邪神たちの生きる世界   作:紅鎌 神邪

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今回から本編は一気に動いていきます。
歯車が揃う時、物語は動き始める・・・ってか?
怒涛の展開をどうぞ。


第144話 縁の歯車《紅魔館》

「・・・・・・」

 

「うーん、遅いなぁ。」

 

 集合は12時半、紅魔館の時計を見ると半を過ぎているのだ。神司を待っているのはいいが、今日はあいにくの雨である。私はサグちゃんと2人で相合傘になっている状態だ。我が弟には悪いがここはサグちゃんを独占させてもらおう。

 ・・・それにしてもさすがに遅い。朝からドラくんシロちゃんに誘われてさとりちゃんのとこに行っていることは知ってるけど・・・話し込んでそうだなぁ・・・

 さすがに過ぎすぎた時間を取り戻す事はできない。私は痺れを切らし、サグちゃんに提案する。

 

「もうさすがに入っちゃおっか。」

 

「...そうだね。」

 

 サグちゃんがため息混じりにがっかりしていた。神司来ないだけでこの反応にやっぱり夫婦だなと感心しているとバシャバシャと水溜りを踏みながら駆けてくる音が聞こえる。その音の方向を見るとびしょ濡れの神司が目に映った。

 

「ごめん、遅れた...!」

 

「たくっ、びしょ濡れじゃんか。中に入ったら髪乾かすのが優先だぞ?」

 

「わーってるって...サグメもお待たせ。」

 

「......風邪引かないでよね。」

 

「っ...!あぁ、そうするよ。」

 

 サグちゃんは怒っているが、神司を心配している様子も見える。全く、我が弟には心配ばかりしてしまうな。姉の(サガ)なのかもしれないが、そこはしょうがないことだろう。無茶するところも神司の良いところだ。そこを別に責める気はないのが・・・どうしても心配してしまうな・・・。まぁ稀神家が平和で安泰であるなら私が出る幕では無いのだろうな。

 

 

 

 

 

 

 美鈴が雨の中というのにまだ寝ている。風邪を引かないのだろうかと心配もありつつ俺たちは館の中に失礼して行く。

 それにしても、本当にやってしまった。ド忘れしているとはいえ、集合時間に30分近く遅れてくるなんて・・・しかも女性2人を雨中に待たせてしまうのは俺の失態だ。ドラとシロはさとりと強欲に任せたので大丈夫だろう。ましてや、あのクロムと同じの血筋の二人のことだから何かしらの事がなければ基本的には大丈夫だ。

 俺の失敗のことでしょげていると、目の前に咲夜さんが急に現れた。

 

「雨の中ご苦労様です。暖かい部屋で着替えを置いてありますのでどうぞこちらへ。」

 

 時を止めてから出迎えてくれた咲夜さんに俺たちは着いて行き部屋に向かう。一階の客間であろう所にまで来ると咲夜さんが女性陣と神司さんで別々の部屋になります、と話す。2人に一旦別れを告げ別々の部屋に入っていく。

 部屋の中には棚があったり、着た後に確認できるように姿鏡もある。部屋の真ん中には机がありそこにある服を確認する。

 

「...毎度毎度レミリアお嬢様の趣味はどうなってる事やら......」

 

 真っ白なフリルにヒラヒラとした黒と白で分かれている女性モノの服。そう、メイド服なのだ。俺が紅魔館でバイトする時はいつもメイド服である。最初は嫌がっていたのだが、光矢の野郎が早着替えさせやがった。しかも下着も女性モノなのでブラジャーやパンツも着なければならない。それがいつの間にか恒例とかし、俺のバイトの正装となっている。今更ながらふざけんなの一言に尽きるのだが、俺のメイド姿を見て紅魔館組は誰も否定しない。なぜなんだ。

 ブラを着けてからパンツを履く。もうこの時点で第三者に見られら社会的に人生終了だ。

 

「はぁ...もう慣れちまったよな...」

 

 ブラジャーのホックを付ける動作はもう慣れてしまい、直ぐに付けれてしまう。服を持つとその下にパッドが落ちてくる。

 おいおいおい、盛れと?俺に胸を盛れと言うのか・・・ようやく察した。俺にメイド服を着させてくるようなイタズラ好きで悪知恵が働くヤツといえば──

 

「レミリアの趣味なわけねーよなぁ...!」

 

 そう、初めて俺にメイド服を着させた人は先ほど説明した通り、八剣 光矢、奴しかいない。服着ていったら絶対に問い詰めてやる・・・!

