もう1人の陽だまりの親友   作:黒雪兎

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第17話

どれくらい寝てただろうか?暗くなった意識が浮上すると、まず初めに消毒液の匂いが鼻口をくすぐる。

 んっ?消毒液?と思う間も無く、次に来るのは頭を駆け巡る、鈍い痛み。

 

「痛っ・・・」

 

 そしてゆっくりと目を開ければ、清潔感漂う、見知らぬ・・・いや違う、見たことある部屋が目に入る。

 

「・・・なんで、病室にいるんだ?確か俺は学校にいた筈なんだが・・・?」

 

 んー?と唸って考えるが、全く検討もつかない。壁に立てかけてある時計を見れば、アレから2時間程経過したようだ。

 

「その疑問には私が答えるわ」

 

 と、ここでトビラの方から聴き慣れた声が聞こえる。

 

「・・・成る程、了姉だったか」

 

「もぅ、少しは驚きなさいよ」

 

 いやだって、ねぇ・・・?と言う視線を感じ取ったのか、コレが慣れかしらねぇ・・・と小さく呟きつつ、こちらに歩み寄る。

 

「それにしても、頭殴られたって聞いたから不安だったけど、元気そうで良かったわ、でも」

 

 そして何故かベシっと割と鈍い音がしたデコピンを喰らう。

 

「あでっ!?」

 

「今回は当たりどころが良かったものの、逆に悪かったら死んでたかも知れないのよ?無茶するのは男の子の特権だけど、心配する人が居るって事をちゃんと理解しなさいね」

 

 わかった?と念を押す様に了姉が言う。ぐぉぉと苦悶の声を漏らしつつ、コクコクと頷いておき、一応の弁解を口にする。

 

「・・・それでも、あの時はアレしか方法がなかったんだ」

 

「そうは言っても、もう少しだけ穏便な方法はなかったのかしらね?」

 

 それもそうだ。振るわれたバットを、避けきれかったとは言え、くらい、その怪我と血で動揺した生徒たちをその罪悪感に付け込んで説得して、正気にするとか、思っても普通なら絶対やらないと確信できるが、響の現状を変えるのは、後にも先にもコレしかないと思い、迷う間も無くこの選択を選んだ。

 

「さっき無茶するのは男の子の特権とは言ったけど、もっと周りの気持ちも考えなさいよ?ただでさえ今の貴方は大変なんだから」

 

「・・・ごめんなさい」

 

 そう謝れば、ならよしと言いつつ続けてこう言った。

 

「そうそう、30分前ぐらい前かしら、未来ちゃんから電話来てたから、今は病院に居るって代わりに言っといたわよ」

 

「え”」

 

 そう言えば、と言った風に了姉があっさりとそう言った。てかそんな大事な事忘れないで欲しいが、今はそんな事言ってる場合じゃない・・・!

 

「・・・退院しよう、今すぐに!」

 

 なんて急いで立とうとすれば、コラコラと、一体どこにその細い腕のどこにそんな力があるのか、全く立てずにベットに押さえ付けられる。

 

「諦めなさい、さすがに今日の退院は無理そうよ。さっさと腹括って女の子に怒られなさい。それが、無茶する男の子の特権よ」

 

 そんな特権、出来る事なら投げ捨てたい!

 

「いや了姉は知らないだろうけど、未来って静かに怒るからかなり怖いんだよ!?去年の夏なんて、間違えて未来のかき氷食べた時なんて、後ろにどっかの白い魔王様が見え——」

 

「あっ、了子さん、ご無沙汰してます」

 

 ピシッ、と空気が凍る音と共に部屋の温度が少し下がる。その時の反応は、三者三様。

 

 口からヒエッと悲鳴が漏れる(愚か者)

 

 こんにちわと未来(魔王様)は俺をガン無視して、了姉に挨拶。

 

 了姉もそれに対して、こんにちわーと返し、未来の纏う空気を察したのか、くるりとトビラに向かって歩く。

 

「後の事は未来ちゃんに任せるから、私はちょっと席外しておくわねー」

 

 俺が止める間も無く、軽やかな足取りで部屋を出て行った。

 ピシャンとトビラが閉められ、後に残るは、笑顔の未来(魔王様)頬を痙攣らせる俺(愚か者)のみ。コツコツと一歩一歩詰め寄り、こちらの逃げ場を無くしていく。まぁ、もとよりベットの上にいるから逃げ場なんてないんだけども!

