※グロ注意
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獣人少女「おおおおお……」
オーク「あ、あの旦那? 子供なんですし、もうちょい手加減しても良かったんじゃ……」
アトラ「最初は雑巾絞り(直)か水責めを考えていたので、大分手加減しているんですが」
オーク「あっそっすか了解です」
((絶対怒らせないようにしよう))
「果ては奈落に繋がる世界、創造の神によって与えられた『進化の加護』、ですか……なるほど、後者は特に興味深いですね。
種としての環境適応ではなく、個体の状況によって起きうる『進化』、ですか」
「ピー、ピー! なんで『進化』したのにあっさり捕まえるんですか!? 騎士様その格好で私より速いとかおかしいでしょ!?」
「鎧=重量級ではないですよ。というか反省してませんね、次は火の上で逆さ吊りにしますか」
「丸焼きでも作る気ですかアトラの旦那?」
本人は頭が良くないと言っていたが、随分詳しく解りやすい解説だなと思って尋ねたのだが、
「いや、これくらい進生種にとっちゃ常識ですよ?」
と不思議そうに首を傾げられ、後ろのゴブリン達もうんうんと頷いていた。どうやら彼等の知識水準は、予想よりも高いようだ。
余談だがこちらでは亜人種のことを『
「というか旦那、足縛って逆さ吊りはやめてやりましょうよ」
「逃げるのが悪いんです。人間だって一定時間までは逆さにしても死にませんから、大丈夫ですよ」
「それ、死ぬギリギリまで吊るすってことですよね……」
「ピウゥ、血が頭に昇って気持ち悪いですう……」
それと『進化の加護』についてだが、これは運良く目にする機会があった。
「ピピピ、この速度と大きさなら騎士様も捕まえられは――」
「どうしてそう思い込んだのですか?」
「ピギイイイィィィ!?」
まああっさり捕まったのだが。この亜人少女――名はモレア――、懲りるということを知らない。
あんまりな扱いにゴブリン達も引いているのだが、「本心から謝るか私が満足するまで罰を与えます」とのこと。満足するまでって何だ。
「それで、あなた方の里にはどれくらいで着きますか?」
「一時間もあれば着きますよ。……嬢ちゃんにはちゃんと謝罪してもらうので、着く前に降ろしてやってください」
「……………………仕方ないですね」
「そんなに悩むことなんですかぁ!?」
「私が嫌いなのは反省をしないバカ、子供だからと悪戯が許されるのを理解した悪ガキです」
「両方当てはまってますね私!? じゃあ逆に好きなことは?」
「尋問、拷問、研究ですが何か」
「やっぱりこの人ヤバイですよね!?」
「……」
「ピアアやめてください振り回さないでー!?」
「……嬢ちゃん、わざとやってるんじゃないよな?」
「いえ屈したら負けだと思ってるのでええええ!?」
「……もう助けなくていいかね」
「ソッスネ」
「喋れたんですね、あなた達」
そうしてオーク達の集落に向かっている最中――突如、頭部大の火球が飛んできた。
「ん?」
横っ面を殴るように飛んできた攻撃を、アトラは最小限の動きで回避。後ろで爆発音が響き、遅れてマフィとゴブリン達も各々の武器を構える。
「……随分なご挨拶ですね」
「――おいテメエ。亜人どもと一緒にいるなんざ、どういう了見だ?」
アトラが視線を向けると、そこには馬上からこちらを睨みつける軽装の男と、その仲間と思しき人間の集団が整列していた。
ローブ、重鎧……統一感は無いが全員武装をしており、ざっと見るだけでも数百人は下らないだろう。
全身鎧なのでアトラを同族と思っているようだが、訂正したところで大して意味はないだろう。
「どういう了見、と言われましても。彼等に聞きたいことがあったから同行していただけなのですが。何か問題でも?」
「問題しかねえだろうが。亜人どもを殺すか奴隷用に捕まえるならともかく、一緒にいるなんざ殺されても文句は言えねえだろうが?
まさかそんな常識も知らない、って言うんじゃねえだろうな? それとも噂に聞く『共存派』か?」
「……」
(『進生種』と『見放された種』の軋轢、ですか)
この世界の人類は、唯一『進化の加護』を受けていない種族であり、他の種との対立は根深い。出会っただけで『亜人』と呼ぶ自分達を殺そうとする。
マフィから聞いた話を思い出しつつ、アトラは再び魔剣を取り出す。
(旦那、マズイですぜ。アイツ等は『ユニティア』っていう、近隣の街では名の通ったギルドです)
マフィが警戒を解かないまま、こちらに耳打ちをしてくる。
(強いのですか?)