 

「......とりま着るか。」

 

 一旦冷静になり再び着替えの続きをする。服を着てから下にスカートを履く。その上から白いエプロンを着る。それから頭にフリル付きのカチューシャを付ければ、完全なるメイド様の完成だ。姿鏡で俺の姿を確認するとどこからどう見ても女の子であり、紅魔館のメイドである。その姿を見て思わず呆れてしまい苦笑してしまう。

 

「ハハハ...相変わらずお似合いだな、俺は...」

 

 

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 メイド姿が似合いすぎている俺の姿を見て感心している場合ではない。今からが仕事なのだから。

 ドアを開け廊下に出ると既に3人のメイドが集まっていた。咲夜さんとサグメと姉ちゃんだ。姉ちゃんが俺に気づくと俺の方へ向かってきた。

 

「やぁ神司、やっぱ似合ってるねぇ〜」

 

「いつも嫌々だけどな...てか姉ちゃんはポニーテールなのか、珍しい。」

 

「おっ、よく気づいたねぇ〜どうよっ、かわいかろ?」

 

 可愛く左手でピースをし少し照れている様子を見せてくる。イメチェンまでして相当このバイトが楽しみだったのだろう。とりあえず俺は今の姉ちゃんのテンションにはまだ追いつけていないので素っ気ない態度をとる。

 

 

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「あーうん、可愛いよ?」

 

「あー!その反応は絶対思ってないやつだな!」

 

「私は可愛いと思うよ。」

 

「ホントにぃ...?」

 

 腕を組みながらもちろん、と頷きながら姉ちゃんのことを褒めまくっているサグメ。サグメが姉ちゃんの気持ちを汲み取って素直な感想を言う。そんなこと言うなら俺的には、サグメの方が可愛いと思っているけどな。

 

 

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「サグちゃあ〜んっ!」

 

「えぇっ!?」

 

 姉ちゃんが泣きながらサグメに抱きついて唐突の事だったので尻もちを着いてしまっていた。俺の素っ気ない言葉まさかここまで刺さるとは思いもしなかったが、さすがにそこまでなるかな?女の子同士のイチャつきってのもここまでならセーフなのだろうか。

 俺が呆れているとサグメが助けてほしそうに声を荒らげる。とりあえずサグメの手を引っ張ってあげて姉ちゃんを引き剥がす。その光景に置いてけぼりにされている咲夜さんが淡々と話し始める。

 

「3人とも、お嬢様がお待ちなので急ぎますよ。」

 

『アッハイ。』

 

 長い廊下を4人で歩いていくと、大きな扉の前に着いた。咲夜さんがノックをしレミリアの了承を得てから入室する。

 中に入ると階段上の玉座にレミリアが足を組んで座っており、高貴な雰囲気を出している。階段の下には光矢が腕を組んで待ち構えていた。俺たちはレミリアの前まで来て跪く。

 

「面を上げなさい。」

 

 そう言われたのでレミリアの顔を見ると笑いを堪えている様子だった。数秒の沈黙の後、レミリアは耐えられなくなり笑い出す。

 

「アハハハっ!いつもそうだけどそんなに畏まらないでよ。私たちの繋がりはそこまで主従関係という訳じゃないのだから。」

 

「それはそうだけどさ?レミリアの雰囲気がさ?」

 

「それは私のイメージが悪くなったら紅魔館(かぞく)のみんなにも申し訳ないし面潰れになっちゃうじゃない。」

 

「要はカリスマってことね。」

 

「カリチュマの間違いだr──あだっ!」

 

 せっかくレミリアがいい感じに家族のことを守っている当主としての格言を話していたのにこの執事長はまた要らないところで口を挟んでいる。結果が咲夜さんからのナイフ飛ばしで事なきを得て良かった。もしレミリアだったらスペルカードでボコボコにされていただろう。この場のみんなが苦笑していると、レミリアがふと思い出したかのように話し出す。

 

「あっ、神司。メイド仕事をする前に個人的に話しておかないといけない事があるの。残りの2人は咲夜に内容を聞いて仕事に動いてちょうだい。それでは今日も頑張ってちょうだいねっ!咲夜、頼んだわよ。」

