邪神たちの生きる世界   作:紅鎌 神邪

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準々決勝?違いますよ、決勝戦ですよ。


第140話 予想外!?《決勝戦》暴食の悪魔 VS 刃神の化身

 準決勝最後は俺 VS 神ノだ。昨日の疲れもあるため昨日は帰ってからすぐに寝付けた。家族のみんなも察してくれたらしく、静かに寝れた。

 家?あの宴会が終わってからは博麗神社にて宿泊している。それにしても、司会と実況の二人が何か慌ただしい様子だ。

 

嫉妬「えーっと、次に開戦される筈だった神ノ邪神選手が棄権するという情報を得ました。ですので、続いては、決勝戦を開始することになりました。」

 

神司「ッ...!!なるほどなァ...!!」

 

 あのクソ邪神が...昨日俺と戦ったのって、最初っからコレが目的か...!俺を育ててから本戦に持ってくるためにこの試合を始めたんだな。このトーナメント戦を考えたのは神ノ邪神、本人だから。

 だから普通なら強いミカエルやクロムが簡単に降参したってことか。でも皆進化しているのも事実。

 なら、何の目的のために...

 

嫉妬「それでは御二方、入場をよろしくお願いします!」

 

 観客席から降りる俺と暴食。

 とりあえず今からは暴食とのタイマンに集中することにしよう。

 

暴食「神司様、神ノ様からお聞きしましたよ。何でも、能力が覚醒したとかなんとか。」

 

 暴食の言葉を聞いて周りの人達がざわめく。変な期待とかされそうで嫌な気持ちになりそうだ。

 静かに頷くと、俺に対しての歓声が上がる。

 

嫉妬「なんと!神司が何時かは不明だが、覚醒したという事実を認めたァー!!つまりは...!また覚醒バトルが見れるということだなッ!?」

 

強欲「さぁて、そろそろ開始するぞ?覚醒 対 覚醒の勝負。用意……始めッ!!」

 

 無言で動き出す暴食。周りからは無数の蝿が漂っている。

 あの蝿は、今までの試合を見て推測するとすれば…弾丸よりも硬くてなかなか潰れないように強化してある。だからこそ無闇に向かい合うのは止めるのが一番だ。しかし俺は、敢えてここでは何もしない。

 

嫉妬「おおっと!?なぜ動かない!!?」

 

 この弾幕は蝿だ。だが、硬すぎる蝿は蝿ではなく暴食が放っている魔法虫に過ぎない。なら逆に考えてみよう。

 魔法の一つ一つは、自身の魔力から創られる。大きな塊が降ってくるのなら話は別だが、今回と亜無(前回)の試合では、単体で蝿を飛ばすことはなかった。完璧な憶測だが、この蝿は──

 

神司「─痛いだけのただの目眩しだ!刃符『刃球円陣』!」

 

暴食「チッ...」

 

 手の上に刃の球を浮かせながら、自身の周りに刃の結界を張り、蝿を防ぐ。

 俺の結界は刃で出来ているため、蝿も斬られて攻撃が効かない。

 少し時間が経ってから、暴食がこちらに歩いて来た。

 

暴食「ふぅん、刃のバリアか...それならこれならどう?」

 

 俺の目の前に来ると、刃の結界に直接触れる暴食。その瞬間に予知が見えた。

 

神司「マズイっ...!!」

 

 危機を感じて咄嗟の判断で、刃の球を暴食の方に投げ飛ばした。刃の球が暴食に当たると同時に結界は腐食して溶けてしまった。

 

暴食「ははっ♪さて、神司様の本気も見たい訳だし…僕は覚醒しない(・・・)よ。」

 

神司「...は?」

 

暴食「今のままの本気で倒してあげるよ。掛かってきな、刃神──ぐあっ!!?」

 

 顔を思い切り俺に殴られる暴食。ハッと我に帰ると、少しボーッとする。

 

神司「......はっ!ごめん暴食!あまりにもあの煽り方が神ノだったから、つい...」

 

暴食(か、神ノ様の嘘つき...!!ああやって煽れば本気の神司様が見れるって言うからやったのに~!ガチギレの神司様が来ちゃったじゃん!)