 

「ねぇ誠くん、私はお話、聞かせて欲しいな?」

 

「それは・・・そのー・・・」

 

 未来は基本的には感情を昂らせて怒るタイプでは無く、どちらかと言えば感情を昂らせずに、静かに怒るタイプだ。

 コレはあくまで個人的にだが、この時点で恐ろしさの倍率は高く、更には声色は普段と同じだから尚の事恐ろしさの倍率ドン上がりでなのである。

 

「聞かせて、欲しいな?」

 

(二回言った!?)

 

 褒める所はキチンと褒め、怒る所はしっかりと怒り、俺が蔑ろにしてた『生きたい』と言う気持ちを取り戻させる。

 それを蔑ろにしてたら、いつの日か必ず、最悪の場所まで転げ落ちてしまう。

 

「あ、あははは・・・・・」

 

「・・・」

 

「・・・はい」

 

 だがそんな事に気づかない俺は未来の笑顔に恐怖し、カクンと項垂れ、大人しく全て白状するほか無かったのだった・・・。

 

 

 

 

 

 それから30分程続いた長ーいお話が終わり、窓の外では、日が少しずつ傾き始め、ちらほらと家に明かりがついていく。

 ふと目に入った、備え付けのカレンダーを見れば期限まで、残り3日ほど。

 

(・・・ほんと、どーするかね)

 

 ふー、と小さくため息を吐く。

 

「ねぇ誠くん」

 

 了姉遅いなぁと思いつつ、町の明かりを眺めていると、未来が話しかけてくる。

 

「んっ?どした未来?」

 

「・・・何か、隠してることない?」

 

 ドキリと心臓が高鳴り、思わず動きが一瞬止まる。

 部屋はチクタクと時計の音が支配する。数秒か、はたまた数十分の間、ジッと見つめられる。

 チクタクと小さく聞こえる時計の音も、今はなんだか、すごく大きく聞こえる。

 

 

 

 

 

 折れたのは、俺だった。

 

「・・・俺さ、この力を貸してくれって、頼まれたんだ」

 

「それって・・・」

 

「あぁ、未来の想像通りのヤツさ。だけどさ俺、その時に首を縦にふれなかったんだ」

 

 何かを懺悔するかのように、言葉を吐き出す。

 

「あの時は、勢いよく啖呵きって覚悟したのにさ、いざ見知らぬ他人を守ってくれって頼まれたらさ、迷ってたんだ。・・・本当、かっこ悪いよな俺・・・」

 

 悪い意味のため息が口から漏れる。・・・もしかしたら、誰かに聞いて欲しかったかも知れない。

 そんな俺の気持ちを知ってか、未来は少しだけ目を瞑って考え、目を開ける。

 

「うんん、違うよ、誠くんはかっこ悪くない。ただ、少しだけ怖がりなだけだと私は思うよ」

 

「・・・それこそかっこ悪いもんだろ?そこで怖がらないのが強い人ってもんじゃないのか?」

 

 頭に疑問符を浮かべつつそう聞けば、未来は、違うよと首を横に振る。

 

「本当に強い人って言うのは、その怖さを跳ね除ける人だと思っているし、私はそう言う人を知ってるよ」

 

 じゃあその人って誰さ?と聞けば、少し照れ臭そうにしながら、私の目の前にいる人だよ、と未来は言う。

 ・・・俺?と再度聞けば、ちょっと照れ臭そうに、誠くんだよ、と返される。

 

「なんか照れるけど、俺はその、未来の言う強い人に当てはまるのか?こんなにウダウダ悩んでるのに?」

 

「うん、ちょっと怖がりな所も有るけど、誠くんは強い人だよ。・・・だからさ、誠くんはどうしたいのか、本当の気持ちをさ、教えてよ?」

 

「本当の気持ち・・・」

 

 上を向いて、考える。・・・本当は答えなんて既に出ている筈なのに、あの時に喉につっかえて出せなかった言葉が今になって出てくる。

 

「覚悟はあった・・・だけど、痛いのは嫌だ、何よりこの前みたいに戦うのだって、本当は嫌さ。だって、カッコ悪いけど、死にたくは無いんだ」

 

