先日の話し合いで決まったらしい中間テストの対策の勉強会が、今日決行されることになった。場所はDクラスの教室だ。しかし、肝心の赤点候補の中でも危険な池、山内、須藤が参加しないという悲惨な状態だ。俺からも一言声をかけたが無理の一点張りだった。その3人は一応清隆の友達だから少し心配だ。しかし、清隆と堀北が3人を堀北主催の勉強会に参加させるために動いてるという情報を聞き、少し安心した。あの二人なら何とかしてくれるだろう。
勉強会の形式は、各々勝手に勉強をし、分からないところを成績上位者の俺や洋介、櫛田などに聞くという形だ。しかしまあ分かってたことだが、洋介や櫛田の周りは人気だ。なんか、俺悲しくなってくるよ。
「和冴くん、ここ教えて」
一番最初に質問しに来たのは、意外の意外、小野寺かや乃だった。小野寺は水泳部で、この前の水泳の授業では26秒という好タイムを叩きだしていた。あまり、会話したことがなかったから、真っ先に俺に質問してきたときは少し驚いた。
「ああ、この問題か。これは、ここの公式を使えば解けるぞ」
「あ、ほんとだ。気がつかなかったよ」
「公式は覚えるだけじゃなくて、使えるようにならないと意味がないからな」
小野寺は了解と言って勉強を再開する。小野寺が行っているのは図書室で借りられる数学の問題集だ。難易度はそこまで高くはなく、俺たちDクラスには合ってるものだ。ちなみに、これを選んだのは洋介だ。あいつ優秀すぎだろ。
「終わった!ねえねえ、この問題合ってる?」
問題集の問題を何問か解き終えた小野寺が俺に再度質問をする。なんで答え持ってないんだよと思ったが、この問題集は解答と別になってるもので、誰かがこの問題集を使った時に解答と一緒に返さなかったのだろうと思った。まったく、使ったものは元の場所に戻す。これ常識ね。
小野寺からノートを借りて合ってるかを確認する。
「ああ、合ってるよ」
「ほんと?やったー!それじゃあ、ちょっと休憩」
テストまで時間がないんだから休憩する暇なんてないぞと思ったが、勉強慣れしてない人に長時間勉強させても意味がない気もするから別にいいか。
「私さ、小さい頃からずっと水泳ばっかやってきたから、勉強が苦手なんだよね」
何故かいきなり喋り出す小野寺。休憩中だから別に構わないが、他の人の迷惑になるかもしれないんだから黙って休めよ。
「小野寺はプロの水泳の選手を目指してるのか?」
何故か俺も会話を始める。他の人の迷惑になるんだから黙れよ俺。
「うーん、目指してはいるけど、プロになれるのは全国の中でもひと握りだからね。もっと練習しないと厳しいかな」
「プロの世界のことはあまり分からないけど、小野寺の泳ぎを見た感じものすごく速かったし、努力し続ければきっとなれるよ」
「そうかな?えへへ、ありがとう。和冴くんもこの前の授業でものすごく速かったじゃん。あの速さは世界目指せるよ」
世界は言いすぎだろ。
「まあ、運動は得意な方だからな」
「和冴くんも水泳部入らない?一緒に全国を目指そう!」
「いや、遠慮しとくよ。俺じゃなくて高円寺でも誘ったら?あいつ、俺より速かったし」
「いや……それはちょっと……」
ですよね。
「そんなことより、そろそろ勉強を再開しろよ。赤点は退学だぞ」
「そうだった!また、分からないところあったら教えてね」