 

「御意。」

 

「光矢はいつもの業務をこなしてちょうだい。」

 

「ぎょっ、ぎょいぃぃ〜...」

 

 光矢が倒れながらも左手を上にあげて承知する。仮にこれでも紅魔館の執事長だ。光を操る能力でほとんどの仕事は仕上げれるため相当レミリアに信頼されているようだ。

 レミリアに手で招かれ俺はそれに着いていく。レミリアが松明に火を灯して地下への扉の鍵を開けている。俺らが向かっている先は地下牢の階段。このバイトに来る度に一度はここに向かう。そこに幽閉されているのは零愛誘拐事件の張本人、命儚だ。紅魔館に幽閉されているとはいえ、アイツへの面会は欠かさない。

 

「アイツはどうしてる?」

 

「......」

 

 俺の問いにレミリアは答えない。

 あれ?聞こえなかったのか?この場には俺とレミリアしか居ないので聞こえていないわけがないのだが・・・一応のため確認してみることにする。

 

「ん?俺の声聞こえた?」

 

「......神司、よく聞いてね。」

 

 階段の途中で急に止まって真剣な顔をしているレミリア。こんなに真面目な顔をしているレミリアを見て、その顔は家族を守る時と同じのような気がした。暗がりの階段の中、松明の日だけでしかレミリアの表情を確認することはできないが、声的に少し申し訳なさそうな声質でもあった。俺は固唾を呑んでレミリアの言葉に耳を傾けた。

 

「3日前のことよ。私と咲夜が命儚に3日に一度の食事を与えに来た時だわ。」

 

「なぁ、まさかだとは思うが...」

 

 レミリアの顔がより険しくなる・・・気がした。しかし、コクリと頷く様子をしているのは分かった。俺の言う“まさか”のことだが、これだけは予想着きたくなかった。だが、そういうこと(・・・・・・)なのだろう(・・・・・)

 

「私たちが来た時にはもう遅かったわ...命儚がその場に居ないことに気づいたのは......」

 

 命儚が脱走した(・・・・・・・)

 その一言をレミリアが言わなくとも察せた。これは・・・予想できなかったぞ。俺は恐怖と不安に駆られ、苦い顔をしているのだろう。レミリアは申し訳なさそうに頭を深く下げて俺に謝る。

 

「ごめんなさい...!!これは私の責任だわ...どう詫びれば......せめて!せめて私の能力を使っていれば...!避けられた運命の筈なのに...!!」

 

「落ち着け!レミリア!」

 

「ッ...!!」

 

 焦りと責任に押し潰されそうになりながら、涙が耐えないレミリア。俺は彼女の両肩を掴んで落ち着かせる。レミリアは今にでも松明を落としてしまいそうに体が震えている。あの時の高貴な雰囲気は自分自身を落ち着かせるためのフェイクだったのだろう。この事を話したら俺にどんなことを言われ、責められるのだろうとこの3日間ずっと思い詰められていたに違いない。だからこそレミリアだけが悪いわけじゃないと説得する。

 

「これはお前だけの責任じゃない!俺の予知だってこのことについてはなんも働かなかった!お前だけが背負う責任じゃないんだ!」

 

「で、でも...」

 

「今は言い訳は無しだ。あと俺はなーんも怒っちゃいないぜ。俺に言い出せなくて辛かっただろ。もう大丈夫だ、安心しろ。」

 

「......うぅぅ...うわぁぁぁああぁ...!!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 俺はレミリアから松明を取り、階段の置き場に一旦置き、レミリアが俺の胸で涙を流している。この場をサグメに見られたら戸惑うだろうが、今は仕事で居ないのでレミリアを優しく抱擁する。優しく彼女の頭を撫でてやり落ち着けるまでゆっくりさせよう。内心俺は焦っているが、今はレミリアが最優先だ。レミリアが泣き終わったら命儚の牢屋を見に行くことにする。

 

 

 

 

 

 

 神司とレミリアが別行動になり私は星花と咲夜と一緒に部屋の掃除をしていた。紅魔館の部屋の数は把握していないが、10個以上はあるだろう。廊下を歩く度、妖精メイドがちらほら居るので部屋の数もそれ程あるのだろう。妖精メイドたちが窓掃除などをしているため、あまり私たちの役目は無いのではと考えていたのだが、意外にも部屋の掃除まで手が届いてないと咲夜が呆れながら話していた。こんなに居るのに追いつけないことがあるのだろうか。確かに部屋の外からやたら話し声が聞こえてくる。なるほど。それなら咲夜が呆れるのも納得だ。

