邪神たちの生きる世界   作:紅鎌 神邪

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後編です。次回は不定期です。


第133話 準々決勝戦 第二回戦(後編)

何か……ヤバい感じがする。悪寒と言うか、鳥肌がヤバい。結界越しである筈なのに死を感じる。

 

暴食「ッ~!!!くそッ…!こんなので終わって堪るか…!嫌、なんだよ…!まだ実験し足らない……八剣 光矢ァ……実験体となってその生命を絶って終われー!!罪破り『暴食の魔王(ベルゼビュート・ディザスター)』!!」

 

暴食は自身の胸に服の上から手刀で罰点を付けた。すると、六枚の羽根が禍禍しい形状になって頭には左右に黄色い角が二本、爪が伸びて黄色いクローみたいになり、頭の上に光輪が浮かんだ状態に。

咆哮をあげた。結界内でも聞こえる程だ。

 

嫉妬「罪破り!!?やりやがったな!あのバカ!!」

 

強欲「最悪の場合……俺が斬る…!」

 

神司「何が起きているんだ!?」

 

さっぱり分からん。

罪破り?聞いたこともない言葉だ。それにしてもあの暴食の異形な姿…聖戦でも見たことない。

俺が困り果てていると神ノがこちらに向かって歩いてきた。

 

神ノ「やぁ、迷いの子羊よ。」

 

神司「誰が子羊だ。それにしてもあれは何なんだ?」

 

神ノ「罪破り…またの名を『大罪破り』。罪在りし者だけが行う事を許されている禁忌の中の禁忌で最大級の禁術だ。払われる代償は寿命の五分の一捨てる(・・・・・・・・・・)ことになる。」

 

神司「なっ!?ならすぐに止めないと!」

 

俺の肩を掴む神ノ。何だよ、早く止めないといけないのに…!

 

神ノ「無駄だよ。暴食もそれなりの覚悟を持って決断したこと。半端な覚悟じゃだめなんだ。」

 

神司「……!」

 

神ノ「まっ、準決勝に合ったら、お互い死闘なんて物騒な事考えずに楽しもうや。」

 

神司「…あぁ……」

 

どうせ、そんなこと考えていないだろう。合った瞬間、顔色変わるだろうからな。

 

 

 

 

何であんなに強いんだ。あの八剣 光矢って人間は。人間なんだろ?悪魔でも神でもない。ただの光の能力を身に付けただけの人間なのに─!

どうしてこうも差があるんだ。

負けたくない。僕は暴食のベルゼブブだ。『暴食』なんだよ…!!

 

暴食「ッ~!!!くそッ…!こんなので終わって堪るか…!嫌、なんだよ…!まだ実験し足らない……八剣 光矢ァ……実験体となってその生命を絶って終われー!!罪破り『暴食の魔王(ベルゼビュート・ディザスター)』!!」

 

僕の服の上から体に指を突き刺して斜めに大きく罰点を描く。

痛い、痛すぎる。だが、負けるよりもマシだ。

勝ち誇る感覚、この『禁術』の試用運転をするためなら何でもする。

寿命の五分の一の命を代償?こんな実験のしがいがあることをしないという選択肢はない。

僕の頭から黄色い角が左右に二本生えてきた。さらに禍禍しい形状の羽根が六枚浮き、黄色と黒の光輪も頭の上に浮いた。爪が黄色くなってクローのようにもなった。

 

光矢「な、何だよ!その姿!」

 

暴食「フフフ…バーサーカーだから、気ヲつけテ?」

 

僕は光矢くんに向かって駆け出す。

爪で光矢の腕を引っ掻くが、光矢の移動スピードが速すぎるため、引っ掻いた光矢が残像に気づいた

 

光矢「うおっ!あっぶねぇ…」

 

暴食「チッ。」

 

光矢「なあ!暴食!」

 

暴食「(なン)だ、話し合いなンテ意味ナイんだよ?」

 

光矢「試合前に言ってたよなァ!『死なない程度でよろしく』ってよ!それは俺は含まれているのか?!」

 

……何を言ってるんだ。確かに言ったが、あれを本気に言っていると思っているのか…?

──いや、この言葉は光矢くんに向けて言ったんだ。なのに僕は…!

