憑依先は顔芸おじさん。 作:恐怖こそが神なのだ
考古学者たちが集う西の海にある島、オハラ。今その島には普段の落ち着きはなく、政府直属のCP9たちがその島の考古学者たちを片っ端から捕縛し、島の中心の全知の樹の外に無理やり集められていた。
「これで全員集めたか?」
「いや、まだだ。そこのお前、こっちだ!……学者は全員ここに集めろ!」
黒服に身を包んだ役人たちが次々に学者たちを集めてくる。無論、学者たちは殺人をしたわけでも、盗みをしたわけでもなく捕まる謂れはない。犯罪者ではないのだから。しかし、学者たちは政府にとって研究してはいけない空白の100年と呼ばれる政府設立前の歴史を研究していたのだ。その事を危険視されて今このような状態になっている。
そしてまた一人、連れてこられた。その学者はオリビアという女性の学者だったが、血まみれで、呼吸も荒く今にも死にそうな位弱っていた。
CP9の長官、スパンダインはその女性の髪を掴み、引きずりながら役人たちに呼びかける。
「まだポーネグリフは見つからないのかァ!? 遅いぞ、早くしろ!」
「その件ですが、たった今全知の樹地下でポーネグリフを確認したようです」
部下の返答にスパンダインは満足げに頷き、高笑いを上げた。
「ムハハハハハ!!」
その笑いは余りにも人を不快にさせる笑いだった。まるで悪魔のような、魔王のような。毒々しい笑みだ。その笑みに対しクローバー博士は悔しさに顔を歪ませる。それを見て、スパンダインはさらに笑みを深くし、ニタニタと笑い続ける。
「『オハラ』の学者達、ここに貴様らの"死罪"が確定したぞ。実に残念だなァ……今日のこの日、世界一の学者たちがここで命を無駄に散らすことになるとはな!」
スパンダインはクローバー博士の頭を踏みつけながら、処遇を決めるために五老星に連絡を取り始めた。少女ロビンはそれを陰に隠れて見ることしかできない。彼女はただの少女で、この政府の大人たちをなんとかする力はなかった。
そんな無力な少女を傍目に、事態はどんどん進んでいく。
クローバー博士は五老星に対し、彼らが導き出した空白の100年に関する仮説を伝える。
過去の人々がなぜ、硬石という砕けぬ石に歴史を刻んで世界中にばら撒き、ポーネグリフとして残して未来へ伝えようとしたのか。
それは、ポーネグリフを残した者たちの敵に紙のメッセージでは消されることを懸念したからであり、ポーネグリフを残した者達の"敵"がもし世界政府ならば、"空白の100年"とは、『世界政府』の手によってもみ消された"不都合な歴史"と考えられる。
世界政府に滅ぼされたある巨大な王国の存在は執拗に隠されており、その王国の人々が残し、思想を記したポーネグリフは世界政府にとって王国の存在とともに脅威に他ならない。
この仮説を聞いた五老星は説明途中のクローバー博士を無視し、スパンダインに指示を出す。
「消せ。オハラは知りすぎた……」
スパンダインはその指示を待ってましたとばかりにバスターコールの開始のスイッチを押し、クローバー博士を銃で撃つ。
バスターコールは無情にも発動され、原作ならばオハラの人々はここでロビン一人を残し消え去る運命であった。
しかし、今ここには神がいる。この荒れた大海賊時代に降臨せし救いの神が。
「
「グ、ギャァぁぁあああァッ!??」
スパンダイン達役人は纏めて空からの光に巻き込まれていた。ぷすぷすと煙を上げながら倒れ臥す彼ら。ロビン達は誰一人とてその状況を理解できずにいた。
呆然としているロビンの肩に手がポンッと置かれ、ロビンが振り返るとそこには耳たぶの長い男、エネルがいた。ロビンは砲撃が鳴り響くなか、あまりの驚きに逃げることもせずに思わず話しかけた。
「あ、貴方は……?」
「ヤハハハ、私か? 我は──神なり」