邪神たちの生きる世界   作:紅鎌 神邪

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3月9日、サグメの日ですね。ですが、絶望回です。
もうめちゃくちゃですよ。
今回は神司の思考がまともじゃない。

後書きにちょっとした報告をしますので最後までお読みになって下さい。投稿頻度が遅くなるとかそういうことではありませんからそこは安心して下さい。


第148話 千寿菊(マリーゴールド)

 月にある街に五芒星の魔法陣が描かれ、そこからサグメを肩にかけながら命儚と四人の白装束の集団が到着する。紅魔館の牢屋にもあった魔力の残り香。その魔法陣からはそれと酷似した魔力が残っていた。

 元々はあと数人と一緒に幻想郷(ちじょう)に降りて来ていたが、死闘の末に死亡。命儚の独断でその死体は燃やして処理されていた。白装束の中に一人、()を持っている者がいた。全員が城に向かって歩き出す中で命儚が高笑いし出す。

 

「...フハハハっ!こんなに上手く行くなんて思わなかったぞ!」

 

「神司というのも対したことありませんでしたね。」

 

「そりゃそうだろ!アイツが俺に勝利したという戦歴はないからな!」

 

 例の誘拐事件の際にも神司が一人で命儚に勝ったことは無い。幻想郷の強者や七つの大罪の二人をもったとしても命儚には適わなかった。最終的な決着は命儚のスタミナ切れ、神司の暴走でこの事件の幕は閉じていた。

 つまりは、幻想郷内で命儚相手に一人で対峙できるものは居ないということになる。完全なる強者こそが針壊 命儚、その人なのだ。

 事実、針壊 命儚の種族が特殊であることもまた然り。吸血竜人(ドラゴニュートヴァンパイア)はただでさえ力の強い竜の血筋に加え、吸血鬼特有の吸血能力も持ち備えている。ざっくりと言えば、レミリア・スカーレットよりも強く、恐ろしい種族だ。

 

「悔しそうなあの顔がまた一層楽しくなるなァ~!」

 

「まぁ、命儚さんが推測しているのは今からのことでしょう?」

 

「アハハッ、まぁな。神司のことだ、近い日に俺らへ復讐しに月へ来る。それまで俺らの作戦は実行中だ。」

 

「僕もこれが終われば本業にやっと戻れますよ。」

 

「本業ォ?趣味の間違いだろ。」

 

 魂を持つ白装束の一人が命儚と軽く談笑しながら本拠地の城へ向かっていく。部下である三人はその話に着いていけずにただ後ろを着いていくだけだった。

 説明するのが遅れたが、この話はサグメが幻想郷から居なくなってからすぐの出来事である。

 

 

 

 

 

 

 それから四日が経ち、月の空間からスキマが開かれる。そこから出てきたのはもちろん、神司である。神司は両刀を構えながら城へ一直線に駆けていく。第一次月面戦争時に場所は把握している。あの時はウリエルの海王星と共闘していた。だが今回は神司一人での強襲だ。

 月面に着くと多くの月軍が待機していた。中にはレーザー銃や戦車などといった軍隊も神司を迎え撃とうと待ち構えていた。

 

「全軍ッ!撃てェー!!」

 

『うぉぉおっ!!!』

 

「神剣『千本刃』...!」

 

「ぐぁっ!」

 

「痛っ!」

 

 999本の刃を展開し一斉に月軍に向けて飛ばす。創造して造られた刃は次々に月軍を刺殺しまくる。しかし、戦車のような機械戦闘機にはなかなか効かない。突っ走るのを止めずに次の一手を考える。

 ──と言っても、この状況を打破できるスペルカードがあるのか。

 

「...ハハッ、あるじゃねーか。『悪魔化(トランスデーモン)』ッ!」

 

「怯むな!こんなのは小バエに過ぎん!」

 

 

「...ッるせぇ。」

 

