もう1人の陽だまりの親友   作:黒雪兎

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遅くなって誠に申し訳ありません!!(スライディング土下座)
いつもの低クオリティですがどうぞ・・・!


第20話

 

「貴方、私と戦いましょう」

 

「・・・へっ?」

 

 一体なんの冗談?と誠は思い。

 翼は手に持つアームドギアを誠に向ける。

 

 どうしてこんな事になってしまったのか、その答えは数十分前まで遡る。

 

 

—————

 

 

 二課の廊下を全力で走り抜け、エレベーターに入ると同時に地上最上階までのボタンを押す。

 エレベーターは急上昇、1分とかからずに地上最上階のヘリポートにたどり着いた。

 

「こっちだ坊主!」

 

 森近が操縦席から大声でそう叫ぶ。

 そっちに向けて全力でダッシュし、ヘリに乗り込む。

 誠が乗ったのを確認すると、森近さんの部下が扉を閉めヘリは急上昇する。

 上空から見下ろせば、街の至る所にノイズが蔓延る。

 

「何時もまぁ、こんな数揃えやがって・・・」

 

 吐き捨てるように森近がそうぼやいていると、耳につけたインカムから藤尭の声が聞こえる。

 

『誠くん聞こえるかい?』

 

「あっはい、聞こえますよ藤尭さん」

 

『今いるその位置が、現在ノイズの数が多い。そこから飛んでノイズを叩いてくれ』

 

「了解です」

 

 ピッとインカムを切り、うわ高っ、と思いつつヘリのドアを開ける。

 

 

「気張っていけよ坊主!」

 

「ハイッ!」

 

 そこから下に向けて飛び降り、チラリと横目にノイズらを視認しつつ、落ちたままに聖詠を口ずさむ。

 

「beet up gram tron」

 

 光は一瞬で誠の体を包み込み、光は一瞬で弾け飛び、シンフォギアを纏った姿に変わる。

 体勢を整え、背中の翼をアームドギアに切り替える。

 ブースターで減速しつつアームドギアを両手で持ち、アームドギアを中心に炎を縦に伸ばしてくイメージをする。

 

「ッ!」

 

 そして自身をコマのように回転させ、先ず何よりも厄介な飛行型ノイズらを蹴散らしにかかる。

 鞭のようにしなる炎が飛行型ノイズらに当たり、その体に巻きつく。

 そして誠が腕を引くと飛行型ノイズの五体を溶断、付近のノイズが消滅したのを横目で確認し、アームドギアを翼に戻しつつ、両手に炎を灯す。

 そして、炎に包まれる両手を引き絞り、照準を下に向ける。

 

——LAST∞METEOR

 

 一気に振り抜き、竜巻となった炎は、下にいるノイズらに向けて放つ。

 振り抜いた両腕からジワリと黒い炎が滲み出し、腕にジクリと突き刺す痛みが走る。

 

(ッ・・・黒い炎を制御、鎧から出ないように流れを変える・・・ッ!)

 

 腕から滲み出てくる黒い炎の流れを外側から内側に変えつつ、落ちた勢いそのまま、逃げてる人とノイズらの間に滑るように割り込む。

 まず初めに人型ノイズがアイロンのような手を伸ばし、それを正面から受け止める。

 受け止めたノイズの手を炎で燃やせば、炎は1人でに走り、人型ノイズに燃やしにかかる。

 たまらずノイズが誠から離れてのたうち回るが、火は一瞬にして体全体に燃え広がり、チリも残さず燃やし尽くす。

 

(次ッ!)