(個人個人はそこまでじゃありません。ただ、前後衛バランスの取れた連携と数が厄介で、被害にあった同族も少なくありません)
(なるほど、分かりました。……少し一人で試したいので、皆を下げてもらえますか)
「へ? ちょ、旦那!?」
マティの制止を無視し、アトラは大剣を下げたまま、一見すると無防備に歩を進める。
「おいおい、随分亜人のクソ共と仲良いじゃねえか。そんな奴は――」
男の手に火球が具現する。どうやら先程の攻撃も、彼の手によるもののようだ。
(まあ、攻撃してきた以上)
「オークの里の連中同様、綺麗さっぱり『消毒』しないとなあ!!」
セリフと同時、火球と後衛からの光線、何らかの力が施された矢が放たれる。
人間は加護に代わり、自らの身を守る術として『魔術』を開発・発展させた。振るわれたその力はなるほど、銃や爆弾のような現代兵器にも劣らぬ脅威だろう。
「生かす理由もありませんが」
しかし、アトラを害するにはまるで足りない。
敵の集団へと駆け出し、魔剣を横凪ぎに振るう。
それだけで、彼の進路上にあった魔術が吹き消され、
「へ?」
次いで火球を放った男の首が、斬られたことに気づかない間抜け顔のまま胴体から離れる。
アトラは跳躍して宙を舞う生首を掴み、
「差し上げますよ」
左手で、前列の敵に全力の投擲を見舞う。
「ごがあ!?」
メリメリ、ビチャア。
骨が砕け、頭部が破裂して臓物を撒き散らす異音が響く。
「が、あ、あ……」
ぶつけられたものは数人を巻き込みながら後方に吹き飛んで意識を飛ばし、
「う、あ、ああああぁぁぁ!?」
巻き込まれた方は、頭部から飛んできたものを見て絶叫する。いっそ気絶していた方が、どれほど幸せだったか。
「戦争は数と言いますが」
誰もが静まりかえる中、アトラは魔剣を肩に担ぎ、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「その道理が通らないこともあるのを、教えてあげましょう」
では、鏖殺の時間です
「……! 全員散開! 包囲して全方位から攻撃しろ! 相手は一人だ!」
いち早く正気に戻った、指揮官らしい騎士風の女性が叫ぶ。自分達が敵に回した存在が、どれだけ埒外の化物なのか理解したのだろう。
彼女の判断は正しい。ただ一つ、最初に戦いを挑まないという選択を放棄した以外は。
地獄が、始まる。
「ふっ」
包囲の中心で、アトラは迫る敵の剣ごと脳天から唐竹割で二等分にする。巨体に似合わぬ速度と、見た目どおりの膂力で振るわれる一撃は受け止めることすら叶わず、無惨な死体が積み上げられていく。
「……っ。化物が、死ね!」
攻撃の隙を突き、魔術師と弓兵は背後からの攻撃を見舞うが、
「反応させたら意味が無いでしょう」
振り返りもせず、前方にいた騎馬兵を馬から引き摺り下ろし、振り向きもせず自分の後ろに投げ付ける。
「ぎゃああああぁぁぁ!!?」
絶叫しながら仲間が塵と化し、焼け焦げた死体が地に落ちる。
「げど――」
「殺し合いで卑怯非道と叫ぶ意味があるとでも?」
味方を殺してしまい糾弾しようとした女魔術師にいつの間にか近付き、右手で頭を掴む。
「ああ、い、いや、ころさ――」
命乞いが最後まで言われるはずなく、ザクロのように頭が弾け飛んだ。
「コリーーーン!! きさぎぃっ!?」
「叫ぶ暇があったら、魔術の一つでも放ちなさい」
恋人らしき男の憤怒も空しく、両足を切って身体を掴んで跳躍。
「ふっ」
「あ、あああ――」
上空数十メートルから放たれた人間砲弾は、地面に着弾してクレーターと同胞数名の挽肉を造り上げた。無論、弾丸と化したものの末路は言うまでもない。
「逃げるだけの足は、いりませんね」
「ヒィッ!? い、あああああ!?」
距離を取りつつ矢を放っていた女弓兵は、着陸したアトラに片足を捻じ切られる。余りの激痛にのた打ち回るのを無視され、近くにいた数人がまとめて斬り払われる。
交戦時間、僅か三分。その間に二百五十を数える集団は、百以下にまで減っていた。
「な、なんなんだこの化物は!? どうしろってんだよ!?」
「もう嫌、こんなの嫌! 助けて、殺さないで!」
「逃げろ、あの化物から少しでも離れろ!」
混乱するもの、泣き叫ぶもの、我先に逃げ出すもの。最早統率など全く取れていなかった。寧ろ仲間だったものの血と臓物が広がる地獄の中、ここまで戦えただけ賞賛されるべきかもしれない。
「終わりましたね」
「ぐ、う……何なのだ、貴様は……」
「死ぬものが知ってもしょうがないでしょう」
落馬し、頭を踏みつけられた指揮官は呻く。もう勝敗は分かりきっているのだが、それでも彼女は笑っていた。
「何がおかしいのです?」
「ふ、ふふ……化物、貴様のことは仲間が伝えてくれるだろう。その脅威を知った時、国が放置してくれると思うか?
