邪神たちの生きる世界   作:紅鎌 神邪

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戦闘開始です。ですが、今回はそこまでかと。
あっ、それと本編には関係ないのですが、こちとら雪が積もってきまして、執筆してる時もチラチラと雪降ってるんですよ。本免試験まだ受かってないのに大変だな(令和7年2月18日05:05)


第146話 台風の目

 一時期、嫌という程見せられたあの顔。永遠亭襲撃時に初めて顔合わせをし、零愛を誘拐した張本人、更には紅魔館からの脱獄。コイツは事件しか起こさない気か。俺の前にはあの憎き顔がニヤリと微笑している。目的は前回同様だろう。『稀神家を壊滅させること』。だからこそ、俺とサグメが二人きりの時に襲撃を仕掛けてきたのだろう。しかも、仲間を引き連れている。俺らを徹底的に殺す気だろう。

 

「何用...ですか。用が無かったら来ては行けないのかな?」

 

「囚われの身のヤツがよく言うぜ。7年以上の収監はどうだった?」

 

「辱めが好きなのですかね?あの当主は。全く、趣味の悪いお嬢様ですね。」

 

「そんな趣味はねーんだよなぁ...!」

 

「ほう─ッ!」

 

 俺が煽っても冷静に淡々と返してくる。コイツはいつになっても俺の煽りに乗ってこない。ならば実力行使ということになる。命儚に殴り掛かるが両腕でガードし防ぎ切る。

 

「フフフッ...動きづらそうな格好だなぁ!」

 

「おいおい、さっきまで口調はどうしたんだよ?」

 

「まさか勝てるとでも?」

 

「ッ!?」

 

 俺の後ろにいた三人のうち二人が上から俺に攻撃しようとしてきていた。俺はその場でしゃがみこんでから右に転がる。俺がいた所の地面には槍が刺さっており、その場で受け止めていたら致命傷だったに違いない。

 クソっ、剣も無い、服もメイド服で動きづらい。サグメは遠くへ避難させたから今頃紅魔館の方へ向かっているだろう。サグメだけでも逃がせているなら良しとするがさすがにこれは・・・

 

「......致命的だな...」

 

4対1、これ以上不利なことは無いだろう。ましてや、命儚はそれよりも多くの敵を1人で戦っていたという戦歴を持っている。アイツ1人でも勝てるか怪しいのに他に未知数な三人がいる時点で俺の勝率は0に等しい。

 静かに俺をこの場から逃がさないように囲んでくる。俺を下に見ながら静かに話しかけてきた。

 

「...なぁ神司。」

 

「......なんだよ。」

 

 命儚が既に笑っていたのに余計に口角が上がる。まさに気持ち悪いの一言に尽きるだろう。そんな命儚が言い放った言葉(セリフ)は──

 

ボギッ──!

 

「がっ...あ゙ぁ゙...!」

 

「オーバーキルってよ、楽しいよなァア!!?」

 

 そう言いながら俺の胸部と腹部をいきなり蹴ってきた。後ろにある壁まで蹴り飛ばされ背中を強打する。俺は一回の蹴りで蹲り胃酸を吐く。そんな俺を見て命儚の優越感が高くなり高笑いしながら何度も何度も俺に蹴りを入れる。途中、俺の体から骨が折れる音が聞こえた。気づくと口から血も吐いており意識が朦朧としてきている。そんな中で彼女の叫んでいる声が聞こえてきた。

 

「もうやめて流弥!」

 

 少し離れたところでサグメが叫んでいる。何でいるんだ・・・!?紅魔館へ逃げたはずなのに・・・・・・見た感じ子供は逃がせたようだった。安心しかけたところでもう一発俺の腹部に蹴りを入れる。

 俺の体の心配よりも先にサグメを逃がさないと...!アイツらの狙いは稀神家の中でも特にサグメを殺すことなのだから!

 

「さ、ぐめ......ッ!にげ、ろ...!!」

 

 悶え苦しんでいる俺の姿を見た命儚はニヤリと笑い、さっきまで動かなかった最後の白装束の人物に行け首を前に動かし合図する。その瞬間そいつはその場から消え、サグメの後ろにまでいつの間にか移動していた。そしてサグメの頭を蹴り飛ばす。蹴られたサグメはそのまま家の壁を破り室内に叩きつけられる。右足から着地するとスタスタとサグメの方に歩いて行くのが見えた。

 

「くっ、そ...ッ!」

 

「おおっと、逃がさねーぞ?」

 

 這い蹲ってでもサグメの方に行こうとするが命儚に俺の足を掴まれてサグメがいる方向とは反対側に投げ飛ばされる。着地地点には槍を持った白装束の2人の姿が見えた。避けれない──と死を察したその時、俺の体が急にに逆方向に飛ばされた。つまりは上に飛ばされたのだ。更に俺に一発の弾幕を放たれ俺が串刺しにされるのが免れた。

 

「ぐッ...!」

 

 上空から地面に腰を強打するが、死ぬよりはマシだ。弾幕を放たれた方向を見ると、正邪の姿があった。

 命儚が正邪に気づくとギリギリと歯軋りを鳴らしている。相当イラついたのだろう。

 

「なーにピンチになってんだ。天邪鬼が助けてやったんだ、感謝しろよ?」

 