 私が掃除していると一つの写真立てに目が行く。そこには銀髪の少女と黒髪の少年がツーショットで撮られていた。

 

「...あの写真...」

 

「え──っ!あっちょっ!これは...!///」

 

 私がボソッと呟くと咲夜が気付いて焦るようにその写真を隠し始めた。咲夜の顔は少々恥ずかしがっているように赤面している。星花は興味津々な感じに咲夜にその写真のことを問う。

 

「なになにぃ〜?さくちゃん何を隠したのかな〜?」

 

「いやこれは...!」

 

「...パッと見た感じ咲夜と光矢...?」

 

「せ、正解です...」

 

 私に当てられて恥ずかしそうに写真を見せてくれる。そこに写っていたのはまだ幼い頃の咲夜と光矢だった。咲夜がその写真について話してくれた。

 

 

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「まだ私がメイド長ではないときの頃の写真です。美鈴が写真機を持ってきてくれたので記念にとして撮ってもらったものになります...隠すの忘れてるなんて...」

 

「そっか、ここさくちゃんの部屋だもんね。」

 

「同性同士なので別に入れてもいいかと思ってたのですが...不覚です...」

 

 そこまで悔しがらなくてもいいのになと、言おうとした時に、神司とレミリアの話す声が聞こえてきた。私はいの一番に神司を迎えると、レミリアの顔が赤くなっていることに気づいた。それは涙のあとだ。しかもちょっととかじゃない、涙が枯れるまで泣いて目を擦った痕まである。急に怒りが込み上げてくる。

 

「神司!貴方何してたの!」

 

「うえっ!?い、いや...」

 

「まさか私に言えない内容なの...?」

 

「いや、いやぁ...」

 

 チラチラとレミリアを見て明らかに動揺を隠せていない神司。それもそのはず、温厚でキレることが中々ない私だ。普段の私ならそこまで怒ることがないだろう。だけど、今日の神司はとことん甘いところがある。時間にルーズだったり、レミリアをなかせたりと、だ。妻である私が一括入れなければ誰が入れるのか。

 

「あのね?神司は──」

 

「レミリアは黙ってて。」

 

 私と神司の仲介を使用としてくれるのは有難い。だけど今は神司の口から聞かないと意味がないのだ。

 私の一言ですっかり黙ってしまったのはレミリアだけではなく神司もだった。どんどん怒りが湧いてくる。私は神司にきつい言葉をかけ続ける。まるで圧迫面接だ。

 

「...そこで黙るのは違うと思うけど?」

 

「あ、あのそれがですね...」

 

「はっきり言いなさい!!」

 

『ッ!?』

 

 急に声を荒らげて叫ぶとみんなが驚いて引いている。周りで掃除していた妖精メイドはその声の大きさにビビってしまいその場から離れていくのが見える。まるで私が悪者のように。

 

...なんでこんな人を好きになったんだろう......

 

バチンッ─!

 

 気づくと呟いていた言葉に星花は私の頬を引っぱ叩いていた。最初は何が起きたのか分からなかった。叩かれたお陰で冷静さを取り戻すと私が言ってはいけないことを神司に向けて言ったことに気づいた。いや、気づかされたのだ。

 星花の顔を見ようとしても顔が上がらない。神司の顔もまともに見れない・・・。

 私の頭の中がどんどんぐちゃぐちゃになっていくのが分かる。他のみんなからは私の顔は真っ青のように見えるのだろう。そんな顔色を見て星花が私に話しかけてくる。

 

「ねぇサグメ、ちょっと頭を冷やして来なよ......」

 

「......そうね...」

 

 星花に言われた通りに私は玄関の方に向かって歩き出す。その時も神司たちの顔を確認することができない。というよりも、今は顔を合わせたくない。全部私のせいなのだから。

 

 

 

 

 

──この後の出来事により、私たちの間のある絆が更に悪化していくことを今の私たちには知る由もなかった。

 

...To be continued.




今回に関してはぜひ感想を書いて欲しいです。
私の文章力がどこまで行けてるのか、伝えたいこと伝えれているのかをチェックしたいのでよろしくお願いします。
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