 

 暴食が、チラッと観客席に座っている神ノを見ると、そこには、爆笑しそうなのを必死に耐えている神ノの姿だった。 

 また仕組んだな、あのバ神...よし、この試合が終わったら暴食と一緒にボコろう。

 

神司「大丈夫か...?暴食...」

 

暴食「あーもう...思い込んだこと全部神司様にぶつけてやる...八つ当たりさせてもらいますよ!」

 

 そう言って蝿を上下左右に放つと一匹ずつ爆発していき連鎖爆破を起こし始めた。

 俺は逃げ惑うが、まずは音無結界で防げるか試す。しかし、すぐにヒビが入って壊れる。ならばと次は予知を覚醒させる。

 昨日覚醒したばかりでまだ慣れないが、今何が起こるのかを予測できるまで来ていた。どうやら、この爆破に避ける道はないらしい。

 

神司「クロム!夢を解放してくれ!」

 

クロム『おっ、良いのか。なら夢、暴れろ。』

 

夢『命令するな、我はお主よりも上位神だ。』

 

 うだうだ言っていたが、夢の幽閉から解放させることにより、俺はデバフがかかる(チビになる)ことになる。そうして、逃げ道が増えた。

 

神司「『吸血鬼化(トランスヴァンパイア)』!」

 

 夢は、邪神の器人の俺と吸血竜人(ドラゴニュートヴァンパイア)の命儚との混血から生まれた。そっから、俺も吸血鬼になれるようになったのだ。だから夢と吸血鬼は深い繋がりがある。

 二つを解放したことにより、スピードは超加速する。一気に暴食の真ん前までに詰めた。

 

暴食「はっは、良いねぇ!」

 

神司「舐めんじゃねぇ!」

 

 横一文字で斬ろうとすると、暴食は既に『蝿の魔王(インセント・ディオヴォロス)』を構えて防いでいた。

 

暴食「そんな一撃で僕を倒せるとでも?」

 

神司「速さだけでも追いつくためさ!」

 

 俺が上に飛ぶと、暴食も続いて上に飛んできた。空中戦を開始するためにフィールドは大きくしたい。

 最初に仕掛けたのは勿論、俺。あんな一撃で倒せないのは知っているさ。暴食には覚醒してもらいたい。いや、させる。ピンチまで追い込まなければ、覚醒はしてくれないだろう。

 なら、フルで予知を使いまくるまで。

 

神司「夢!封印だ!第壱人格『魔神斬り』ッ!! 」

 

 クロムに夢を再度封印してもらい身長を元に戻す。それから、空中で斬り掛かる(フォーム)を取って邪楼剣に邪気を纏わせて一気に斬る。

 しかし、『蝿の魔王』が斬れるだけだった。

 

暴食「…神ノ様のパクリだよね…それ…基本が成ってないんだけど。それならさ、ちゃんとしてくれない?マジでムカつくから。」

 

 静かにキレる暴食。そういや、暴食は極度の神ノファンだ。今までの行動で、神ノを裏切る行為は見た事ない。だからこその怒りか。しかし、本来の目的の暴食の能力覚醒を見れる。

 暴食の周りから邪気の様な黒いモヤモヤが出てくると、殺気がこの会場を飲み込んだ。

 

嫉妬「うわっ、観客席に居る数百名は気絶しちゃったよ!?」

 

強欲「あのバカはまた…」

 

 暴食に呆れる実況と解説。またしても観客席に結界を張る神ノの姿もあった。同時に暴食は俺の胸ぐら掴んで蝿の球に閉じ込めた。

 辺りは真っ暗の闇に包まれていて何も見えないが、蝿の蠢く音と共に羽根が擦り、羽ばたいている音が聴こえる。

 

神司「っ!」

 

暴食「殺すのはダメなんだよね…だから痛ぶらせてもらいますよ…腐食『ブラッドデーモン』。」

 

 じわじわと息が出来なくなって溶かされているような感覚に陥る。

 苦しい…

 

神司「ぐがっ……あっ…」

 

暴食「死なないから安心して眠りなさい。僕からのお仕置はコレで以上になりますから。」

 

 眠る…?ふざけんな…!でも俺の体に蝿がモゾモゾと居て離れないため、身動きが取れない。

 神ノを倒した時みたいに覚醒をすることは出来ないかと試みるが、できない。

 だが、手段は一つあった。

 俺を含めた暴食の周りに刃を千本以上配置した。

 

暴食「はっ…!ちょっと待って下さい!そのままだと神司様も─」

 

神司「関係、ない…!『千……本、やい、ば』…!!!」

 

 弱々しく上げる右手は勢いよく握り締める。すると、俺ごと暴食の体に刃が貫通する。

 痛い、がここで勝たなければ…!