そう言って、小野寺は勉強を再開した。初めて会話したが、特別喋りにくくはなかった。むしろ話しやすい方だ。櫛田ほどではないが、俺もクラスの人たちとはそれなりに仲良くなりたいと思っているから、小野寺ともこれから仲良くしていきたいと思った。
しかし、暇だな。質問される時以外やることが無い。しかたないので、俺はノートに自作迷路を作ることにした。へへへ、最高に難しいのを作ってやるぜ。
「……あんた何やってんの?」
俺の姿に疑問を持った千秋が質問してくる。
「やることがないから自作迷路を作ってるんだ」
「勉強をしなさいよ、勉強を。小テスト100点だったからって油断してたら痛い目にあうわよ。和冴が退学とか、私嫌だからね」
確かに、一理あるな。こうやって、余裕ぶっこいてる奴に限ってミスしたりするんだよな。けど、安心しろ。俺はミスする人間じゃないから。
「安心しろ、俺は退学にはならないよ」
「そっか、ならいいけど」
そう言って、千秋は自分の勉強に戻る。それにしても、入学してからまだ1ヶ月半しか経ってないのに、千秋とは随分と仲が深まったものだ。
あまり、心配をかけるのもあれだから一応勉強をするふりくらいはしとくか。俺はペンを持って勉強しているふりをしながら、迷路作りを再開した。
それから、何事もなく勉強会は終わり解散となる。
「お疲れ、和冴くん。一緒に帰らない?」
俺が帰宅しようと席を立つと洋介からお誘いがかかる。軽井沢と帰らなくてもいいのか?と思ったが、どうやら軽井沢たちはこれからショッピングモールに行くらしい。勉強会の後にご苦労なことだ。
「ああ、お疲れ。それじゃあ、帰ろうか」
そう言って、洋介とともに寮に帰宅する。洋介は毎日部活を行っているから一緒に帰るのは久しぶりだ。いつも1人で寂しく帰ってるから少し嬉しい。そういえば、俺って洋介以外に男友達がいない気がする……いや、そんなわけがない。きっといるはずだ、俺が知らないだけで。
「なあ、俺ってお前以外の男友達っているかな?」
「うーん、どうだろう。僕が見た限りでは和冴くんが僕や清隆くん以外の男友達と話してるのはあまり見かけないね」
あー、やっぱりそうか。洋介が言うってことはそういうことなんだろうな。はぁ……悲しいなぁ。
「けど、それは僕も同じだよ。部活をやってるから他クラスに仲が良い人はいるけど、同じクラスの男子で仲が良いのは和冴くんくらいだよ」
「確かに、言われてみればそうだな」
「だけど、男とか女とか性別なんて関係ないと僕は思うんだ。一緒に居て楽しいと思える人と友達になるのが1番良いと思うよ」
さすが洋介。確かにそうだ、性別なんて関係ない。須藤たちとつるむより、千秋たちといる方が絶対楽しいしな。
「ありがとな、洋介。友達に性別なんて関係ない、その通りだ」
今の学校生活がものすごく楽しいんだ。これ以上もあるかもしれないが、それでも今楽しければそれでよし。何も迷うことはない。それに、今いなくてもこれから出来る可能性は十二分にある。高校生活は始まったばかりだしな。
――――――――――
中間テストの一週間前の今日。俺たちDクラスにとって最悪の事態が起きた。テスト範囲が変更となったのだ。
これは非常にまずい。この一週間、やってきた勉強が全て無駄になった。これは勉強のモチベーションにも深く関わる。
櫛田が言うには、先週の金曜日には既に変更が決まっていたらしい。しかし、茶柱先生がそれを伝え忘れていたようだ。何やらかしてくれてんの。教師として大丈夫なの?