 

暴食「ナニを言ってイ──」

 

ヤバい!この台詞を言ったら駄目だ!

 

暴食「──ア゛ア゛ァ゛!」

 

嫉妬「自分の頭に蝿で作ったナイフを突き刺しました頭がイッてしまったのでしょうか?。」

 

強欲「違う。あれは遮血*1だ。本当なら腕や太股に騒ぎすぎている血を抜くんだがな。あれはそれ程、血が溜まっていたんだな。」

 

そう、これは遮血だ。自分を冷静に戻さないといけないから。

 

暴食「……」

 

光矢「おっ、おい…大丈夫か…?」

 

暴食「…有難う、大丈夫だよ。」

 

少しふらついて、頭が治るまで痛いが、大丈夫なのは変わらない。

でも頭は不味かったか?逆に貧血で倒れそうだ。いや、今頃後悔しても遅い。ならば、今、出来る限りの事をしよう。

 

光矢「そっ、そうか…それで?対戦には害は無いのか?痛みとか…」

 

暴食「それを含めての大丈夫だよ。」

 

光矢「そうか…なら再開とするか!」

 

そう言った光矢は姿を消したが、気配が僕の後ろにあった。

 

暴食「腐食『蝿々跳蚊』!」

 

蝿というのは、明かりが強い場所に群がる習性がある。まさに飛んで火に入る夏の虫と言うところだ。

今の光矢は光輝いている。つまり──本能的に攻撃を仕掛けることができる!

 

光矢「ぐうぅ!!」

 

嫉妬「死角にいた光矢に上手いこと回し蹴りを喰らわせることが出来ました!暴食のベルゼブブ!」

 

強欲「タイミングバッチリだな。」

 

顔の横を蹴られた光矢が勢いよく飛んでいく。光を使用していたから余計に飛ばされる。

 

暴食「うん、何でか知らないけど身体が軽いよ。」

 

光矢「痛っー…え?ギリギリじゃん……」

 

くそっ、部舞台ギリギリで留まってしまったか。早く終わらせて──!

 

暴食「ぐはぁっ─!!?」

 

何が起きた…?速すぎて目が追い付かない…!

今あった出来事をありのままに話す。

飛ばした光矢くんに目を離さずに見ていた。勿論、先頭体制はとっていた。なのに、なのにだ。気づいたら光矢くんは僕の下まで来ていて腹部を光速に殴りつけたんだ。

僕は踞る体型をとり、地面に倒れる。

 

 

 

見えなかった。飛ばされたと思えば、暴食を殴られて倒れていた。

光矢が急に覚醒した。一体どこで覚醒する要素が…いや、負けたくないという心の強さか。レミリアお嬢様のためにも、紅魔館執事長のためにも悪魔を倒すというプライドの現れだ。

 

光矢「どうだよ…はぁ、はぁ…まだやるか…?」

 

息切れしている。光矢はギリギリで戦っている。対して暴食は起き上がらない。

 

暴食「…痛ったいな~…」

 

光矢「!?嘘だろ……」

 

暴食はゆっくりと立ち上がる。ヤバい、光矢にはもう大きな光技を使う気力がない筈だ。

しかし、光矢は左手を暴食に向ける。

 

嫉妬「まさかまさか!ここにきてあの構えは──!!」

 

嫉・強「「光符『ライトニングスパーク』!!?」」

 

そうだ、間違いなくあの構えは、光符『ライトニングスパーク』だ。

一番最初に暴食に避けられたスペルカードだ。

それに対して暴食は─!

 

嫉妬「それに対する暴食は─!?」

 

強欲「蝿の壁……蝿術『反射蝿(インセクト・マホカンタ)』……」

 

まさかの蝿術『反射蝿』。

もし、暴食が光矢よりも気力が上であれば、暴食の勝ち。逆に光矢が暴食よりも気力が上であれば、光矢の勝ち。

結局は、気力勝負になる。

 

嫉妬「まさかまさかまさかの!終わりは!リベンジラストバトルッ!」

 

強欲「息を飲むとはこういう事だな。」

 

会場内が沈黙と緊張が流れている中、二人だけが動かずに構えをとって立っている。

 

光矢「──光符『ライトニングスパーク』ッ!」

 

暴食「蝿術『反射蝿』!」

 

光速に撃たれた光線が反射板に勢いよくぶつかった。今までのを見ると、あの現最強の光神『ライジン・ザ・ブラスト』を跳ね返した反射板なのだ。なのに跳ね返らない。

つまりは、暴食が完璧に弱っているということになる!