 

 飛びかかってきた二体のノイズを回し蹴りで潰しつつ、ジャキン!と背中の翼をアームドギアに切り替えると同時に横一線に振るえば、それに重なるように炎の刃が飛び、遠方の敵を切り裂き燃やす。

 

「ふッ・・・!」

 

 体勢を低くし背中のブースターで一気に加速。

 道を遮るノイズをアルファベットのWの軌道で切り進み、ノイズらを塵に変え、奥にいた芋虫に似た形の大型一体を捉える。

 気づいた芋虫型が横一回りに一回転させ、体重を乗せた尻尾を誠に叩き込む。

 避ければ辺りの建物を粉砕、生えてる木々を破壊し、尻尾の直線上にいる逃げてる人の生命を脅かすと判断した誠は真正面からアームドギアで受け止める。

 当然ながら体重を乗せて繰り出された一撃は軽くなく、受け止めた瞬間に地面が陥没する。

 

「ッ、う、ぐッ!」

 

 地面に足をめり込ませながら、誠は歯を食いしばって受け止める。

 そしてタダでは攻めさせない。

 瞬間的にアームドギアに多量のフォニックゲインを叩き込む。

 ギュルンギュルンと赤黒いエネルギーが走る。

 

「ッ・・・うおぉぉぉぉぉ!」

 

 受け止めてノイズの尻尾を真上に勝ち上げ、圧縮したエネルギーを大型にぶつける。

 

——GRAM∞ZAMBA

 

 ゴパッ!と空間を抉る音と共に大型ノイズが塵も残さず消える。

 黒い炎は絶えず誠の内側で黒々と燃え盛る。それを内側に抑えつつ、アームドギアを戻し少しだけ荒くなる息を整えつつ、空に上がる。

 網膜に映されたデータを見つつ飛んでいると、前方から鳥型ノイズが群れをなして襲い掛かる。

 ギュルンという音が微かに聞こえると共に、マシンガンめいた速度で高速で誠に向かってそれが飛来する。

 

「だりゃぁッ!」

 

 誠は空中で動きを止め、両手に炎を纏わせ、それを出鱈目に振るう。

 技なんて大それた物ではなく、ただ両手が高速でブレ、弾丸に変わったノイズを絶命させるに至る拳の一撃。

 高速で飛来する弾丸の軌道を予測、ギアによって強化された動体視力でノイズの動きを見切り、掴んでは燃やし、殴っては燃やしと繰り返し、ノイズを確実に絶命させる。

 弾丸に変わったノイズを全て捌きると同時に指先を伸ばし、ブン!と音を立てて大振りに横一線。

 振るわれた指先からは炎刃が発生、残った鳥型ノイズを上半分、下半分に綺麗に溶断する。

 

(残りのノイズは———)

 

 寂れた廃工場の近く、ぐるりと囲んでるノイズの姿と2人の女の子の姿を捉えると共に聴き慣れた声が聞こえる。

 

「だから絶対に・・・絶対に、諦めないッ!諦めて、やるもんかぁぁぁぁッ!!」

 

(この声——間に合え!)

 

 思考は一瞬、背中のブースターを全力で蒸せ、声の主である立花響の前に着地する。

 

「黒い、騎士・・・?」

 

 驚いた声が聞こえると同時に、誠は左手を振るい、手早くそれでいて全力の炎を走らせる。

 走った炎は響たちを燃やさず、背後から飛びかかるノイズのみを燃やす。

 次に右手に炎の頭上に打ち上げる。

 打ち上げられた炎がある程度の高さまで飛び、Uターン、そこから細かく分裂し、見た目はさながらスコールの如く、残ってるノイズを余すことなく燃やし尽くす。

 耳に付けたインカムからノイズの反応が消失したと聞こえる。

 チラリと後ろを振り返る。

 少し土汚れてはいるものの、特に怪我のない響たちの姿がそこにはあった。

 響たちが無事なのを確認し、小さくほっと息をついていると、二課から通信が入る。

 

『付近のノイズの反応消失、次は翼ちゃんのいる北東部に向かって』

 

 声でばれると行けないと思いつつコクリと頷き、2人から離れてから飛び上がり、通信でヘリを呼ぶ。

 

「ひび・・・民間人の保護をお願いします」

 

『あいよ、直ぐに向かう』

 

 目的地を眼前に捉え、人とノイズの間に着地すると同時に背中の翼を両手剣に切り替え、向かってくるノイズらを切り裂く。

 

(次ッ!)