「邪魔しないでもらえるかなァ...?」

 

「何も邪魔してないじゃないか。私は神司を『救った』訳じゃないぜ?現に腰を痛めてる♪」

 

 腕を組んでニヤニヤと命儚に挑発している正邪。その姿を見て一気に正邪の前にまで距離を詰める。しかし、正邪が指を鳴らすと正邪の場所が命儚と逆になり、俺の方へ走っていくる。

 

「神司立て!そんでもって引力の蹴りを私にやれ!」

 

「ッ!そーゆーことか!邪脚『ブラッドストーム』ッ!」

 

 引力により正邪が勢いよく俺の方に近づいてくる。俺と正邪はお互いにニヤリと笑い合う。正邪が指を鳴らし再び正邪と命儚の場所が逆になる。命儚は気づく暇もなく俺に思い切り蹴られる。顔面に蹴り落とされて地面にめり込む。命儚が倒れている隙に俺は急いでサグメの方に走っていく。

 向かう途中に白装束の二人が間に入ってくるが正邪が能力を使用し、俺とその内の一人と場所を交代させた。

 

「邪魔はさせないよ。」

 

 正邪が俺にニヤリと笑いながら親指を下に向け『バッドサイン』を送り、俺もニヤリと正邪に向けて笑う。最高の仲間に救われたと思う。さすがは天邪鬼だけある。能力の使い方が秀逸すぎる。

 もうすぐあの家の近くだと考えていると中から出てくる人陰が見えた。俺の目の前に現れたのは、白装束の服に返り血がどっぷりと着いたさっきの奴だった。

 俺の体から一気に血の気が引くのが分かった。千本刃を奴に放ちながら、サグメの方に走る。その場から避けて俺が駆けつけれる所まで来れた。

 

「サグメ!サグ、メ......?」

 

 光が何も無い部屋には確かにそこにサグメの姿があった。しかし、胸元は血だらけであり、目に色がない。既に息をしていない無惨な妻の姿が俺の目には映っていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 目は死んでいる。だが、笑っている。まるで何かに期待しているようなそんな顔付きだ。まだサグメは生きている...?そんな希望はすぐに消え去った。サグメの方に駆け寄って手を握る。冷たいのだ。さっきまであったサグメの温もりが全然感じられない。俺の少なからずあった希望が絶望に変わり果てた。

 サグメのもとで座り込んでいるとサグメを蹴った白装束が俺に向かって話しかける。

 

「貴方の奥さんは最期まで貴方のことを信じていました。よく耐えた方だと思いますね。」

 

 律儀な口調だが、何か気に障るようなこと話し方だ。命儚の時と同じようなあの心の中で嘲笑っていると思える喋り方。俺は止まらない涙を拭かないまま白装束の奴を睨みつける。

 

「......お前らは何なんだよ...!」

 

「...はぁ、話してあげましょうか──」

 

 ため息を一つ付きながら俺にこいつらの関係性を話し始めた。

 今、俺といる白装束の奴は命儚に雇われた身であるため詳しいことは分からないらしいが、残りの白装束の奴らは『月』からの使者だと話す。どうやら命儚が紅魔館から脱走後、月に帰還していたらしい。

 

「──それであの御方と僕は利害関係という訳ですよ。結果的には成功し、目的は達していますので僕のやることは終えたのですけどねっ♪」

 

 ペラペラと話しまくるのが気に障る。『目的は達している』・・・言い換えれば撤退してもいいよ、と言っているようなもんだ。

 サグメを殺してアイツらの目的は達している。俺にできることは彼女を弔うことしかできないのか。

 

「嘘だ......」

 

「嘘じゃありませんよ。残念ですが、貴方が護っていたものはもうありません。諦めるのが吉ですよ?」

 

 絶望に打ちしがれている俺に一言一言要らない油を注がれる。判ってるさ、判っているんだ。でも奇跡を願ってもいいじゃないか。まだ生きているかもって期待してもいいじゃないか。俺の目の前にいるサグメが死んでいるのは明らかだ。胸からは血が出ているし、目だって生きているような光もない──

 

「......ちょっと待て!何かおかしくなi──がッ!!?」

 

 俺が今のサグメの遺体の違和感に気づいて後ろを振り返ろうとした時、命儚が両手を合わせた拳を俺の頭目掛けて叩き落とした。さっきまで話してた白装束の奴はいつの間にかその場から離れていて背中を見せながら左手をヒラヒラとしているのが一瞬見えた。

 ただでさえ気絶してもおかしくない俺の身体は今の一撃で力も使えずに倒れてしまった。気を失う瞬間に聞こえてきたのはまるでさっきの俺の疑問の答え合わせに似た言葉が投げ捨てられる。

 

眠ってろ、もう遅いがな。

 

 ははは・・・あってんじゃねーかよ(・・・・・・・・・)・・・・・・

 気が遠くなっていく中、最後に聞こえてきたのは若い女の子の声だった。多分俺と共闘した正邪だろう。心配そうな声がどんどん聞こえにくくなっていき、俺はその場で気を失った。




さてと、答え合わせはまたどこかの機会にでも話しますね。
次回は、X(旧Twitter)でも度々私がポストしていた絶望回になります。
時間かけてやっていきますね。それではまた。
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