 背中から悪魔の羽根を出し、攻撃能力と瞬発力、更に機動力を上げる。弾丸の雨が降りまくる空中を軽々と避け、戦車の上に座る。他の兵隊たちが俺に向けて銃口を見せる。そんなもの今の俺には関係ない。邪脚『ブラッドストーム』と、風符『神風刃』で戦車に雨叢雲剣を突き刺し、右足で思い切り踏みつけて、引力と風圧で戦車を踏み壊す。少しもしない内に爆発するのでその場から飛躍する。すると数秒後に戦車は周りの兵隊を巻き込みながら爆発した。俺がその光景を眺めていると、急に体に電撃が走った。

 

「ッ...!?」

 

「や、やったぞ!」

 

 どうやら爆発した戦車から離れている兵隊にレーザー銃で撃たれたようだった。俺の羽根に穴が空いている。力を失って月面に落下した。土煙が舞う中でどんどん俺の方に集まってくる兵隊の足音が聞こえてくる。気を失うまでの傷ではない。今更ここから退く訳がない。羽根は引っ込めばまた再生するから大丈夫だ。既に数名殺してるんだ。全員殺れば問題ないだろう。

 土煙が収まり、見えたのは囲まれた俺の図だった。簡単に殺される気はさらさらない。サグメを連れ戻すためなら這い蹲ってでも救ってやる。

 

「......さぁ来いよ、一人残らず葬ってやる!」

 

「全軍突撃ィー!!」

 

「下等な地上の生物なんかに負けるか!」

 

「サグメ様を穢しやがって!」

 

 指揮官のようなヤツが俺に突撃命令を掛ける。邪楼剣の重力能力を使用し、邪楼剣と雨叢雲剣の重さを軽くする。突撃してくる月軍の兵隊たちはサーベル形の剣やレーザー銃で俺を攻撃してくる。そんな攻撃を受けきれないほど俺の愛刀らは柔じゃない。愛刀らを舐めてもらっては困る。

 近距離で攻撃をしてくるヤツらには邪楼剣で斬り入れ、遠くで撃ってるヤツらは雨叢雲剣の風弾で刻む。数分も経たないうちに全軍を一人で制圧してしまった。残すところは指揮官だ。アイツをさっさと倒してサグメが居るはずの城に向かってやる。

 

「...お前で最後だな、どっかに飛んでいけ。」

 

「ひィィ!命だけは...!」

 

「俺を兵隊たちに殺させようとしていたくせに命乞いかよ。上司ってのはこんな集まりだからサグメが嫌がるわけだ。」

 

 俺がそう言うとさっきまで怯えていた指揮官はニヤニヤと笑い始めた。

 

「何が可笑しい?」

 

「いやぁー?何十年ともにしていた穢れ人であるお前が彼女の過去を何にも知らないなんてな。」

 

「どういうことだ...」

 

「ふんっ、奴は月での禁忌を犯し、重罪人と落ちぶれたのだよ。もちろん我々は彼女に口枷を嵌め、収容した。舌禍の能力を使われて逆転されては意味がないのでな。」

 

「......しかし脱獄されたと。」

 

「その通りだ。どう抜け出したかは結局分からなかったが...脱獄後、稀神サグメには()()()()が出ていた。一人、若い兵隊が左翼を掴むことができたらしいが、殺害命令が出ているからかわからぬが、その兵士は唐突に彼女の左翼を引き千切ったらしい。必死で逃げようとしている彼女に蹴りなどを入れてたの甚振ってから地上へ引きちぎった羽根と一緒に蹴り落としたと、報告されている。」

 

「......なぁ、その若い兵士ってのは誰だ...」

 

「...報告書には名前は記述されていなかった...!」

 

「その報告書に赤子を抱いていたというのは無かったのか...」

 

「ない。まぁ、今頃新しく穢れを得て針塊様と楽しんでいるだろうな!」

 

「そうか、死ね。」

 

