ここからは最終章になるはずです。もしこちらの都合でまだ続ける場合は報告します。
現段階では最終章です。
第141話 縁の歯車《博麗神社・白玉楼》
最近よく子供たちに聞かれる質問が、「お父さんは何の仕事してるの」だ。
どうやら、子どもたちに通わせている寺子屋の先生、上白沢慧音先生からの宿題らしい。娘曰く、寺子屋には妖精や妖怪の子どもが多くいて人間のことについて教えられるチャンスとのこと。
実は仕事......とまでいかないだろうが、していることがある。
「紅魔館のメイド」?ま、まぁそれもなのだけど...
空を飛んでた俺は博麗神社の境内にゆっくりと降りる。
「お疲れ様、どうだった?」
「しっかり居たわ、ツチノコ。」
「もう外の世界では忘れ去られたのかしらね。」
「いやいや、外の人たちの空想だろ?」
巫女さん?違う違う!
ついさっき、人里で謎の抜け殻があるとの言伝が届いた。俺はそういうのを調べに行く専門だ。他には殺しはしない程度の妖怪退治などだ。過度な戦闘は博麗の巫女の仕事…つまり、霊夢の手伝いみたいなもんだ。
「──さて、それじゃあいつも通りで貰ったものは神司のものだから持ち帰りなさい。」
「いつもありがとな。」
「それはこっちの台詞よ。私は私の仕事や日課を行うだけだから楽なのよね~」
ニコニコしながらお祓い棒をブンブンと振る霊夢が可愛く見える。サグメはもちろん好きだが、霊夢は自分の推しとして好きだ。
今日の仕事はこれまで。いつも1~2件程の仕事してから終わる簡単な仕事だ。たまに妖怪退治というような弾幕ごっこが起きたりするが、そんなのは今までのような死闘ではないからそこまで気張る必要も無い。
境内の霊夢と別れて、博麗神社恒例の長い長い石階段を下っていると、急に目の前が真っ暗になり、足を滑らせて石階段から転げ落ちた。
「ちょっ──!?」
転げ落ちて行く俺の体。頭や腕や足を石階段にぶつけまくりながらいつ終わるか分からない暗闇の世界が急に宙に浮く感覚になった。
衝撃で飛んだのかよ!?今から受け身取れるか!?
思考がすごく焦る中ドサッという音と共に受け身を取れた気がした。今思えば受け身取らなくても飛んだのなら飛行すれば良かったのだが……
さてと、こんな悪戯する人と言えばあの子しかいない。我が愛娘の零愛が通っている寺子屋の生徒の1人、視界は真っ暗だが、どこにいるかは妖気で丸分かりだ。
「痛ってー......ってルーミアだろ!こんなことするのは!」
目の前が明るくなると黒服の黄色髪の少女の妖怪 ルーミアがニマニマと笑っていた。
「わはぁ♪神司の体は大丈夫なのかー?」
「上手いこと受け身取れたっぽいよ!真ん前何も見えなかったけどな!」
あのまま上手い感じに受け身を取っていなかったら頭打って致命傷になっていただろうな。
そういやルーミアは、霊夢曰く、昔は大妖怪だったようだ。現状のルーミアじゃ、どうも嘘臭い。
「唐突で悪いんだけどルーミアってさ、子供のフリしてるんじゃなくて普通に話せるんだろ?昔は大妖怪だったようじゃねーか。」
「......」
「霊夢から聞いたぜ、人喰い妖怪で先代巫女を困らせたとかナントカ。」
「......はぁ、全く霊夢も口が軽すぎるわ...」
急に口調が変わり、子供っぽさが無くなった。容姿は子供なのに大人みたいな口調で違和感を放つ。
でも霊夢の言う通りだ。ルーミアの妖気が倍以上に上がった。
「で、この状態の私と何がしたい訳?」
「んーなーんにも。」
「はぁ!?」
「霊夢が言ってたことが正しいのか確認したかっただけだもん。」
ルーミアは一つ大きな溜め息をつくと妖気を抑えた。そのまま呆れたような話し方で、
「はぁ...あなたも命知らずね。」
「まぁな」とニヤリと笑いルーミアをからかう。あのルーミアでこれだけの妖力なら本気になれば簡単に幻想郷を乗っ取れるんじゃないか?だからこそあの赤いリボンがルーミアの潜在能力を封印してるんだろうな。
そう考えているとルーミアが気だるそうに口を開く。
「それで?用はこれだけ?」
