もう1人の陽だまりの親友   作:黒雪兎

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8月6日、少し修正しました。


第2話

さて、見事ツヴァイウイングのライブに当選した次の日の放課後、俺たちは自宅のリビングで学校の課題をささっと終わらせ、響を交えてのツヴァイウイングの音楽鑑賞をしていた。

因みに蛇足だが、ツヴァイウイングのライブは2週間後からだ。

 

「それにしても、ライブかー・・・実際にツヴァイウイングの2人が観れるのか」

 

「何時もは画面越しだから、なんだか夢見たいだね。・・・今夢から覚めて、起きたら自分のベットだったら心折れてる自信があるかも・・・」

 

「だなー・・・」

 

ここで夢から覚め、メールを確認し抽選に当たらなかった所を想像し・・・

 

「あっ、いかん、そんなんくらったら俺も暫く凹んでるわ」

 

可笑しいな、目からしょっぱいものが。

 

「そんな時こそ、へいき、へっちゃらだよ2人とも!!」

 

「「へっちゃらじゃない(よ)!?」」

 

「ですよねごめんなさい!?」

 

ビシッ!と未来と同時に指さし、その圧に思わず土下座する響。

閑話休題

 

 

そして現在、音楽鑑賞を終えた俺たちはリビングでまったりとしている。

 

「いやー、なんだかんだで寝そべりながら聴くのが楽だったねー」

 

「こらこら響、あまりぐだーってしないの。見えちゃうよ?」

 

いつの間にか持ち込んでいたモチモチクッション(響談)を枕にしながら、ぐだーと横になる響に未来が軽く注意する。

因みに蛇足だが、お互いそのまま来たので服は制服のまま、それはつまりどういう事かと言えば。

 

「別に寝そべるのは構わんが、お前に黒はひやぃ(痛い)やへろひぶひ、(やめろ響)ほっへをふぇるな(ほっぺをつねるな)、っ、すまんて、な?」

 

「・・・すけべ」

 

いかん、つい言ってしまった。

おかげでほっぺを抓られてしまった。

勿論、全力では無いので痛くは無いが心に響くよその言葉・・・いや、自業自得だけどさ。

 

一息いれるために空になったコップにオレンジジュースを注ぐ。

「せーくんってさ」

 

「うん?」

 

ゴクゴクとオレンジジュースを飲んでると、先程抓ってきた指をジッと見ていた響が一言。

 

「意外ともちもちしてるね」

 

「んぐっ!?」

 

それは俺が太っているということかー!?というツッコミはオレンジジュースでむせて言えず、しかも追い討ちをかけるように後ろで背中をさすってくれてる未来からも、そういえば最近お腹の辺りが・・・なんて言いながら腹をツンツンしてくる。

くっ、最近のツケがここできたか!?なんて内心思いつつ、

 

「えー、・・・こほん!そういや、そろそろ帰った方がいい時間じゃないか?」

 

無理やり話題をそらしつつ、壁に掛けてある時計に指を指す。

時刻は5時半、もう空は暗くなってきている。

 

「あれ?もうそんな時間?」

 

「本当だ、そろそろ帰らないと」

 

はい、片付けするよーと未来の掛け声により、テキパキとお菓子やジュースなどを片付けていく。

 

「小さい時は、菓子の箱を使ってよく工作したもんだ」

 

「だね。因みに私はロケットをつくりました」

 

「ほう、俺はロボットだったな、しかも、当時見てたヒーロー物のロボットだったな」

 

「ロボットかー・・・それは作ってなかったなー。でもでも、他にはーーーーーー」

 

と響と菓子箱工作トークで盛り上がりつつ、お菓子の袋をゴミ箱に入れたり、使ったコップを水につけて置いておき、最後は2人の見送りのために玄関まで向かう。

 

「未来は隣の家だからいいとして、響は家まで送った方がいいか?」

 

「ううん、そこまでしてもらわなくても大丈夫だよ。それじゃ、せーくん。また明日」

 

「また明日ね、誠くん」

 

「おう、また明日な2人とも」

 

バタンとドアが閉められると、防犯のために鍵をかけ、夜ご飯を作るために台所に向かう。

 

「今日はどの辺を作ろうかな〜、まぁ決まってなくても何とかなるさ〜」

 

いぇい!と口ずさみつつ冷蔵庫を開けて中身を確認・・・んー、これならカレーかな?