 そこで一旦言葉を区切り、一つ深呼吸。

 

「・・・でも、だからと言って戦わない事を選んで、それで守れなくなって、心が痛くなって、苦しくなるのはさ、もっと嫌だ。戦いたくない、だけど戦って守りたいんだ。・・・変かもしれないし、矛盾してるかもしれないけど、それが俺の気持ち——それが俺のしたい事だ」

 

 スラスラとあの時言えなかった言葉が言えた。こんな簡単にも、あっさりと言えた。

 

「それが誠くんの気持ちで、本当にしたい事?」

 

「あぁ・・・。どうも、それが俺の気持ちで、本当にしたい事みたいだ」

 

「・・・じゃあ、一つ約束して」

 

「約束?」

 

 一歩踏み込み、俺との距離を狭まる。

 

「うん。カッコ悪くてもいい、凄くなくてもいいから———私と響がいる日常(ここ)に帰ってくるって約束して」

 

「———」

 

 真っ直ぐな視線で見つめられ、思わず息を呑んだ。

 

「あぁ約束する、絶対に帰ってくるって」

 

「それじゃ、小指出して」

 

 と言われ、それを見て察した俺も小指を出して、軽く絡ませ、そして2人同時に煩くならない程度の音量で歌い出す。

 

「「ゆーびきーりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます。ゆびきった!」」

 

 僅か数秒の歌を歌い、絡めた小指が離れる。

昔からある約束の歌。子供っぽいかも知れないが、俺たちの中では、これが一番約束守るのに効果的だ。

 

「さて、日も落ちてきたから、そろそろ帰るね」

 

「おう、気を付けてな。・・・また明日」

 

「うん、また明日」

 

 軽く手を振り、未来が病室を後にし、少しの間を置き、少しニヤけた顔の了姉が入れ替わりで入ってきた。

 

「いやー、青いわねー誠?」

 

「・・・別に、何時もの事だから」

 

「へぇー、アレが何時もの事、ねぇー」

 

 口元に手を当てニヤけが止まらない了姉に向かって不意打ち気味に枕を投げるが、読まれてたのかアッサリとキャッチされ、そのまま投げ返され、キャッチし損ねた枕が顔面に当たる。

 

「むぐっ・・・」

 

「まっ、不意打ちかます位には元気になったと言うべきかしらね」

 

 良かった良かったと言って備え付けの椅子に座る。とりあえず顔面に当たった枕を元の位置に戻しつつ、姿勢を正す。

 

「あのさ、了姉」

 

「うん?」

 

「この前の事だけどさ、俺、戦うって決めたよ」

 

 俺がそう言えば、了姉は静かに俺を見る。部屋は再び沈黙に支配され、チクタクと時計の音が大きく聞こえる。

 

「そう・・・戦うのね」

 

 そう言って目を細め、その一瞬だけ了姉の目が、何か懐かしむような、そんな目に変わったような気がする。

 だがそれも一瞬、すぐに元の眼差しに戻り、白衣から携帯を取り出す。

 

「それじゃ早速弦十郎くんに報告する訳だけど、覚悟は良いわね?」

 

「うん、大丈夫。・・・ちゃんと帰ってくるって約束したから」

 

 ギュッと片手を握りつつそう言えば、了姉はふっと笑い、それじゃ伝えてくるから待ってなさいね、と言って部屋を出て、その数分後、部屋に戻ってきた。

 

「弦十郎くんには伝えたから。詳しい説明とかするから、明日の朝にリディアンに行くわよ」

 

「わかったけど、学校にはなんて言うのさ?」

 

「風邪ひきましたって明日言っとくわよ。それじゃそろそろ帰るから、また明日ね誠」

 

「また明日、了姉」

 

 ピシャン、とトビラが閉まり、部屋には俺1人残された。

 明日、そこから自分の人生が今より少しだけ、物騒な物が追加される。

 

(そこに不安が無い、と言えば嘘になるが、未来と約束したんま、2人の元に帰るって約束したんだ)

 

 頑張るぞ、と意気込みつつ、ふと空を見上げれば、一番星がキラリと輝いた。

 

 

 

 

 そして翌日の朝、何処かピリピリと肌を刺す痛みと共に目を覚ます。

 窓の外を見れば日は上り鳥が数羽羽ばたいてる。

 チラリと時計を見れば時刻は朝の9時少し前、普段ならこの時点で遅刻確定な訳だが、今日は違う。

 

「・・・今日はリディアンの地下行きか」

 

 なんか字面だけ見たら地下労働かなんかと間違えるぞ?