「いや!ルーミアからちょっかい出してきたからね!?」
「はははっ、そういやそうだったわね。」
こちらも呆れながら笑ってから手を振ってルーミアとこの場から離れた。
ルーミアと別れた直後に霊夢が空から降りてきた。顔に汗をかいている様で急いで来たようだ。着いて早々俺に怒鳴る。
「ちょっと!?何今の妖気!」
「あー、覚醒したルーミアだね。」
「ルーミアの封印解いたの!?」
「解いてない解いてない!勝手にルーミアが本気出しただけだから!封印も解いてねぇし一切触ってない!」
「ホントにぃー?」
コクコクと頷いてホントなんだと弁解する。仮に解いたとしてあの妖気を俺が対処し切れるか分からないからな。
俺の話を聞いてくれた霊夢は一つため息ついて謝罪し始めた。
「......そう、なら分かったわ。疑ってごめんなさいね。」
まだ納得してなさそうな顔をしているが、やっと許してくれた。
しかし、不意に口にしてしまったことで霊夢からお祓い棒で頭を殴られた。
「…でもなぁ、霊夢がルーミアが昔は大妖怪だったって話を聞いちまったからさぁ──」
「は?」
「あっ──あぶしっ!」
口を押えたが時既に遅し。頭を殴られたと同時に舌を噛み、口を滑らせた俺の舌に天誅が落ちた。
◆
「うぅ...痛かった...」
「自業自得ですね、神司さん。」
俺にお茶を出してくれる妖夢。ここは白玉楼。忙しいかった大会を終え、休暇を兼ねて久しぶりに顔を出しに来たのだ。幽々子が来る間、先程の霊夢の所で起きた事を妖夢に聞いてもらっていた。暖かいお茶が噛んだ舌に滲みる。
「それで、どう?刀の特訓は。順調?」
「......はぁ、意外とする時間が無くてですね...」
「oh......何があったの?」
ため息を付き頭を抱える妖夢。何があったか聞くがおおむね予想はついている。
「幽々子様の朝昼晩の食事とその買い出し、紫様のお遊戯に居らっしゃることによる再び買い出し等々...」
「...お疲れ様です...」
「ありがとうございます...」
何か触れてはいけない所を触れてしまった気がする。ダメだ、これは禁句だ。それにしても、紫ときたか...
...初めて出会ったことを思い出す。あの時は、諏訪子の一件も終わり静かに過ごしていたときだったな。あの頃の直ぐに奴隷市場でドラとシロ含めた子供たちを全員買い占めたんだった。あの日も何年も前の話なんだなと感慨深くなる。
紫の件は妖夢にとても申し訳ないよな…と心の内に苦笑する。
「大変な時、俺らを呼びなよ。稀神家やマレット兄妹総出で手伝うからさ。」
「ありがとうございます。でも大丈夫ですよ。
いや、それはそれで結局、妖夢が頑張っているんだよな。えっ、偉すぎない?今度なんか奢ってあげよ。
あの小さな妖夢がここまで大きくなってここまで成長してるなんて…俺とクロムが白玉楼に居候していたのはほんの少しの間だったが妖夢にはお世話になったし、昔からの律儀さと純粋さは一切変わっていない。
昔のこと考えながら妖夢と雑談していると、白玉楼のご当主様がご登場した。
「おまたせ~」
「おぉ、お疲れさん。」
「早速なんだけど…妖夢ぅ~お腹空いたぁ~」
「はいはい分かりましたよ。神司さんも御一緒にいかがですか?昼ごはんまだでしょ?」
「おっ?でもいいのか?ただでさえ幽々子のだけでも大変だろ。」
「料理の一つや二つ増えた所で変わらないですよ。」
そう言うと、台所の方に向かった妖夢。
マジか...妖夢の料理を食べるのは初めてかもしれない。だからこそ楽しみだ。
ワクワクして待っていると手伝いたい衝動に駆られた。すると幽々子から言われた。
「神司、客人なのに申し訳ないのだけど、あの子の手伝いお願いできる...?」
「当たり前だ、任せな。んじゃ行ってくるぜ。」
ナイスタイミングだ。ならば行こうじゃないか。
台所には物凄い速さでキャベツを切る妖夢の姿と机の上に山盛りのキャベツが3皿ほど置いてあった。
「なにコレ!?」
思わず声に出してしまう程の量だ。あの数分でここまで切る妖夢が凄すぎる...
