パチッと目を開けると、これまた眩しい光…さっきの様な神々しい光ではなく、普通に自然から発せられる様な眩しい光…正直さっきの光の方が多少は柔らかみがあった光だったので眩しさが増しますね。
周りを見てみると明らかに現代風ではない服装をしている方達、田舎の人たちでもあんな格好もしないと思います。
それに、田舎って言うよりは、ちゃんとした『街』ですね、少し遠くには噴水があり、そこから四方に直線で道が分けられている様子が見えました。となると、ここは街の中央付近という事ですか…。
魔王を倒して下さいと女神様にお願いされてはやらざる終えないでしょう?早速私はギルドという物を探し始めました。私、こう見えても結構ゲームとかに興味有るんですよ?ていうか前回の冒頭部分でそれらしき事を話しましたし。
でも正直なところ手詰まりです。だってこの街のマップを知りませんもの、ただ歩くだけなら時間の無駄。それならもう、人を頼ることにしましょうか、ですが、私はあることに気づきます。周りの人たちが私をヒソヒソと小声で喋りながら何か言っているんですよ。ふと視線が自分の股間部分に集中しているということに気づきます。
そこで私は見ました、ショック死する前の学校の制服を着ていること、そして私は……自分が尿を漏らしていた後だったということに気づきました…。あの、すいません…女神様…せめて服の洗濯と乾燥頼めなかったでしょうか…。
私は急いで噴水に足を腕で抱えボールの様な形になりながら突っ込みます。噴水なので突っ込んだ割には合わずに深くなかったので思いっきり尻をぶつけました…。イタイです…。
異世界早々何故こんな辱めを受けなくては足らないんでしょうか?どうせ受けるんだったらどっかのドM女騎士の人にやってもらいたいですね…。
ですが、これをやっても余り状況は変わりませんね…。結局は急に噴水に飛び込んだ変な人として認識させてしまって何の解決にもなってないじゃないですか…。自分のした事とはいえ、浅はか過ぎましたかね…。
取り敢えず、このベトベト感を何とかしたいですね…。
いやでも、そんなドライヤーの様な物を持っている人なんていませんよね…。
聞き込みも兼ねて…何処かの支店に何か乾かすものがないか、聞いてみましょうか…。
そしてグショグショと足を鳴らしながら、歩いているとそれっぽい店を見つけました。言語の読み書きは神様パワーで何とかしてくれるっていうのは本当だったんですね…。お陰で『ウィズの魔道具店』という如何にもな所が分かりました。魔道具店なのですから流石に何か一つぐらいは…ドライヤーに似た何かが…ある筈ですよね?そうであってほしいです。
カランと呼び鈴の音が鳴ると、一人の店主らしき女性が出てきました。全身を包み込むようなそんな紫を基調としたローブを着ていました、それをしていてもはっきり分かるほどの発育の良さは何なんでしょう…。それと、暑くないんでしょうか?外の気温は結構暑かったりしましたが…。
「いらっしゃいませー。ウィズの魔道具店へようこそ!…ってどうしたんですか!?」
まあ、当たり前の反応でしょうね、急に来たのがこんな女の子…(実際男ですが)しかもビショビショに濡れているんですからね。 私だったら厄介払いしてそうです。
「あのーすいません…何か乾かす物か、身体が拭える物が欲しいんですが…」
「あ、はい!分かりました!ちょっと待ってて下さい!」
急いで扉の向こうへ行ってしまいました。
ちょっと店の内装を見てみるとしっかり整頓されていました。それに埃一つも無く綺麗です。見る限りポーションもありますし、やっぱりお役立ちの魔道具があるのでしょうかね?ならばここの店主の人とは仲のいい関係を築いていきたいですねぇ。
「お待たせしました!タオルです」
「あ、ありがとうございます…」
心地よく受け取り早速身体を拭いていく。
「あ、後、よろしかったらこれを使ってください。ウチの商品なんですけど…」
この人の笑顔が天使に見えてきました、実際凄い美人の方ですし、何より男心を擽るその胸も豊かな物ですから…これは軽く惚れてしまいそうです…。やはり人って甘えたりすると割とコロッと堕ちてしまうのかもしれません。というかお店の商品そんな簡単に出しちゃってもいいんでしょうか?