 

 右手を掲げて炎の剣と槍を展開、前方に向かって一気に射出。

 

——STARDUST∞FOTON

 

 ノイズの反応速度を超えて射出された炎剣と炎槍は、ノイズの体を貫き燃やし、数秒足らずで炭素の塊に変わる。

 同時にインカムから友里あおいの声が入る。

 

『付近のノイズの反応消失、次は翼ちゃんのいる北東部に向かって』

 

「了解です」

 

 ガチャンとアームドギアを背中に戻し、空へと飛び上がる。

 相も変わらず辺りには助けて、辛い、痛い、などと言った悲鳴が、嫌なぐらいにはっきりと聞こえる。

 痛いぐらいに空の両手を握りしめ、誠は翼のいる北東部へ飛んで行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「———ッ!」

 

 ダン!と力強く地面を蹴り、一気に加速を付けて、自身を囲んでいたノイズらを縦に横にと切り裂いていく。

 ノイズが炭素の塊に変わると同時に、横に飛んで上から飛んできた鳥型ノイズの攻撃を避ける。

 

「——♪!」

 

——蒼ノ一閃

 

 そのまま返す刀で、横一閃に蒼ノ一閃を放ち、翼に迫ってくるノイズ諸共切り裂く。

 荒くなる息を整え、さらに踏み込む。

 

(ノイズの数が多いッ・・・それでもッ!)

 

 剣を元のサイズに戻し、呼吸を整え地を駆ける。

 それはさながら青い閃光のごとく、切られたノイズは炭屑に変わる。

 耳に付けたインカムから弦十郎の声が入る。

 

『後1分ほどで誠くんが到着する!翼はそこでノイズを足止め。2人で連携してノイズを・・・』

 

(彼がここに・・・)

「いえ、コレぐらい1人で十分ですッ!」

 

『翼!』

 

 彼が居なくたって問題ない、とばかりに通信を切り、さらに地面を蹴り込み加速、4車線程を埋めるノイズに真っ正面から立ち向かう。

 

——千ノ落涙

 

 空間に多量の剣が出現、それを上空から一気に放ち、広範囲に降り注ぐ。

 残り7割。

 

(次・・・!)

 

——逆羅刹

 

 逆立ちと同時に脚部のブレードを展開、そのまま横回転しノイズを切り裂く。

 

(・・・!アレは!)

 

 ノイズの数が残りが5割程になると、翼を囲んでいたノイズらが一箇所に集まり、不定形からハリネズミのような姿に変わる。

 

「————!!」

 

 櫻井了子により、ハリネズミ型と呼称される大型ノイズが叫び声のような雄叫びを上げる。

 先手必勝とばかりに顔面に向かって蒼ノ一閃を放つ。

 何時もより多めのフォニックゲインを込めて放たれた蒼色の斬撃だが、ハリネズミ型は巨大な腕部で斬撃を防き、カン!と甲高い音を立てて防がれる。

 目立った傷は無く、ほぼノーダメージと言ったところか。

 

(やはり相手の装甲が硬くなってる。しかも——!)

 

 ダン!てハリネズミ型が巨大に見合わぬ速さで距離を埋め、翼の体を優に超える大きな爪を振るう。

 

(早い!)

 

 まともにかち合えばいくら翼とてタダではすまない。

 バックステップで爪の射程から避けつつ、ノーモーションで上空から千ノ落涙を放つ。

 これで少しは気が逸れるか、そう思ったが、

 

「———!」

 

 まどろっこしいと言わんばかりにハリネズミ型が背中の針を、まるでミサイルか何かのように何十、何百と一気に飛ばす。

 それが千ノ落涙とぶつかり、派手な爆発を起こす。

 

「くッ!」

 

 爆風で吹っ飛ばされないように体を伏せる。

 そのせいで一瞬だけ翼の動きが止まる。

 その隙を敵は見逃さないとばかりに土煙の中から爪を振るう。

 

(!しまっ・・・)

