ようこそ最強の双子がいる教室へ   作:スプラッシュ

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1巻
入学式


 東京都高度育成高等学校。それが、今日から俺が通う高校の名だ。進学率、就職率が100%という記録を持っている全国屈指の名門校。まあ、そんな記録は俺たちにっとてはどうでもいいことなんだけどな。

 

「なんか、嬉しそうだな」

 

 隣から声が掛かる。

 

「そう見えるか?」

 

「口角が上がってるぞ」

 

 まじか、全然気がつかなかった。

 

「まあ、嬉しいっちゃ嬉しいな。だって今日から高校生だぞ。清隆(きよたか)は楽しみじゃないのか?」

 

「オレも結構楽しみだったりする」

 

 相変わらず無表情な奴だ。それは楽しみにしてる人の顔じゃないだろ。

 

「それにしても、さっき門の所で会話してたのは誰だ?」

 

「さあ、初めて会った」

 

「女の子だったな。しかも美人」

 

「それがどうかしたのか?」

 

「いや、なんでもない」

 

 などと、くだらない談笑をしている間に、目的地の1年Dクラスの教室にたどり着いた。

 

「同じクラスなのはラッキーだよな」

 

「ああ、俺も和冴(かずさ)が居てくれるのは安心する」

 

 そこで一旦話を終え、自分のネームプレートが置かれている席に向かった。てっきり、席は番号順で配置されると思っていたが、清隆の席は後ろの方らしい。

 

 既に半分くらいの生徒が登校しており、俺の前の席の人も隣の席の人も既に席についている。隣の席の人は女子だ。髪を茶髪に染めており、俗に言うギャルと呼ばれる者だろう。話しかけようと思ったが、前の席の金髪ポニテの女子と既に会話をしている。やめておこう。さすがに、女子の会話の中に入れるほど度胸はない。

 

 前の席の人は誰とも会話をしていないし。こいつに話しかけよう。

 

「おはよう。後ろの席の綾小路和冴(あやのこうじかずさ)です。よろしく」

 

 後ろから声をかけると、その男はこちらを振り向き笑顔で答える。

 

「おはよう。僕は平田洋介(ひらたようすけ)。よろしくね」

 

 なんか、感じ良さそうな奴だ。ここの席は当たりだな。

 

 それからホームルームまで俺と平田は談笑しながら過ごした。

 

 始業の鐘が鳴り、担任の先生らしき人が教室に入って来る。もう少し話していたかったが仕方あるまい。

 

「えー新入生諸君。私はDクラスを担当することになった茶柱佐枝(ちゃばしらさえ)だ。普段は日本史を担当している。この学校には学年ごとのクラス替えは存在しない。卒業までの3年間、私が担任としてお前たち全員と学ぶことになると思う。よろしく。今から1時間後に入学式が体育館で行われるが、その前にこの学校の特殊なルールについて書かれた資料を配らせてもらう。以前入学案内と一緒に配布はしてあるがな」

 

 前の席から合格発表を受けてから貰った資料が回って来る。

 

 この学校について簡単に説明すると、全寮制で、学校の許可なく外出したり学校の許可なく外部と連絡を取るのを禁止としている。まさに隔離施設だ。だけど、心配はいらない。この学校にはシアタールームやカフェ、ブティックなど、生徒たちが苦労しないように数多くの施設が存在する。

 

 そしてもう1つ、この学校には重要なシステムが存在する。それが、Sシステムだ。

 

「今から配る学生証カード。それを使い、敷地内にある全ての施設を利用したり、売店などで商品を購入することが出来るようになっている。学校内においてこのポイントで買えないものはない。学校の敷地内にあるものなら、何でも購入可能だ。施設では機会にこの学生証を通すか、提示することで使用可能だ。ポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっている。お前たち全員、平等に10万ポイントが既に支給されているはずだ。なお、1ポイントにつき1円の価値がある。それ以上の説明は不要だろう」

 

 その言葉に教室がざわつく。ただの高校生に10万円のお小遣いか。さすがに日本政府が関わっているだけあって大がかりな学校だな。

 

「ポイントの支給額が多いことに驚いたか?この学校は実力で生徒を測る。入学を果たしたお前たちには、それだけの価値と可能性がある。そのことに対する評価みたいなものだ。遠慮することなく使え。ただし、このポイントは卒業後には全て学校側が回収することになっている。現金化したりなんてことは出来ないから、ポイントを貯めても得は無いぞ。振り込まれた後、ポイントをどう使おうがお前たちの自由だ。好きに使ってくれ。仮にポイントを使う必要が無いと思った者は誰かに譲渡しても構わない。だが、無理やりカツアゲするような真似だけはするなよ?学校はいじめ問題にだけは敏感だからな」