手早く材料を取り出し、ちゃちゃっとカレーを作っていく。

 

「あーあ、早く2週間後になってくれないかなー。・・・あっそういえば、サイン色紙とか買ってなかったから明日辺りにでも買いに、いっ!?」

 

なんて呟いていると、指先に痛みが走る。

どうも指先を少し切ってしまったみたいで、指から血が流れる。

まぁ、この程度ならすぐに治るだろう(・・・・・・・・・・・・・・)

実際、数秒経てば血が止まり、傷は瘡蓋になっていく。

 

「ほんと、何だろうなこの体質?ゲームやアニメのキャラじゃあるまいし・・・」

 

いつからだろうか?・・・多分物心付いた時には既に怪我をしても、すぐに傷は治ってた。

幼いながらに、どこかそれは他人と違うと認識してた俺はこの事は家族の他には誰にも伝えなかった。

 

「・・・そーいや、了姉は最近は帰ってきてないな」

 

鍋に蓋をしながら、ここにはいない家族の名前を呟いていると、ピピピと携帯が鳴る。

なんだなんだ?と携帯を手に取ると、櫻井了子(さくらいりょうこ)と表示されている。

手を軽く洗い、携帯を手に取る。

 

「もしもし、どしたの了姉?」

 

『あらー?用事はないと電話しちゃいけないかしら?』

 

「いや別にそういう訳じゃ・・・」

 

『なーんて、冗談よ。ほら?最近あまり家には帰れないじゃない?たまには義弟の声が聞きたくなるものよー?』

 

そんなものなの?と聞けばそんなものよーと帰ってきた。

 

 

電話の相手は櫻井了子、家族が居なくなった自分を引き取ってくれた、姉のような人で、職業は考古学者の自称できる女とのこと。

 

「そうそう、チケットはどうだった?」

 

「ふっふっふっ、なんと当たりましたー!」

 

『あらそうなの、おめでとう。1人で?それとも友達と行くのかしら?』

 

「友達2人と一緒に。あっ、そういえば今日は帰れそう?」

 

そう聞けば、今日どころか暫くは忙しくて帰れそうにないわー、との事。

 

『あーもう!たまには帰らせろぉー!自宅でゴロゴロさせろー!』

 

『さ、櫻井女史!?落ち着いて!?』

 

『あちゃー、五徹のツケがここできたか・・・』

 

などと電話の向こうはわちゃわちゃしだした。

というか今、

 

(なんかどっかで聞いたことある声が聞こえたような・・・?)

 

具体的にはテレビとかで、良く聞いたような・・・?

と、一頻りわちゃわちゃして満足したのか、声が次第に落ち着いてきた。

 

『ふぅ・・・・・よし、落ち着いたわ!それじゃ、また暇なときに電話するわね!』

 

「えっ?あ、うん。帰れそうならまた連絡してね」

 

それじゃあね、と電話をきる。

まるで嵐のような人だが・・・まぁ、悪い人(・・・)じゃいんだよな。

 

「・・・さてと、ライブまで後2週間かー。はぁ、待ちきれないなー」

 

まだ見ぬライブに胸を踊らせながら、食事の準備をする。

そして食事が終わると、外からバイクの音が聞こえ、それが自分の家に何か入れられる。

鍵を開け、ポストを確認、そこには封筒が入っていてる。

それを家まで持ち帰りドキドキしながら中身を確認する。

 

「・・・!よかったぁー・・・夢じゃなかった」

 

ぺたりと机に突っ伏すこと数秒、チケットを握り締め立ち上がり、自室に戻る。

それがまさか、地獄の片道キップ(・・・・・・・・)とはつゆ知らず、この時の俺は、呑気にお気に入りの曲を口ずさんでいた。

 




次回、ついにツヴァイウイングのライブへ
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