「洋介、櫛田、少しいいか」
さすがにやばいと判断した俺は勉強会で教える側の洋介と櫛田を呼ぶ。
「今日から赤点候補組全員の相手は俺にやらせてくれ」
このままだと、恐らく赤点候補の奴らは赤点を取るだろう。ここは、俺が出るしかない。洋介や櫛田に教わりたい、俺なんかには教わりたくないって人はきっと出てくるだろう。しかし、ここは少し我慢してもらう。今は、そんな悠長なことは言ってられない。
「もちろんだよ。僕も和冴くんにお願いしようと思ってたところだ」
「私もそれがいいと思う。私たちが教えるより和冴くんが教えた方がずっといいよね」
「それともう1つ頼みがあるんだが。そいつらの説得を二人に任せてもいいか?俺が頼んでも嫌だって言うやつがいるかもしれない。だけど、二人が頼めばあいつらもきっと了承するはずだ」
「わかった!」
「任せて!」
こうして赤点候補組全員を俺が担当することになった。ちなみに池、山内、須藤はこの中にはいない。その3人は堀北に教えてもらうようだ。堀北なら安心して任せられる。洋介と櫛田は残ったメンバーの相手だ。そいつらは基本的なことはまあまあ理解しているから心配はないだろう。
それから中間テストまで俺の全能力を使って赤点候補組を鍛え上げた。
わかりやすくスピーディーに。目安は60点。絶対に退学者は出さない。そう心に誓い毎日勉強を教える。
そして中間テストの前日、櫛田が神になった。
「明日の中間テストに備えて、今日まで沢山勉強してきたと思う。そのことで、少し力になれることがあるの。今からプリントを配るね」
授業が終わると同時に櫛田が前に立ってプリントを配り始めた。そのプリントは、テストの過去問だ。しかも、毎年同じ問題が出てるらしく、今年もこれと全く同じ問題が出題される可能性が高いらしい。
これがあれば赤点を回避することも容易いということだ。
つまり、俺のこの1週間の努力は意味がなくなったということでもある。いや、意味がないというわけではないが、あそこまで頑張って教えるほどではなかったということだ。
まあ、これも良い経験だろうと自分に言い聞かせて納得させた。
――――――――――
そして中間テスト当日。
「欠席者は無し、ちゃんと全員揃っているみたいだな」
朝、茶柱先生が不敵な笑みを浮かべながら教室へやってきた。
「お前ら落ちこぼれにとって、最初の関門がやって来たわけだが、何か質問は?」
「僕たちはこの数週間、真剣に勉強に取り組んできました。このクラスで赤点を取る生徒は居ないと思いますよ?」
「随分な自信だな平田」
洋介だけじゃなく他の生徒たちの表情にも自信が窺える。先生はトントンと束を揃え、配り出す。一時間目のテストは社会だ。社会は比較的簡単な方だからそこまで心配する事はないだろう。
「もし、今回の中間テストと7月に実施される期末テスト。この二つで誰1人赤点を取らなかったら、お前ら全員夏休みにバカンスに連れてってやる」
「バカンス、ですか」
「そうだ。そうだなぁ……青い海に囲まれた島で夢のような生活を送らせてやろう」
それはつまり、女子たちの水着を見れるということか。しかも、ビキニ!
「な、なんだこの妙なプレッシャーは……」
茶柱先生が、男子から発せられる気迫に1歩後退した。
「皆……やってやろうぜ!」
『うおおおおおおおおおおおおおお!』
池のセリフにクラスメイトの咆哮が続く。
「バカなの?」
千秋から軽蔑のような視線を向けられる。なんでだよ、俺は何も言ってないぞ。ちょっと心の中では思ったけど。
やがて全員にプリントが回って来る。そして先生の合図と共に一斉にプリントを表へと返す。
一番最初に名前を書き、まずは問題を解く前に、どのくらい過去問と一致しているのかを調べる。
うん、見事なまでに一緒だ。これなら赤点を取る者はいないだろう。俺は安堵し、問題を解き始める。
それから、国語、理科、数学と問題なく進んでいった。
あと残すは5限目の英語だけとなった。
休み時間の終わりを告げる鐘が鳴り各々席に座る。
「少しいいかしら」
テスト直前に何故か堀北が話しかけてきた。堀北から話しかけられるなんて珍しいこともあるものだ。
「何か用か?」
「昨日の夜、須藤くんが英語の過去問を覚える前に寝落ちしてしまったらしいの」
……何やってんだよ。
「それで、あなたには出来るだけ英語の点数を下げてほしいの。出来るかしら?」