 

「はーい、おはよう誠。起きてなくても叩き起こすわよーって起きてたのね」

 

 片手に紙袋を持った了姉が部屋に入ってくる。

 

「おはよ了姉。・・・なんか、久しぶりに了姉におはようって挨拶した気がする」

 

 奇遇ね私もよ、と言いつつポイっと紙袋をこちらに投げ渡す。それを両手でキャッチしつつ中を見れば、学校の制服が入っていた。

 こっちにくる前に一回家に取り入ってくれたらしく、その事に感謝しつつ、一旦了姉を部屋から出して—ついでに受付も済ませてくるとの事—紙袋に入ってた制服に着替えつつ、荷物を纏めて部屋を出る。

 少し駆け足気味に1階まで向かえば、少し混んでるのか、了姉はまだ受付で並んでるみたいだ。

 

「あっ、ちょっと受付が混んでるみたいだから、先に車に向かってて」

 

「わかったけど・・・了姉が運転してくの?」

 

「勿論、と言いたいところだけど、今日は緒川くんが運転してくれるわ」

 

「緒川さん・・・あぁ、あの人か」

 

 俺の中でのイメージが突然出てきて手錠かけた人と言うものだ。・・・自分で言っといてアレだけも、それってどんなイメージだよ。

 

「病院の入り口近くにいると思うから先に乗ってなさいねー」

 

「りょーかい」

 

 そんな訳で病院の入り口を抜け、えーと、と言った感じに周りをキョロキョロすれば、黒い車の近くに柔和な顔のスーツ姿の男性を見つけた。

 黒髪ではなく、染めた色ではない自然な感じ茶髪の男性、緒川慎次さんが立っていた。

 初見なら、素朴な印象を受ける柔らかな笑みでこちらの警戒心を緩めていくような、そんなイメージをするが、俺の中では背後から出てきて手錠をかけた人、というイメージが付いてしまってる。

 緒川さんもこっちに気がついたみたいで、こちらですよ、と手招きしてくれた。

 

「お、おはようございます」

 

「はい、おはようございます。了子さんからはお話は聞いてます。荷物は荷台に置けるので、良かったらどうぞ」

 

 と言う事なので持ってた荷物は荷台に積んで置き、自己紹介しないとと思い、緒川さんと向き合う。

 

「えっと、改めまして、黒然誠です」

 

「ではこちらも改めて自己紹介を。僕は緒川慎次と言います。翼さんのマネージャーを務めています、よければこちらをどうぞ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 そう言って淀みなく手渡されるのは、シンプルなデザインの名刺で、小滝興産株式会社所属 緒川慎次と書かれており、仕事のできる大人な感じがして、それが何となく、自分の目にはカッコよく見えた。

 

「これが名刺・・・」

 

「誠くんも大人になって仕事をすれば、きっとそのうち持つようになりますよ」

 

「そう、ですかね?」

 

 両手で受け取った名刺を財布の中に入れておき、いつの間にか開けられてたトビラから後ろの座席に座る。

 そしてそのまま5分ほど待てば、了姉が車に合流し、俺たちが乗った事を確認した緒川さんがリディアンまで車を走らせた。

 

 

 

 

 リディアン地下に建造された特異災害対策機動部二課、通称二課にある来客用の部屋の前に俺は緒川さんに案内された。

 閉ざされたトビラの向こうの人に会うために、不安で燻る心を落ち着かせつつ、予め渡されたゲスト用のカードキーをトビラ横に付けられた電子錠に読み込ませ、指紋認証と網膜認証を終えると、ピーと言う音を立ててトビラが開かれる。

 深呼吸をし呼吸を落ち着かせ、手汗を拭ってから部屋に入る。

 

「失礼します」

 

 部屋の真ん中あたりに設置されたテーブルの反対側の椅子に、この二課の司令官である赤い髪の男性、風鳴弦十郎さんが俺を待っていた。

 弦十郎さんは俺に気がつくと、来たか、と言って立ち上がる。

 

「おはよう誠くん。すまんな、今日は学校だと言うのに」

 