 

 爆風で動けない翼に対し、これ以上ないタイミングで敵は攻撃をねじ込む。

 この状態から避ける術など無く、出来る事など、アームドギアで防御することだけだ。

 

 そして翼が防御の姿勢を取ると同時、眼前に白い爪が差し迫り、防御の上から翼の体を貫かんとする。

 

 そして数秒後に迫る衝撃は———

 

 

  

 

 

 

 

 

 

「させるかぁぁぁぁぁ!」

 

「!」

 

 最高のタイミングで放たれた攻撃は最高のタイミングで防がれる。

 誰が防いだか、なんてのは声で察せれる。黒然誠だ。

 誠の声が聞こえると同時に、ガキン!と音を立てて爪が翼から逸れ、地面に深々と埋まる。

 

「今です!」

 

「ッ!」

 

 フォニックゲインをアームドギアに叩き込むと同時に空中に投擲、それと同時に翼も空に飛び上がる。

 投擲されたアームドギアは翼の身長を優に超える大きさまで変化。

 剣の照準がハリネズミ型に合わせると、翼は脚部のブースターを点火、柄の部分を全力で蹴る。

 

——天ノ逆鱗

 

 放たれた大剣は、爪が地面に突き刺さって避けれないアルマジロ型を容易く貫き、次の瞬間、爆音と共に爆発。

 パラパラとアルマジロ型の残骸が降り注ぐ。

 今ので全てのノイズ反応が全て消失と、インカムから聞こえる。

 柔らかく地面に着地し、元のサイズに刀を戻す。

 

(倒せはした。倒せは、したが・・・。あの時、来なければ私は・・・)

 

「翼さん!」

 

「・・・」

 

 後ろから声をかけられる。

 チラリと見れば、ギアを纏った誠がこちらに駆け寄ってくる。

 全体が黒一色の装甲、バイザーが赤い色なのを除けば、他の色なんてない全く無い漆黒の鎧。

 背中に背負う翼兼アームドギアはまるで竜の翼を思わせる。

 どこをどう見たって、奏の使ったガングニールとは似ても似つかない筈なのに、こちらに伝わる力は、奏の使ったガングニールと全く同一の物。

 出来る事なら見たくは無い、そんな思いを抱きつつもポーカーフェイスで平静を装いながら足を止め振り向く。

 

「・・・何かしら」

 

「今日から二課で一緒に戦うので、挨拶を、と」

 

「・・・そう、よろしく」

 

 翼は、誠が喋るたびに膨れ上がる嫌な気持ちを必死に抑え、軽く挨拶を済ませ、本部に帰還しようと後ろを振り向き———

 

「翼さんからしたら、まだ未熟ですが。精一杯『奏さんの代わり』になれるよう頑張りますッ!」

 

「————」

 

『奏さんの代わり』

 そう聞こえた瞬間、自身の中で膨れ上がった気持ちが破裂するのと同時に、ピタッと、その場で足を止める。

 

「———そうね」

 

「・・・ッ!」

 

 翼はクルリと振り返り、誠と目が合わせる。

 妖艶で、刀のように鋭い危うい眼差しを向けられた誠は思わず息を呑み、無意識的に一歩下がっていた。

 

「貴方、私と戦いましょう」

 

「・・・へっ?」

 

 一体なんの冗談?と誠は思うと同時に翼はアームドギアを生成、それを誠に向ける。

 さらにそれが自分の首筋に向けられてるのを見るに、それが冗談でもなんでもなく、本気で戦うのだと、誠は嫌でも分かってしまう。

 冷静さを失っている今の翼に殺意は無く、心を支配するは彼に対する敵意のみ。

 一度でも彼が戦闘の構えを取れば、躊躇はしない。一瞬の間に天ノ逆鱗を放つだろう。

 

「構えて、そして抜きなさい奏のガングニールを。その無双の一振りを!」

 

「な、なんでいきなり?第一、俺と翼さんが戦う意味なんて・・・」

「貴方に無くても私にはある!——構える気がないなら、いやでも抜かせてあげるッ!」

 

 瞬間、ぞわりとうなじの辺りが逆立つのを感じると同時に、誠はブースターを全力で蒸せ横に飛ぶ。

 

——千ノ落涙

 

 次の瞬間、先ほどまで自身がいた場所に短刀の雨が降り注ぐ。

 

(問答無用かよッ・・・!?)

