・・・よし!なんとか間に合った!
未来とのメールでのやり取りが終わり、ふと何やら視線を感じてドアの方を見れば、紫色の目と目が合う
「・・・なにやってんのさ了姉」
スマホをテーブルに置き、呆れながらそう言えば、悪びれることなく両手で紙袋を持った了姉が入ってくる。
「いやー、青いわねーと見ていただけよー」
と口元を少しニヤニヤさせながら肘で軽くこちらを突いてくる。(ちゃんと痛く無いように加減はされている)
それをスルーしつつ、要件を聞く。
「それで、なんのよう?」
「スルーするのね・・・まぁ、いいわ。とりあえず、着替えね」
「あぁ、ありがと」
紙袋を受け取り、下のカゴに入れておく。
「それと今後の予定だけど。暫くは検査とリハビリよ。まぁ、結構元気そうだし、リハビリは直ぐに終わりそうだけどね」
そうなると大半は検査になるけどねーとのこと。
それもそうか、なんせ大半の傷はかすり傷ばかりなのだし、しかもまだ歩いた訳ではないが、もう既に歩けるぐらいには回復したと思えるぐらいには痛みは無い。
そっかーと返事を返し、それじゃあ暫くは暇になるなーと心の中でぼやく。
ここでふと、そういえば学校にはなんと伝えたのだろうか?と疑問に思い聞いてみる。
「学校?あぁ、その事なら安心しなさい。
「そりゃ確かにインフルが流行りそうな時期だけど・・・」
「まぁ、詳しい事はまた明日にでもね」
それじゃあおやすみなさい、と有無を言わせず、白衣を揺らしながら了姉は部屋を出る。
・・・まぁ合法的に休めるからいいかと思い直し、おやすみーとその背中にかけつつ、備え付けのリモコンで部屋の電気を消し、ゴロリと横になり目を閉じ—————意外とすぐに眠りに落ちた。
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そして次の日、午前中は検査と軽いリハビリを終えた俺は、午後からは見舞いにきた未来と共に響の病室を訪れてみた。
寝てるかもだが、一応ノックして声をかけてみる。
「響ー、入るぞ」
どうせ声は聞こえないと、高を括っていたら。
「あっ、せーくん?入ってどうぞー」
「———————————!?」
響の声が聞こえるやガラ!とドアを開けられ、中を見れば響は起きていて未来に抱きつかれてるではありませんか!
・・・いかん、驚きすぎて変な口調になっていた。
いつ目が覚めたんだ?と俺が聞けば今日の朝方ぐらいに目が覚めた、との事。
びっくりして色々と言いたいを忘れてしまったがとりあえず・・・
「「お帰り響」」
「うん、ただいま、二人とも」
ふにゃりと、響が笑ってそう言った。
「さてお帰りも言った事だしさ未来」
「うん、そうだね」
未来とアイコンタクトを交わすと、俺は手早く未来とは反対方向に陣取る。
えっえっ?と困惑する響を置いてきぼりに一言。
「「すーぱーわしゃわしゃ
「な、なにごとぉー!?」
それから数十分間は二人で響の手触りの良い髪をわしゃわしゃと撫でくりまわした。
割と気持ち良くて少しばかり癖になりそうだとここに記す。
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すーぱーわしゃわしゃ
「うぅ・・・2人に揉みくちゃにされたよぅ・・・もうお嫁に行けないよぉ〜」
修正、約一名がまったりとしてなかった。
よよよ、と泣き崩れる響さんにポンと肩に手を置き一言。
「まー、嫁の貰い手がいなかったら貰ってやるさ——————未来がな」
「えっ、そこは誠くんじゃないの?」
「不束者ですがよろしくお願いします」
響もなに乗ってるのー!と元気にツッコム未来さん。
うん、ありがとう響よ乗ってくれて、とアイコンタクトを送れば、響は親指をグッとあげる。
雑談終了とばかりに未来はゴホンと咳をする。
ちょっとイジリ過ぎたか、それじゃあ普通の会話と行こう。
「・・・にしても、元気そうでよかったな」
「そうだね。響の声が聞こえないからいつもより学校が静かに感じたよ」
「そうなの?ごめんね心配をかけて、でもこの通り私は元気だよ!」
ギュッと拳を握ると、グギュルル〜と気の抜けた音が聞こえる。
あたりには何とも言えない空気が流れる。
ジトーとした目で見ればバツが悪そうにこう切り出す響。
「・・・実はさっきまで検査してたから、いまスッッゴイお腹空いているんだよね」
えへへーと照れ笑いしながらテーブル近くに備え付けられた冷蔵庫からコンビニのおにぎり(ツナマヨ)を取り出す。
「やっぱりこう言う時はご飯に限るよ!」
「起きてまだ1日経ってないのに・・・実は響ってどこぞのイ◯ルなのでは?」
なんて素直に感心*1していると、私そこまで大食らいじゃないよ!と返された。
「えぇー、ほんとにごz「ていっ」いったぁ!?」
言い切る前に響からベシッ!と鈍い音のデコピンを額に諸にくらう。
「恐るべき乙女の怒り・・・!」
「バカな事言ってないで、はい、お茶お願いね誠くん」
「あっ、私は麦茶をお願い」
「自然な流れでパシリに出されるだとぉ・・・!?」
とは言ったが俺の分のお金もしっかりと渡してくれてるのでパシられるのは全然問題ではない。
「仕方ない・・・買ってくるよ」
「「行ってらっしゃい」」
2人に見送られ、俺は1人病室を出て自販機に向かうのだった。
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悲しいことにこの階の自販機が壊れてたので、仕方なしに1番下の階の売店に買いに来た。
「飲み物、それにお菓子をっと・・・」
籠に飲み物とお菓子(これは自腹)を放り込みレジに並ぶ。
後ろの方でおばちゃんたちの声が聞こえる。
普段ならば気にしないのに————————
「今あのライブに行った人の大半がバッシングされてるらしいわよ?」
「嘘?それほんと?」
(・・・えっ?)
今日に限ってやけに鮮明に聞こえた。
聞けばあのライブでは相当な数の死傷者が出たらしいが、その中で逃走中の将棋倒しによる圧死、 避難路の確保を争った末——————暴行による傷害致死であることが、 週刊誌に掲載されると、一部の世論に変化が生じ始めた、らしい。
「しかもその人たちも裁かれてはいないみたいよー」
「ほんと怖いわねー、家の戸締りとかしたか不安になってきたわー」
「今じゃあ、人殺しが世にのさばってる状況らしいわ。・・・ほんと、だれでもいいから裁かれないかしらね?残された人の事考えてほしいわ」
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思考が嫌な予感を導き出し・・・それを振り払う。
(そんな事あるわけない・・・ちょっと、過剰に反応してるだけだ)
だけど、このチクリとくる嫌な予感は一体なんなんだ・・・?
嫌な予感に少しばかり怯えつつ俺は買い物を終え、手早く響の病室に帰る。
・・・割と表情に出やすいのか未来が少しばかり不思議そうな顔をして俺を見るが、あえて無視して俺は2人に飲み物を手渡した。
そんな出来事から2週間が経過した。
俺と響が病院でのリハビリを終え、学校の教室に着いた時———————嫌な予感が的中してしまった。
正義という名の悪意によって・・・。
本日の◯◯だとぉ!そして、目覚めた不穏な影