この学校は、クラスの平均点の2分の1が赤点ラインなのだろう。そして、そのことを堀北も理解している。だから、平均点を少しでも下げるために、高得点を取るであろう俺にそんなことを頼んだのだ。清隆が入試のテストで50点に揃えたように、俺にも同じことが出来ると判断したのだろう。
「別に構わないが、50点が限界だぞ。それより下は俺も退学になる可能性があるからな」
「……十分よ。ありがとう、このお礼はいつか必ずするわ」
「いらねえよ。それに、お前に言われなくても全教科50点で揃えてるから」
堀北が心底驚いた顔をする。いや、そりゃそうだろ。この学校は個人の成績ではなくクラスの成績で判断している。なら、俺が1人で全教科100点取っても平均点が上がって赤点ラインが高くなり、退学者が出る確率が上がるだけだ。そのせいで退学者が出たら、逆にDクラスの評価が下がる。ならば、テストの点数を調整出来る俺がテストの点数を下げるのは当然のことだ。
そして始まる英語のテスト。静かな教室の中で須藤の席の方から、コツンコツンと頭を机にぶつける音が時折聞こえる。相当苦しんでいるようだが、テスト中に助けてくれる者はいない。須藤自身で乗り越えてくれることを期待するしかない。
――――――――――
月曜日。本来なら今日からまた学校か、めんどくせえなーと憂鬱になるのが。今日に限っていえば違う意味で憂鬱だ。
なぜなら、今日は中間テストの結果が発表される日だからだ。
「先生。本日採点結果が発表されると伺っていますが、それはいつですか?」
「お前はそこまで気負う必要も無いだろう平田。あれくらいのテストは余裕なはずだ」
「……いつなんですか」
「喜べ、今からだ。放課後じゃ、色々と手続きが間に合わないこともあるからな」
手続き?それってやっぱり……そういうことですか?やばいじゃん。
「それは……どういう意味でしょうか?」
「慌てるな。今から発表する」
そう言って、生徒の名前と点数の一覧が載せられた大きな白い紙が黒板へと張り出される。
「正直、感心している。お前たちがこんな高得点を取れるとは思わなかったぞ。数学と国語、それに社会は同率の1位、つまり満点が10人以上もいた」
誰が高い点数を取ったかなんてどうでもいい。興味があるのは赤点候補だった人たちの点数だ。特に須藤。一番赤点の可能性が高いのはこいつだろう。
「っしゃ!!」
自分の点数を確認した須藤は思わず、立ち上がり叫んだ。池や山内も立ち上がり喜ぶ。クラスが明るい雰囲気になる。
「見ただろ先生!俺たちもやるときはやるってことですよ!」
池がドヤ顔を決める。
「ああ、認めている。お前たちが頑張ったことは。だが――」
茶柱先生は赤いペンを手に持つ。そして、英語のテスト結果の用紙の須藤の名前の上に赤いラインが引かれていく。
「な、何だよ。どういうことだよ」
「お前は赤点だ須藤」
「は?ウソだろ?ふかしてんじゃねえよ、なんで俺が赤なんだよ!」
茶柱先生の通達に、須藤が真っ先に反論する。
「須藤。お前は英語で赤点を取ってしまった。ここまでということだ」
「ふざけんなよ赤点は31点だろうが!クリアしてるだろ!」
「誰がいつ、赤点は31点だと言った」
「いやいや、先生は言ってたって!なぁみんな!?」
池が須藤をフォローしようと叫ぶ。
「お前らが何を言っても無駄だ。今回のテストの赤点ラインは40点未満だ」
「よ、40!?聞いてねえよ!納得できるかよ!」
「なら、お前にこの学校の赤点の判断基準を教えてやろう」
茶柱先生は76.9÷2=39.8という簡単な数式を黒板に書いていく。
「前回、そして今回の赤点基準は、各クラス毎に設定されている。そしてその求め方は平均点割る2。その答え以上の点数を取ることだ。これで、お前が赤点だと言うことは証明された。以上だ」
「ウソだろ……俺は……俺が退学ってことか?」
「短い間だったがご苦労だったな。放課後退学届けを出してもらうことになるが、その際には保護者も同伴する必要があるからな。この後私から連絡しておく」
淡々と、まるで何気ない報告のように進めていく姿を見て、これは本当のことなんだなとようやく実感する。
「残りの生徒はよくやった。文句なく合格だ。次の期末テストでも赤点を取らないように精進してくれ。それじゃあ、次だが――」
「茶柱先生、少しだけよろしいでしょうか」