「あっ、いえ今日は了姉が休みって言っといてくれたみたいなんで大丈夫です。それより今日は」

 

「あぁ、分かってるさ。これから二課の司令室にきみを案内する。そこで二課のメンバーを紹介しよう」

 

 ついて来てくれ、と言って、来客用の部屋を出て、右へ左へとややこしい道を進んでいき、何やら広々とした部屋に出た。

 10mを優に超えるぐらいバカデカい、壁そのものが表示板となってる液晶画面。

 そしてその画面を埋める大小様々な画面の数々。

 横合には、赤く光ったり、青く光ったりする床に固定されたであろう大型サーバー。

 そしてそれらのコンピューターが連結された超大型サーバー。

 何より凄いのはその下で働く人たちの手で、キーボードを動かしてる手は常人離れしたスピードだ。

 ・・・なんだかこの部屋だけ、2〜30年ほど時代をすっ飛ばしてないか?

 

「すっげぇー・・・」

 

「だろ、まるでSF映画の秘密基地見たいなこの感じ、初めて見たときは少しワクワクしたもんだ。誠くんも、そう思わないか?」

 

「そりゃ男ですし、こう言うの大好きですよ」

 

うん、こんな凄いもの見て少なくともテンションが上がらない男はいないと思う。

 

「そいつは良かった。——手が空いてる者、ちょっとこっちに来てくれないか!」

 

 弦十郎さんが声をかけるとその場にいた全員が反応する。

 その場には14〜5人ほどの人がいたが、作業がひと段落してこっちに来るのは4人だけのようだ。

 それ以外の人たちも、さっきより2〜3割程早く手を動かしてる、ような気がする。(早すぎてあまり違いは分からないが)

 男性2人と女性2人の計4人が弦十郎さんの前に横並びに立ち、弦十郎さんが1人ずつ紹介していく。

 

「左から紹介していくぞ。この人は『友里あおい』君。この二課のオペレーターの1人だ」

 

「友里あおいよ。話は司令から聞いてるわ、よろしくね、誠くん」

 

 友里と呼ばれた人が一歩前に出た。

 青みがかった黒髪の女性で、見た目の印象は、やり手のキャリアウーマンといった感じだ。

 

「隣の奴は『藤尭朔也』。コイツも二課のオペレーターを務めてくれている」

 

「藤尭朔也だ。分からない事があったら聞いてくれ」

 

 友里さんが一歩引き、次に前に出たの藤尭と呼ばれた男性。

 グレイッシュな黄色の髪色で、何処か親しみやすさを感じるが、何か内側まで見られてるようなイメージを感じる。

 

「次が『森近一樹』。こっちは主にノイズが出現した時にドンパチしたり、市民の避難誘導を担当してくれてる」

 

「よっす、森近だ。さっきの藤尭じゃないが、分からん事はじゃんじゃん聞けよ坊主?」

 

 次に出たのは、森近と呼ばれた丸刈りの男性。

 先ほどの2人は線は細かったが、反対にこっちは弦十郎さんと似たような体格を誇る。

 チラリチラリと服の合間から見える多数の傷痕から、歴然の傭兵、と言った風格を感じる。

 

「で、最後は『葉月道』。彼女は聖遺物の研究を行う研究班の1人だ」

 

「了子さんからは良く話を聞いてるよ〜。よろしくね〜」

 

 最後に出てきたのは、葉月と呼ばれた眼鏡をかけた藍色の髪の女性。

 さっきの森近さんと比べるとこっちは童顔に低身長と相まって、学生服を来ていたら学生と勘違いしそうだが、スーツを着ているので少なくとも成人しているのだろう。

 

「今はまだ全員紹介するのは無理そうだが、まぁ何か困った事が有ればこの人たちに頼れば良い。何、悪い事にはならないさ」

 

 ノイズとの最前線で戦う人、その裏側でサポートする人、その他多くの二課のメンバー。

 その様々な人が弦十郎さんの下、1つの集団となって日々の日常を裏から守ってる。

 

「改めて言っておこう。ようこそ、黒然誠くん。人類最後の砦、特異災害対策機動部二課へ」

 

 これが特異災害対策機動部二課というチームであり、今日を境に俺はこの二課の一員に加わった。

 

 





感想やアドバイスなど良ければどうぞ。
それでは次回までさようなら。
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