 邪楼剣に邪気を纏わせて指揮官の頭目掛けて振り落とす。悲鳴と共にその場が真っ赤な血に染っていく。そんなのを横目にして俺は城へと急いで向かった。サグメが昔から今も苦しんで、月の呪縛から解き放たれていないことを理解した。あいも変わらずふざけるな。

 だが、コイツの一言で確信したことがある。サグメは()()()()()。こんなに嬉しいことはない。

 だが、引っ掛かることが多かった。サグメの能力は『口に出すと事態を逆転させる程度の能力』だ。正しく舌禍と言えるだろう。だが、俺や姉ちゃん、零愛と苅亜がいる時はそんな能力が発動することがなかった。しかも一度たりとも。あの指揮官が話していたことが合っているなら、文書が間違ってたとしか言いようがない。そして地上に落ちてきた時が、俺らが出会ったあの海だったという訳か。全く、月の奴らは俺らに迷惑しかかけてこないな。

 城の門には門番が二人が構えていたが刃を飛ばし文字通り瞬殺する。門を蹴り破るとそこは城内だった。

 

「広いな...どうせなら全部壊すことはできるけど...」

 

「待て待て、簡単に壊されては困るぞ。」

 

「ッ...!命儚ッ...!!!早くサグメを俺の元に返せ!」

 

 颯爽と俺の前に現れる命儚。サグメ返してもらうため叫ぶが命儚が俺の真ん前まで移動し左腕を掴んで投げ飛ばした。俺は壁を貫通し、再び外へと出される。

 やっぱりアイツだけは規格外の強さだ。他の月軍とは比にならないほど強い。

 命儚が首を鳴らしながらゆっくりと俺の方に近づいてくる。とても苛立っている表情が見えた。

 

「たっく...あともう少しでサグメのヤツを壊せそうだったのに......」

 

「あ゙ぁ゙...?」

 

「苛立ってんのは俺の方だよ!テメェのせいだ!あと一発サグメのナカに出せばイき狂わせれたってとこでテメェが月の兵隊共を蹴散らしに来やがって!全くもって人騒がせだ!」

 

「黙れよゴミクズがッ!!!!」

 

 もう完全に俺の堪忍袋の尾が切れた。コイツだけは許さない。コイツだけは絶対に殺してやる。コイツだけは血肉も残さないほどに消し炭にしてやる。

 邪楼剣と雨叢雲剣を強く握りしめ、邪気の風を纏わせ、邪楼剣の能力で更に軽量化し、命儚を何度も何度も何度も何度も斬りつけていく。斬りつけるほど命儚の口から血が出ているがもう関係ない。コイツにはそれ相当以上の苦しみを味合わせてやる。死など生温い。一生の苦しみを与え続けるしかない。

 俺の怒りとは反対に、命儚はずっとニヤニヤしている。またこの顔だ。俺を完全に舐めているような表情。先程の指揮官のよりも悪魔的微笑。この顔が俺の腕を更に加速させる。

 一つ、親しいあの人の声が俺の耳に聞こえた。

 

「止めなさい、神司。」

 

「ッ...!?やっぱりなぁ...!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 その声が聞こえるとずっと命儚を斬りつけていた俺の両手がピタリと止まった。声がした方を見ると、メイド服を着ていた頃とは違って、肩出しの黒いセーター姿のサグメがいた。今まで見た事ない姿に嫌気が差し、命儚を睨んだ。そんな格好を人前で見せることがないと俺が勝手に決めつけているが、実際にそうだ。更には、下着を着けていないようで死んだような無表情のままだ。あの格好や表情はまるで...!まるで──!!