ここは勝ち時だ。そう思っていると無意識に光矢にエールを贈っていた。

 

神司「行けー!!光矢ぁー!!」

 

光矢「! はああぁあ!!」

 

暴食「くっ…!」

 

神ノ「暴食!負けんじゃねーぞ!命を払った代償を無駄にするんじゃねー!!!」

 

暴食「……!勝ってやるよ…!」

 

光線も反射板も砕けない。つまりは、まだ五分五分というわけだ。いや、訂正する。光矢が暴食を五分五分まで追い込んだんだ。

『悪魔を追い込ませた』…最初からレベルの差は大きくあった。でも、この短時間で相手のレベルまで上げることに成功させた。本当に凄い。

すると光矢の光線が急にピタリと止まった。

 

暴食「え─?」

 

光矢「これでドドメだああぁあ!!!」

 

勢いを止めると暴食に油断が生まれた。その瞬間、光矢が再び放つ光線を反射板を貫通して暴食に直撃した。

 

嫉妬「ついに破りました!あの強硬な反射板を光矢が光線一本で破りました!!」

 

強欲「悉く破っているな、あの執事長は。」

 

光線に直撃した暴食はそのまま倒れてしまった。光矢が暴食に近づき生存確認すると左腕を大きく上に挙げた。

 

嫉妬「─ということで決まりました!勝者は、八剣 こu──」

 

観客席だけに収まらず会場内に歓声が包む。

勝った!完全勝利だ!

思わず近くにいた亜無とハイタッチしたのも束の間、罪破り前の暴食が倒れている暴食から出てきて光矢に蝿で作った棍棒で頭を殴った。すると光矢は倒れて気絶した。

観客全員が何が起こったか分からず、混乱していた。

 

暴食「残念だったね、本当に惜しかった。」

 

嫉妬「ま、マモン…何が起きたの…?」

 

強欲「……!まさか、蝿を体に纏って衝撃を無効にしたっていうのか…!?」

 

嫉妬「ど、どういうこと?」

 

強欲「皆さん、あの暴食が出てきた皮に注目してください。」

 

強欲に言われて皆が部舞台に顔を覗き込む。そこにあったのは、異様に蠢いている蝿の集合体であった。

当に気持ち悪いの一言に尽きる物であった。

 

神司「何だアレ…」

 

零愛「うぉえ……」

 

苅亜「父さん!零愛吐くかも!」

 

神司「直視するな!あと座って安静にしてろ!」

 

サグメ「水取ってくる!」

 

神司「ありがとう!」

 

とりあえず嘔吐しかけている零愛はサグメと苅亜に任すとして、俺は蝿の集合体を直視する。

暴食の蝿……操れるとはいえ、あの光線を防げるのか…?いや、あの蝿は鋭利なナイフにも変形して暴食の頭に刺していた。そこから血も出ていたのは事実。さらに暴食の蝿は蝿術『反射蝿』という反射板にもなれるからそうなのだろう。

 

暴食「それで?レヴィアタン。勝者は僕だよね?」

 

嫉妬「そっ、そうだね。準々決勝第二回戦の勝者は、暴食のベルゼブブ!」

 

暴食「よし…!」

 

小さくガッツポーズをとる暴食。その後ろで光矢は担架に乗せられていた。

大丈夫だろうか。多分、腕の骨とか折れていそうだが、縁起が悪いのは考えないでおこう。

*1
治療の目的で患者から血を一定量取り除くこと。




神ノ「よっ、おつかれ。」

暴食「強すぎません!?光矢くん!」

神ノ「やっぱ、暴食だとキツイか…」

暴食「欲に貪欲に行ったお陰ですね。」

神ノ「戦略がなかなかだったな。褒めてもいい程だよ?」

暴食「えへへ…」

神ノ「まるで道化師で俺まで騙されたもん。その手は使い回せよ。」

暴食「分かりました。」

神ノ「それでは、今回の二話構成はここまで。」

暴食「次回は久々の主人公話!」

神ノ「楽しみだな。それじゃあまた次回。」
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