「乾燥機の魔道具で、範囲内の水分なら何でも乾燥させてしまうで人体の体液なども干からびてしまうんですよね。なので扱いに注意してください」
あ、この人天然ですか?軽く恐ろしいこと言っていますが…。まあいいでしょう。
「……今から服を脱ぐので、何処かでその魔道具を使ってください、違う部屋にいます…あの、見ないで下さいね?」
「?はい」
取り敢えず無難な考えを提案しておきます…。服だけにしたら流石に私への害は及ばないでしょうし、大きめのタオルで助かりました…これで全身を隠せます…。まあ体育座りをした場合の話なので結構辛いです。
流石にポーション類もあったので場所を移動する店主さん。まあ、そりゃあ商品は駄目にしたくはありませんよね…。範囲は狭い部屋一個程度の範囲しかないと聞いているのでこの一階にいるなら大丈夫でしょう。うっかりその部屋に入ってしまったが最後、干からびたゾンビの下位互換の様な生命体になるんでしょうねぇ…。
ちょっとすると自分の服を持ってきてくれた店主さん、徐々に乾かしていくのでは無く、即座に乾かしている魔道具の様です、使い道ありそうですね…。もし時限式であればモンスターと戦う時には口の中に放り投げればアンデッド系以外のモンスターなら一瞬で殺れますね。中々の名案です。まあ入れたらの話ですけど。今度買っておきましょうかね。
「お待たせしました!」
「あ、どうもありがとうございます……あのすいません…こっちを見ないでくれると助かるのですが…」
「はい」
タオルを渡してから(後ろ向きながら)服を受け取り、乾いた事を確認すると完全に乾いていました。シワも何故かなくなっていて異世界は凄いなぁ…と実感しました。先程のこともあって、店主の方がこの部屋から出て行ってくれて直ぐに制服に着替え終わると私はさっき居たの店内へと移動しました。
「急に押し入った挙句、服を乾かしてくれと言った私に介抱してくださり誠にありがとうございます…」
「い、いえ!私そんな喜ばれることしていませんよ?」
「はい、私はとても喜びましたよ?貴方はとても優しい人って事が分かりました」
というかこれで喜ばれなかったらその人は外道中の外道か、強欲者ですね。
「優しいだなんてそんな…」
「あ、そう言えばまだ名前言ってませんでしたね、私は勝宮 身星、シンセイとでも呼んでください」
「あ、私はこの魔道具店の店主ウィズと申します」
「それではウィズさんこの恩は必ず返しますね、いつか私もこの店に訪れると思いますのでよろしくお願いします」
長居するのも悪いと思って店内を出ると「あ、ありがとうございました!」なんて言って送り出してくれるのですから彼女は本当に良い人だ、あのいじめっ子達に彼女の爪の垢でも煎じて飲ませてあげたい…。
………あっ、ギルドが何処にあるか聞くのを忘れてしまった…。
もう一度入って聞くのも申し訳ないですよね…。取り敢えず、その辺をボチボチと歩きますか…。
ギルドに着きました。
え?まさか私が人に聞いてからここに来るという無駄なエピソードがあると思いますか?さっきのウィズさんの様な出来事や美人な人に会ったとかならともかく、ただ話して道を聞き出すだけですよ?
聞きたいですか?あ、いいですか、そうですか。
私の背より1.5倍くらいの巨大な木製の扉をギィィと木と木がひしめき合う音を聞きながら扉を開くとそこには冒険者達という荒くれ者に似た風浪の男たちが酒を掲げたり、魔法使いの様な杖を装備している人がいたり、それっぽい剣を帯刀していたり、魔法使い特有のあのトンガリ帽子を着込んでいたり、私の想像する通りのファンタジーがそこにはありました。
「いらっしゃーい!お食事でしたら空いている席へ!お仕事関係については奥のカウンターへどうぞ!」
女性の従業員の方から勧められ、そのカウンターへ向かいます、周りの冒険者からはジロジロと見られていますがそんな気にしません。皆さんはゴツゴツとした男性や、女戦士風の女性からジロジロ見られたら嫌ですかね?私はそんな不快感は抱きません。
行列が出来ているカウンターにはこれまた豊満な胸を持つ従業員の方が……彼女がきっと人気ナンバーワンの受付人ですね。ウィズさんといい勝負だ…。というかここのギルド職員の服装が凄いですね、殆ど胸元が見えてるじゃないですか、ブラもしてないし。私にはそんな人を見て話すことは羞恥心で無理なので空いている、先ほどよりも劣った胸をした女性の方へ行きました。
「今日はどうなされましたか?」
和かな笑顔を見せてくる従業員の人、にしてもこの世界の女性の顔面偏差値高くないですか?
「冒険者登録をしてたいのですが…よろしいでしょうか?」
「はい、ですが登録手数料の千エリスが必要になりますがよろしいでしょうか?」
えっ。
「登録手数料ですか?」
ポケットを急いで探ると一つの紙が、日本の紙幣通貨の絵柄ではないのでこれがこの世界のお金でしょうか?……というか冷汗が凄かったです何か登録する際は日本でも登録手数料がありますし…異世界にはそんな事はないと思っていた自分がアホらしいですね…。
「これで良いですか?」
「はい、確かに」
どうやらこれで良い様だ。続けて履歴書に似た紙が出され、同時に羽ペンも出された、この世界の読み書きは大丈夫ですと女神様は言っていたが、実際大丈夫なのだろうか?