「あっ、神司さん。すみませんがあと数十分お待ち下さいね。」
「いや、幽々子に頼まれて手伝いに来たんだよ。」
幽々子に言われたとはいえ、俺自身の意思で手伝いに来たのだがな、とは言わずに妖夢の中の幽々子の優しさの株を上げていく。
手伝いに来たと言うと妖夢の表情がホッとしたように見えた。
「幽々子様もお節介ですねぇ。まぁ、今更始まったことでは無いですけどね。分かりました、では神司さんはお肉を焼いていてください。量はですね──」
普段使っている家の冷蔵庫とは違い、2倍以上でかい冷蔵庫から妖夢はえげつない量の鶏肉と牛肉と豚肉を取り出す。
「──これぐらいですかねっ。」
それは、稀神家からすると1週間分の食料だ。
そういえば、あの転生(?)した幽々子からは食事量はバグと言っても可笑しくないようになったんだった。どういう意味でそうなったかは理解できないが、生き返ったというデバフだろうと自己解決しておこう。
ということで現状に戻り、絶望を思い出す。
「幽々子の食事量忘れてた…」
頭を抱えて深く溜め息を付く。だが、やると決めたからにはやってやる。
……まだ昼なのに家に戻るのは19時頃になりそうだな。
料理が5品出来上がり、幽々子と妖夢と俺の3人にで昼を済まし、俺は2人に別れを告げて家に戻る。
幽々子のバキュームは昔と変わらず異次元だ。
現在の時刻は19半。予想よりも少し遅れた。急いで家に帰らなくては。子供たちが待っているんだ。早く帰って遊んでやらなくてはな。
「ただいま〜」
『おかえりなさい〜!』
零愛が飛びつき、苅亜は玄関まで歩いて迎えてくれる。サグメはエプロン姿で遅れて出てきてくれてキスをしてくれる。
「おかえりなさい…///」
「…!あぁ、ただいま。」
サグメにただいまのハグをし、零愛は俺の足に抱きつく。苅亜はやれやれと笑う。姉ちゃんはというと、ニヤケながら苅亜の頭をポンポンとしていた。頭に触れられた苅亜の顔が恥ずかしくなったように照れていた。そんな苅亜と俺の目が合い、姉ちゃんの手を退けようとしているが意地でも姉ちゃんは退く気がないらしい。
今夜も稀神家は平和だ。本当に、有難いことでこのまま続けばいいのにな。
「お久しゅうございますぅ。」
「おぉ!神ノ様本当にお久しぶりです!」
「いや〜2年以上待たせて申し訳ない。あるクトゥルフ神話TRPGの動画に感化されまして。」
「それでも戻ってきてくれただけでも有難いですよ!」
「あははっ、読んでくれた読者様には本当に感謝しきれねぇや。」
「というか今回から最終章なんですか!?」
「うんまぁね。別に深い意味はなくて本当にキリがいいのよ。『邪神たちの生きる世界』ってほとんどの章が復讐の物語なんだよね。それで最期の復讐が本章で語られるわけ。」
「⋯1種のネタバレですよね?」
「まぁね。んじゃもっと言うとね、『
「⋯⋯興味深いですね⋯」
「じゃあ今回の後書きはこれぐらいにしといてっと⋯じゃあまた次回な。」