 

 戸惑いの広がる教室内で、茶柱先生はぐるりと生徒たちを見渡す。

 

「質問は無いようだな。では良い学生ライフを送ってくれたまえ」

 

 先生が教室を去り、教室内は騒がしくなる。

 

「皆、少し話を聞いて貰ってもいいかな?」

 

 そんな中スっと手を挙げたのは、先ほど俺と会話していた平田洋介だった。

 

「僕らは今日から同じクラスで過ごすことになる。だから今から自発的に自己紹介を行って、1日も早く皆が友達になれたらと思うんだ。入学式まで時間もあるし、どうかな?」

 

 へー、やるなぁ。生徒の大半が思いつつも口に出来なかったことだ。それを、なんの躊躇もなく積極的に発言する。誰にでも出来ることじゃない。

 

「賛成ー!私たち、まだみんなの名前とか、全然分からないし」

 

 1人が口火を切ったことで、迷っていた生徒たちが後に続いて賛成を表明する。

 

「僕の名前は平田洋介。中学では普通に洋介って呼ばれることが多かったから、気軽に下の名前で読んで欲しい。趣味はスポーツ全般だけど、特にサッカーが好きで、この学校でも、サッカーをするつもりなんだ。よろしく」

 

 提案者である平田はスラスラと、お手本のような完璧な自己紹介をする。

 

 平田を筆頭に端の生徒から順番に自己紹介が行われていく。

 自己紹介を聞いている限り、このクラスはなかなか特徴的な者が多い。これは充実した高校生活が送れそうだな。

 

 それから次々と自己紹介が進み、やってきました俺の番。

 

「じゃあ次は俺だな」

 

 俺はそう言って、席を立つ。

 

「俺の名前は綾小路和冴。好きなことは体を動かすことです。友達を沢山作りたいと思ってるので、どんどん話しかけてください。3年間よろしくお願いします!」

 

 一礼して席に座る。平田ほどではないが、それなりに拍手を貰うことが出来た。

 

 あー、緊張した。人前で話すのは緊張するなぁ。自分で言うのはなんだが、なかなか悪くない自己紹介だったんじゃないだろうか。とりあえず自己紹介で事故るとその先の学校生活にも影響してくるかもしれないからな。とりあえず安心だ。

 

 ちなみに、最後に自己紹介して奴がかなり事故ってた。それが俺の双子の弟だったのはきっと見間違い聞き間違いだろう。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 今日は入学式ということもあり、昼前に解散となった。

 ほとんどの生徒が寮に向かっているが、俺と清隆は寮に向かう前にコンビニに寄ることにした。

 

「……またしても嫌な偶然ね」

 

 コンビニに入ると、門で清隆に話しかけていた女子生徒に遭遇した。確か、清隆の隣の席だったような。どうやら、この子と清隆には強い縁があるようだ。

 

「俺は綾小路和冴。こいつの双子の兄だ。よろしくな」

 

 とりあえず自己紹介をする。確か、この子は自己紹介の時にいなかった気がする。

 

「ええ、よろしく」

 

「名前なんて言うんだ?」

 

「それをあなたに名乗る必要があるのかしら」

 

「あるよ。同じクラスだし名前くらい知っといた方がいいと思うんだけど」

 

「私はそうは思わないわ」

 

 ……めんどくせえ。さっさと言えよな。どうせ後で分かることなんだから。何をそんな恥ずかしがってんだよ。あっ!分かった。さてはこいつキラキラネームだな。だから恥ずかしくて言えないんだな。なるほどなるほど。

 

「笑わないから」

 

「意味が分からないわね」

 

 女子生徒が溜息をつく。

 

「堀北、教えてあげてもいいんじゃないか?……あ、やべ」

 

 清隆の失言。

 

「へぇ、堀北か」

 

 堀北が清隆を睨みつける。おっかないな。

 

「はぁ……堀北鈴音(ほりきたすずね)。これでいい?」

 

「ああ、ありがとな」

 

 やっと名乗ってくれた。

 

 それにしても、全然キラキラネームじゃなかったな。なんで頑なに教えようとしなかったんだ?清隆には教えてるんだよな。まさか、清隆のこと好きなのか?それとも俺のことが嫌いなのか?後者ではないことを祈ろう。

 

 その後、なんだかんだ3人で一緒に買い物をした。

 

 何こいつ、ツンデレなの?

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