確かに私達は負けた。だが次は軍隊が動く……! 数の暴力を退けた貴様でも、我々以上の戦力を相手に出来るかな?」
「なるほど、確かに軍規模の相手は面倒ですね。教えてくれてありがとうございます」
「……? 何を、言っている?」
彼女は怪訝に眉をしかめる。己がこの男に話したことの失態を、理解できずに。
「あなた言いましたよね、仲間が私の脅威を国に伝えると。
|ならば、全員殺して証拠も消してしまえばいい《・・・・・・・・・・・・・・・・・》」
「――――あっ」
今更気付いた彼女は、間抜けな声を上げる。無論、全てが遅い。
「それに私、言いましたよね? 鏖殺の時間です、と」
「――――――――」
鎧越しに見えた瞳を見て、女性は言葉が出なかった。そこにあったのは異常なまでの嗜虐・殺意・愉悦。そうでありながら――自分達への無関心だった。
アトラは魔剣を自分の真横に突き立てる。禍々しい気配を放つそれに手を添え、
「『鬼さんこちら、影ある方へ』」
『影鬼』。そう呟くと、何かが逃げるもの達を追い、
「え、なんだこ、いぎゃあああ!!?」
「いやあ! 来ないで、来ない――」
「嫌だ、死にたくな――」
彼等の前に、様々な形の『影』が立ちはだかり、持ち主に襲い掛かる。
絞殺、圧殺、斬殺、貫殺。いずれも例外なく殺されていき、その死体も影の中に溶け込んでいく。
「あ、あ、あ……」
残った仲間が無惨に殺されていく姿を見て、彼女は発狂寸前だった。化物を殺すための希望にして、苦楽を共にした仲間。彼らは文字通り、消え去ったのだ。
「さて、残るはあなたですね」
無論、アトラは容赦しない。仕上げとして踏みつける力を徐々に強くし、女性を圧殺せんとする。
「待って、待って、お願い見逃して! あなたのことは言わない、絶対に約束する! 私達の蓄えも全部あげるわ!
ねえ、殺さないで! 私にはまだ、やりたいこともやらなきゃいけないこともあるの! だから」
完全に心が折れたのだろう、みっともないと自覚しながらも目の前の男に命乞いをする。死にたくない、長としての使命や憎悪で隠れてい本音を曝け出しながら。
「……ふむ。あなたにもやりたいこと、やるべきことがあるのでしょうね」
アトラが確かにと頷き、女性は通じたのかと思って喜色に顔を歪ませるが、
「で、それがどうしました?」
「あ――」
次いで放たれた無慈悲な言葉に、女性の顔は絶望に染まり。
グチャ
二の句を告ぐことはなく、無惨に踏み潰された。
アトラが足を離すと、魔剣が脈動し死体と血が引き寄せられていく。まるで大口を開けた怪物が、一息に喰らわんとばかりに。
ゴリグチャ、バリグチュボキン。
肉と骨が無理矢理混じり合い、咀嚼するような異様な音が響く。少しして音が止むと、先程の惨劇などなかったのように元の平原が戻っていた。残っている戦闘の痕跡は、アトラが作ったクレーターと焼けた草くらいだろう。
「……遊び過ぎましたね。まあオークの里に侵攻するような話もしてましたし、全滅したくらいで丁度良いでしょう。
さてマフィさん、お待たせしました」
「おおおおっす旦那、お疲れ様です」
「? どうしました?」
「いや、どうしましたって……」
マフィが怯えを含んだ目で視線を後ろに向けると、ゴブリン達は恐怖に染まった目でアトラを見ていた。何人かとモレアなど耐え切れなかったのか、木の裏に顔を隠している。
「……ああすいません、少し衝撃的な光景強かったですか」
「いや少しじゃないですから。旦那は残虐将軍か何かですかい?」
「生きたまま解体したり、痛覚を何千倍に引き上げる拷問をする知人よりは余程優しいと思いますが」
「やべえこの人本気で大したことないって思ってる、ヤベエ」
その後、オークの里に到着したアトラ一行。そこでモレアは向こうが困惑するレベルで謝り倒し、里に向かってくる人間を倒したことでアトラが感謝されたが、具体的な内容についてはマフィ達が全力で止めたという。
用語解説
影鬼
詠唱:『鬼さんこちら、影ある方へ』
対象の影が前方に現れて道を塞ぎ、包み込んで圧殺、殴殺、斬殺など『惨たらしく殺す』。
光を当てれば無効化できる。
あとがき
はい、というわけで戦闘シーンでした。蹂躙になっちゃいましたけど、アトラさんがどれくらい強いかは何となく分かっていただけたかと。
今後もギャグ、戦闘(グロ)を二話に分けてハイオークさんは書いていく予定なので、よろしければお付き合いください。
それでは、読んでくださりありがとうございました。感想・評価・誤字脱字の指摘等ありましたら、とても嬉しいです。