SVDと会ってから数時間経過し、丁度夕食の時間になった。
「もう五時だし、そろそろご飯を作りましょ」
「あっ、私も手伝います!」
そう言い二人はキッチンの方に消えて行った。
「ここの基地には食堂はないのか?」
「あるけど、ドイツ料理が殆どだから人類が繁栄していた時のパンとかじゃなくてジャガイモばっかだからあまり良い物じゃないぞ。前にジャガイモのフルコースが出て目から血が出るほど不味いってオーストリアの人形が言っていたくらいだ。アイツら同じゲルマン人なのにな」
「まあ北ドイツは保存食が多いからね」
「それに、何と言っても高いしな」
「えっ、何で?パンがあるわけでも無いのに」
「アンタ達は小麦やライ麦をその場で刈り取ってパンを焼いていたんだろうが、ここを何処だと思っているんだ。一ヶ月の給料の8割が食費でなくなるんだぞ。自家農園をしてやっと6割って所だ。」
「えっじゃあキッチンにある食料って…」
「大半は自家農園で収穫したものだね」
そうこう話しているとキッチンの方からPSHHの声が聞こえた。
「みなさーん、ごはんできましたよー」
PPSHに呼ばれて鍋と数枚の皿が置かれていた。
「お、今日のボルシチは肉が入って旨そうだな!もしかしてPPSHが作ってくれたのか?」
「そうよ、この子料理がすごく上手で私はこのオリビエサラダを作ったくらいよ」
そう言いながら冷蔵庫から透明な瓶を出した。
「それは?」
「お手製のウォッカよ」
そう言いながらテーブルにあるショットグラスにウォッカを注ぐ。
「それじゃあ新しい同志、そして家族に乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
「…久々にボルシチ食べるな」
「ここに来るまで大体ライ麦か狩猟で獲った動物の肉とかばっかりでしたしね」
「そうなのかい?だったら嬉しいね、あたしらは自家農園のキャベツとかばっかりだったぜ。なあ、SVD?」
「そうね。今の時代は滅多に手に入らないわね、市場なんかでは私達の月給の1/3するもの」
「魚も昔の漁船がだいぶん減って肉ほどでは無いけど値上げしたもんな」
「じゃあ肉が手に入ったらシャシリクにして皆んなでパーティーしない?」
「お、良いなそれ!」
「では鉄串を用意しないといけませんね」
「後塩と炭も必要だな」
ハハハ…と話していると、いつの間にかウォッカの瓶が机の上に5本ほど並んでおり、時刻は8時過ぎになっていた。
「もうこんな時間…じゃあ私は洗い物をしますので…」
「手伝うよ。殆どSVDがやっている様だし」
「なら…食器の洗い物をしてくれませんか?」
「構わないよ」
30分後…
「だー!何で勝てないんだ!」
「動きが単純だからだ」
「久し振りに47のチェスのプレイを見ましたけど…まあ考えてる事が浮び上がっていますね」
「じゃあどうすれば良いんだよ」
「…SVTさん、47と変わってやってもいいですか?」
「構わないが…」
SVTは盤面を見る。もう相手はルークとビショップが一つずつ無くなって、ナイトは1つも残っていなかった。
「それでは続きを宜しくお願いします」
10分後…
「嘘だろ…」
「これが私の実力ですよ」
互いの駒はもう殆どなかった。しかし、SVTの駒はもうルークとナイトが一つずつといくつかのポーンしか、盤面にのこっていなかった。
「チェックメイトね」
「参ったよ、もう1戦…と言いたい所だが、今日はここらで寝ようか」
「そうしましょう。ではお休みなさい…」
「おう、お休み!」
「はい、おやすみなさいです」
「なら、僕もお休み」
3時間後…
深夜3時にミハイロはめがさめた。ハンモックから降りて、部屋を歩いていると、外のベランダに人工の明かりが外から入ってきた。不思議に思い、外を除くとSVDが上を向いてベンチに座っていた。
「…こんな夜遅くに一人黄昏れていてどうしたんだい?」
「…少し考え事をね」
「…隣の席いいかい?」
そう言いミハイロはSVDを心配する様に言った。
「あまり煮詰めても良いことはないよ」
「…ちょっと、私の話を聞いてもらってもいい?」
「構わないよ」
「…昔はね、此処の基地も沢山の国籍の戦術人形がいたの、この部屋が窮屈に感じる程ね」
「でもちょこちょこ少しずつ、みんなが消えて行ったわ、そしたらいつの間にか私の周りには仲間がいなくなっていた。」
「だからね、私は貴方達が来たときまたかって…」
「SVD…」
ミハイロがSVDを腕で包んだ。
「君はひとりじゃない、47や僕達、それに死んだ戦友の魂があるじゃないか。だから君はひとりじゃない。」
そう言い、SVDを更に強く抱きしめた。
「…有難うミハイロ、あなたのお陰でちょっとだけ心が楽になったわ。」
「そう言ってくれるなら嬉し…」
「でももうちょっとだけ…傍にいさせて…」
そう言い、結局二人でハンモックで寝て、次の日のSVDはAK47いわく、顔がボルシチの様に真っ赤になっていたとか…
最後駆け足で申し訳ないです。