 再び俺らの周りに千本以上の刃を設置する。そして放つ。

 

神司「痛ッ…!!離すなよォォオオ!!!!」

 

暴食「いーや!これ以上はダメだ!って!?」

 

 俺の胸ぐらを離そうとするから、その腕を掴むのと同時に再度、周りに刃を千本以上配置した。

 俺の体力はもう限界だ。だから、最後の『千本刃』だ。

 

神司「じゃあな…ベルゼブブ。神剣『千本刃』…!!」

 

暴食「喰い戻し『付与(バフ)』!」

 

 胸ぐらを離すと『蝿の魔王』を持っていた手で俺の腕を掴む。そこから、刃に串刺しされていた箇所がどんどん治っていき、刃が押し出されて俺の傷と魔力が全回復した。

 

神司「……は?」

 

暴食「自暴自棄な戦闘は控えて下さい。死闘でも所詮、神ノ様が考えた暇潰しなのですから。」

 

神司「アイツの暇潰しに付き合っているだけで暴食に勝てるのなら本望だ。蝿の球体を解除しろ。剣技で死合(たたか)おうじゃないか。」

 

 俺の腕から手を離した後に少し考える暴食。それからゆっくりと口を開き始めた。

 

暴食「…なら一つ、約束して下さい。」

 

 その内容は、単純な事だった。俺も納得して頷く。暴食の言いたいことは十に承知だ。だから守ろう。家族のためにも、俺のためにも。

 蝿の球を解除すると蝿が砂と化した。

 

嫉妬「おっと?御二方、無傷で帰還して来ましたが、何が起きたのでしょうか。」

 

強欲「見れなかったから、何を解説すればいいのか…」

 

 実況も解説も混乱しているな。そりゃあそうだろう。この事を知っているのは俺と今、戦闘している暴食の二人だけなのだから。

 さて、剣技とは言ったが、暴食の剣技とはどんなのを見せてもらえるのだろうか。

 

暴食「剣技、でしたよね。」

 

神司「そうだ。」

 

暴食「それなら、『覚醒』。」

 

 先程の殺気とはまた別の圧を放つ暴食。ヒリヒリと痛むように体が疼く。

 暴食のせいで致命傷だった筈の怪我は治ったんだ。また無茶してでも倒す。

 

神司「『覚醒』。刃符『千本の銀刃』。放てッ!!」

 

 自身に銀色のオーラを纏い覚醒する。そのまま『千本刃』に銀のオーラを一枚ずつ纏わせて一気に放つ。強化した『千本刃』だ。スピードも強化してある。

 

暴食「腐食『ブロードスラッシュ』っ!」

 

 『蝿の魔王』の周りから薄紫色のオーラが出てくると、『千本刃』を叩き落とし始めた。しかし、すぐに俺は行動する。暴食に邪楼剣を振り下ろす。だが、『蝿の魔王』で受け止める。

 

暴食「不意打ち?」

 

神司「戦略。」

 

 後ろに飛んで離れる。やっぱ、一筋縄では行かないよな。

 次に邪楼剣に銀色のオーラを纏わす。そっから勢いよく駆けて横に振る。すぐに暴食は反応して受ける。次から次へと振るが、全て受けて終わる。ならば──

 

神司「邪刀『鬼神斬』!」

 

 オーラを銀色から桜色に変えて近距離で放つ。咄嗟なので暴食は反応出来ずに直撃する。するとすぐに暴食から殺気を感じたので一度離れる。

 危ない危ない…近づきすぎたか。暴食の間合いに入っていたんだもんな。

 

暴食「流石は神司様だ。少し頭をずらさなければ命はありませんでしたよ。」

 

神司「たっく、油断も隙もないな。」

 

 よく言うよ、結構本気だったんだぞ、アレ。

 通常の剣技では勝てないことが分かった。ならば、二刀流でだ。

 シロから奪取した雨叢雲剣を左手に持ち構える。

 

暴食「風の剣か…確かそれで神ノ様を倒したのだよね…」

 

神司「爆風『鎌鼬』。」

 