堀北が珍しく挙手をする。今まで自分から発言してこなかった堀北が、自ら手を挙げ発言しようとするのは少し驚いた。
「珍しいな堀北。お前が挙手するとは。なんだ?」
「今しがた、先生は、前回のテストは32点未満が赤点だと仰いました。そしてそれは、今の計算式によって求められた。前回の算出方法に間違いありませんか?」
「ああ、間違いない」
「それでは一つ疑問が生じます。前回のテストの平均点を私が計算したところ、64.4でした。それを2で割ると、32.2になります。つまり32点を越えているんです。にもかかわらず、赤点は32点未満だった。つまり小数点を切り捨てている。今回の求め方と矛盾しています」
「た、確かに。前回の通りなら、中間テストは39点未満が赤点になる!」
「なるほど。お前は須藤の点数がギリギリになることを見越して、英語の点数を極端に下げたのか」
「堀北、お前まさか――」
須藤だけじゃなく、クラスのほとんどの生徒たちがハッとしたように、張り出された紙を見る。英語以外の教科は全て満点の成績を取っているにもかかわらず、英語の点数は51点と極端に低い。あきらかに、須藤のために点数を下げたのがわかる。
「もし私の考えが間違っていると思うなら、前回と今回で計算方法が違う理由を教えてください」
「そうか。なら、もっと詳しく教えてやろう。残念だがお前の計算方法は1つ間違っている。赤点を導き出す際に用いる点数、小数点は四捨五入で計算される。前回のテストは32で扱われ、今回のテストては40で扱われる。それが答えだ」
「っ……」
堀北も小数点以下が四捨五入だということには気づいていたはずだ。しかし、少しの可能性を信じ発言したのだろう。
「話は終わりか?それではこれでホームルームを終わる。須藤は放課後職員室に来い。以上だ」
そう言って、茶柱先生は教室を出ていく。
教室にしばらくの静寂が訪れる。須藤の退学が決まったのだ。この状況で声を出せれる者なんてそう居ないだろう。
しかし、少し罪悪感があるな。俺は予定通り全教科50点で揃えることが出来たが、俺がテスト一週間前から教えていた赤点候補組の連中が今回のテストでは上位にいる。俺がそこそこ点数を取れるくらいまで仕上げ、そこに過去問まで加わったんだ、高得点を取らないわけがない。そのせいで全体的に平均点が上がってしまった。だからといって、俺が悪いなんてことにはならないだろうが、それでも少し罪悪感は残る。
仕方ない、ここは俺が一肌脱ぐか。
ガタン
俺が席を立とうとすると後ろから先に席を立つ音が聞こえた。振り向くと清隆が教室から出ようとしていた。
何かを察したのか、清隆に続いて堀北も教室から出る。
俺は上げかけた腰を下ろす。アイツらに任せるか。
恐らく清隆がやろうとしていることは点数の購入。入学式に茶柱先生がこの学校ではポイントで買えないものはないと言っていた。それは、テストの点数も例外ではない。清隆と堀北がいればポイントが足りないなんてこともないだろう。
それにしても、前回の小テストで1位だった俺が今回のテストでは合計250点で最下位か。わざと下げたのだからしょうがないけどさ。
それから少し経ち、清隆と堀北が教室に戻ってくる。そして、堀北から須藤の退学が取り消しになったことを告げられ、教室が歓喜に包まれた。須藤なんて泣いて喜んでる。
しかし、これでやっと落ち着けるな。
「ねえねえ、放課後Dクラスみんなで打ち上げいかない?」
うへー、まじかよ……よくそんな元気が残ってるな。今回はさすがにパスだな。
「俺はやめとく。疲れた」
「えー、なんで?今回は和冴くんが1番頑張ってたじゃんか。行こうよ」
「そうだよ、和冴。疲れなんて楽しいことをすればなくなるって」
くそ……Dクラスの女子2トップの軽井沢と千秋に誘われたら断りたくても断れねえじゃないか。もし、ここで断ったら3年間女子を敵に回すことになるだろう。それは嫌だ!
「わかった……行くよ」
「やったー、他に誰か来れない人とかいる?」
「俺たちは俺たちだけで打ち上げやるから、そっちには行けない」
確認する軽井沢に池が手を挙げて断りを入れる。どうやら、清隆たちは違うところで打ち上げをするらしい。堀北がこっちには来たくないとかそんなようなことを言ったのだろう。
「ん、オッケー」
おい、なんで俺はダメで池たちはいいんだよ。