 

「よそ見してる場合!」

 

「———ッ!?」

 

 背後から翼の声が聞こえてくると同時に誠は身を屈み回避、さらにブースターを蒸せながら地に足を付けて走ってその場から退避する。

 翼が逃げた誠を追い、誠は翼から全力で距離を取る。

 ひたすらに逃げの姿勢を変えず、一向に戦う気を見せない誠の姿に、翼はギリッと歯噛み。片手に短刀を生成し、それを誠に向けて投擲。

 

「ぐっ・・・!」

 

 誠はその場で止まって裏拳気味に短刀を弾く。

その一瞬の隙に翼は剣を上空に投げると同時に飛び上がる。

 フォニックゲインにより強化された巨大なアームドギアが足を止めた誠に向けて放たれる。

 

——天ノ逆鱗

 

 上空から巨大な剣が迫る。

 翼の狙い通り、それは誠に命の危険を実感させる物だ。

 

「ッ!」

 

 しかし、天ノ逆鱗を放つ彼女の思惑に誤算があるとするならば、誠が最後まで翼には向けてアームドギアを引き抜かなかった事と、

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

 騒ぎを聞きつけてここまで駆けつける人の想定をしてなかった事だ。

 

「弦十郎さん!?」

 

「なっ・・・!?」

 

 突然現れたとしか言いようがない弦十郎が誠を庇うように前に出る。

 ダン!と弦十郎が地面を力強く踏み込み、振るわれた拳は天ノ逆鱗と衝突。拳と剣、一瞬の拮抗、天秤が傾いたのは弦十郎の拳だった。

 その衝撃で道路の下を通る水道管が破裂、降ってきた水が3人を濡らす。

 

「くっ・・・!」

 

 天ノ逆鱗を防がれた翼はバランスを崩したが、なんとか倒れずに地面に着地し、叔父様・・・と小さく呟いた。

 

「さて、2人とも話を聞かせてもらおうか?」

 

 ふー、と呼吸を整えつつ、2人の間に割って入った弦十郎がそう聞いてくる。

 誠は少しほっとした顔をし、それに対して翼は、少しだけ冷静さを取り戻し、自身がやったことを自覚し、纏ったギアを解除し顔伏せる。

 翼がギアを解除したのに続き、誠もギアを解除する。

 

「らしくないぞ翼、力任せに打つのは・・・!翼、お前泣いて・・・」

「泣いてなどをいません!」

 

 気づいた弦十郎が指摘すると同時に翼は否定し、未だ収まらない激情を瞳に宿し、誠を睨みつける。

 

「黒然誠、貴方は奏の代わりと言ったわね!奏の代わりなんてどこにも居ない!奏の代わりになんて、誰にもなれない!」

 

「!」

 

「奏の代わり?よくもまぁ簡単に言えるじゃない。LiNKERを使わずにギアを使える自分なら、代わりなんて簡単に出来るとでも言いたいの!?」

 

「ち、ちが、そんなつもりじゃ・・・!?」

 

 翼は誠に詰め寄り、胸ぐらを掴む。

 ——掴むその手は微かに震えていた。

 

「幸運と奇跡でギアが使える貴方と、血反吐吐いてようやく手に入れた奏の代わりに貴方がなれるとでも!?———貴方を受け入れて、共に戦う事など、風鳴翼が許せる筈がない・・・ッ!」

 

 誠を後ろに押しやり、距離を取る。誠はされるがままそのまま尻餅をつき、翼はその場を後にする。

 その去り際、翼の目から一筋の涙が見えた。

 

(翼さん、泣いてた・・・?)

 

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