 四枚の風の刃を暴食に放つ。素早い且つ、鋭い刃だ。だが、このままでは避けられる。

 これは、初めて予知が覚醒した時に理解したことなのだが、なんと、この「爆風『鎌鼬』」、「邪脚『ブラッドストーム』」様な吸引力が付いているというのだ。つまり──

 

暴食「ええ!?痛っ…!」

 

 引き寄せられて切り傷を何ヶ所も負う。四枚の風の刃が俺の元に戻ってくると、二枚ずつ邪楼剣と雨叢雲剣の刃に戻って行った。

 

神司「舞踊()え!『弥生四季乱舞』!」

 

 飛躍し、雨叢雲剣の風を扱い、体を捻りながら高速回転切りをする。まだ『舞』は終わらない。

 

神司「桜符『風舞桜』…!」

 

 ステップを踏みつつ、暴食の腕などを切り、ラストに桜色の竜巻を巻き起こす。

 竜巻を直に喰らった暴食は風の勢いで上に吹っ飛び落下する。

 

暴食「かはっ…!」

 

神司「ラストワード…」

 

暴食「ッ!?」

 

神司「第新人格『魔眼永続─!!」

 

 いつもよりも思い切り地面を踏み込んで、一気に暴食を数十回斬る。そして駆け抜ける。

 他の人からは一回しか斬れてないように見せるために。つまりは、神速で暴食を斬るわけだ。

 

神司「─抜刀術』。」

 

 ゆっくりと納刀して、気を高める。後ろで暴食が吐血する声が聞こえたので、振り返ると、蝿の大群が襲いかかって来ていた。

 咄嗟に『音無結界』を張る。耳障りな音は聞こえなくなったが、暴食は手から謎の大口の化け物を出して結界ごとを呑み込もうとしていた。

 急いで結界を解き、後ろに下がる。

 

神司「なんだ!?」

 

嫉妬「何アレ!?大口に左腕だけある化け物…!!」

 

強欲「…!?魔人…だと!?」

 

神司「魔人…!なら核さえ壊せば─やっべぇ!」

 

 核を壊しに凸る勢いだったが、予想以上に動きが早い。魔人を出してる暴食自身は、ただ突っ立っているだけで何もしない。

 

神司「クッソ…!予知…ッ!!?」

 

 予知を発動させようとするが、眼に力が入らなくなってきていたことに気づいた。

 覚醒の代償がこのタイミングに現れたのだ。

 

神司「っ…万事休すか…?!」

 

 予知が発動しないのはまだ大丈夫。しかし、眼に力が入らなくなるのはまた違う話だ。この状態で戦闘するのは間違いなく死ぬ。今の暴食は制御出来ずに気絶していると思って間違いない。

 ならば、ラストワードと言ったが最後のスペルカードだ。

 

神司「本当に最後のラストワードだ!!反撃『最終弾刃(Bounce End Blade)』!!!」

 

 巨大な三枚の刃を空中に出し、思い切り振り落とす。

 

嫉妬「神司の上に大きな三枚の刃が今、あの魔人の頭に振り落としたアァァ!!」

 

神司「気付け暴食!!目を覚ませェ!!!」

 

 砂煙と共に両断される魔人。どうやら核も斬れたらしく、消滅していく。そのまま暴食は倒れる。

 急いで、支えに行き肩を持つ。ホントに気絶しているだけで息はしている。とりあえずホッと安心する。そのタイミングで嫉妬の勝者宣言が会場内に響いた。

 

嫉妬「ついに!ついに!!決まりました!!予想外のハプニングが多発していました、この決勝戦!栄えある優勝者は──稀神 神司だァァァ!!!優勝、おめでとうございまーす!!」

 

 客席から拍手喝采される。

 この長い長いメタイ大会がとうとう幕が閉じたのであった。この後は、今までにない宴会が行われて、酔いつぶれた。

 

 

 

 

 その宴会から二日後に、なんと、優勝者には何でも願いが叶えられるとの事。それも一つだけ。家族と話し合ったところ、満場一致で決まった。

 「家が欲しい。どうせなら超大きな一軒家が。」

 この事を聞いた鬼たちがすぐ様駆けつけて、家を建て始めた。またその間は、博麗神社で寝泊まりし、家が建てられるのを待った。それから三日が経過し、二階建ての一軒家が人里に建てられて、現在暮らしている。




やっと!大会編が終わった!次回から新章!(唐突)そして、俺が書きたかった章です。
マジで時間かけて神回書きますのでお楽しみに!
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