「それでは手続き等があるため、こちらの書類に年齢、性別、身長、体重、また何か体質的な物が有ればこちらにご記入ください」
言われるがままに年齢、性別等を書いていく。体質的な物って閉所恐怖症とか暗所恐怖症のことだろうか?いや違うかな…書かなくて良いか、精神的な物だし…。
「お、男!?…し、失礼しました!では次に冒険者の簡単な説明をさせて頂きます。冒険者とは…」
やはり驚かれましたか後ろで数名の冒険者の方々は「えっ」て声出していましたけど気にしないでおきましょうか。そんな扱いはもう慣れましたし。
カウンターの人の話が長くなりそうなので、私が勝手に要約しました。
説明は以下と通りです。
基本何でも屋で、依頼された仕事を報酬に応じてやるということを稼業にしていく、またレベルの概念があり、モンスターを倒す事で魂の欠片の様なものがカードに吸収される仕様になっている、それが経験値となりレベルが上がり、またレベルが上がるとスキルポイントという物が溜まり、新たなスキルを習得できるという事だ。またその成長具合に合わせて転職も可能だそうです。
因みに、最初から素質の問題で個体差はありますがスキルポイントという物があるそうです。実際登録してないから分かりませんが、ここで嘘を言っても何の得にもならないので本当のことなのでしょうね。
「それではステータス値を測らせていただきます、そこの水晶玉に触れるとステータスがこの冒険者カードに表記される様になります」
やはり異世界ってすごい、似たような事ができる物は私の世界でもありますけど大概はパソコンですからね…この水晶玉一つで…というのが凄い。
その水晶玉に手をかざすと水晶玉はあの印刷機が紙を読み取る時に行うセンサーの様に、自分の手を感知して、それに応じて冒険者カードにどんどん文字が記載されていく。
いや、本当に凄いですね…こんな事で凄い凄い言っていては、体が持ちませんかね?
「……え、は、ぇぇぇえぇえええええええ!!?」
……煩いです。何ですか、人が目の前にいるのに叫ぶなんて…。
「何ですかこの生命力の高さ!?今までに類を見ない程に高いんですが!?」
いや、それは私が気になります、なんでですか?
「あ、ただ他のステータスは平均くらいですね…後は器用度が生命力には届かないにしろ異常に高いこと…ですね」
急に冷めないでいただきたい、こっちが反応に困ってしまいます。
「そうですか」
「えっと……魔力がウィザードにギリギリ届いていないのでなれませんが…上級職と魔法職、プリースト以外の職種でしたら何にでもなれますよ?」
下級職一択という事ですよね?平均程度だとこれですか…大幅なステータス値が生命力と器用度だけっていうのが不思議ですね…というか私に生命力なんて微塵もない気がするのですが?何で受付の人が軽く大声で上げるぐらい高いんでしょう?転生補正か何かでしょうか?
「その中で素手で戦うっていう物はありますかね?」
「え?一応あります…ファイターという物ですが…ソードマンの方がよろしいと思いますよ?」
ファイターは言うなれば、最弱職の冒険者とほぼ同等である。
剣を使うソードマンやソードマスターより圧倒的にリーチが無いので不利に事が運ぶ場合が多く…。使える固有スキルも体の負担に掛かるものが多くリスクが大きい、自殺願望者の為の職種等と馬鹿にされる時もある。
ある意味で冒険者よりも少ない職種だ。
「いえ、それでいいです、何かとそちらの方が都合がいいので」
「…そうですか…分かりました。それではこれで冒険者登録は完了です。これからギルド一同心より応援しています!」
「まあ、やるだけやってみます」
頼りない返事と共に私の冒険者生活は始まりましたとさ。
おしまい。
本当におしまいですよ?あ、次回はありますけど。
器用度高い理由は元々器用だからという理由。
何故生命力が異常な程高いのか、それは【身勝手の極意】が発動したら一回行使しただけでもかなりの勢いで死に急ぐことになるから。女神様がそうならない様にした。(多分)
因みにどんどん寿命が短くなるとかではないが、身勝手発動後、限界許容活動時間を超えると死んだように眠る。
因みにファイターはオリジナル。上級職用のファイターは簡単に『ハイファイター』とか安直な名前で付けようとしています…。
それとウィズが今回出した乾燥機的魔道具はアタリな方……の筈。