 

「まるで事後みたいじゃないか...!!」

 

「フハハッ!さっきも言った通りだよ!神司ィ...!!」

 

 コイツを殺すのは辞めた。もうあいつの存在自体が気に入らない。そんな怒り任せで攻撃すると周りが見えなくなってしまう。

 命儚がその場から消え俺の後ろで殺気を漏らす。怒りで周りを警戒していなかった俺の自業自得だ。結局、俺一人では勝てないのだろう。

 

「ぐあっ...!」

 

 頭を掴まれて地面に叩きつけられる。そして命儚が俺の上に座り、長髪を掴むとサグメが見えるように上に引っ張ってきた。

 

「サ...グメ......!」

 

「ねぇ、神司。」

 

 サグメは俺の前まで来てしゃがむと、俺の目を見ながらジッと見つめる。こんな情けない姿を見せられ続けられるのは屈辱でしかない。

 サグメの口が開く。紅魔館の時に言われたことよりも酷く、心無い言葉だとすぐに察せた。

 

「......もう私に関わらないで。」

 

「え......」

 

 空いた口が閉じず、ただ理解が追いつかない。俺はサグメに嫌われることをしたのだろうか。だとしても何年もの付き合いで急に別れを告げられるのはおかしいだろ。

 

「聞こえなかった?もう私に関わらないでほしいの。それに貴方一人で流弥に太刀打ちできるわけないでしょ?少しは頭を動かしなよ。いっつも一人で突っ走って後悔しっぱないしじゃない......ずっと思ってたことだけど、私はそんな貴方が大嫌いなのよ。」

 

 その瞬間、俺の頭の中は真っ白になり、思考が停止した。もう命儚を退かそうとする力さえ入らない。そんな中で命儚が俺を嘲笑う。邪魔な髪だと言って俺の長髪は命儚に切られてしまい、俺の見える位置に投げ捨てられた。

 目の前には、俺を蔑んだ眼差しを送る彼女の姿と、無惨にも切り捨てられた俺の長い髪だけが残っていた。

 姉ちゃんに似た長さまで伸ばしてきた俺の何百年がこの場で簡単に捨てられたのだ。怒りを起こす気力も無い。今の状況を表せる言葉といえば“絶望”がしっくり来るだろう。サグメも辛かったのかな、と思ってしまっても、サグメの目を見るとそう思えない。本当に俺の事を捨てるような眼差しだった。サグメの眼は、俺の事に失望したような眼だった。もう意味がわからない。

 あやふやだが、気づいた頃には命儚の部下が俺を幻想郷の適当なところに送られ背中を蹴られてその場に俺は倒れた。その部下に二度と来るな、と忠告された後に、棍棒状の何かに頭を殴られ気絶させられたところで俺の記憶は止まっている。

 

そして、俺は──

 

──幻想郷から姿を消した。




まずはXで連続になるかもと言いましたが、あれは嘘だ。サーセン。

本編の内容が、何が何だか分からない?
まだ答え合わせの時間ではありません。
実際、神司も理解出来ていませんから読者様方と変わりませんよ。

それにしても、神司のすぐ怒り任せな性格は直さないと行けませんねぇ。
ちなみに、千寿菊(マリーゴールド)の花言葉は──読者様の皆さんたちで調べてみるといいかもしれませんね。花言葉にも色々ありますよね~調べていくとなかなか面白いものですよ。


さてと...ここからが本題ですよ。
と、ゆーことで!第十一章 月人決別録、第一幕はこれにて一旦閉幕ッ!次回からは苅亜と零愛が主軸に動いていく第二幕となります!ちょっとした訓練パートも入ってくるので本作の主人公である神司は一旦お休みとなります!
前書きでも話した通り、投稿頻度が遅くなるとかそういうことではありませんのでご安心下さい!簡単に言えば、本章の内容がみんなが思ってたよりも長いくなるよ~ってことです。分かりやすく言えば長編になるってことですわ!
それにまだまだ、本編の伏線回収を全然していませんので読者様の皆さん、色々な意味で「邪神たちの生きる世界」を今後とも楽しみに待っていて下さい!

それでは今回はこの辺で!また第二幕からも読者様の皆さん、よろしくお願い致します!
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