疑問符を浮かべつつ、とりあえずコクリと頷く。

 

「実は昨日、辞めて来ちゃったんだよね、陸上」

 

なんて、爆弾発言をさらりとかました。

 

「・・・・・」

 

驚かなかった、と言えば嘘になる。

未来はきっと俺たちが見えない所で、1人で悩んで悩み続けた結果、辞めることを選んだのだろう。

後悔してるのか?なんて聞けば、少し寂しそうに言葉を繋げた。

 

「してないよ———なんて、言えれば良かったんだけどね。・・・うん、やっぱり少しは有るかな」

 

「それなら無理に———」

 

「私たちは響のために2人で戦うって、抗うって約束したでしょ?」

 

「・・・!」

 

その目は俺1人だけには背負わせないと、語っている。

未来の後悔は未来1人だけで背負うしかなく、未来の後悔を俺が背負っても意味はないし、彼女はきっと怒るだろう。

スッと、未来が背伸びをして、俺の顔を目と鼻の距離まで引き寄せる。

フワリと女の子特有のいい匂いが鼻腔をくすぐり、思わずドキリと心臓が高鳴った。

心なしか、頭痛も止まった気がする。

 

「だからさ、誠くんは背負わなくたっていいんだよ。だって、最後の最後にやり遂げたんだって3人で笑顔で言うために」

 

「・・・あぁ、そうだな。悪い、余計な事言ったみたいだ」

 

「ううん、気にしないでいいよ。私が勝手にやった事だから」

 

未来はスッと手を離し、背伸びを辞める。

 

「だって私は1人じゃない、2人で、3人でならこれからもきっとずっと、戦っていける」

 

「だな。・・・戦い抜こう、絶対に」

 

 

 

程なくしてやってきたバスに乗り込み、揺られ続ける事数分、街の停留所に着いた。

相変わらず頭に鈍い痛みが走るが、まぁ、そこは気合いで、顔に出さないようにする。

刺繍糸は近くの手芸屋さんで買うとの事らしいので、2人でそこまで徒歩で向かう。

相変わらず外は冷たい風が吹き、背筋がゾクリとするのと同時にマフラーを口元まで寄せる。

 

「さっむ・・・」

 

「本当に寒がりだね誠くんって」

 

「暑いのは平気なんだけどなぁ・・・」

 

あー寒い寒いと愚痴っていると未来はジーと俺を見る。

 

「どうした未来?」

 

と聞けば小さくあっ、と声を漏らし、

 

「えっと、寒そうにしてるなーって」

 

と少し慌てて様子で言葉を返してきた。

?と疑問符を浮かべていると、目的地の手芸屋についた。

ウィーンと自動ドアが開き、店内に入る。

暖かい空気に包まれるのを感じる、手袋を外してマフラーを緩める。

ふー、と小さく一息付き、2人で目的の刺繍糸を探す。

手芸屋にきたのは初めてだが、結構色々なものが売っている。

毛糸玉だけでも結構な数の色が有ったり、ミシン機とかも売られてたり、あとはぬいぐるみとかか。

ほえー、と感心した声を上げていると、先に探していた未来が何かを見ていた。

んー?と思い後ろから覗き込めば、そこには毛糸で作られた手のひらサイズの様々な動物達が所狭しと並べられていた。

 

「どうしたんだそんなに見て?」

 

「あっ、誠くん。えっとね、このヒヨコが響に似てるなーって思ってさ」

 

ほらコレ、と手のひらに乗せたまん丸いオレンジ色のヒヨコを見せてくる。

普段は特に気にしないが、普段の言動を思い返してみると、良く未来の後ろをついて行っている響の姿は、どことなく親鳥に付いてくヒヨコを思い出させる。

 

「確かにそうだな。となると・・・未来はこれかな?」

 

ヒョイっと紫色のヒヨコをオレンジ色のヒヨコの隣に置く。

乗せた拍子でコテンとオレンジのヒヨコが倒れそうになるが、紫色のヒヨコが倒れるの阻止した。

その様は響が未来にもたれかかってるのを連想させる。

 

「じゃあ・・・誠くんはコレかな」

 

コチラもヒョイっとオレンジのヒヨコの隣に乗せるは黒色のヒヨコ。

 

「それが俺か?」

 

「うん。ほら、この毛の真っ黒具合がさ」

 

「・・・それは褒めてるのかね?未来くんよ」

 

ジトーと見れば、少し笑いながらも、ちゃんと褒めてるよーと言いながら、手に乗せたヒヨコたちを元の場所に戻し刺繍糸を探しに戻った。

本当かねー・・・なんて思いつつ、チラリと先ほど戻されたヒヨコたちを見る。

三体綺麗に並べられ、真ん中にはオレンジのヒヨコ、その両隣には紫と黒のヒヨコが真ん中のヒヨコを倒れないように支えている。

その姿が何となく今の自分たちを連想させる。

 

「・・・ちゃんと支えれてるといいな

 

なんて小さく呟き、早足にその場を去った。

 

 

 

「お買い上げありがとうございましたー!」

 

ウィーンと自動ドアが開くと同時に冷たい風が吹き、スッと無言でマフラーを口元まで寄せる。

安物の腕時計で時間を確認すれば、昼にはまだ早い時間だ。

 

(さて、買う物は買ったし、ここで解散するか?いやそれだと流石に味気な————」

 

ズキリと鈍かった痛みが鋭い痛みに変わると同時に思考が中断され、思わず片膝をつく。

 

「痛っ・・・!」

 

「誠くん!?」

 

タラリと汗が流れ落ち、心臓はやけにバクバクと早鐘に鳴り響き、本能が、この場は危険と警告してくる。

 

「もしかして今日体調が悪かったの?なら無理に来なくたって————」

 

グニャリと未来の後ろで空間が歪み、ナニかが這い出てくる。

 

「あ————」

 

あれは死だ、と本能が今までに無いくらいの警鐘を鳴らす。

 

(な——に——や——ば————!)

 

這い出てくる何かを認識する前に、痛みを無視して、未来の手を取り、一刻も早くその場から走り出す。

 

「わ、ちょ、誠く————!」

 

未来が驚いたような声を上げるのと同時に、視界が、俺たちの世界が膨大な数のノイズに塗りつぶされた。

数えるのもバカらしいぐらいに、その数は実に、あの日のライブの時よりも軽く超えていた。

ジロリと、なにも無い空間から出てきたノイズはその場の人たち——俺たちも含めて——を凝視しすると同時に、俺たちを殺そうと、なんの躊躇もなく、攻撃を開始した。

 





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